1年ぶりに開発者トークが帰って来た!2024年はフレッシュなメンバーが新規参戦!!!
2024年12月14日、千葉県の幕張メッセにて『#コンパス』のオフラインイベント“#コンパスフェス 8th Anniversary”が開催された。
本稿ではイベント内のエンジョイステージにて開催された“開発者トークショー”の模様をお届けする。
⇒#コンパスフェス 8th Anniversary(ニコニコ生放送)
⇒#コンパスフェス 8th Anniversary(YouTube)
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ユーザーからの質問に開発者が現地で回答!
開発者トークショーは、イベント来場者のみが見られるサブステージで開催されたプログラム。オンラインで事前にユーザーから集められた質問に対して、『#コンパス』開発チームが回答していくという流れになっていた。
ステージには司会進行役のまるこさんが登壇。また開発者として、昨年から引き続きはやしP、ディレクターの畠山氏、企画チームリーダーの齊藤氏の3名に加え、今年は太陽王ムハハーン氏と現場のフレッシュなメンバーとして3Dモデルデザイナーの鈴木氏、モーションデザイナーの内海(うちみ)氏、プログラマーの佐藤氏を加えた計7名が登壇した。
▲左から、まるこさん、畠山氏、齊藤氏、プログラマーの佐藤氏。
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▲左から、モーションデザイナーの内海(うちみ)氏、3Dモデルデザイナーの鈴木氏、はやしP、太陽王ムハハーン。
会場で行われた質疑応答を総まとめ!
ここからは実際に当日会場で行われた質疑応答の様子をまとめて紹介。現地で参加できなかった方はぜひ一読して、開発チームの皆さんの開発にかける想いを感じていただきたい。
冒頭でも記した通り、ここで取り上げられた質問は事前にオンラインで集められたものになる。
Q1. はやしPへの質問:『#コンパス』を作ろうと思ったきっかけやエピソードをお聞きしたいです!
はやしP シンプルに言ってしまうと、私は子どものころから対戦ゲームが好きで、ずっと対戦ゲームを楽しんできたので「作るなら対戦ゲームがいい」と思ったからですね。
対戦ゲームというと、“コアなゲーマーが遊ぶゲームジャンル”というイメージがいまもあると思いますし、当時ももちろんそうでした。そうしたユーザー心理はもちろんわかっているのですが、やはりより多くの人に対戦ゲームを遊んでもらいたかったので、スマートフォンでとにかく遊びやすいゲームを作ろうと思ったのがスタートラインですね。
はっきり言ってしまうと、海外のMOBAゲームを参考にしていました。
しかしご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、対戦ゲームに触れてこなかった人がMOBAをプレイするハードルは、かなり高いと思っています。そこで対戦ゲームそのものの敷居を下げつつ、どのようにしたらスマートフォン向けに落とし込めるかという点を考えた結果、生まれたのが『#コンパス』になります。
敷居を下げ、より多くの人に遊んでもらうために、『#コンパス』ではプレイヤーとしても、そしてクリエイターとしてでも参加しやすい世界観の構築を目指し、いまのような形になった感じですね。
Q2. プランナーへの質問:『#コンパス』のプレイ頻度や『#コンパス』以外のゲームを遊ぶ頻度を知りたいです。(※企画制作、とくに新ヒーローや新効果の企画にあたってどの程度ゲームを習熟しているのかが知りたいです)
齊藤 まず『#コンパス』のプレイ頻度ですが、毎日プレイしています! といっても、年に2回ぐらいログインを忘れることもあるのですが、基本的にはプレイしています。また、もちろん『#コンパス』以外のゲームも遊びます。スマートフォンゲームもコンシューマーゲームもPC系ゲームも遊んでいますね。僕に限らず、企画メンバーはゲーム好きが非常に多いので、企画チームのゲームとの接点はかなり濃いと思います。
まるこ やはり、いろいろなゲームを遊ぶことで新たな発見や参考になりそうな情報を得るケースもあるのでしょうか?
齊藤 そうですね。新効果や新ヒーローに関するアイデアは日常生活の中でもずっと考え続けるということが多いのですが、ゲームをしているときや散歩中、入浴中に何かを思いついたり、ずっと答えがでないままだった問題の答えが思いついたりすることがあるので、参考になっていることは多いと思います。
Q3. 3Dモデルデザイナーへの質問:『#コンパス』にはコラボも含め、さまざまな世界観からヒーローが参加して同じフィールドで戦います。そこで違和感が出ないようにするために、デザインではどのような工夫がなされているのでしょうか?
鈴木 過去の3Dモデルを並べてみてもお分かりいただけると思いますが、じつはオリジナルヒーローだけを比較してみても、キャラクターの頭の大きさや頭身数はそれぞれでまったく異なっています。ニーズヘッグにいたっては規格外ですよね。
また模様が多いデザインだったり、逆にアルのコスチュームのようにシンプルなデザインもあったりと、本当にヒーローそれぞれに個性が溢れているのですが、その中でも「違和感がない」とおっしゃっていただけて、モデラーとしてはとても嬉しいと感じています。
▲過去の3Dモデル。Aポーズで見られるのは貴重。
鈴木 工夫についてですが、見た目の情報量を揃えるということをしています。
たとえば鬼ヶ式うらのチャイナ服やニーズヘッグのハロウィンコスチュームは模様などのデザイン自体の情報量が多いので、モデル形状や服のしわ等のテクスチャの描きこみをシンプルにすることで全体のバランスを取っています。
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▲うら、ニーズヘッグのモデル。
鈴木 逆にコラプスのセーラー服やアルのホスト衣装はほとんど模様がない、ふつうの衣装に見えますが、よく見ていただくと体の側面の影や服のシワが多めに入って全体としては情報量のバランスが取られているんです。
このほか水着衣装など肌面積が多くなるものでは、肌に入っている陰影の量を多くするなどして、目に入る情報量を調整しています。
▲シンプルな衣装はしわや陰影が多めになっている。
まるこ そういう細かい工夫があって、全体的に見ても違和感がないとみんなが感じるようなモデルが作られているんですね。
鈴木 本当に細かい調整なのでわかりづらいとは思います。ただバランスを取るために、見えにくい箇所までしっかりと細かく調整しているので、ぜひ見ていただけると嬉しいです。
『#コンパス』には多くのイラストレーターさんが参加されていることもあり、イラストレーターさんのテイストによって頭身の違いなども如実に出てきます。なので、そういったベースとなる部分は合わせることができないのですが、ぱっと見で目に入ってくる情報量はこちらでコントロールできるので、そこで統一感を持たせることが大事かなと思っています。
▲アル、うらのアップ
Q4. モーションデザイナーへの質問:『#コンパス』ではモーションキャプチャーをしていると思うのですが、モーションデザイナーさんのお仕事はどういった内容なのでしょうか?
内海 大きくわけると4つあります。ひとつはモーションキャプチャー前のモーションの案出し、そしてモーションキャプチャー撮影データを整えてヒーローらしさやモーションのかっこ良さを出すこと。
- またモーションキャプチャーで撮影できないものを作成することやHSゲージのアイコン、ポータル取得のカットインなどUIのポーズの制作とフェイシャルの設定も我々の仕事ですね。
- 撮影できないものの例を挙げると、テレパスなどの空中でのモーションや某君みたいな人型じゃないもののモーションなどです。
まるこ どれも大変なお仕事だとは思うのですが、内海さんから見るこの仕事の楽しさや魅力を教えてください。
内海 いちばん楽しいのは、モーションキャプチャーできない動きを手付けしていく作業ですが、案出しも楽しいですね。
アクターさんといっしょになって、そのヒーローらしい動きとは何かというのを考えていくのはいつも楽しいです!
まるこ アクターさんとコミュニケーションをとってからモーションを作っているからこそ、イキイキしたキャラクターになるんですね!
Q5. プログラマーへの質問:プログラムを作る上で大切なことはなんですか?
佐藤 プログラマーとして大切にしていることは、やはりソースコードの汎用性とわかりやすさを重視することですね。これはずっと心に置いて作業をしています。
ほかのプログラマーの方々が私の実装箇所を修正することもあるので、わかりにくいソースコードはそれだけで作業効率を落としてしまう要因になります。ただ、ソースコードに残したコメントだけでは何の機能なのかが分からなくなってしまうことも発生するので、同時にちゃんとドキュメントを残したりもしていますね。そんな感じで、わかりやすさはとにかく重視しています。
またできる限り早く形にすることも重視しています。実装が遅くなってしまうと、その機能を確認するデザイナーさんや企画さんの確認も遅れてしまい、それが全体の遅れにつながってしまいます。なので確認できる段階まではスピーディに動くように意識していますね。確認の後に、そこに何かを追加したいという話が出てきた場合でも、確認までのフェーズを早めにクリアーできていれば、追加実装の開発や調整にも時間が取れるようになりますし、早さから得られるメリットは大きいです。
Q6. 太陽王ムハハーンへの質問:いつも新ヒーローやコラボの発表時の動画、とても作り込みが凄く尊敬しています。動画の作成風景などを見てみたいです!
太陽王ムハハーン 動画制作するときは、たいだい10時間ぐらいぶっ続けで作業をしているのですが、今日は45分しかないので“作成風景”をお見せすることはできません。なので、いったん画像をお見せしつつ紹介させていただきますね。
これは僕が実際に作っている動画の中身の画像です。横軸が時間、縦軸がレイヤーですね。これは3分ぐらいの動画なのですが、真ん中のグレーから上が映像素材、下が音素材のレイヤーになっています。
▲ムハハーン氏の動画編集シーケンス。実はこの後発表されたコラボ紹介動画のものだった。
太陽王ムハハーン このように音と映像はバラバラの素材になっていて、あとから声やサウンドエフェクトを追加していくスタイルで編集をしています。なので実際のゲーム中では「このボイスはこのタイミングで出る」と決まっていても、PVでは違うタイミングでボイスが出ることがあります。ヒーローをよりよく見せるためにはボイスを目立たせることも重要なので、このように演出としてゲーム中とは異なるタイミングでボイスを流したりもするわけですね。
ちなみにこの動画、今日このあとのニュースで出るやつです。
まるこ なんと!
太陽王ムハハーン 黄色いところが音楽のデータなのですが、このデータを見ると2個バーがありますよね? つまりは2曲使っているということです。そして縦に積み上がっているところほど、素材を多く盛り込んでいる箇所。つまりは盛り上げたいポイントになっています。気になりますよね? お楽しみに!(笑)
まるこ 動画制作に興味を持っている人も多いと思うのですが、ムハハーンさんはNHN PlayArtに入社する前から動画編集をしていたのでしょうか?
太陽王ムハハーン 学生時代から独学でやっていました。ただ何か目的があってやっていたというより、楽しくてやっていた感じですね。
まるこ NHN PlayArtに入ってからは、プランナーとは別にこういう動画も担当しているんですか?
太陽王ムハハーン いまでこそちゃんと業務としてやってますが、最初は勝手にやっていましたね(笑)。入社前にグスタフを先行プレイさせてもらう機会があって、そのときにデータが手元にあり、かつここに動画編集できる人間がいる。なら、ちょっと自分なりにカッコいい動画を作ってみちゃおう、みたいな感じでした。
はやしP ムハハーンの経歴をよく知らない人もいると思うので、一応補足をしますね。ムハハーンはNHN PlayArtに入社する前にファミ通Appさんで『#コンパス』の攻略担当をしていたので、厳格な守秘義務契約を結んだ上で先行プレイをしていた感じです。
Q7. 新入社員への質問:入社前から『#コンパス』というゲームは知っていましたか? 入社後に知ったのか、それとももともと『#コンパス』民だったのか気になります。
内海 正直に言うと、私は名前を知っていた程度でプレイはしたことがありませんでした。はじめてプレイをしたのは、就職活動で企業研究をするタイミングになりますね。ただ同期には『#コンパス』が好きで入社した人もいます。
佐藤 私も同じようにゲームの存在は知っていたけれど、ちょっと遊んだことがあるくらいで、いまほど深くは接していなかったといった感じですね。しかしもともとボカロ曲が好きだったので、その中で「これは『#コンパス』の曲だな」という認知はありました。
まるこ こうして『#コンパス』と深く関わるようになって、どうですか?
佐藤 私はそれまであまり対人ゲームをやったことがなかったので、食わず嫌いみたいな感じだったんだなと実感しました。実際にしっかり遊んでみたらすごく楽しくて、キャラデザもいいしルールも面白いし、そこでみんながハマる理由を身を持って理解しましたね。
Q8. 新入社員(プログラマー・佐藤)への質問:この仕事に就くまでに1番努力したことは何ですか?
佐藤 プログラマーとしていろいろなことに挑戦し、それがしっかり形になるまで続けることですね。いまでも、それが一番重要だと思っています。
私はまずプログラマーとして“何でも屋”になることを目指したんです。何でも屋になれればさまざまな経験が積めますし、その中からやりたいことも見つかっていきます。そして最終的にやりたいことを突き詰めていけば、自分の武器になるぞと。そういった確信に近い感覚を学生時代から持っていて、その結果いまここでこうしているので、こうした経験の積みかたはいまも重視しています。
まるこ 佐藤さんは何歳ぐらいからプログラマー、ゲーム作りをしたいと思っていたのでしょうか?
佐藤 プログラマーを夢見たのは10歳ぐらいだったと思います。ただ当時はゲームではなく、一般的なプログラマーを考えていました。ゲームのプログラマーになりたいと思ったのは高校生のころだったと思います。
まるこ どんなきっかけで夢がゲームプログラマーになったんでしょう?
佐藤 もともとゲームが好きだったのでプログラマーという夢を持ちつつ、うっすらと「ゲーム作りに携わりたいなぁ」とも思っていました。そこからゲームプログラマーの夢を決定付けたのは、さまざまなソーシャルゲームにハマったときですね。そこでソーシャルゲームの運営や開発に関わりたいと思い、ゲーム作りへの道を目指し始めた感じです。
Q9. 新入社員(モーションデザイナー・内海)への質問:入ってから驚いたことや、仕事で楽しいと感じることを教えてください。
内海 入社してから驚いたということはとくにありませんが、楽しいことはいろいろありますね。たとえば新ヒーローを作るときに、プランナーだけでなくデザイナーもプログラマーも意見を出しあって、みんなでひとつのヒーローを作ったり、みんなでゲームを作っていくことは楽しいです!
Q10. はやしPへの質問:ゲーム開発者として、自身が生み出した作品がアニメ化することへの感想や想いを聞かせてください。
はやしP ゲームがアニメ化するという流れは過去にもいくつか例があったと思います。しかしその多くは企画の段階からメディアミックスが決まっていて、リリース前から、もしくはリリースにあわせてバーンと出すという手法が用いられています。しかし『#コンパス』のように長く運営しているタイトルがアニメ化するというケースはあまりなく、もちろん『#コンパス』のチームとしても当初から計画していたわけではないので、皆様からの応援の力、その強さを強く実感しました。
先述の通り開発当初からアニメ化を計画していたわけではなかったので、アニメ化が決定したときには『#コンパス』をどうアニメ化すればいいのかは悩みましたね(笑)。ヒーローはそれぞれがそれぞれの世界観を持っているし、『#コンパス』はプレイヤーとヒーローの対面でしかないという設定ですから。
なので最初の案出しの際には、アニメのクリエイターの方々が、いまの『#コンパス』の世界観に引っ張られないよう「アニメは『#コンパス 2.0』として想像力を膨らませる形で進めましょう」と新たなスタートラインを設定させていただきました。アニメ作品が『#コンパス』ではなく『#コンパス 2.0』なのは、そういった想いがあってのことですね。
Q11. プランナーへの質問:新ヒーローの制作・開発はどこから決めて進んでいくのでしょうか?
齊藤 新ヒーローを実装する際に「まずここから決める!」という項目はありません。ただ、見た目のコンセプト、性能、基本的な仕様や遊び方などは最初に決めてから開発に入ります。それらの設定は、開発が進んでも変わることはあまりありません。
たとえば糸廻輪廻は、罠を設置し、ヒーローアクションで引っ張って罠に引き込むというコンセプトのキャラクターです。発表時には長いタグをお見せしたかと思うのですが、あのビジュアルもコンセプトも開発の最初期に作られたものから変わっていません。
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▲輪廻実装の際に紹介されたキーワードは開発初期に決定されている。
Q12. プランナーへの質問:ヒーローの声を担当する声優さんはどうやって選んでいるのでしょうか?
齊藤 まず声優さんを決定するタイミングですが、これは大体モーションなどがある程度形になる前後になります。
声優さんを決めるポイントは、ある程度モーションを作り始めるタイミングぐらいで性格なども固まってくるので、その見た目、性格、モーションにはどんな声優さんが合うかということを考え、開発メンバーで話し合って声優さんの候補を出していきます。話し合いの中では大体10人ぐらい候補が出てくるのですが、そこからさらに3人ぐらいになるまで候補を絞り、収録を担当してくれる会社さんに「この順番で打診してみてほしい」とリストをお渡しし、スケジュール調整を含め進行していただく形ですね。
Q13. プランナーへの質問:他作品とコラボする際に制作で気を付けている点、意識している点を教えてください。
齊藤 コラボを作成するにあたっていちばん重要なのは、当たり前ですが「原作のファンの方々がいらっしゃる」という点です。なのでまず優先すべきは“ファンの方が遊んでみたときに「ちゃんと原作再現できている」と評価していただけるか”となります。
『#コンパス』ファンの皆様はもちろん、原作のファンの人が見たときにがっかりするようなコラボにはしたくないので、コラボの際には私たちも下調べを徹底的にやりますし、作品ごとに「ここはテンションが上がるポイント」、「ここはファン的には許せないみたいなポイント」といった要素の洗い出しも行います。要素の洗い出しや下調べは開発メンバーはもちろん、企画メンバー、モーションデザイナーやモデルメンバーにも調べてもらいます。そのうえで、どれだけゲーム内で再現できるかを話し合い、開発に臨んでいます。
Q14. 3Dモデルデザイナーへの質問:最初期のものと比べると、どんどんとモデリングがキレイになっていますし、見えないような部分にまでこだわりと思われるポイントが詰め込まれているように感じます。実際に初期のモデリングと比べて、現在ではどういった点が変化しているのでしょうか? また近年でとくにこだわるようになったポイントがあったら教えてください。
鈴木 お話を進めていく前に、まずはモデリングの仕様についてお話しますね。3Dモデルは、たくさんの三角形を組み上げて構成されます。その三角形の数が多くなれば多くなるほど、滑らかで細かいデザインになるといった感じですね。
この三角形の数をポリゴン数と呼ぶのですが、実装当時のマリア(2017年9月実装)は、大体8000ポリゴンぐらいで制作されていました。そして各ヒーローがリファインされてハイモデル化された2021年には約1万2000ポリゴンほどになりました。そして2024年に実装されたアミスターでは、武器などを除いた本体だけで2万1000ポリゴン使っています。
初期のマリアから比べるとポリゴン数が約2.5倍ほどに増えているので、単純に見た目が滑らかになっている状態です。またテクスチャの書き込みも影響していると思いますが、ゲームがスタートした当初から比べるとこれらが強化されているので、見た目はしっかりとリッチになっています。
▲マリアとアミスターのモデル比較
鈴木 モデリング関連の小話になるのですが、初期実装の中でも装飾の多いルチアーノの3Dモデルは衣装と体が一体化された状態で作られています。細かいパーツまでモデルを用意してしまうとポリゴン数が多くなり処理が重くなってしまうので、模様や装飾についてはモデルに貼り付けるテクスチャに書き込む形で表現していました。
最近のモデルだと、鬼ヶ式うらの髪のアクセサリーなどはホーム画面で近寄ってきた際にとても目立つ部分になるので、すべて立体で制作しています。とはいえデータが重くなってしまうため好きなだけポリゴンを使って小物を立体で制作できるわけではないのですが、よりよい表現を目指しつつも処理できる限界のラインを見極めて設計をしています。基準としては、目立つところはしっかりと表現を優先し、滑らかに見えるようにしているといった感じです。
▲新旧のモデル比較。新しいモデルの方がより立体として作られている。
▲アタリのヘッドフォンと某の袖口。同じ円形だが昨年実装の某のほうがより細かくなっている。
鈴木 また見えない部分にもこだわりが詰め込まれていることに気づいてくださり、ありがとうございます。実際に細かい部分にまでいろいろとこだわりは詰め込んでいるのですが、すべてをお話するには時間が足りないので、その一例をご紹介させてください。
某ですが、基本的に彼は物すごく真っ黒なので、ゲーム上ではほぼただの黒い塊となりがちなのですが、じつは胸の部分や尻尾の付け根に細かいふさふさがあるんです。これもよく見ればわかるのですが、けっこうこだわりを持ってフサフサさせています。とはいえ、ここもまた真っ黒ではわかりづらくなってしまうので、今回は特別に色を明るくした画像を持ってきました。
▲ゲーム中では判別が難しいが某はふさふさしている!
鈴木 また今年のルチアーノシーズンでは夏男の衣装をハイモデル化したのですが、それまでの衣装では体とタンクトップは一体化していました。しかしハイモデル化するタイミングで上半身すべてを作り直したので、タンクトップが綺麗に脱げるような状態になっております。とは言っても、覗いてもその下を見ることはできませんが(笑)。ただ、ルチアーノのタンクトップは脱げるようになっています! 興味をお持ちの方はお手元の端末で確認していただけたらと思います。
▲ハイモデルのルチアーノ夏男スタイル。左肩のタンクトップを見ると肉体とタンクトップが別になっているのが分かる。
現地で寄せられた厳しい質問にも真摯に回答
事前にオンラインで集められた質問はまだまだあったが、時間の関係上ここまでとなる。最後にせっかくのオフラインイベントということで、現地参加者の中から挙手で質問を募る場面があった。
Q15. 『#コンパス』はキャラクター(3Dモデル)も多く、ステージもこだわりを持って制作されていると思います。しかしこうしたこだわりを持つと容量が大きくなり、ゲームが重くなってしまうと思うのですが、そうならないよう気を付けているポイントがありましたら教えて欲しいです。
鈴木 さきほど近年ではポリゴン数を増やしているとお話をさせていただきましたが、当然ながら無尽蔵に増やしているわけではありません。開発の中では、皆さんが快適にゲームを楽しんでいただくために容量の基準が設けられていて、その範囲内で少しずつリッチにしているという感じです。
ほかのゲームであれば、テクスチャとはまた別に金属光沢のパーツを用意していたり、顔の部分だけ別のパーツにわけていたりといったタイトルもあります。しかし『#コンパス』ではより多くのユーザーさんに遊んでいただきたいのでテクスチャ枚数をできる限り少なくし、金属や服のしわなどの質感などはそう見えるようにひたすら手で描き込み、データ構成を工夫をすることで軽量化を図っています。
Q16. バランス調整ではヒーローの調整が行われるときと、カードの調整が行われるときがあります。こうしたバランス調整では、どこまでを視野に入れて実施されているのでしょうか? たとえば最近ではデルミンの性能とデルミンとのシナジーも含めて【UR 恥じらいの疾風(帯電)】が強すぎるとユーザー間で言われていると思います。カードの枚数もヒーローの数も多いので全体を完全に把握しきった調整は難しいとは思うのですが、バランス調整をする際にはカードの能力とヒーローの性能をどれくらい考慮されているのでしょうか?
齊藤 非常にぐさっと刺さる質問なのでしっかりと回答をさせていただきたいところではあるのですが、答えられない部分もあるので、回答できるところだけお話をさせていただきます。また大前提として『#コンパス』のカードは、可能な限り「どのカードも使える」という状態を維持したいと思っているので、その点をご承知おきいただけますと幸いです。
ご指摘いただいた、いわゆる帯電とデルミンの組み合わせが非常に強く、上位帯で猛威を奮っている件については開発側も把握しておりますし、そうしたご意見も多数いただいているのも事実です。
しかし全体として見ると、【UR 恥じらいの疾風(帯電)】というカードの使用率はそこまで高くなく、上位帯以外ではあまり使われていないというデータが出ています。またデルミンの使用率も『#コンパス』全体として見ると高くなく、アタッカーだけで見れば下から数えた方が早いぐらいの使用率に収まっている状態です。
もちろん上位帯の方からのご意見も運営をしていく上で非常に重要なので、開発の現場ではつねに改善の話が出ているのですが、安易に調整を加えてしまうと全ランク帯のヒーローやカードに影響が出てしまうため、慎重にならざるを得ないというのが現状です。
改めてになりますが、デルミンと帯電のシナジーについてのご意見は本当に多くいただいていますし、私たちも改善できるところは積極的に直していきたいと思い、毎月さまざまな議論を重ね続けているので、答えが出るまでいましばらくお待ちいただけますと幸いです。
ちなみにバランス調整を行う際には15のチェック項目を設けて実施しています。この点については具体的な項目をお話できないのですが、そうしたチェック項目を見つつ「いま調整すべきなのか」、「どういった調整を施すのがベストなのか」といった議論を行い、『#コンパス』の全体を見ながら調整を行っております。
バランス調整の結果「ちょっと違うのではないだろうか?」と感じられる方もいらっしゃるとは思いますが『#コンパス』開発も頑張って作っていますので、優しい目で見ていただけると嬉しいです。ただ、皆様からのご意見は本当に助かりますし、いただけるとすごく嬉しいので、これからもさまざまなご意見をお待ちしています。
次回は時間増加も検討!?年に一回の機会に期待
あっという間に45分が経過し、貴重な話が満載のステージは終了。最後に出演者からそれぞれステージの感想が述べられた。
畠山 この開発者トークに誰が出るべきか、その選出は今回僕が行ったのですが、ちょっと調子に乗って人数を選びすぎてしまいましたね(笑)。そのせいでそれぞれが話す回数が減ってしまったので、これは反省点ですね。来年はもうちょっと人数を減らし、それぞれの話の時間を延ばせたらと思います。このステージは『#コンパス』開発陣の考えを伝えられる非常に有意義な場なので、来年もぜひ開催したいと思います。よろしくお願いします。
齊藤 本日は会場にお越しくださり、そしてこのステージにお越しくださってありがとうございました。私は『#コンパス』歴が8年と4ヶ月となりますが、まだまだ至らぬところはあると思います。これからも頑張っていきますので、引き続き『#コンパス』を楽しみつつ、ちょっとだけ運営のことも応援していただけると嬉しいです!
佐藤 こういう広い場でというか、いろいろなプレイヤーの皆様がいる場でお話をする機会は本当に少ないのですごく緊張しました(笑)。でも、こうして自分がやってきたことをお話しできたのは、とても有意義だと感じました。ご拝聴いただきありがとうございました!
内海 私も『#コンパス』ユーザーの皆様とこうしてお話しをするのは初めてだったのですごく緊張しました。これからもカッコいいモーションを作っていきますので、どうぞよろしくお願いします。
鈴木 私も右に同じく、普段は机に向かっているだけなので皆さんの前でお話しする機会なんてまったくなく、めちゃくちゃ緊張していたのですが、こうしてお話できてよかったです! 今回この場に出たことで、皆さんが細かいところも見てくれていて、私達のこだわりにも気付いていただけていると分かったので、嬉しかったです。これからも3Dモデルをこだわって作っていきたいと思います。
はやしP 先ほどディレクターの畠山さんが「人数が多かったので、それぞれが喋る機会が少なかった。来年は改善します」とおっしゃっていましたが……。来年もやるんですね?(笑)
まるこ やります!
はやしP 僕は人前で話すのが苦手なので、しゃべる機会が減ってよかったと正直思っていたのですが、来年は時間増加する可能性が高いということで、しっかりと覚悟を決めてからステージに登ろうと思います。ありがとうございました。
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▲時間増のコメントが出た時に思わず苦笑いのはやしP。来年のトークショーも楽しみにしています。
太陽王ムハハーン 来年は6時間ぐらいやりましょうか(笑)。僕はフェスの時期になると毎年「今年も過去最高のフェスを目指していこう!」という気持ちを持って臨んでいるのですが、来年もまた過去最高のフェスを目指していくので、ぜひ楽しみにしていてください!
以上がステージレポートのまとめとなる。『#コンパス』のオフラインイベントでは、配信にて見られるメインステージ以外でもこのようなファン向けコンテンツが多数用意されている。興味を持った人は今後開催されるオフラインイベント情報をチェックしてみよう。
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