【ひらブラ vol.32】看護師不足をゲーム技術で解決する(CRIのヘルスケア事業)
2014-08-22 12:00 投稿
今回は、当社CRIの「別の顔」について、少しご紹介します。
当ブログを継続的にお読み頂いている方やゲーム好きの方、ゲーム企業にお勤めの方ならすでによくご存知かと思いますが、CRIはゲーム業界をメイン市場として、ツールやミドルウェアなどの技術提供をメインビジネスにしています。
家電や組み込み機器など、ゲーム以外の展開も増えてきています。
「ゲームのCRI」という既存のイメージからすると、こうした展開はちょっと意外に感じるかもしれません。でも実は、CRIの新たな挑戦が始まっています。
それは、医療・ヘルスケアの領域です。
巻末プロフィールにも記載のとおり、ボク自身も以前、数年にわたりゲームニクス&ゲーミフィケーションの事業化を経験し、「MR2GO DMV by CLOUDIA In-Sync」という大手製薬会社向けのシステム開発に携わりました。ゲーム業界で培った技術を総動員して「マニュアルの要らない”超”直感的なビジネス向けシステム」を実現し、シェア1位を獲得することができました。
スマホの普及やクラウドの浸透は、ゲームやエンタテインメントのスタイルを変えたのと同時に、いよいよ人間の生活そのものを革新的に向上させるフェーズに突入しています。そのなかでも、特に大きな変革や進歩が見込まれるのが、医療・ヘルスケアの領域です。
看護学生のための学習システム&アプリ
「看護師募集」という求人告知を街の病院などで見かけることがよくあります。ボクが数ヶ月ごとに利用する地元の大きな市立総合病院も、通りから最も見やすく目立つ窓に「看護師急募!(急募!は赤文字)」といつも掲示されています。
もともと日本では看護師不足が慢性的な問題となってきた背景はあるようですが、少子高齢化などの社会事情も相まって、ますます大きな問題となってきています。
看護師の登竜門でもある「看護師国家試験」の合格者の推移を見ると、ここ数年、右肩上がりの傾向になっています。平成18年の合格者数が約4.3万人で、昨年の平成25年には5万人を突破、そして今年の2月実施分では約5.3万人にものぼっています。なお、合格率は毎年ほぼ一定なので、受験者数そのものが増え続けていることになります。
看護師の離職を減らす対策なども併せて必要かとは思いますが、看護師の卵たちの絶対数がこうして増えていくことで、やや長期的なスパンにはなりますが、看護師不足の問題が解決することを願っています。
こうした看護師を目指す学生にひろく支持されている教材に、『看護師・看護学生のためのなぜ?どうして?』シリーズという書籍があります(株式会社メディックメディア刊)。また、過去の試験問題集である『クエスチョン・バンク看護師国家試験問題解説2015』という書籍もあります(同社刊)。
CRIは、メディックメディア社とともに、これらの看護師向け書籍を電子化し、スマホで「いつでもどこでも学習」できるように、『ネコナース+(プラス)』というアプリ&学習システムを開発しました。
ネコナース+
- メーカー
- メディックメディア
- 価格
- 無料
- 対応機種
- iOS 7.0 以降。iPhone、iPad および iPod touch 対応。 iPhone 5 用に最適化済み
- コピーライト
- (C)2014 Medic Media Co.,
書籍の電子化というと、単に書面をビューアで閲覧するアプリを想像しがちですが、『ネコナース+』では、看護学生がスマホで学習するシーンを徹底的に想定し、いわゆる「電子書籍」とは一線を画する教材になっています。
その特長を、簡単にご紹介します。
ただの電子書籍ではない、新しい「書籍のアプリ化」のカタチ
看護学生向け学習サポートアプリ『ネコナース+』では、SNSの「タイムライン」感覚で読める会話形式のインタフェースを採用しています。
また、どれだけ学習が進んでいるか、その進捗状況をアプリを立ち上げたホーム画面でいつでもチェックできるようになっています。
さらに、iOS標準のカレンダーとも連携したカレンダー機能を搭載し、学習計画を設定することもできます。
本アプリオリジナルのコンテンツとして、穴埋め式のチェック集「なぜ?どうして?チェキ!」を収録。
もう少し技術的なポイントをご紹介すると、『ネコナース+』はネイティブベースのアプリになっているので、ウェブベースのアプリに比べて、操作&閲覧がとてもスムーズになっています。
こうした高いユーザビリティの実現には、単にネイティブベースのアプリであるから、というだけでなく、ファイルの圧縮/解凍/管理といったミドルウェアの開発で培ったCRI独自のノウハウが活きています。
また、看護師の国家試験は毎年行われており、その出題傾向も随時変化していくので、『ネコナース+』は、サーバ連携型のアプリとなっています。
サーバ連携型とはいっても、電波状況に依存せずにいつでもどこでも学習ができるように、オフライン(通信圏外)であっても動作するように設計されています。この点は、先ほど紹介した製薬企業向けシステムでも非常に重視された点で、本アプリでもその設計思想を受け継いでいると言えます。
このように、ゲームで培った技術が、ゲームとは異なる領域でも活躍しています。
この『ネコナース+』ですが、今年3月にiOS版のリリースがスタートし、すでに非常に多くの看護学生さんに使って頂き、好評を博しています。気になるAndroid版も、8/21に配信されました。
『ネコナース+』の詳細については、メディックメディア社の紹介ページもあわせてご覧下さい。
■がんばれ看護学生!無料アプリ「ネコナース+」紹介ページ(メディックメディア社)
http://medicmedia-kango.com/kango/app/index.html
CRIの考える「これからの」ヘルスケア
今回ご紹介した「大手製薬会社向けシステム(SCSK社)」や「看護学生向け学習システム(メディックメディア社)」の他にも、病院・クリニック向けに特化した「予約システム」の開発を現在、CRIでは進めています。
医療・ヘルスケアの領域と、ミドルウェアとのカンケイ。
今後、新たな実績や取り組みが発表できるようになりましたら、改めてご紹介していきたいと思います。
CRIの「医療・ヘルスケア」領域での事業コンセプトについては、当社の特設サイトでご覧いただけます。こうした領域にご興味のある方はぜひアクセスしてみてください。
上記特設サイトにもUPされていますが、CRIヘルスケアの事業領域についてまとめた図を、ご参考までに掲載しておきますので、あわせてご覧下さい。
なお、CRIの医療・ヘルスケア領域に関してのお問い合わせは、こちらのフォームからお願いします(通常のゲーム系のお問い合わせ窓口とは異なるのでご注意下さい)。
では、また次回の更新でお会いしましょう!
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※vol.1-2:福袋も飛行機もゲームも?ゲーム開発を支える”黒い箱”とは
※vol.1-1:福袋も飛行機もゲームも?ゲーム開発を支える”黒い箱”とは
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幅朝徳(はば とものり) 株式会社CRI・ミドルウェア 商品戦略室 室長、CRIWAREエヴァンジェリスト。学習院大学卒業後、CRIの前身である株式会社CSK総合研究所に入社。ゲームプランニングやマーケティング業務を経て、現CRIのミドルウェア事業立ち上げに創業期から参画。セガサターンやドリームキャストをきっかけに産声を上げたミドルウェア技術を、任天堂・ソニー・マイクロソフトが展開するすべての家庭用ゲーム機に展開。その後、モバイル事業の責任者として初代iPhone発売当時からミドルウェアのスマートフォン対応を積極推進。GREE社やnhn社といった企業とのコラボでミドルウェアの特性を活かしたアプリのプロデュースも行う。近年は、ゲームで培った技術やノウハウの異業種展開として、メガファーマと呼ばれる大手製薬会社のMR(医療情報担当者)向けのiPadを使ったSFAシステムを開発、製薬業界シェアNo.1を獲得しゲーミフィケーションやゲームニクスの事業化を手掛ける。現在、さらなる新規の事業開拓や未来のサービス開発を担当する傍ら、ますます本格化するスマホゲームのリッチ化を支援するためにモバイルゲーム開発者におけるミドルウェア技術の認知向上のためエヴァンジェリストとしての活動に注力中。
趣味は、映画鑑賞とドライブ、クロースアップマジック、デジスコによる野鳥撮影、コンパニオンバードの飼育、そしてもちろん、ゲーム。
CRI・ミドルウェア ウェブサイト
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