【ひらブラ vol.28】Cocos2d-xに関するニュースと、大学で講義した話
2014-07-25 12:00 投稿
先週は不思議な巡り合わせで、たった2日間で首都圏にある大学を3校も行脚しました。
1校は青山学院大学。かれこれ4年間にわたり、社会情報学部のゼミの成果発表を評価する外部評価員を担当しています。いつも刺激的なアイディアと学生の熱意に驚かされています。もう1校は早稲田大学。こちらはアントレプレナーシップを体系的に勉強するために「生徒」として毎週通っています。
そして、最後の1校が、中央大学です。特別講義を担当しました。
以前からお付き合いのあった中央大学 商学部の斎藤正武(さいとうまさたけ)先生のゼミに所属する学生を中心に、たくさんの大学生が講義に集まってくれました。
民間企業からゲスト講師を招いての講義は過去にも事例があるとのことでしたが、大手企業や有名なIT系企業がほとんどでしたので、ちょっとだけ恐縮(汗)。でも、IT系ベンチャーだからこそ伝えられることを素直にお話しし、学生のみなさんの心に何か少しでも残るものがあればと思い、お引き受けすることにしたのでした。
講演のスライドでは、この「ひらブラ」のキーイラストを使いました。テーマにも「ブラックボックス」をチョイス。ゲーム系やICT系の仕事や業界を志向している学生ならばともかく、一般的な大学生、とくにいわゆる「理系」ではない学生にとっては「ミドルウェア」という概念はまったく未知の存在です。実際に講義のはじめに「ミドルウェアを知ってる人はいますか?」と尋ねても、ほとんど手は挙がりませんでした。
そういうわけで、ブラックボックスとしてのミドルウェアという存在を丁寧に紹介しつつ、ソフトウェア産業の現状を、技術面とビジネス面の両面から説明することにしました。
こだわりとしなやかさ
ボクは講演のときは、必ず、その講演のテーマを冒頭にお伝えするようにしています。でも、社会人ではなく学生に向けた講演ということで、テーマも「まじめ版(?)」と「タグクラウド風」の2つを用意していきました(上記の写真参照)。せっかく授業として貴重な時間を割いて頂くのですから『眠い』講義にはしたくないなぁ、と。もちろん、優秀な中央大学の学生さんが対象ですから、こんな不安は杞憂に過ぎないのですが(笑)。
クローズドな講演機会であったこともあり、具体的な講義の内容については割愛させていただきますが、講義の後半では、エンターテインメントとエンタープライズとの差異と共通点についてや、近年のゲーム業界におけるゲームエンジンの本格的な普及や、ゲーム開発の民主化についても触れました。
講義の最後は、残りの学生生活でどんなことを学ぶべきか?というお話と(今回の講義は大学2〜3年生が対象)、これから社会を変えていくかもしれない最先端の技術やそのトレンドを実際のデモや動画とともにご紹介しました。
下の写真は、今回の講義のラストスライドです。これから社会に飛び出していく学生に向けてのメッセージとして、講義当日に急きょ追加したものでした。
「こだわり」と「しなやかさ」。
いろいろなことを経験し実績を積み重ねていくにつれて、こだわりというのは強くなっていくものです。自分のなかで確固たるこだわりを持つのは、何事を成し遂げるためにもとても重要なことです。信念と言ってもよいかもしれません。その信念が強くなるにつれ、技術トレンドや市場の動向、ユーザ嗜好の変化といった、外的環境にたいする柔軟性も必要になっていきます。
もちろん、こうした変化はずっと前から繰り返し起きていたものなのですが、最近は、その変化のスピードがとてもはやくなってきています。単に流行を追い求めたり成功事例に倣うのではなく、普遍的な価値を探求しつつ、自分のなかのコアコンピタンスを意識しながら(=こだわり)、激変する環境にフィットしていくための気質という意味で、「しなやかさ」という言葉を選びました。
講義終了後、何人かの学生が、質問や講義の感想を伝えに来てくれました。
そのなかの一人の女子大生が見せてくれたノートには、「可搬性/汎用性/再利用性 = 要素技術の重要性」「餅は餅屋」「共有知」といったボクの講義のキーワードとともに、大きな文字で、『こだわりとしなやかさ』と書かれていました。
嬉しかったですね〜。
その後も部屋を移して、斎藤先生を交えて、講義を受講した学生有志とともに、ウェアラブルコンピューティングの今後についてやゲーミフィケーション&ゲームニクスなどについて熱い議論を交わしました。
学生の皆さんに気付きを提供するのが本来の目的でしたが、ボク自身もいろいろと新たな気付きのあるとても良い機会となりました。「もっと大学生時代にマジメに勉強しておけばよかったなぁ…」なんて深く反省したりもするのですが(汗)、その分、これからも学びを怠らずに生きていきたいと思います。
斎藤正武先生、素敵な機会をありがとうございました。
ADX2が最新版Cocos2d-xに対応、さらに…
先述のとおり、中央大の講義でも、ゲームエンジンの台頭やゲーム開発の民主化について、事例とともにご紹介をしました。この2つのテーマについて、CRIWAREの最新ニュースがあるので、この場を借りてご紹介します!
CRIWAREが、ゲームエンジン「Cocos2d-x」をサポートしていることは、以前の記事でもご紹介しました。
【ひらブラ vol.2】 LEDで無重力をつくる話
https://app.famitsu.com/20140124_306801/
【ひらブラ vol.3】ドラクエの起動画面のひみつ(続・Cocos2d-xとCRIWAREの話)
https://app.famitsu.com/20140131_310092/
【ひらブラ vol.4】gumi田村さんに訊く「ズバリ!Cocos2d-xのココが魅力」
https://app.famitsu.com/20140207_313297/
このCocos2d-xの最新版「ver.3.x」系に、当社ミドルウェアのCRIWAREが対応しました。以前ひらブラでCocos2d-xをご紹介したときは「ver.2.x」でしたが、最新版のCocos2d-x「ver.3.x」系ではさらに直感的にiOS/AndroidのマルチOS開発が行えるようになったそうです。
先日(2014年7月18日)、秋葉原UDXで行われた「Game Tools & Middleware Forum 2014」でも早々に満席となった人気セッション「Cocos2d-xの事例紹介と応用」のなかでも、Cocos2d-xを独自に拡張しまた同エンジンの弱点を補うミドルウェアとして、CRIWAREが紹介されました。(講演を担当された日本Cocos2d-xユーザ会代表の清水友晶さん、ありがとうございました!)
このセッションが満席になったということからも、ゲーム業界におけるCocos2d-xへの注目度の高さや期待感が伝わってきます。しっかりCRIもサポートしていきますので、宜しくお願いします。
Cocos2d-xとCRIWAREでどんなことが実現できるかは、ぜひ過去記事(上記リンク参照)をチェックして頂ければと思いますが、たとえば・・・
・高音質な圧縮音声を扱えます、しかもループ再生OK(ADX2)
・複数の音声(BGM含む)を同時にストリーミング再生可能(ADX2)
・スプライトとして動画を再生可能(Sofdec2)
・再生動画に対してCocos2d-xの機能を適用可能(Sofdec2)
・上記のことがiOS/Androidの両OSで実現可能
CRIWAREによって、こんなことができるようになります。
Cocos2d-xとCRIWAREを組み合わせた技術デモ映像のなかから、その一部をご参考までに再掲しておきます。
※各技術デモの詳細は、こちらの記事をご参考ください。
さらに、もうひとつニュースがあります!
CRIは、昨年の2月から「CRI ADX2 LE」という無償版サウンドミドルウェアの提供を開始しています。無償版ADX2である「LE」は、一定の条件のもとで、個人開発者やインディーズに向けてアプリ開発に実際に使えるミドルウェアです。Windows(Visual Studio)版とUnity Pro版がありましたが、今回、ここに「Cocos2d-x版」が新規に追加されることになりました。
個人やインディーズの開発者の方で、ADX2 LEを使いたかったけれどUnityではなくて「Cocos2d-x」を使っていた、という方には朗報です。
「CRI ADX2 LE for Cocos2d-x(無償版)」のリリースは、2014年11月を予定しています。提供開始まで、もうしばらくお待ちくださいね。
今回の2つのニュースについては、CRIのニュースリリースでも詳しく解説しています。
【ニュースリリース】2014年7月18日付
CRI・ミドルウェア、Cocos2d-x Ver.3.x系に対応
Cocos2d-xの本格ゲーム開発をサポート
http://www.cri-mw.co.jp/newsrelease/2014/qn39gm000000d6i9.html
さて、今週のひらブラはここまで。
また来週の更新でお会いしましょう!
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※vol.1-4:福袋も飛行機もゲームも?ゲーム開発を支える”黒い箱”とは
※vol.1-3:福袋も飛行機もゲームも?ゲーム開発を支える”黒い箱”とは
※vol.1-2:福袋も飛行機もゲームも?ゲーム開発を支える”黒い箱”とは
※vol.1-1:福袋も飛行機もゲームも?ゲーム開発を支える”黒い箱”とは
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幅朝徳(はば とものり) 株式会社CRI・ミドルウェア 商品戦略室 室長、CRIWAREエヴァンジェリスト。学習院大学卒業後、CRIの前身である株式会社CSK総合研究所に入社。ゲームプランニングやマーケティング業務を経て、現CRIのミドルウェア事業立ち上げに創業期から参画。セガサターンやドリームキャストをきっかけに産声を上げたミドルウェア技術を、任天堂・ソニー・マイクロソフトが展開するすべての家庭用ゲーム機に展開。その後、モバイル事業の責任者として初代iPhone発売当時からミドルウェアのスマートフォン対応を積極推進。GREE社やnhn社といった企業とのコラボでミドルウェアの特性を活かしたアプリのプロデュースも行う。近年は、ゲームで培った技術やノウハウの異業種展開として、メガファーマと呼ばれる大手製薬会社のMR(医療情報担当者)向けのiPadを使ったSFAシステムを開発、製薬業界シェアNo.1を獲得しゲーミフィケーションやゲームニクスの事業化を手掛ける。現在、さらなる新規の事業開拓や未来のサービス開発を担当する傍ら、ますます本格化するスマホゲームのリッチ化を支援するためにモバイルゲーム開発者におけるミドルウェア技術の認知向上のためエヴァンジェリストとしての活動に注力中。
趣味は、映画鑑賞とドライブ、クロースアップマジック、デジスコによる野鳥撮影、コンパニオンバードの飼育、そしてもちろん、ゲーム。
CRI・ミドルウェア ウェブサイト
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