【ひらブラ vol.50】CES2015はウェアラブル一色!(のはずw)

2015-01-09 12:00 投稿

読者のみなさん、あけましておめでとうございます!

2014年の年頭から始まった当ブログも連載開始から1年が経ちました。号数も今回でちょうど「50」ということで、2015年の幕開けには気持ちのよい“キリ番(死語?)”になりました。今年もいろいろなトピックをお届けしてまいりますので、お付き合い下さい。

昨年のエントリでもいわゆる“ウェアラブル”系のネタをいろいろと取り上げてきました(例えば こちらの記事 とか)。毎年、年始といえば世界最大の家電関連のショウ「International CES」のニュースで盛り上がるのですが、まさに今年のCES2015は、ウェアラブル一色(のはずw)!

「のはずw」と追記したのは、実際に筆者がラスベガス現地を訪れているわけではなく、原稿執筆時点(1月6日)でのCESの前夜祭の情報をもとにしているためです。実際のCESでは、もっと凄い発表や展示があったりするかもしれませんが、その点はご容赦下さい。

読者の方におかれましては、社会人の方の多くはすでに仕事始めを迎えており、また学生の方はおそらく残り少ない冬休みを満喫されている、そんな頃かと思います。

というわけで、2015年最初の本エントリは、CES関連のウェアラブル系デバイスのニュースで筆者が気になったものをご紹介してみたいと思います。

ぜひお屠蘇気分の延長で、コタツにでも入りながら「へぇ〜そんな商品があるんだぁ!」と、未来を楽しむ感覚でお読み頂けましたら幸いです。

それでは、今回も(そして今年も)宜しくお願いします。

筆者が使っているデバイスの「進化系」が続々登場!

ボクが使っているウェアラブルデバイスについては、すでに何度も当ブログでもご紹介しているのでご存知の方も多いかと思います。いずれも、発売されて数ヶ月が経過しているので、その後継製品が登場するのはいわば当然のこと。やっぱりCESのタイミングで相次いで発表されました。

まずは、実際にボクがふだん使っているウェアラブル製品の「最新版」をご紹介していきます(一部、CESでの発表ではないものも含まれます)。

mywearables

『Narrative Clip 2』
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1501/05/news081.html

クリップ型の小型ライフログカメラ『Narrative Clip』の後継機。何度も「ひらブラ」でもご紹介してきましたが、趣味に仕事に、筆者も便利に活用しています。

『2』では、500万画素から800万画素に解像度がアップ、Wi-Fiでの写真アップロードに対応(従来機はPCとのUSB接続が必須)、広角化、ジャイロセンサーの追加、そして、クリップ部分が用途に応じて変更可能になるとのこと。利用ユーザの声に耳を傾けた順当進化という感じ。

スマホでしか閲覧できなかった写真も、PC上でのブラウザに対応し、『2』に向けたユーザビリティ拡張は着々と進んでいるという感じで、楽しみです。

ちなみに、ライフログカメラとは若干別軸にプロットされる「アクションカメラ」の企業からも、新製品が発表になっています。なかでも、iON社の『SnapCam』はNarrative Clipによく似ていて、気になります。(参考: http://www.engadget.com/2015/01/04/snapcam-ion-life-logging-camera/ )こちらは、やはりiON社だけあって、動画撮影がウリのようですね。

GoProのようなシビアシチュエーションを想定したウェアラブルカメラはすでに家電量販店にも特設コーナーができるほど「一般化」していますが、ライフログカメラの領域も、今後どんどん盛り上がっていくのかもしれません。セルフィー文化と相まって、凄いことになる予感も…。

もちろん、普及に伴い、盗撮や隠し撮りのリスクも高まるので、マナーの啓蒙や防止策が必要になりそうですが。

JAWBONE 『UP move』
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/290/290200/

リストバンド型活動計の『UP』シリーズの最新版。ボクも『UP(Bluetooth非搭載)』→『UP24(Bluetooth搭載)』と使い続けていますが、つねに腕に装着していなければならない点と、他人にオススメするには、その価格がややネックでした。

リンク先を見て頂くとお分かりのように、『UP move』はクリップ型。しかも価格も従来シリーズの半額程度。4ヶ月電池交換が不要というのも魅力的です(UP24はUSB充電で約2週間)。価格と手軽さから、ユーザ拡大につながるかもしれませんね。

ちなみにボクは、リスト型が慣れてしまっているので、『UP3』というハイエンド後継機の発売を待っています。皮膚温度センサーと心拍計が追加されているとのこと。(参考: http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/278/278064/

Withings 『Activité Pop』
http://japan.cnet.com/news/service/35058598/

Withingsといえば、何といっても、Wi-Fi対応のヘルスメーター(体重計)、『Withings Smart Body Analyzer』が有名ですね。日本ではコヴィアさんが代理店として販売されています(参考: http://www.covia.net/product-wireless_scale_ws50.html )。ボクも使っていますが、乗るだけでスマホに体重が記録されるのでとっても便利ですし、家族のうち誰の体重かも自動的に認識してくれるスグレモノ。

そんなWithingsさんが去年の10月に発表したのが、同社初のフィットネストラッカー『Activité』。デジタル表示のモデルが大半ななか、アナログにこだわった同機はとても筆者の印象に残りました。ただ、価格が…。約5万円だったと記憶しています。

CESで発表されたのは、この廉価版。150ドルになりました。カラバリもあるようです。

さりげなく身に付けていても、普通のアナログ時計にしか見えない。でも、フィットネストラッカーとしての機能を備えている。ウェアラブルデバイスが、デジタル機器である以前に、「ウェア」であり「アクセサリー」であるという大前提を尊重したモデルであると言えるでしょう。

アクセサリーとウェアラブルの融合といえば、Misfitさんが、その名も『Swarovski Shine』というリストバンド型のフィットネストラッカーをCESで発表されていますね。一見すると、もうブレスレットにしかみえません。(参考: http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1501/06/news098.html

ウェアラブルコンピューティングの裾野を拡げていくという点では、こうした「オシャレ面」や「いつも身に付けていても遜色ないこと」に特化した「選択肢」が増えていくことは、間違いないでしょう。

『Apple Watch』
http://www.apple.com/jp/watch/

『AndroidWear』がGoogle I/Oで発表されたその日から、すでに半年以上、AndroidWear搭載のスマートウォッチを使い続けているボクですが、その便利さと同時に“歯痒さ”も感じている今日このごろです。
日々、UIやUXも更新されて、対応アプリも増え、これまで腕時計をしないボクが毎日欠かさず装着していることからも、スマホのように「無くてはならないデバイス」になりつつあります。

だからこそ、やっぱりAppleの展開が気になります。はやく触りたい!!CESとは直接関係ありませんが、2015年のウェアラブル動向を語るうえでは外せないと思ったので。ギズモードさんの記事( http://www.gizmodo.jp/2015/01/apple_watch3.html )などを拝読していると、春には手にすることができそうですね(笑。

技術よりも“着想”の時代であると痛感する、新デバイスたち

ここからは、CESタイミングで漏れ聞こえてきたニュースのなかから、ボクが特に気になったデバイスをピックアップしてみようと思います。

手首に装着するだけでカロリー摂取量がわかる健康管理型ウェアラブル端末「GoBe」
http://gigazine.net/news/20150106-healbe-gobe/

出典:Gigazine(2015年1月6日)

群雄割拠のリストバンド型活動計に、また新製品?、と一瞬思ってしまいましたが、この製品のポイントは「カロリー摂取量」が「自動的に」測定できるということ。

ボクもいろいろな活動計を試してきましたが、歩数やカロリー消費量、睡眠については「自動的に」計測してくれますが、いちばん大変なのが「カロリー摂取量」のロギング。要するに、何かを食べるたびに、その食べたものを逐一、入力しなければならないわけです。もちろん、既成品であればバーコードを読み込むだけで栄養情報が登録されたり、中には食べ物の画像認識で自動登録してくれるものもありますが、結局は食べた量の情報を調整しなければいけない等、けっこう面倒くさいのです。

この『GoBe』では、体内のグルコース濃度を検出してカロリー摂取量を測定することができるとのこと。測定値の正確性は約80%らしいです。

ダイエットや体重管理のためには、消費カロリーだけでなく「摂取」カロリーも正しく計測する必要があります。当たり前のことですが、消費が摂取を上回ることで痩せることができます。とてもシンプルなはずなんですが、摂取カロリーのロギングには手数がかかるため、途中で止めてしまう人も多いはず。この点を解決したという点で、とても気になるデバイスです。

もっとも、食べたものを逐一記録することそのものが食事管理の重要性を喚起してくれるという大事な側面もあるので、摂取記録が自動化されたからといって、ダイエット効果に直結するわけではないのでご注意を(笑。

「スノボ」から「哺乳瓶」まで、現実世界をデジタル化(page 2)
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/EVENT/20150105/397162/?ST=bigdata&P=2
※記事を読むにはログインが必要です。

出典:日経テクノロジーonline(2015年1月6日)

上記記事に紹介されている全てのデバイスが興味深いのですが、なかでも、Giroptic社の「360cam」が気になりました。周囲360度を撮影できるカメラである同製品は、すでにkickstarterでも話題になっていて知っていたのですが、アダプターを取り替えることによって、電球ソケットに取り付けられることを知りました。

この手のデバイスは、ネットワーク接続は無線で問題ないのですが、継続的な電力供給が課題でした。その課題を、電球ソケットに取り付けることで解決しよう、という発想は素晴らしいと思います。

無線接続可能な電球ソケットデバイスといえば、Philipsの「hue」(スマホから電球色をリアルタイムに変更可能)が有名ですが、まさか、ネットワークカメラを設置してしまうとは…。

ただし、写真を見るかぎりは、そのソケットはカメラに使われてしまい、電球を取り付けられなくなるため、設置には少し工夫が必要かもしれません。

iPhoneと連携するウェアラブル体温計TempTraqはもうすぐリリース
http://iphone-mania.jp/news-57865/

出典:iPhone Mania(2015年1月5日)

年末年始、facebookのタイムラインなどを眺めていても、インフルエンザで高熱を出してダウンしてしまった友人や知り合いが目立ちました。インフルエンザかどうかの検査のために病院を訪れるには、自覚症状が必要。めったに使わない体温計を薬箱から取り出して測ることになります。

もっと手軽に体温を測れたら…。つねに対応をモニタリングして異常を早期に察知できたら…。

そんなふうに思っていたら、このニュースが飛び込んできました。記事中の写真を見るかぎり、シール型でスマホと連動するようです。同種の商品が今後増えていくと思いますが、コンシューマ用途にまで降りてくるものがあるかどうかが気になります。

これもウェアラブル?腹囲を自動調整するスマートベルト、発表!
http://iphone-mania.jp/news-57835/

出典:iPhone Mania(2015年1月5日)

ウェアラブルデバイスにおいて、とても大きな難題は「いかにして常に身に付けてもらうか」。異物感があると、人はそれを外したくなってしまいます。その問題を手っ取り早く解決する方法の一つが「既存の身に付けることが当たり前となっている製品をウェアラブルデバイス化する」こと。

この「スマートベルト」もそのひとつですね。日本でもメタボ診断が定期健康診断で行われるようになって久しいですが、このベルトがあれば、メタボな人が減るかも!?(逆に増えるという恐れも…笑)

鉢植えの世話はおまかせください、自動水やりガジェット
http://www.gizmodo.jp/2015/01/cesparrot.html

出典:ギズモード(2015年1月7日)

『Parrot H2O』という名称のこの製品、水の入ったペットボトルに接続して、植物を植えた鉢に刺しておくと、自動的に水やりをしてくれるとのこと。
また『Parrot Pot』という製品は、水分と肥料のセンサーが搭載され、植物の種類に応じて自動的に植物のお世話をしてくれるとのこと。スマホでモニタリングができ、水や肥料の備蓄が少なくなるとプッシュ通知で教えてくれる機能も。

Parrot社といえば空飛ぶ「ドローン」が有名ですが、ガーデニング領域への展開とは、ちょっと意外でした。

ボクもよく植物を枯らしてしまうので、MacとiOS標準の「リマインダー」を使って、水やりを定期イベントのToDoとして登録していますが、水やりまでやってくれたら確かに便利かも。

ウェアラブルやIoT系で、現時点で気になったデバイスを簡単にご紹介しました。

また、CESでは、ゲーム関連の出展もいろいろとあったようですね。そのいくつかをご紹介します。

VRヘッドマウントディスプレイOculus Riftの最新プロトタイプ“Crescent Bay”をトライ。シルクのような史上最高のVR体験【CES 2015】
http://www.famitsu.com/news/201501/07069073.html

出展:ファミ通.com(2015年1月7日)

記事を読むと、かなり軽量化が実現されていることが分かります。ボクも何度かOculusを装着したことがありますが、その重量がちょっと気になっていたので、これは実際に試してみたいです。

“Oculusキラー”を自称する最強ヘッドマウントディスプレイ“3DHEAD”を被ってきた!【CES 2015】
http://www.famitsu.com/news/201501/07069092.html

出展:ファミ通.com(2015年1月7日)

ひとつ前の記事と並べるのもどうかと思いましたが(笑、写真を見た瞬間に、ギーガのエイリアンを思わず思い出してしまいました。

記事を読むと、Google Cardboardのような発想がルーツになっているのかな、と思いました。
VRといえば、オープンソースVRを標榜する「OSVR」も気になります。(参考: http://www.famitsu.com/news/201501/07069115.html

供給は爆発期、でも「需要」は…!?

ウェアラブル系の事業推進に取り組んでいると、「本当にユーザは使いこなせるの?(≒ 使いたい気持ちになるの?)」という問題にぶつかります。イノベーションによる刺激と感動だけでは、なかなか普及は難しいのがウェアラブルの特徴。「一度は使ってみたけど、やめちゃった!」という人も、ボクのまわりにはたくさん居ます。

実際、アクセンチュア社がCESで発表した調査結果には、気になる内容がありました。

フィットネスバンドやスマートウォッチ、家庭用スマートサーモスタット、車載エンターテインメント(あるいはインフォテインメント)システム、家庭用の監視カメラとセキュリティシステム、その他の健康管理用ウェアラブル製品といった新しいガジェットの使用で苦労した経験のある人はおよそ83%にのぼる

(記事より抜粋)

出展:ZDNet Japan
2015年1月6日「消費者の約83%がスマートデバイスで苦戦–アクセンチュア調査」

83%の人がスマートデバイスの使用で「苦戦」を強いられた経験がある、という調査結果。意外というよりは、正直、「やっぱりなぁ…」という感覚。

スマホが普及し始めたときも、やっぱりガラケーからの移行は「苦戦」した人が多かったはず。でも、スマホの場合は、身の回りに誰かしら「使い方を教えてくれる先輩」がいたのだと思います。

アーリーアダプターからのフィードバックもある程度一段落がついたタイミングだと思うので、今後は、潜在ユーザの「期待」にそえる機能と体験とユーザ利益を、いかに実現していくかがポイントになっていくと思います。特に「体験」は大切で、ユーザに期待するリテラシ・レベルをあまり高くし過ぎると、「買ったけど使えない」という悲劇が今後も続いてしまう恐れがあります。

一方で、新たな市場が立ち上がる揺籃期というのは、こうした試行錯誤のプロセスを必ず通過するものだとも思います。

日本国内に関する市場予測になりますが、シード・プランニング社からは、下記のようなレポートが発表されました。

国内ウェアラブル端末の2020年の市場規模は680万台と予測され、Apple Watchの投入で、腕時計型が過半を占める

(記事より抜粋)

出展:財経新聞(2015年1月6日)
国内ウェアラブル端末市場は2020年に680万台 腕時計型が過半=シード・プランニング
http://www.zaikei.co.jp/article/20150106/229320.html

ウェアラブル端末の普及加速を確信したレポートですが、注目すべきなのは、その内訳。やはり、腕時計型がトップシェアで、次いでブレスレット型となっています。メガネ型については、コンシューマ市場での展開にはもう数年かかると見ているせいか、2018年以降での本格的な普及となっているようです。

でも、個人的には「その他」の中身が気になります(笑。

AppleWatchのように爆発的な普及が見込まれる「ベストセラー・ウェアラブル」だけでなく、消費者嗜好の細分化やロングテールを背景に、ニッチで多彩なウェアラブルも、今後ますます増えていって欲しいなぁと思います。

…というわけで、今週のひらブラはここまで。
それでは、また次回の更新でお会いしましょう!

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幅朝徳(はば とものり) 株式会社CRI・ミドルウェア 商品戦略室 室長、CRIWAREエヴァンジェリスト。学習院大学卒業後、CRIの前身である株式会社CSK総合研究所に入社。ゲームプランニングやマーケティング業務を経て、現CRIのミドルウェア事業立ち上げに創業期から参画。セガサターンやドリームキャストをきっかけに産声を上げたミドルウェア技術を、任天堂・ソニー・マイクロソフトが展開するすべての家庭用ゲーム機に展開。その後、モバイル事業の責任者として初代iPhone発売当時からミドルウェアのスマートフォン対応を積極推進。GREE社やnhn社といった企業とのコラボでミドルウェアの特性を活かしたアプリのプロデュースも行う。近年は、ゲームで培った技術やノウハウの異業種展開として、メガファーマと呼ばれる大手製薬会社のMR(医療情報担当者)向けのiPadを使ったSFAシステムを開発、製薬業界シェアNo.1を獲得しゲーミフィケーションやゲームニクスの事業化を手掛ける。現在、さらなる新規の事業開拓や未来のサービス開発を担当する傍ら、ますます本格化するスマホゲームのリッチ化を支援するためにモバイルゲーム開発者におけるミドルウェア技術の認知向上のためエヴァンジェリストとしての活動に注力中。

趣味は、映画鑑賞とドライブ、クロースアップマジック、デジスコによる野鳥撮影、コンパニオンバードの飼育、そしてもちろん、ゲーム。

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