【ひらブラ vol.54】しゃべる家電 by CRIWARE やウェアラブル
2015-02-13 12:00 投稿
ゲーム開発者の方やゲーム好きな方なら、きっとご存知の方も多い「CRIWARE」。
CRIWAREは、CRIのミドルウェア・ラインナップの「総称」です。
ゲーム上でこのロゴを目にする機会がとても多いこともあり、CRIWAREといえば「ゲーム」という印象が強いと思います。最近はスマホゲームでの採用も拡がっていますしね。
でも、実は、ゲームだけじゃないんです。
今回は、そんなCRIWAREの「意外な」一面をご紹介していきたいと思います。
以前の「ひらブラ」でも、ゲーム以外の事業展開(ヘルスケア事業)についてご紹介したことがありましたが(【ひらブラ vol.32】看護師不足をゲーム技術で解決する)、今回はなんと「家電」です。
そして、この家電向けミドルウェアが、ご存知のとおりボクが最も熱い視線で見つめているウェアラブル領域においても大活躍する可能性を秘めていることに触れたいと思います。
では、今回も最後までお付き合い下さい。
「しゃべり」はじめた家電たち
いきなりですが…
これ、どちらも「powered by CRIWARE」なんです。
この2つ、電子レンジと空気清浄機に共通しているのは「人の声でしゃべる」こと!
こうした家電といえば「ピッ」とか「ブー」とか電子的な音や機械音の印象が強いものですが、最近の家電はしゃべるんです。家電のロボット化や家事をこなすような家庭用ロボットがだんだん具現化の方向で進化してきていますから、家電が「しゃべる」というのは、とても自然な流れと言えそうです。
上記の写真のとおり、組込み機器に関する展示会に当社が出展した際に、ミドルウェアを採用した家電の実例として展示を行いました。
ちょっと写真のなかのパネルを拡大してみましょう。
シャープさんの家電には「ココロエンジン」というAIインタフェースが搭載されているものがあります。この「ココロエンジン」にCRIのミドルウェアが使われているんです。
使われているミドルウェアは、『D-Amp Driver』と『かるイイ音』という製品。
・・・おそらく、ゲーム系でおなじみの『ADX2』や『Sofdec2』といったミドルウェアと比べて、エンタメ業界ではまだ馴染みのないミドルウェア製品だと思うので、ご存知ない方も多いかと思います。
しゃべる家電には「アンプ」がない!?
というわけで、ブース写真のなかの「もう1つのパネル」を拡大してみましょう。
H/W系なのでちょっと聞きなれないワードが多いかもしれません(汗。
「マイコン」っていうのはマイコンピュータ・・・ではなくて(笑)、ここでは、マイクロコンピュータのこと。いろいろな意味がありますが、組込み機器系の業界では、家電製品などの制御目的で使われる小型コンピュータのことを指します。「FET」は Field Effect Transistor の略で、電界効果トランジスタのこと(詳しい説明はここでは省きます)。
要するに、いままでは、しゃべらせたりリッチな音を再生したりしたことのない(家電)製品であっても、アンプやDAC(D/Aコンバータ)といったアナログ部品・回路を使わずに、マイコンとFETだけで、しゃべらせたり、高出力なサウンドを再生できるようにしますよ、という技術です。
けっこう高価なアンプ用ICやローパスフィルタといった部品を搭載する必要がないので、コストも削減できるし、そうした部品が不要なので省スペースにもつながる、というわけです。従来は、H/Wで行っていた処理をソフトウェアで出来るようにするので、自社の(家電)製品に新機能を追加しつつも、製品設計上もメリットもたくさん、というとっても優秀なミドルウェアなんです(自画自賛!w)。
え?
そんなことより?
製品名の「読み方」が気になりますか?
分かりました、ヒントはこちら(写真)。
もう、お分かりですね(笑)。
実際に、この電子レンジが『D-Amp Driver』によって、どんなふうにしゃべったりサウンドが鳴ったりするかどうか、聴いてみたいという読者の方もいらっしゃると思います。ぜひ、お近くの電器店でチェックしてください!
…と言いたいところですが、せっかくなので、当社オフィスに設置されているもので撮影した動画を「ひらブラ 公式facebook」上にUPしたいとおもいます( http://www.facebook.com/open.blackbox )。
ダンプドライバーをヒッチハイクしよう!
今後、読者のみなさまが、もし「しゃべる」家電や、火災報知機、車載機器、パチンコ&パチスロに出会ったら、それは「powered by CRIWARE」かもしれません。
そんなときは、ちょっとだけ「ひらブラ」のことやCRIのことを思い出してもらえると嬉しいです。
また、今回ご紹介した、省回路型高出力サウンドミドルウェア『D-Amp Driver』について、「もっと知りたい!」「技術要件は?」「どんな技術なの?」という方のために、製品紹介の関連URLをご参考までに貼っておきます。
■『D-Amp Driver』製品紹介ウェブ
http://www.cri-mw.co.jp/product/embedded/dampdriver/index.html
■『D-Amp Driver』製品パンフレット(PDF)
http://www.cri-mw.co.jp/product/embedded/dampdriver/qn39gm0000007w31-att/embedded_middleware.pdf
ウェアラブルデバイスの企画設計者は要チェック!?
『D-Amp Driver』の特長は、
1.部品コストを大幅に削減できること(ミドルウェアなので)
2.代替可能な汎用部品を使うので部品の生産中止の影響がない
3.ランニングコストが削減できる(電力使用効率が良い/放熱コスト無し)
4.最終製品の小型化や薄型化に貢献
5.動作温度が幅広い(-55℃〜125℃)
お気付きかもしれませんが、、、これらのメリットは、そう、ウェアラブルデバイスやIoTにも最適な技術なんです!
というわけで、『D-Amp Driver』にご興味を頂き、試してみたい方やお打ち合わせを希望される場合は、ぜひ下記フォームから、お気軽にお問い合わせ下さい!
■お問い合わせフォーム
https://www.cri-mw.co.jp/contact/form/index.cgi?type=tech
※申し訳ありませんが法人様からのお問い合わせのみとさせて頂きます。
※お問い合わせの際は「ひらブラ読んだ」と併記して頂くとスムーズです!
…というわけで、今週のひらブラはここまで。
それでは、また次回の更新でお会いしましょう!
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幅朝徳(はば とものり) 株式会社CRI・ミドルウェア 商品戦略室 室長、CRIWAREエヴァンジェリスト。学習院大学卒業後、CRIの前身である株式会社CSK総合研究所に入社。ゲームプランニングやマーケティング業務を経て、現CRIのミドルウェア事業立ち上げに創業期から参画。セガサターンやドリームキャストをきっかけに産声を上げたミドルウェア技術を、任天堂・ソニー・マイクロソフトが展開するすべての家庭用ゲーム機に展開。その後、モバイル事業の責任者として初代iPhone発売当時からミドルウェアのスマートフォン対応を積極推進。GREE社やnhn社といった企業とのコラボでミドルウェアの特性を活かしたアプリのプロデュースも行う。近年は、ゲームで培った技術やノウハウの異業種展開として、メガファーマと呼ばれる大手製薬会社のMR(医療情報担当者)向けのiPadを使ったSFAシステムを開発、製薬業界シェアNo.1を獲得しゲーミフィケーションやゲームニクスの事業化を手掛ける。現在、さらなる新規の事業開拓や未来のサービス開発を担当する傍ら、ますます本格化するスマホゲームのリッチ化を支援するためにモバイルゲーム開発者におけるミドルウェア技術の認知向上のためエヴァンジェリストとしての活動に注力中。
趣味は、映画鑑賞とドライブ、クロースアップマジック、デジスコによる野鳥撮影、コンパニオンバードの飼育、そしてもちろん、ゲーム。
CRI・ミドルウェア ウェブサイト
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