【ひらブラ vol.53】マルチプレイ時のローカルマッチングをGPS/Bluetoothレスに!?(ゲーム開発者向け)
2015-02-06 12:00 投稿
今回は、スマホゲームの開発者向けにお届けします!
もちろん開発者以外の方でもお読み頂ければと思いますが、少し内容が専門的になることをお許し下さい。
テーマは、マルチプレイ時の「ローカルマッチング」について、です。
要するに、スマホを持ち寄り、友達同士で実際に集まってマルチプレイ(対戦だったり協力だったり)するときに、どうやってメンバをマッチングするか?という点です。
ローカルでのマルチプレイといえば、3DSやVita、PSPといった携帯型ゲーム機でお馴染みのモード。公園や駅などで、小中学生がゲーム機をもって集まり、ゲームに熱中している様子をよく見かけますよね。
最近は、このローカルでのマルチプレイ要素をスマホゲームに搭載したアプリが増えてきました。
ますます家庭用ゲーム機化するスマートフォン。ただ、ゲームをプレイすることを主目的としたデバイスでないため、そのマッチングの「しやすさ」という点では、まだゲーム専用機に分があると言えるでしょう。
そこで、今回は、「より手軽なローカルマッチングをスマホで実現するには?」という視点で、その手法についてお届けしたいと思います。
それでは、今週も宜しくお願いします。
一般的なローカルマッチング手法
すでにリリースされているローカル・マルチプレイモード搭載のスマホゲームでは、GPSやBluetooth、キーナンバーを使ってローカルマッチングを実現しているものがあります。
スマホでのローカルマッチングは、次のような手法で行われることが多いようです。
■GPS情報を用いたローカルマッチング
■GPS情報とタイミングを用いたローカルマッチング
■Bluetooth/Wi-Fiを用いたローカルマッチング
■共有キーナンバーを用いたローカルマッチング
■共有キーナンバーとGPS情報を用いたローカルマッチング
など(一例)
GPS情報を用いたローカルマッチングは、マルチプレイへの参加を希望するデバイスそれぞれのGPS情報を取得し、同一の場所に実際にロケーションされているかどうかをチェックします。ただ、偶然同じ場所で同じアプリを起動している場合もあるため、「せーの!」とボタンを同時に押すなどのタイミング情報と組み合わせてマッチングする場合もあります。また、GPSには精度の問題もあるので、同じ場所にいる、とする閾値をどのように設定するかもポイントになります。
BluetoothやWi-Fiを用いたローカルマッチングは、いかにもスマホらしい素直なマッチング方法と言えるでしょう。ただ、電池寿命などの問題でBluetoothやWi-Fiをオフにしてしまっているケースも多いので、それらをオンにするよう促す必要があります。あ、これはGPSも同じですね。
共有キーナンバーを用いたローカルマッチングは、とてもシンプルです。集まった仲間同士で例えば4ケタの数字を口頭で共有し、そのキーナンバーを入力してログインする手法です。とても簡単ですが、仕組み上、実際にそこに居ないメンバであってもマルチプレイが可能になってしまいます。それを規制するためにGPSと兼用するという手法もあります。
それぞれのアプリ開発者に確かめたわけではありませんが、既存のゲームはだいたい上記のような手法でローカルマッチングを実現していると思われます。
そして、いずれの方法も、いくつかの課題があります。
・全プレイヤーがGPSをオンにする必要がある
・全プレイヤーがBluetooth/Wi-Fiをオンにする必要がある
・GPS精度の問題や、屋内環境でのGPS受信不可の問題
・実際にその場に居ないユーザでも参加できてしまう可能性
・デバイスのH/WやOSバージョン等の差異に起因する問題(Bluetoothのver.違い等)
など
もっと手軽に、かつ確実に、ローカルマッチングする方法はないでしょうか?
音波を使ったローカルマッチング
そこで、ご紹介したいのが「(超)音波」を使ったローカルマッチングです。
マッチングの手法は、至ってシンプル。
持ち寄ったデバイスのいずれか1台から、マッチングのキーとなる信号を「音波」としてスピーカーから発信し、参加者はその「音波」を受信するだけ。
BluetoothやWi-Fi、GPSをオンにする必要は一切ありません。
デバイスには必ず「スピーカー」と「マイク」が搭載されているので、機種やOSも問いません。
音を発する関係上、マナーモードは解除する必要はありますが、これはアプリケーションからデバイス制御することも出来るはずですので、あまり問題にならないでしょう。
認識精度を上げるために音源に対してデバイスの「マイク」を向けるのが望ましいかもしれませんが、これはマッチング時のアプリのUIを工夫すれば良いでしょう(とくにiOS系ならカンタン!)。
マッチングのための「音」は、可聴域でも不可聴域(いわゆる超音波)でも対応可能です。不可聴の場合は可聴に比べて少し通信時間が増えます。
デバイス同士の距離は、環境にもよりますが、数cm〜数十cmでマッチングできます。
この「音波」に対応した発音ができれば、スマホにかぎらず、他のさまざまなデバイスとも連携できます。例えば、スピーカー内蔵のオモチャやフィギュアとか…。
この「音波を使ったローカルマッチングシステム」、いかがでしょうか?
まだ、検証&フィジビリティスタディの段階ですが、すでにO2Oマーケティングの領域で実事例の豊富な企業様のソリューションを使って、ゲーム業界での「ローカルマッチング」の仕組みとして応用できないかどうかを検討しています。
今回、ニーズがどれくらいあるかどうかのリサーチの一環として、「ひらブラ」でご紹介させて頂きました。
「ぜひ使ってみたい」「自社ゲームでの採用を積極的に検討したい」という方は、下記のフォームからご一報を頂ければと思います。
https://www.cri-mw.co.jp/contact/form/index.cgi?type=general
※恐縮ですが、法人様からのお問い合わせのみとさせて頂きます。
…というわけで、今週のひらブラはここまで。
それでは、また次回の更新でお会いしましょう!
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幅朝徳(はば とものり) 株式会社CRI・ミドルウェア 商品戦略室 室長、CRIWAREエヴァンジェリスト。学習院大学卒業後、CRIの前身である株式会社CSK総合研究所に入社。ゲームプランニングやマーケティング業務を経て、現CRIのミドルウェア事業立ち上げに創業期から参画。セガサターンやドリームキャストをきっかけに産声を上げたミドルウェア技術を、任天堂・ソニー・マイクロソフトが展開するすべての家庭用ゲーム機に展開。その後、モバイル事業の責任者として初代iPhone発売当時からミドルウェアのスマートフォン対応を積極推進。GREE社やnhn社といった企業とのコラボでミドルウェアの特性を活かしたアプリのプロデュースも行う。近年は、ゲームで培った技術やノウハウの異業種展開として、メガファーマと呼ばれる大手製薬会社のMR(医療情報担当者)向けのiPadを使ったSFAシステムを開発、製薬業界シェアNo.1を獲得しゲーミフィケーションやゲームニクスの事業化を手掛ける。現在、さらなる新規の事業開拓や未来のサービス開発を担当する傍ら、ますます本格化するスマホゲームのリッチ化を支援するためにモバイルゲーム開発者におけるミドルウェア技術の認知向上のためエヴァンジェリストとしての活動に注力中。
趣味は、映画鑑賞とドライブ、クロースアップマジック、デジスコによる野鳥撮影、コンパニオンバードの飼育、そしてもちろん、ゲーム。
CRI・ミドルウェア ウェブサイト
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