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【ひらブラ vol.58】ミドルウェアはコストか?

2015-03-20 12:00 投稿

いまさらですが、当『ひらブラ』の筆者であるワタシは、CRI・ミドルウェアという、主にゲーム開発者向けにミドルウェアという技術を開発し提供する企業の社員のひとりです。これまでのエントリでも、こうした「ミドルウェア技術」がどのような機能や性能を持っていて、どのように開発者にとって役立っているかについて詳しくご紹介してきました。

技術そのものについての紹介は何度もしてきましたが、その費用面については、あまり取り上げて来ませんでした。

そこで、今回のエントリの見出しは、ずばり「ミドルウェアはコストか?」としてみました。

「ポジショントークじゃん」と思われてしまうかもしれませんが、お客様(=開発者様)視点での捉え方を心がけ、また、実体験に基いて書いたので、参考にしていただけましたら幸いです。

「まじめかっ!?」とツッコまれてしまいそうですが、、、はい、今回は「まじめモード」です(キリッw

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CRIWAREの料金体系

家庭用ゲーム機で知名度の高かったCRIWAREですが(膨大な開発規模とスケールで話題になった『Destiny』というタイトルで採用されたのも記憶に新しいところ)、最近は急速にスマホでの採用が広がっています

ゲームのネイティブ化やリッチ化が本格化し、家庭用ゲーム機で鍛えられたミドルウェアが本領を発揮!という、とても分かりやすい経緯ではあるのですが、当然、対象としている市場のビジネスモデルは大きく異なります

パッケージ製品を売ってナンボだった家庭用ゲーム機とは異なり、スマホゲームはノンパッケージ。しかも、アプリは基本無料で遊びながらユーザに課金してもらうというモデルが主流。いわゆるF2P(Free-to-Play)型のビジネスが大半となっています。

市場の変化に即応しつつ、CRIWAREのライセンス価格も絶えず進化(見直し)してきた歴史があります。さまざまなお客様の生の声に耳を傾けつつ、Win-Winになれる仕組みを目指してきた背景があります。

なお、現在のCRIWAREライセンス料金表(iOS/Androidアプリ向け)については、こちらのページをご参照ください。

コストとはなにか?

「コスト(cost)」という言葉を辞書で調べると、「費用」「経費」「値段」「(サービスに対する)価格」といった意味が出てきます。

CRIWAREは、フリーウェアでもOSSでもないので、ライセンス料を頂くことで成り立っています。プロダクトを作る際に必要な「経費」という意味では、ミドルウェアもコストのひとつであることは、もちろん間違いありません。

ただ、「コスト」という言葉は、直感的に「削減すべきもの(=コスト削減)」というイメージが純粋想起されてしまう、けっこうパワフルなものです。英語でも「the cost」とtheを付して表記する場合は「犠牲」や「損失」といった意味が強くなることからも、どうもネガティブな印象があるのは否めません。

なんとなく、単に「コスト」としてミドルウェアが捉えられてしまうのは、ちょっと寂しい感じがするんですよね。実際、単にパッケージ技術を提供しているというよりは、お客様ごとのニーズを汲み取りながら「自分たちもゲームの開発チームの一員なんだ」という意気込みをもってサポートしていたりするので。

だからといって、「投資(investment)」という言葉を持ち出すのも、少し大仰な気がします。金融工学で用いられる「費用対効果」と「投資対効果」のように、「コスト」と「投資」は対をなして語られることが多いです。でも、だからといって「ボクたちのミドルウェアに投資をしてください」というのも、ちょっとしっくりしません(むしろ株式投資のような別の意味になってしまい、ややこしい…)。

そこで、ボクが考えたのが、『事業ブースター』

どちらかといえば、経営者やプロデューサーからの視点にはなりますが、ゲーム会社の「事業」にとっての「ブースター」としての役割をミドルウェアは担っている、という意味を込めました。

「ブースター(booster)」という言葉を辞書で調べると、「後押しする人」「後援者」「増幅器」「効能促進剤」といった意味が出てきます。多段式推進ロケットの打ち上げのための「ブースターロケット」は聞いたことがある方も多いと思います。ブースターロケットのおかげで、ロケットはさらに遠くへと飛ぶことができるようになります。

ミドルウェアは、単なる「コスト」ではなく「事業ブースター」であるという、その真意についてご説明したいと思います。

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事業ブースターとしてのミドルウェア

ひとたび、ゲームという「コンテンツ」を産み出すことができたならば(もちろんゲーム以外でも構いません)、その「コンテンツ」を一人でも多くのユーザに届けることで、ビジネス機会を最大化することは、企業にとって当然のことです。

ビジネスの拡大のためには、ビジネス機会を増やすことが、もっとも正攻法と言えます。

ただ実際には、さまざまな問題が立ちはだかり、思い通りにビジネス機会を最大化できないことが多くあります。

たとえば、iPhone向けにアプリを作ったけれど、Androidには対応していないというケース。または、その逆。

スマホの揺籃期には、開発環境の違いやエンジニアスキルの関係で、このケースが多発しました。UnityやCocos2dといったゲームエンジンの普及とともにかなり解決しつつありますが、リズムアクションや音ゲーなどでは、Android端末の発音遅延が目立つために、iOSのみでのリリースとせざるをえない状況もまだまだ存在します。

また、UnityもCocos2dも素晴らしいゲームエンジンですが、当然「どちらを使うか」という選択をしなければなりません。それぞれ設計思想の違うゲームエンジンですから、自社のエンジニアのスキルセットや経験値等とも相談しながら、作ろうとしているゲームコンテンツにフィットしたものを慎重に選ばなければなりません。

CRIWAREは、すでにご存知のとおり、iOSにもAndroidにも対応しています。さらに、各種ゲームエンジンも積極的にサポートし、未対応のものであっても、ニーズの高まりに応じてタイムリーに対応を行ってきた実績があります。
そして、iOSでしかリリース出来なかった音ゲーのようなコンテンツのAndroid展開をお手伝いできるよう、音声遅延という課題の解決に向けても必死に取り組んでいます。

さらに、もともと家庭用ゲーム機に強かったCRIなので、スマホ発のコンテンツを、据置型ゲーム機や携帯ゲーム機(PSVitaや3DS等)に展開することも可能です。

もう少し抽象的な表現をすると、ミドルウェアというのは、「ハードウェア」と「ソフトウェア(アプリケーション=コンテンツ)」の中間(ミドル)に位置するもので、ハードやOSの違いを吸収し、アプリケーション側の動作をスムーズにしたり、その開発を簡易化したりします。

つまり、開発者から見ると、ハードやOSの違いを意識する必要が無くなるわけです。実際、Androidでは端末のフラグメンテーション(細分化)問題が開発者を悩ましており、その動作検証にも時間と手間がかかっていますが、ミドルウェアを活用することで、対応端末を増やすことができたというお客様も数多くいらっしゃいます。

当たり前の話ですが、対応端末が増えれば増えるほど、ユーザがコンテンツに触れる機会が増え、結果的にビジネス機会は拡大します。

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▲CRIの会社案内パンフレットから抜粋

あえて「機会損失」という表現を使わないのは、ボクが好きな言葉じゃないから(笑。「本来は取れるはずだったものが取れなかった=損失」という発想はとても理解しやすいのですが、考え方がちょっとネガティブでなんとなく嫌い。「コスト」という言葉と同じかもしれません。

いろいろと「大人の事情」があるからこそ機会損失は起きてしまっているわけで、望んで機会損失を選択することなんてないはずです。

「不良債権の回収」みたいな発想よりも、「新たなフロンティアに漕ぎ出そう!」って感じのマインドセットで臨んだほうが、楽しいし、夢がありますよね。

だからこそ、CRIはコンテンツの創り手にとっての「事業ブースター」でありたい、と思っています。

ミドルウェアの導入を検討されるときは、ぜひ「導入によって自社の事業がどれくらい拡大するか?」という視点でも考えて頂ければ幸いです。この視点は、上司にミドルウェアの使用を説得する際にも、とても有効です(笑)。

…というわけで、今週のひらブラはここまで。

それでは、また次回の更新でお会いしましょう!

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幅朝徳(はば とものり) 株式会社CRI・ミドルウェア 商品戦略室 室長、CRIWAREエヴァンジェリスト。学習院大学卒業後、CRIの前身である株式会社CSK総合研究所に入社。ゲームプランニングやマーケティング業務を経て、現CRIのミドルウェア事業立ち上げに創業期から参画。セガサターンやドリームキャストをきっかけに産声を上げたミドルウェア技術を、任天堂・ソニー・マイクロソフトが展開するすべての家庭用ゲーム機に展開。その後、モバイル事業の責任者として初代iPhone発売当時からミドルウェアのスマートフォン対応を積極推進。GREE社やnhn社といった企業とのコラボでミドルウェアの特性を活かしたアプリのプロデュースも行う。近年は、ゲームで培った技術やノウハウの異業種展開として、メガファーマと呼ばれる大手製薬会社のMR(医療情報担当者)向けのiPadを使ったSFAシステムを開発、製薬業界シェアNo.1を獲得しゲーミフィケーションやゲームニクスの事業化を手掛ける。現在、さらなる新規の事業開拓や未来のサービス開発を担当する傍ら、ますます本格化するスマホゲームのリッチ化を支援するためにモバイルゲーム開発者におけるミドルウェア技術の認知向上のためエヴァンジェリストとしての活動に注力中。

趣味は、映画鑑賞とドライブ、クロースアップマジック、デジスコによる野鳥撮影、コンパニオンバードの飼育、そしてもちろん、ゲーム。

CRI・ミドルウェア ウェブサイト

http://www.cri-mw.co.jp/

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