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【ひらブラ vol.7】スマホで「音ゲー」3つの課題(ハマるな危険!アプリ開発の落とし穴)

2014-02-28 12:00 投稿

“音ゲー”や”音楽ゲー”と聞いて、みなさんがアタマに思い浮かべるゲームは何ですか?

ボクは、大学生時代に遊んだ『パラッパラッパー(SCE)』や『バスト・ア・ムーブ(エニックス:当時)』、ゲーセンで衝撃を受けた『ビートマニア(コナミ)』や『ダンスダンスレボリューション(コナミ)』、ドリームキャストの『スペースチャンネル5(セガ)』、携帯機では『リズム天国(任天堂)』が強く印象に残っています。

音ゲーの楽しさって、ゲームのなかでも独特のものがありますよね。BGMやリズムに合わせてアクションをしていくことで、フシギな達成感や満足感、場合によっては、高揚感まで感じることができます。

周辺機器や入力インタフェースのバリエーションが多いのも音ゲーの特徴のひとつ。ビートマニアや太鼓の達人、サンバDEアミーゴのように専用のコントローラを同梱ないしオプション発売しているものがあります。

DJのターンテーブルや和太鼓、マラカスなど実在の楽器を模したコントローラは触っているだけでワクワクしますよね。

さらに、ギターフリークスやギターヒーロー、ロックスミスのように、もはや実物のギターと見紛うほどの専用コントローラ(というよりもはや楽器)を用意するものもあります。

▲photo by by fiskfisk (CC BY 2.0)

音ゲーといっても、リズムに合わせてアクションをするものから、楽器のように自ら”音”を演奏するもの、あるいはその中間に位置するものなど、種類はとても豊富です。

ユーザ入力の成否によって、単にスコアがカウントされるだけでなく、観客の声援が盛り上がったり、音程がズレてしまったり、ダンスが派手になったり、モロ星人をやっつけたり(笑)と、演出面やルールもゲームによって千差万別。

このへんを深く研究して、音ゲー分類学を進めてみるのも面白そうですが、なんとなく宗教論争になりそうなので(汗)ここではこれくらいにとどめておきます。

正しさの評価から、COOLであることの評価へ

さきほど「高揚感」と書きましたが、音ゲーの魅力って「音楽とシンクロする楽しさ」の ”さらに先” があるような気がします。あらかじめ決められた譜面にいかに忠実か?の判定はいかにもコンピュータにとって得意な領域のはずですが、でも、それだけだと味気ないのも事実。

元祖音ゲーである「パラッパラッパー」でいうところの”GOOD”を超える評価である”COOL”判定は、まさに発明だったのではないかと個人的に強く思っています。

決められた譜面を超えた「アドリブ」を評価するということ。かといってデタラメな判定ではゲームとして破綻してしまうし、ゲームを観ているオーディエンスやゲームプレイヤー自身にとっても納得できる”COOL”判定でなければなりません。

正しいかどうか(=GOOD)?の評価から「感性の評価(=COOL)」へ。

人間の感性をコンピュータが「把握」したり「判定」するのは実はとても難しいことです。

この困難と向き合い、タイミングや演出やスコアや操作感やフィードバックなどさまざまな要素を総動員して、人間の感性という観点から「気持ちの良いもの」を目指しているのが、音ゲーと言ってもいいでしょう。

良質な音ゲーにたいして、プレイヤーは「より気持ちの良い体験」を求めてゲームにチャレンジするわけです。

そんな視点で、ぜひ、お手持ちの音ゲーを見なおして見て下さい。きっと、この「感性の評価(=COOL)」の要素が見つけられると思います。

▲コントローラが個性的なのも音ゲーの特徴

最近では、純粋に音ゲーというジャンルに収まるものばかりではなく、ゲーム中のイベントの一種として音ゲーを用いたり、何らかのパラメータを高めるためのミニゲーム的な役割で用いたり、あるいは、ソーシャルゲームのバトル要素として用いられるケースも増えてきています。

たとえそれが付加的な要素であっても、人間の「感性」を無視しては成立しないゲーム、それが音ゲーです。

極端な例えですが「音とマーカーがズレた音ゲー」や「ボタンを押しても音が鳴らない音ゲー」を想像してみてください。感性がどうのという以前に、もはやゲームとして成立しないことは簡単に想像できますよね。

その点で、音ゲーにとって「感性」とは、付加価値や単なるヤリコミ要素ではなく、必ず意識しなければならないものであるとも言えます。

音ゲー開発で直面する3つの課題とは?

ご存知のとおり、スマートフォンでも、すでに多くの音ゲーがリリースされています。

スマホ初期の頃は、どちらかというと、「ゲーム」というよりは「メディアアート」に近いアーティスティックなアプリが人気でした。

iPhoneのマイクに息を吹きかけてオカリナを吹くという「この手があったか!」的なアプリ『Ocarina』や、鍵盤のない不思議なピアノ演奏アプリ『Magic Piano』などで有名なSmule社のアプリは後者の代表例だと思います。(ボクも大好きな会社のひとつです!)

他にも、マイク/傾きセンサ/マルチタッチパネル/クラウドと、スマホの機能をフル活用した「音系」のアプリは枚挙にいとまがありません。

このように音や音楽との親和性が非常に高いスマホですが、実は、ゲームとして音を題材にしたアプリ、すなわち「音ゲー」(とくに国内デベロッパ製のもの)の数はあまり多くありません。

これには、実は理由があります。

さらに、最近、当社には音ゲーやそれに準ずるアプリに関する技術的なお問い合わせが急増しています。

これにも、理由があることがわかりました。

その理由とは、、、まさに先述した「感性」がポイントになっています。

音ゲーや「音楽に合わせてアクションするゲーム」を開発しようとした場合、技術的にかならず直面する3つの課題あります。(ここから少し専門的になりますが、なるべく分かりやすく解説していきますね!)

【スマホで音ゲーを開発する際の3つの課題】
 (a) 再生時刻と聴こえる音のズレ
 (b) タッチ操作の判定遅延
 (c) タッチ音の再生遅延

感性の面で優れた「気持ちのよい」音ゲーのためには、「見た目」と「音」が一致することがまず大前提となります。

すごく当たり前のことに感じるかもしれませんが、この当たり前のことが、スマホの場合は解決しにくい厄介な課題になるのです。

前回の記事で、「機種やOSの差異によるトラブル」や「端末細分化の問題」についてご紹介しましたが、音ゲーの場合はこれらの問題がより深刻になってきます。

つまり、「OSの種類」「OSのバージョン」「機種の違い」の組み合わせが、音の再生や再生タイミングには、かなりクリティカルに影響してしまうのです。

アプリのリリース時にすべての組み合わせを検証できれば良いものの、それはコストや端末確保の面で現実的ではないですし、アプリリリース後にも次々と新機種が発売されるので本当に頭の痛い問題です。

とくに、端末細分化の問題が大きい「Android」において問題になることが多く、実際、お問い合わせを頂く内容もAndroidにまつわる技術的課題や、iOSと同じことをAndroidで実現する方法が知りたい、といったものがほとんどです。

というのも、上記の3つの課題すべてに「端末差」が存在するからです。

(a)の「再生時刻と聴こえる音のズレ」とは、ゲームシステムが内部的に把握している再生時刻と実際にゲームユーザの耳に聴こえている音にズレが発生してしまうケースです。

(b)の「タッチ操作の判定遅延」とは、ゲームユーザのタッチ操作をハードウェアが認識し、それをソフトウェア(アプリ)側が判定する際に遅延が発生してしまうケースです。

(c)の「タッチ音の再生遅延」とは、タッチ操作によって発音させる音の再生が想定しているタイミングより遅延してしまうケースです。

▲せっかくなら両OSにリリースしたいですよね… photo by nrkbeta (CC BY-SA 2.0)

この3つの課題は、個別に発生するというより複合的に発生します。はじめからこの3つのいずれの課題に該当するか判明しているケースはまれで、どうして問題が起きているかの原因調査を進めた結果、この3つのうちのいずれか(ないし全て)に行き着くという感じです。

わかりやすさのために、実際にゲームをプレイしたときの「現象」を例に説明します。

「リズムどおりにタップしているのにMISSになる」

「ポーズからゲームを再開するとBGMがズレている」

「音楽にも表示マーカーにも完全に一致しているのにタッチが正しく認識されない」

「タッチしてもすぐに音が鳴らない」

「真剣にプレイしてもデタラメにタッチしまくってもスコアが変わらない」

「音がブチブチと途切れてリズム感が狂ってしまう」

などなど。

ひょっとして、心当たりがあったりしませんか(汗)?

音ゲー対策委員会(仮)が発足!?

iOS&Androidの両方にリリースされている音ゲーやリズムアクションゲームが少ないのは、実はこんな事情があったというわけです。

逆に言えば、現在リリースされている音ゲーは、こうした課題と向き合い、大変な苦労や工夫をして開発されているものだとも言えます。それほど、機種差による「音」の問題は根深いのです。

これらの問題は完全に解決するのはまず不可能です。それぞれのゲームにとって問題のないレベル、つまり許容範囲内にいかに調整するか?という解決になります。

安直には、ユーザ操作の判定基準を緩くするアプローチがありますが、これもさじ加減が難しく、やり過ぎるとヌルゲーになりすぎて、クソゲーになってしまうリスクもあります。

コンフィグやチュートリアルなどでユーザ側に調整させるやり方もありますが、ユーザはゲームを楽しみたいのに余計な負担をかけたくないという意見もあります。

となると、「技術」のチカラでこの問題に真っ向から向き合っていこう!ということになります。

なお、CRIWAREを使うことで、サウンド再生の遅延や負荷を抑えることができるため、これらの課題の解決の一助となる場合があります。

対応したい端末やOSの範囲、アプリの種類やゲーム性、プログラム構造などにもよるので一概には言えませんが、音ゲーに実装して試してみたい!というご要望にお応えしてSDKを提供するケース(※)が増えています

※CRIWAREの試用版SDKは無償でご提供しています。ご興味のある方は「ひらブラ見た!」とお問い合わせ下さい。

さらに、「スマホで音ゲーを開発するならCRIWARE!」と言える日を夢見て、CRIの社内には『音ゲー対策委員会(仮)』なる組織が発足しました。

あくまで会社公認の部門ではなく有志が集まって組成された任意の委員会なのですが、音ゲー開発に悩むエンジニアの方々を少しでもお手伝いすべく、端末差の問題を解決するためのいくつかの実験や検証をすでに始めています

▲非公認秘密結社(笑)

このブログの使命は、すでにある技術やサービスをご紹介するだけでなく、まさに「今そこにある危機」(ちょっと大袈裟ですが、この表現大好きなんですよw)を解決すべく、最新の取り組みをアナウンスしたり、問題をタイムリーに共有したりすることだと思っています。

取り組みはまだ始まったばかりですが、今回、このブログに書いた内容にピンとくるものがあった方は、ぜひ課題を共有しませんか?お客様の「音ゲー」プロジェクトの技術的課題を拝聴しつつ、当社技術や当社で進めている実験の内容をお伝えし、解決の糸口を探るお手伝いをさせて頂きます。

今回「音ゲー対策委員会(仮)」の発起人であり当社ゲームミドルウェアの技術責任者、櫻井 敦史からのメッセージです。

従来、アプリ側が頑張らなければいけなかった部分をミドルウェア側が頑張ることで、スマホの音ゲーがもっと開発しやすくなればと願っています。

音ゲーは個人的にも大好きなので、面白くてキモチのいい音ゲーを楽しみにしています!

技術的なご相談、お待ちしております。

櫻井 敦史(CRI・ミドルウェア)

「ひらブラ」では、この「音ゲー対策委員会(仮)」の今後の動向についても継続的にお届けしていく予定です。

音ゲーに関するアンケートにご協力ください♬

最後に、音ゲーに関するアンケートにぜひご協力下さい。どなたでも短時間でご回答頂けます(匿名)。

■音ゲーに関する緊急アンケート(by ひらブラblog)

http://crimw.me/q_otoge

なお、回答内容に関しては、集計後の統計情報として当ブログ等に利用させていただく場合があります。また、個別のアプリに対して頂いたご意見はアプリ提供会社にフィードバックさせて頂く場合があります。(いずれも回答者は匿名で扱われます。)

次回からは、いよいよゲームエンジン「Unity」の話題をスタートしたいと思います。お楽しみに!

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【バックナンバー】
※vol.0:創刊準備号ということでジコショーカイ【CRI幅朝徳のひらけ!ブラックボックス】
※vol.1-1:福袋も飛行機もゲームも?ゲーム開発を支える”黒い箱”とは【ひらけ!ブラックボックス】
※vol.1-2:福袋も飛行機もゲームも?ゲーム開発を支える”黒い箱”とは【ひらけ!ブラックボックス】
※vol.1-3:福袋も飛行機もゲームも?ゲーム開発を支える”黒い箱”とは【ひらけ!ブラックボックス】
※vol.1-4:福袋も飛行機もゲームも?ゲーム開発を支える”黒い箱”とは【ひらけ!ブラックボックス】
※【ひらブラ vol.2】 LEDで無重力をつくる話
※【ひらブラ vol.3】ドラクエの起動画面のひみつ(続・Cocos2d-xとCRIWAREの話)
※【ひらブラ vol.4】gumi田村さんに訊く「ズバリ!Cocos2d-xのココが魅力」
※【ひらブラ vol.5】ギョーカイ用語は「言葉」のブラックボックス
※【ひらブラ vol.6】雪を溶かすメカニズム知ってる?(プロデューサー説得トラの巻)

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幅朝徳(はば とものり) 株式会社CRI・ミドルウェア 商品戦略室 室長、CRIWAREエヴァンジェリスト。学習院大学卒業後、CRIの前身である株式会社CSK総合研究所に入社。ゲームプランニングやマーケティング業務を経て、現CRIのミドルウェア事業立ち上げに創業期から参画。セガサターンやドリームキャストをきっかけに産声を上げたミドルウェア技術を、任天堂・ソニー・マイクロソフトが展開するすべての家庭用ゲーム機に展開。その後、モバイル事業の責任者として初代iPhone発売当時からミドルウェアのスマートフォン対応を積極推進。GREE社やnhn社といった企業とのコラボでミドルウェアの特性を活かしたアプリのプロデュースも行う。近年は、ゲームで培った技術やノウハウの異業種展開として、メガファーマと呼ばれる大手製薬会社のMR(医療情報担当者)向けのiPadを使ったSFAシステムを開発、製薬業界シェアNo.1を獲得しゲーミフィケーションやゲームニクスの事業化を手掛ける。現在、さらなる新規の事業開拓や未来のサービス開発を担当する傍ら、ますます本格化するスマホゲームのリッチ化を支援するためにモバイルゲーム開発者におけるミドルウェア技術の認知向上のためエヴァンジェリストとしての活動に注力中。

 

趣味は、映画鑑賞とドライブ、クロースアップマジック、デジスコによる野鳥撮影、コンパニオンバードの飼育、そしてもちろん、ゲーム。

CRI・ミドルウェア ウェブサイト
http://www.cri-mw.co.jp/

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