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1周年記念本で語られた『#コンパス』1周年インタビューの第二弾&第三弾を掲載!

2018-11-30 19:48 投稿

この記事に関連するゲーム ゲーム詳細

#コンパス 【戦闘摂理解析システム】

1周年インタビュー第二弾&第三弾をまとめてお届け

NHN PlayArtとドワンゴが共同開発したスマホアプリ『#コンパス』。

本作のオフィシャルアートブック第1弾(2017年12月22日発売)にて掲載された、1周年インタビューの第二部“NHN PlayArtキャラクターデザイン編”と、第三部“NHN PlayArtモーションチーム編”を本記事でまとめて掲載! 「読みたかったけど書籍が売り切れだった……」といった方に、ぜひチェックしていただきたい。

artbbook

▲2017年12月22日に発売された『#コンパス【戦闘摂理解析システム】 オフィシャルアートブック』。

▼第一部はこちら

1周年記念座談会 『#コンパス』を作ったひとたち大集合

第二部:NHN PlayArtキャラクターデザイン編

【第二部クリエイター】
・アートディレクター:藤田大介氏(文中は藤田
・モデリングアーティスト:大川春香氏(文中は大川
・2Dアーティスト:オムギルン氏(文中はオム
・2Dアーティスト:関戸みきえ氏(文中は関戸

ムハ:第二部では、ヒーローたちについて語っていただきたいと思います。おひとりずつヒーローたちにどう関わっているか教えてください。

藤田:アートディレクターをやっております。全ヒーロースキルの絵コンテを描いて、勝利のときなどのさまざまなアクションの演出を担当しました。あとは、ステージの色調の調整とか、全体のアートディレクションをしていますね。細々と雑用係です(笑)。

関戸:2Dアーティストです。アイコンやスタンプといった2D画面の仕事をしていますが、プロジェクトがスタートしたころは、ガチャの演出などUIの作業をしていました。ときどき、キャラクター関連の画面も作っています。

ムハ:LINEスタンプ買いましたよ!!

関戸:私が作りました〜! ありがとうございます。

ムハ:イラストのタッチもそうですが、絵師名が「ひでかず」なので、男性かと思ってました……。

関戸:名前は好きな俳優さんから。赤井秀和さんのファンなので。

藤田:絵柄的に男性と思っている人が大半だよね。最近は、若い人が喜ぶような、ポップな感じに変わってきているけど。

関戸:まだまだ勉強中です……!

藤田:関戸さんとこれから紹介する大川さんは、デザインメンバーとして初期から参加しています。関戸さんはアタリ、ジャスティス、リリカのベースデザインを作ってもらったよね。開発初期のころは3ロールしかなかったから、アタリはアタッカーだったし(笑)。ステージだと”東西たかさん広場”のラフアートとか、『#コンパス』全般の基礎作りを担当してもらいました。

ムハ:3ロールしかなかったとか、驚きですね。どのタイミングで、スプリンターになったのかなど気になるところですが、話を戻しまして……。大川さんどうぞ。

大川:モデリング作業を担当しています。双挽乃保のキャラクターデザインも描かせていただきました。

藤田:大川さんは、今回が初めてのメインモデル担当ですごくがんばってくれた。いろいろな人にアドバイスを受けながら、検証して作り直してをくり返してね。僕が知っている限り、リリカは5回作り直していたはず。イラストの技量も高いから、水着やコラボ衣装のデザインなどもやってもらっていますよ。

ムハ:大川さんも多岐にわたるご活躍ですね。つぎは、オムさんお願いします。

オム:2D班で、デザイナーをしています。主な仕事は、藤田さんと関戸さんのお手伝いが中心ですが、ヴィオレッタノワールを描かせていただいたり、バナーを作ったりと、都度いろいろなお仕事をしております。

藤田:そもそも違うチームにいながら、初期ヒーロー10体のカードのイラストを手伝ってもらっていました。ムハさん、”究極系ノーガード戦法”は彼女のデザインなんですよ!

オム:ムハさんほんとうに似ていますよ(笑)。

ムハ:光栄です!

『#コンパス』のデザインコンセプト

藤田:2015年秋ごろ、ちょうどプロジェクトが動き始めたとき世間にはすでにハイクオリティなグラフィックのスマホゲームが溢れていて、「さぁ、どんなものを作ろうかな」と差別化に悩んでいました。まず決めたことは、剣やドラゴンといったファンタジーに頼らないということ、等身大のキャラクター、このふたつです。技術的な話になりますが、テクスチャを書き込んで美麗な見た目を目指すより、トゥーンシェーディングやセルルックの雰囲気でやってみたいと林たちと相談していました。それで、セルルック向けのキャラクターを関戸さんにデザインしてもらい、大川さんがテストをしながらモデリングするという立ち上がりでした。

ムハ:まず、セルアニメっぽいデザインを目指したのですね。

藤田:そうですね。ゲームがあまり取り入れていない手法だったので、そこで差別化できればと思いました。実際に遊んでもらえるとわかりますが、光がポワ〜っとしているような独特の明るさを感じてもらえると思います。光による陰影をしっかり使って演出することで、ほかのゲームにはない雰囲気作りを目指していきました。

ムハ:モデリングにも強いこだわりを感じましたが、いかがでしょうか。

藤田:3Dにしたときにどんな見映えになるかは、早い段階でイメージを固めていました。

関戸:ステージの演出もあれこれ意見を戦わせましたよね(笑)。リアルにしすぎてはいけないけれど、チープなものもダメという具合で。リアルっぽいデザインをとりあえず描いて、藤田さんにモデルの中に入れてもらい、見た目がどうなるかというやりとりを何度も何度もしました。

藤田:そうだったねー!

関戸:ステージがリアルになると、ゲーム全体の見映えはよくなるのですが、ヒーローたちはセルアニメの雰囲気だったので違和感がハンパない……。でも、背景までアニメ調にしてしまうと、今度はチープさが目立ってくる。「どうすれば!?」とけっこう悩みましたね。

藤田:”デジタルSNS”というイメージは早い段階から決まっていたので、ライティングとか光が目立つようなシンプルなデザインにしたくて。”でらクランクストリート”は、何度作り直したかわからないくらいだよね。

関戸:本当にそうですね。屋根や階段があったり、バスが走っていた時期もありました。いまでは想像できませんけど。

ムハ:アニメっぽくしたのは、若い世代に向けたゲームを作っていたからということなのでしょうか? 実際、メインのユーザー層は10〜20代だと思いますが。

藤田:厳密には設定していなかったと思います。差別化としてアニメっぽくしていったという側面が強かったですね。10代、20代の層に人気が出た理由としては、ニコニコ動画さんとの共同作業がすごく大きかったと思いますよ。ボカロとかまったく考えていませんでしたから。

ムハ:ボカロは決まっていた要素じゃなかった!? では開発当初からはずいぶん変更があったのでしょうか?

藤田:ブラッシュアップさせながら、変化していった感じですね。ヒーローも3ロールで戦わせては問題点を修正して。タップ操作でもなかったですし。

大川:UIまわりもかなり変わりましたよね。タイトルも『#コンパス』ですらなかった!

ムハ:いったい、どんなタイトルがあったのかかなり気になりますね……。デザインの部分もがらりと変わったのですか?

藤田:基本のデザインコンセプトは変わっていないですね。たとえば、ゲームのスタート画面に出てくる真っ白の背景にコンパスのロゴが降ってくる演出がありますが、開発初期にはもうできていました。林さんが出したアイデアだったのですが、ほとんどそのままじゃないかな。

関戸:『#コンパス』のロゴも林さんですよね。完璧にできあがっていたので、2Dデザイナーの出る幕がなかったですもん。

大川:林さん優秀すぎましたよ……。

ヒーローが生まれるまで

ムハ:魅力的なヒーローを生み出す絵師さんとの作業には、どんな工程があるのでしょう?

藤田:まず初めにヒーローに対して企画が立ち上がります。デザイナー、プランナーなどさまざまですが、たとえばアダムだったら「イケメン青年」みたいなキーワードに沿ってアイデアを自由に出していく形です。ちなみに、マリアは「セクシー姉さん」、テスラは「天才発明家」というキーワードでした。アイデアが固まるとドワンゴさんといっしょに絵師さんを選び、受けていただけたらラフを何枚かお願いするといった感じです。三面図ができたら、モデル班にはモデリングを、その間に絵師さんはメインイラストになる1枚絵を描く作業に入ります。

ムハ:早いうちからメインビジュアル的なものが描かれるんですね。

藤田:ヒーローはたくさんの絵師さんが参加しているので、なるべく絵師さんのテイストが出るようにしなければなりません。なので、セルルックでそれぞれのヒーローの差別化がきっちりと行えるように、早い段階で表情のテクスチャ描画までを見越しています。

ムハ:統一をとりながら、絵師さんごとの特徴を出すことは難しそうですね。カラーバリエーションは絵師さんが決めているのでしょうか?

藤田:開発サイドでいくつか考えたヒーローもいますが、基本的には絵師さんに考えていただいています。衣装のデザインもお願いしていますが、ほんとうにさまざまな提案をいただくんですよ。忠臣のふんどしなんて、もう水着だなんて生ぬるいことは言わずに潔く舵切りをしちゃった、という感じで決まりました(笑)。

ムハ:インパクト強いですよね〜。

藤田:『#コンパス』における絵師さんと我々の位置づけって、マンガの編集者と作家に近いと考えています。「早く原稿くださいよ」って急かすような、クライアントならではの部分ももちろんありますが、お互いにアイデアを出しつつ、基本的には絵師さんに自由に描いてもらうという理念です。

ムハ:ドワンゴさんの「やってみた」文化と同じわけですね。

藤田:ですがこれは絵師さんの発想を最大限に活かせる一方で、『#コンパス』の統一した世界観を守るうえでは難しいアプローチでもあります。取り入れたいアイデアと絵師さんの意図は汲み取りつつも、ひとつの世界観に落とし込むための取捨選択。こうした関係をプレイヤーのみなさんに感じてもらえるといいなと思っています。

ムハ:ヒーローの見た目と性能は連動して決まっていくものですか?

藤田:基本的には性能が先に決まりますが、逆の場合もあります。アダムなんかは「そういえば直球のイケメンキャラクターっていないよね」なんてところから始まっています。見た目であっても、性能であっても、とにかくキーワードは「これまでにいないタイプのキャラクター」。そのため、モーションとかスキルのアイデアからスタートすることも多くありますよ。

ムハ:とにかく新たな挑戦だと。

藤田:林さんたちとロープやら武器代わりのものを持ち寄る(笑)。そしてチャンバラを録画してモーションキャプチャーして……。

ムハ:ご自分で実際に動いてアイデアを出していくスタイル(笑)。たとえばどんなものを使うんですか?

藤田:巨大なハンマーを操るジャスティスのモーションだったら、棒の先にペットボトルをいっぱいつけて振り回したり、鞭のようにもなるマリアの蛇腹剣だと、洗濯機のホースとか、振ったらびよ〜んって伸びていく紙のおもちゃを振り回してみたり(笑)。

ムハ:徹底してアナログな方法なんですね!

藤田:企画チームのアイデアやチョイスを、どう活かすかも重要になってきます。人間っぽいリアル路線でいくのか、それとももっととがった方向に落とし込むのか。

関戸:新ヒーローのサーティーンは後者ですね。記号的な雰囲気を重視して。

藤田:誤解を恐れずに言っちゃうと、”ウケる”共通項というのは間違いなくあるんです。単純に人気だけを追求するなら、コクリコットやアダムが持つ記号ってストレートにわかりやすいので、それを量産すればいい。けれどヒーロー全体の魅力を引き立たせる場合、それぞれの振り幅が重要なんです。万人受けするタイプとは異なる、ひねった個性やクセみたいなものを備えているヒーローは、そのよさが見えてきたときに、ユーザーさんの理解や好感度がじわりと深まる。

ムハ:ゆえにほかのヒーローの個性も見えてくる……。

藤田:そうです。そうした裾野の広がりが、キャラクター全体の魅力を高めて、そのときどきの人気キャラクターをいっそう際立たせるんじゃないかと思っています。

ムハ:記号的な特徴づけのほかに、外見上のモデリングとしても、それぞれわかりやすい工夫がされています。

関戸:開発初期に手掛けたアタリ、ジャスティス、リリカ、乃保の4ヒーローは、テスト版用のヒーローだったので、構成パーツも少ないですし、シルエットで遠目からでもわかりやすい、いかにもテスト用といったデザインを心がけていました。

大川:見分けがつくためのシルエットのポイントは、乃保ならズバリ髪。すさまじい毛量に見えますが、じつは静電気体質なのです(笑)。そうやって工夫して、ほかのヒーローと入り混じった場面でも彼女だとわかるようにしています。ほかにはヴィオレッタの腰をくねらせた歩きかたも、そういった特徴づけの一環ですね。

オム:1枚絵だけではなくて、モデリングされたことでおもしろさが増すデザインを目指したいと思っています。

藤田:シルエットだけでキャラクターがわかることの必要性、あるいはキャラクターにテーマカラーを持たせて混戦時に視認性を上げるような手法を使っています。

ムハ:確かに、シルエットが誇張されたモデリングは、トゥーン調にマッチしますね。

藤田:初期の関戸デザインには、そうしたコンセプトがとりわけ出ているんじゃないかなと思います。

関戸:そういう意味では、新ヒーローのサーティーンはすごくわかりやすいですね(笑)。

ムハ:ところでヒーローの名前は、どのように決定されるのですか?

オム:名前は最後の最後まで決まらないですね〜!

関戸:決まらない!!

藤田:決まらないね。ギリギリまでコンセプト由来の仮名のままで扱われるのがつねで。

関戸:グスタフは”ポイズン”、それがさらに”ズンガイ”とか、テスラは”アインシュタイン”なんてときもありました……。

ムハ:アインシュタインってそれ、別人ですよ(笑)。しかもかわいい見た目とはずいぶん印象が違いますね。

藤田:アインシュタインと言えばご存じ、相対性理論をはじめとする物理学の権威ですけれど、テスラの工作アームズというギミックを考えたら、これはニコラ・テスラのほうだろうと……。デザインチームの女性陣からの声だったんですよ。「こっちのほうがかわいい!」って。

関戸:ほかにも乃保のスキル名が「メガネメガネ」なんてついていましたよね。これ、犯人(?)は林なんですよ。ネーミングセンスがとにかくみんなこんな調子で(笑)。

ムハ:名前がダサくて……失礼……イマイチで、変えられたと(笑)。

藤田:とんちの効いたセンスあるネーミングは得意なようですが、ストレートなのは気恥ずかしいらしいよ。けっきょく、ヒーローの名前やスキルなどの名称は、ほかのメンバーが名付けたものが多いですね。

大川:モデリングのチーム内で名前募集をしたこともありましたよね。ギリギリまで決まらないものだから、「ほら! 考えて!」ってラグビーみたいにつぎつぎにパスを放り投げていく感じで(笑)。

関戸:社内ではみんながメッセンジャーでやりとりしているのですが、このメッセンジャー上のバナーで「まだですか」って煽ったり(笑)。UIでは文字数が決まっているので「この文字数以内でお願いします」って、注文までついている(笑)。

ムハ:そしてサーティーンが追加され、いよいよ17体目のオリジナルヒーローが実装ですね。

関戸:つねに新たなヒーローを増やそうという形を取っているからには、いずれコンセプトや衣装のアイデアも含めて、追いつかなくなりそうですよね……(笑)。

『#コンパス』を生み出すおもしろさ

ムハ:ここまでお話を聞いてくると、『#コンパス』が作られていく過程ってすごく楽しそうに聞こえてきますが、製作者側のやりがいはどのあたりにあるんでしょう?

大川:『#コンパス』という作品って、キャラクターデザインひとつとっても、多くの絵師さんがいて、いろいろな特徴のあるとがったヒーローが存在します。こんなにも方向性がちがって突出した個性に対して、共通したフィールドで扱うゲーム性を持たせながらひとつの形に集約していくやりかたは、ほかにはないおもしろさなんじゃないかと思います。

関戸:我々のチームのスタイルとしては、2DのキャラクターデザインやUIのデザイン、それ自体だけでなく、作業分担の枠を超えて「あれこれやれる」というのが自分にとってのおもしろさかなと思います。

ムハ:みなさんの作業分担が厳格に決まっているわけではない?

関戸:はい。自分のアイデアや、やりたいことに対して貪欲であれば、それが実現できるフィールドがありますね。早い者勝ちじゃないですけど、企画チームに「こういうのがやりたいんです」って、先にデザインして見せて、無理やり通しちゃう、なんてこともあるんです(笑)。

ムハ:そういう自由な環境が、お互いによい影響を与え合っていると。

関戸:作品を超えた相互理解や信頼みたいな、深いきずながあるのかな。たとえば大川は前のプロジェクトでもいっしょだったのですが、3Dも2Dもいけて「もうなんでもできるじゃん!」と……。

藤田:以前からキャラクターデザインをしたいという気持ちがあったと聞いて、ならばと乃保のデザインをお願いした感じでしたね。

ムハ:乃保だけじゃなく、新たなヒーローもぜひ見たいです!

藤田:すべてが叶うわけじゃないですけど、我々のチームに限って言えば、手を挙げた者勝ちなところはあるかもしれないです(笑)。

関戸:エイプリルフールで、実装のアテもないのにキャラクターを描いてみたり(笑)。

オム:私は当初は『#コンパス』のカードイラストに携わっていたのですが、いまやイラストの作業にとどまらず、バナーを作ったり、マップのデザインをやったりと、ずいぶん幅広い作業に関わるようになりました。

藤田:”妖華帝都ケルパーズの散歩道”や”ちゅら島リゾート”を担当してもらっています。きちんとしたラフがある数少ないデザインで、彼女の性格が出ている(笑)。

オム:マップデザインのラフをしていると思ったら、今度はアイコンを描いてくれとか、作業担当にとらわれずに幅広い仕事を頼まれます。わからないことも多いのですが、経験したことのない仕事に携わる機会が多い点が気に入っています。

藤田:コンシューマーのゲームの場合はプロジェクトの規模が大きくなりがちで、どちらかというとそれぞれに決まった作業をこなす形に終始することと思います。でも我々の場合はフットワークがとても軽くて、ラグビーとかサッカーに近い。みんなで走っていて、来た仕事を「私がやる!」って受ける、そんな感じのノリなんです。社内のメッセンジャーで飛び交う会話の流れが、まさにそういったスピーディーさを体現していて、企画のほうからばーんと来たものを関戸やオムがばーっと走っていって、各所にパスをしていき仕事をこなしてしまう(笑)。

ムハ:なんだか楽しそう(笑)。いいアイデアもたくさん出てきそうですね。

藤田:マップのオブジェや演出のアイデアは、勢いやノリで生まれますね。時間経過でステージが変化する仕様とか、いわゆるレイド戦のようなものを想定して、ポータルキーを全部制圧したらボスが出てきて、それを破壊するとか。僕がこんな企画的なことを言っていいのかわからないですけれど(笑)。

関戸:私がひっそり温めているのが”かくれんぼ”。本来のコンセプトとはちょっとベクトルの異なるものをやれたらいいですよね。ほかには性別が一気に変わる日とか!ああ……でもこれ、多分とんでもない工数がかかっちゃうな〜(笑)。

大川:ランダムで強化アイテムが落ちてくる、なんてどうですか!

関戸:負けてテンションが下がっちゃうユーザーさんに、アイテムをあげてがんばってもらおう、みたいな。

オム:自分のプレイヤースキルが追いつかなくて負けっぱなしなこともあって、相手にやけにいいデッキで揃えて来られると、やっぱりうらやましい! って思っちゃうんですよね。だから”カードを盗む”っていうスキルがあったらうれしいな……。実際に使えたら「これってこういう風になっているんだ!」って新たな発見にもつながりそうですよね。

藤田:そのバトルのあいだだけっていう制限をつければ、アリかも。

ムハ:遊んでみたい! 実装はいつですか!?

全員:(笑)

『#コンパス』への想い

ムハ:先ほどご自身の腕前についてお話がありましたが、みなさんのランクは?

藤田:僕は”S4″です。

関戸:私は”S2″かな。じつはいちど誤って消してしまって、地道にやり直しています。

大川:リリース直後の話なんですが、このころって開発中からプレイしている我々のほうが、プレイヤーさんたちに比べてだんぜん有利なはずなんですよ。だから「よっしゃ!」って意気込んでいたんです。

関戸:そうそう、大川のテストプレイ時の強さはそれはもう(笑)。みんなフルボッコでした。

オム:ですよね。ホント。

大川:でもフタを開けてみれば”S3″が最高で。ユーザーのみなさん、めちゃくちゃ強いしほんとうに上手いです!

ムハ:やり込みもそうとうですし、ファンアートの賑わいも『#コンパス』への愛を物語っていると感じています。

関戸:タイムラインなどでみなさんがさまざまな反応をしてくださっているのは、開発のみんなでよく見ています。

大川:『#コンパス』に興味を持って時間を割いてもらえているワケですから、それだけですごいことだと思います。あんまり検索しすぎると立ち入り過ぎかなって、ちょっと我慢することもあるんですけど……。

オム:ええ〜!? 我慢するんだ。ユーザーさんだって、見てもらえるほうがうれしいと思うけど……どうなんでしょう。

ムハ:うれしいと思いますよ。

関戸:過去のアップデートで、ジャスティスのアクションに不具合が出ちゃって、”ジャスティスサッカーボール”ってタイムライン上でイジられていたことがあったんです。でもそういった盛り上がりもありがたくて、社内のメッセンジャーでもサッカーボールの絵文字が飛び交ったりとか(笑)。

ムハ:それが、例のLINEスタンプにつながっているわけですね(笑)。

関戸:ここだけの話、いちばん作業工数がかかりませんでした(笑)。

オム:でもイラストをTwitterなどに投稿するときに、ゲームタイトルやキャラクター名を入れないユーザーさんってけっこういらっしゃって。「飯どうしよう〜」って書いてあっても検索できない(泣)。ぜひキャラクター名を!

関戸:この本を読んだ方は、ぜひ検索しやすい形で公開をおねがいします。

全員:よろしくおねがいします!

ムハ:ファンアートといえば、デザインコンテストも非常に盛り上がりましたね。

藤田:コンテストでは2100件ほどの応募をいただきました。ほぼスタッフ全員ですべてに目を通して「コレだ!」っていうのを選ぶわけですが……難しかったですね。

関戸:センスが爆発している方もいて、デザイナー陣では「おぉーっ」と声をあげて盛り上がりました(笑)。最終的に10点まで絞り込んだんですが、ほんとうに選考は難しいですね。

藤田:やるからにはフェアでないといけないという一方で、先ほども述べたように、『#コンパス』の世界観に落とし込んでいくことを考えると、画力やアイデアがいい、というだけでは判断できないと痛感しました。予想以上の応募をいただけことに、感謝の思いでいっぱいです。ありがとうございました。

ムハ:じつは今回、本誌の企画に対してのアンケートも、それはそれは熱意のある回答がたくさん寄せられていまして……。

藤田:「全部で500万字」でしたっけ(笑)。何度もやれるものじゃないですね。

ムハ:では最後に、今後の展望などお聞かせいただけますか?

関戸:先ほど開発初期のモデリングについて触れましたが、当初テスト向けに作られたヒーローたちは、紆余曲折を経て世界に旅立っていきました。そうした流れを目の当たりにすると、社内のみならずユーザーさんたちを含めた外からのパワーによって自由に変わっていける、そんな可能性を『#コンパス』には感じています。

ムハ:これからも、魅力あるヒーローを期待しています! 本日はありがとうございました。

第三部:NHN PlayArtモーションチーム編

【第三部クリエイター】
・アートディレクター:藤田大介氏(文中は藤田
・モーションアーティスト:草野結実氏(文中は草野
・モーションアーティスト:薄井香織氏(文中は薄井
・モーションアーティスト:橋爪奈緒美氏(文中は橋爪

ムハ:では引き続いて、モーションを担当されたみなさんに、語っていただきたいと思います。それぞれのご担当と、ランクを教えてください。

藤田:いきなりランク(笑)。注釈にはぜひ、「デザイナーはあんまりゲームの上手い人がいない職種です」って入れてください(笑)。

ムハ:「開発者ってゲームやるの?」という素朴な疑問もありまして、そのあたりへの答えも含めてお願いします(笑)。

橋爪:我々モーションチームは、おもにキャラクターのアニメーションを作っています。私はチームのリーダー的立場で、ランクは”S4″。ジャスティスやリリカ、ジャンヌなどの動きを作っています。

薄井:Voidollの登場シーンのような、リズミカルな動きをおもに担当しています。ランクは”S6″です。

草野:忠臣やまとい、グスタフの動きを作っています。もともとはモーションデザイナーが専門ではないのですが、気づいたらこんな形で仕事をしていて、モグリのデザイナーかなと(笑)。橋爪と薄井のふたりを見習ってやっている感じです。ランク”S5″です。

ムハ:あれー!? みなさんかなりの高ランクですよね!?

キャラクターのモーションを作る

ムハ:まず”モーションを作る”というのが、我々素人にはなかなか、イメージしにくいのですが、具体的にどういった作業ですか?

藤田:従来の手法は3Dで作ったキャラクターのパーツに対して、ひとつひとつそのキャラクターならではの動きを作り上げていくもので、”手付け”と呼ばれています。

草野:これに対して最近はモーションキャプチャーを録ることも増えたので、ベースとなる振り付けを考えたり、実際にキャプチャーした人間基準の動きを、ゲームの、非人間的なスピード感やアクション用に編集する作業も行います。

藤田:人の身体では再現できないような一部の動きは”手付け”で行うことが必須ですが、それ以外の多くはモーションキャプチャーが主体です。

草野:それぞれに長所はありますが、手付けが苦手な自分にとってはモーションキャプチャーは助かっています。

薄井:自分は逆に、手付けのほうが楽しいと感じますね。プレイヤーさんからすると、遊んでいる中で両者の差を感じることはないのかもしれませんが。

草野:それぞれの手法を組み合わせていくといい感じになるんですよ。ゆっくりした動きどうしをつないでいくときに、生身の人間ならではの”ぶれ”があるとナチュラルになるので、合間にモーションキャプチャーをはさみつつ、決めたいところは自分で付ける。このメリハリが大事だなと感じます。

ムハ:こうした手法は『#コンパス』開発当初から変わらないんですか?

薄井:開発初期のころは、モーションキャプチャーをほとんど取り入れてなくて、もっぱら手付けでした。

橋爪:そうそう。アタリやジャスティス、リリカ、そして乃保。彼らはほとんど手作業でしたね。

草野:乃保の動きがイマイチ人間らしくならなくて、実際に動いてみようと。

藤田:林さんがノコギリ持ってやったんだよ、「ぎゃりぎゃり」って(笑)。それも。すごくうれしそうに!

橋爪:林さんは人間の動きをとくに重視しているから、リアリティは不可欠だと言われてきたんです。軽いのはダメだと。

ムハ:軽いとか重いというのは、どういう意味ですか?

草野:重力の主張を重視しているんです。現実より”重い”ぐらいで作れと。

橋爪:開発当初はほかのゲームに比べて、動きがもっさりしているって言われていたんです。もっとスピーディーなゲームもたくさんあったので。でも『#コンパス』ではヒーローが集中する混戦状態になりがちなので、動きを比較的ゆっくりにすることで、ゲームの展開をわかりやすくするという意図がありました。そうした重さが同時に、人間らしさにもつながると。

ムハ:では初期の4体に続くヒーローは、どのように?

草野:忠臣、ジャンヌ、ルチアーノ、まとい、マルコスの5体は、アクターさんの動きを各方向からiPhoneで動画撮影をして、それを参考に動きを起こしました。手動アナログキャプチャーですね。

橋爪:アクターさんにキャラクターのイメージを伝えて、武器を手に動いてもらいながら、もっと振ってほしいとか蹴ってほしいとかいろいろお願いしちゃいました。

藤田:開発中ってモーションの数が出そろっていないながらも、とりあえず実装して動かさないとスタッフ自身もゲームデザインがわからないでしょう? だからどのヒーローも共通モーションでアクションしていたり……。

草野:リリカとかめちゃくちゃな動きをしていましたよね(笑)。

薄井:最近は実際にモーションキャプチャーを録って、そのデータを入れていくようになりました。

藤田:いずれの場合でも共通しているのが、企画側の要望を最大限に活かしつつ、我々のイメージをどう織り込んでいくかというバランスです。モーションを決めるときはいつも、要望に近いイメージソースをベースに、自分たちで動いて精度を高めています。個人個人が持っているイメージを形にしていくのが課題でもありおもしろさでもあるんでしょうね。

ムハ:キャラクターのモーションがそれぞれに用意されているってとても贅沢ですよね。

橋爪:じつは自分にとっても、これまでは汎用のモーションを作ることが多かったんです。だからキャラクターごとに個々のモーションを作るっていうのは初めてで。

草野:すごいリッチですよね!

橋爪:見た目じゃなく、動きでキャラクターの特性や性格を表現していくのってすごくおもしろい。

薄井:歩きかたひとつとっても、いちいち性格を考えて動きが付けてある。そんなに区別つかないハズなのにね(笑)。

藤田:2ヵ月なり3ヵ月なりのスパンで新ヒーローをリリースする中で、これだけガチで毎回モーションを作っているなんて、なかなかないんじゃないかなと思います。いちど作った汎用のテンプレートに流し込むだけなら、ずっと早いしラクなんだもの。あっ、ここ、アピールするところです!(笑)

ムハ:まずは歩きかたをチェックしてみようと思います! それぞれのご担当部分で苦労した思い出はありますでしょうか?

藤田:モーションを付けるときには必ずしもキャラクター個別の担当がいるわけじゃなくて、みんなそれぞれ、得意な動きによってフレキシブルにやっているんだよね。

橋爪:そうですね。でもたとえばリリカやジャンヌはひとりですべて担当したんですよ。とにかく、かわいらしくしたくって。企画側からもとくにオーダーがなかったので、自由に作ったら全部採用してもらえたのでうれしかったです。杖に乗って飛び回る動きも、手付けのモーションならではの躍動感が出たんじゃないかな。

草野:忠臣は林さんから熱烈なオーダーがあって、アクションフィギュアをわざわざ持ってきて「このポーズの角度みたいな! ぎりぎり立っている感じで!」っていうプッシュがすごかった(笑)。

薄井:私はテンポがいいモーションが好きなので、まさにVoidollの登場シーンなどが該当するかな。これもやっぱり林さんからのリクエストで、「勝利は『アイアンマン』ぽくしよう!」って言われて「あ、はいやってみます」っていう(笑)。なので、着地の動きも”ヒーロー着地”に(笑)。両足と片手でチャッてやる、いわゆるスリーポイントランディングですね。

草野:ちょいちょいアメコミが出てきますね〜(笑)。

ムハ:では逆に、お蔵入りになったモーションというのも……?

藤田:テスラやマリアは、当初はもっと腰をくねくねさせていたんだけれど、ちょっと生々しくて(笑)。

草野:コクリコも手付けモーションのよさを活かして、わりと自由に動かしているんです。でもすごく引きずられている感が強く出てしまって、ちょっとかわいそうだなって。

藤田:実装できなかったモーションも含めて、ふだん見ている映像作品からの着想って、いろいろあるのかもしれないですね。

コラボヒーローの難しさ

ムハ:自由に作れるオリジナルのヒーローと比べて、コラボヒーローは難しいと思ったことがあると思うのですが、いかがですか?

草野:すでにキャラクターが確立していることでしょうか。

藤田:基本的にはもとのキャラクターの完コピが前提ですが、『#コンパス』に落とし込むアレンジこそが重要であり、難しさですよね。

草野:セミナールームで、膨大な数の動画をくり返し見ては考えて。

橋爪:ずいぶん悩みましたよね。

ムハ:カードのアクションに対応させる場合にも、本来のキャラクターでは存在しない動きを創出するいう問題がありますね。

薄井:オリジナルの動きを分析して、ほんの一瞬でも似たポーズがあれば、「いまの!やってた!」っていう感じで、それを引き延ばして作ったり。

草野:コラボ作品にはそれぞれ苦労がありましたが、結果としてとてもいいヒーローになっていると思います。

ヒーローの、ここだけの話

ムハ:オリジナルのヒーローについて、”ここだけの話”があればぜひ。

草野:『#コンパス』では基本的に、スカートの中のテクスチャは作らないんです。でもまといは初期に長めのスパッツだった名残りで、実装版のミニスカートになってもちゃんと中身が作ってあって……って言っちゃって大丈夫なんでしょうか?(笑)

藤田:そういうエピソード、大事(笑)。

草野:見せパンなのかな。ホーム画面で立っているときにハラハラしていました。グラフィックレベルを落とすとスカートがぺろっとなっちゃうといううれしい罠が……。あ、でもこれリリース当初の話で、いまはちゃんと修正されていますよ!(笑)

橋爪:ホーム画面のアングルってけっこう下側からなので、キャラクターによってはちょっと前のめり気味に調節しているんです。アダムのような小顔な頭身のキャラクターだと、顔が小さくなりすぎちゃうんですよね。

藤田:乃保も当初はもっと大人しめの、かわいらしい図書委員や保健委員みたいな子だったので、勝利ポーズもスマイルしていたんですよ。でも次第に林さんの毒が入って……。

草野:乃保は重量物を持っているリアリティをとりわけ重視しているので、モーションが重くて、むちゃな動きをしない。ヒーロースキルだけはそうした枷から解き放たれているからこそすごい跳躍なんですが、いずれにせよ、敢えてかわいい感じを避けていますね。

藤田:マリアはヒーロースキルの締めでくるっと回りますよね。せっかくのダンスなので、ちゃんと見えるように、こっそり早めにカメラを降ろしています(笑)。通称”ローズダンス”(笑)。

草野:忠臣のスキルは、当初はルチアーノと同様の、時間を止めるタイプのものでした。ヒッチコックの映画ばりの演出で……。あとはね、彼は初めのころ、まっすぐにしか走れなかった!

橋爪:曲がれないから、ぶつかるしかない! 猪突猛進!

草野:使いにくかったんですよ〜(笑)。やっといい感じになりました。

藤田:忠臣とはちがって、”時間を止める”アイデアを実現できたのがルチアーノ。こちらも企画側からのアイデアだったのですが、理由はちゃんとあるべきだろうと思って、「棺桶から人が出てきて止める」みたいなことを絵コンテに書いて提出したら、それが採用されました(笑)。

ムハ:え〜! なんか軽い(笑)。

橋爪:プレイヤーさんのあいだでよく話題になるのが、このルチアーノの設定と、グスタフの毒にまつわる設定、あとはコクリコットかな? でもいずれも設定を設けすぎないようにしようと思っています。今回の本でいろいろ設定が明かされることを期待されていたユーザーさん。そこは想像の楽しみとして、取っておいてください。

草野:コクリコットといえば、スキル発動時のカカカカっていう高笑いとか逆さ吊りの動きとか、なかなかインパクトが大きい(笑)。

薄井:初期のコクリコットって、ブリッジで歩こうってアイデアでしたもんね(笑)。こわすぎる!

藤田:ヴィオレッタはホーム画面のポーズも含めて喧々諤々でしたね。彼女のモーションは男性スタッフと女性フタッフで、推しのポイントがまったく変わっちゃうんですよ。

草野:最初は腕を組んでいるポーズだったんですけれど、これだと腰のラインは隠れるし、大人の女性らしい魅力が伝わりづらいというか……。

薄井:せっかくのアピールポイントである、身体のラインを隠しちゃってもったいない! っていう。

橋爪:でも同じモーション班の女性たちに言わせると、「かわいいじゃん」って。

草野:けっきょくは組んでいた手を腰に当てる形にして、落としどころにしたんだよね。

薄井:腰のラインが見えればいい……。

草野:彼女のピアノはこのやりとりから生まれたんですよ。ヴィオレッタだけだとホーム画面の背景が白すぎるって。

ムハ:逆に女性スタッフからの、男性キャラクターのモーションへの注文は?

橋爪:それはもう、アダムでいろいろやらせていただいたので(笑)。

ムハ:そっか〜(笑)。ありますよね、男子的にはこうでいいのに、女子目線ではちがう!って(笑)。

藤田:テスラはね、初期は工作アームズじゃなくて銃を持っていた。

ムハ:えっ!? じゃあロールとしてはガンナーだったんですか?

橋爪:あくまでスプリンターなんだけど……うーん、中距離スプリンターみたいな。本当に初期ですけれどね。

草野:モーションを演じてくれたのが、女の子キャラクターの経験のある男性アクターさんだったんです。なのでモーションに対して明確なイメージをつかみ切れていない我々に、さまざまな意見を出してもらえました。かわいらしい動きがテスラのキャラクター性を反映できたんじゃないかなと思います。

橋爪:アクターさんに助けられた部分って、けっこうありますよね。

草野:テスラとグスタフはそれまでの都内のスタジオから場所を変えて、沖縄でモーションキャプチャーの収録をしたんですが、現地スタジオの監督さんがめちゃくちゃキャラが濃くて、アクターさんを指導するときにみずからセリフをアテレコしてくれるんですよ。だから我々の中のグスタフって、もはやその監督さんの声なんですよね(笑)。

橋爪:グスタフってプレイヤーさんとしても渋めでダークなヒーローっていう印象があると思うんですが、我々にとってはさらに本気度の高い”おじさん”なんです(笑)。

薄井:ちょっと、本気で世界を滅ぼしちゃうよこの人って(笑)。

草野:監督さんがね、すごく真面目な演出で攻めてくるから(笑)。

橋爪:悪の帝王みたいな感じで。

草野:めちゃくちゃいい声で。

ムハ:ちょっとここあの……すごく力入っていますよ(笑)。

薄井:アクターさんも役に入り込むから話しかけないで! ってキッパリ(笑)。収録の後の飲み会で打ち明けられたんですよ、「自分は毒を使う孤独な男で世界を滅ぼすつもりだから、みんなにやさしくされると決意が揺らいじゃう、と思って……」って。だから声が充てられたら、「意外と若い!」って! 意外もなにも、グスタフってそうなんだけども(笑)。

草野:そうそう。声優の山路和弘さんの演技もほんとうにめちゃくちゃ素敵なんですが、我々にとっては「あ、思ったよりも明るい人だったんだ、よかったグスタフ救われた(笑)」みたいな。実装できなかったぶんも含めて、作り手としてはイマジネーションをかき立てられますよね。

隠れた見どころ? ホーム画面

藤田:そういえばみんなは、お気に入りのホーム画面ってないの? 「この子推し!」みたいな、おもしろエピソードとか(笑)。

橋爪:困ったなあ(笑)。好きな子が多すぎてどうしよう(笑)。

草野:ホーム画面のリアクションって、じつは作る側からしてもやりがいがあるんですよ、比較的自由にやれるから。ゲームの中では指定されたアクションありきでモーションの長さが決まりますが、ホーム画面はそういった制約がないので、セリフに合わせてほんとうに自由に。

橋爪:フリーダムですよね。ジャンヌが評判いいみたいです、表情も作り込んでいて。

ムハ:ハロウィンアバターで初めて、表情がしっかり見えるようになりましたよね。

橋爪:ちゃんと目をつぶっているんですよ!

草野:でも開発初期は、表情を付けるのひとつとっても、すごく手間でした……。

ムハ:ほかに見えないところのこだわりってありますか?

橋爪:結果的には見えない場合でも、どこから見てカッコイイものにすることは心がけています。3Dなので特定の角度からじゃないと成立しないというのはNGだろうと。モーションによっては当然、映らない瞬間もあるんですけれど、そういった場合も画面の中ではちゃんと動かしています。

ムハ:せっかくそこまで作り込んであるなら鑑賞モード、欲しいですよね〜! 自由に回転して眺められるヒーローギャラリーが欲しいです。

薄井:あ〜! そんな話、あったような気がするのですが……。

藤田:リリースした前後ぐらいにあった気がする。ユーザーさんからも要望あったよね?

橋爪:むしろホーム画面では、後ろまで見せていくスタイルで、回したりしません?

草野:ヴィオレッタみたいにくるくる後ろを向いてくれる、魅せキャラクターもいることだしね。

日の目を見ないモーションもある

ムハ:では、今後作ってみたいモーションとかヒーローのアイデアなどがあればうかがえますか?

草野:林さんから、いかに気持ち悪いのを作れるか、っていうお題があって、ちょっと挑戦してみたい気持ちがありますね。

薄井:蛇とかワニなんかをモチーフにした、人間型のキャラクター。ちょっとキている感じのをやりたい。

藤田:オープニングムービーも作りたい、とか。草野はもともとイラストが専門のほうだから、そっちにも携わりたいよね。

草野:ジャスティスの工事現場コスチュームですね。あれは我ながらおもしろかったかなと(笑)。PVも作りたいですね。せっかく3Dが使えるので、ちゃんと演出が入った本格的なものをやってみたいな。

橋爪:現状のヒーローってすべて人の姿なので、人型以外のものを入れたいですね。騎乗系のキャラクターとか。あとはポータルキーの奪取にこだわらず、別のルールで遊びたいなというのはかねがね思っています。最初はルールのアイデアがたくさんあっておもしろかったんですよ〜!

草野:ひたすら逃げ惑うだけ、とか。

橋爪:レイド戦みたいなものもやってみたいなと思っています。

藤田:”キャラクターデザイン編”でもかくれんぼの話出ていましたよ(笑)

橋爪:音ゲーっていうアイデアもありましたよね。属性変更を使って。

草野:緑のオーラが飛んできたら緑に切り換えないとやられちゃう、みたいな。

薄井:楽しそう(笑)。

ムハ:いろいろチャレンジしたいという意気込みが伝わりますね。

草野:個人的にはデザインのセクションの枠を超えて、「俺の考えた最高の萌えキャラ」みたいな感じで、スタッフみんなのデザインを見たい。じつは自分も描いているんです。「太っているけど、昔痩せていたころは超カッコよかった」がコンセプトで、ヒーロースキルで脂肪を燃焼する、めちゃくちゃイケメンなその名も”ファットガイ(”笑)。太ってるのに行動は2枚目っていう(笑)。

薄井:決めゼリフは「ママのなんとかソースが待っているから」とかなんとか(笑)。

草野:「ほんとうにアルデンテなやつだな」とかそんな感じの(笑)。セリフを考えるのも楽しいですよね。

ムハ:ではユーザーのみなさんに、メッセージをお願いします。

薄井:何はさておき、ありがとう、ですよね。

草野:私からも感謝の気持ちを伝えたうえで、動きへのこだわりってなかなかユーザーさんに届いているのかわかりづらいところがあるので、そうした部分をぜひ教えていただければいいなと思っています。

橋爪:新ヒーローが出るたびに評判をチェックしちゃうんですが、モーションについて触れていただけるとすごくうれしくて、いつも励みにしています。モーションって性能面にも関わるので、やりたいことができるばかりではないという縛りがありますから、不満を持たれる方もいると承知している中で、好意的な声はほんとうにありがたいです。

草野:演技的におもしろくても、カードとの相性のせいで、日の目を見ないモーションもあるんです。我々はみんな、まといの【連】が好きなんだけど、実際には見る機会がないよね……とか。

橋爪:それを承知でわざわざ細かな動きを仕込んでおくのもモーションサイドのこだわりですよね。

草野:ゲームのデザインって表に見えている部分にばかりスポットが当たりがちですが、これまでにお話しした、裏方的な仕事の魅力についても伝えられたらいいですね。

藤田:キャラクターに演技をさせていることの妙味が伝わるとうれしい。「僕たちはデータを作ってるんじゃない。ヒーローを誕生させているんだ」っていう言葉があって。あ、これ自論なんで、自分で言っていて気恥ずかしいんですけど。

草野:アツいですね。

薄井:初めて聴いた! いい言葉〜。

藤田:モーションの役割には、ゲームとして成立させなければならない制約の中で、それでもみんな奔放に、自由な発想で提案し、創り上げています。プレイヤーさんもいまそれぞれの手もとで動いているものを楽しんでもらえたらいいなと思います。

ムハ:『#コンパス』への愛がますます深まるお話をありがとうござました。

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