【ひらブラ vol.24】ミドルウェア「5つの真実」
2014-06-27 12:00 投稿
十数人で始まったCRIも、今では約70人の会社になりました。人数は増えても、当時の良き文化は脈々と受け継がれています。そのひとつが全社員が集まって月に一度行う「月次会議」で、各部門の業務報告の最後に、しめくくりとして社長の講話があります。
今月(6月)の講話は、「いったい我々は何をしている会社なんだろう?ミドルウェアとは何なのだろう?」というテーマでした。
その内容は、長年CRIで働いてきたボクとしてもすごくしっくりくる考え方で、当たり前のなかにも大きな再発見がありました。そこで、少しでも多くのお客様やユーザのみなさまにも知って欲しいと思いました。
そこで、今回のひらブラは、当社社長 押見正雄の講話から、ミドルウェアの「役割」について改めてご紹介したいと思います。
※記事の末尾に、次回「ひらブラ★アカデミア」勉強会の企画案を掲載しております。ちょっと変わった企画なんですが、事前リサーチを兼ねてみなさんのご意見をぜひ教えて下さい(いいね!してくれるだけでもOKです)。
ミドルウェアはコストダウンの手段か?
このブログでもたびたびお伝えしていますが、家庭用ゲーム機もスマホアプリも、ハードの進化と激しい競争のなかで、リッチ化がどんどん進んでいます。リッチ化のなかで開発規模も大きくなり、コストも増える一方です。
こうした「工数削減」や「コストダウン」のためにミドルウェアが役立ちます!という紹介は、実は当社もたびたび行ってきました。このように捉えて頂いているお客様は多いですし、もちろん間違いではありません。
ただ、ミドルウェアはもっぱらコストダウンのための手段ではないのです。
【ミドルウェアの真実】
その1:コンテンツのビジネスチャンスの拡大に貢献できます
ゲーム企業のビジネスの要はゲームそのもの、つまり「コンテンツ」です。プラットフォーマーとの特別な契約や取り決めがない限りは、一度作ったコンテンツは少しでも多くのプラットフォームに展開することが必要で、それがビジネスチャンスに繋がります。
別の言い方をすれば、クリエイターが一生懸命創りあげたコンテンツをひとりでも多くのユーザに届けることは、ユーザにとっても企業にとっても、非常に重要なことです。
過去の記事でも「なぜAndroidに音ゲーが移植されないか」という話題をご紹介しました。何らかの理由で、特定のOSや機種にしかコンテンツを提供できないということは、それだけリーチできるユーザ層が限られてしまうということになります。
そこで、ミドルウェアの出番!というわけです。
上図のとおり、ハードとアプリ(ゲーム)の中間(=ミドル)にあるから「ミドルウェア」と呼ばれています。注目して欲しいのは、図の下の部分、ハードとミドルウェアの境界線のところ。
この境界線の部分、「とげとげ」だったり「カクカク」だったり、してますよね。つまり、本来はこのハードやOSごとの特性や違いを意識したソフト開発をしなければいけないのですが、ミドルウェアを使えば、そこを吸収してくれるというわけです。
図の上部、アプリとミドルウェアの境界線は、シンプルなのがお分かり頂けると思います。つまり、、、
【ミドルウェアの真実】
その2:より多くのプラットフォームへ向けてコンテンツ開発ができます
ということです。
もう少し詳しく言うと、ミドルウェアは「ツール」と「ランタイムライブラリ」の2つで構成されています。
「ツール」というのは、開発用PCで動かすもので、各プラットフォーム向けのコンテンツデータを効率よく作成できます。
「ランタイムライブラリ」というのは、プログラムそのもの(=ブラックボックス)で、各プラットフォーム上で動作し、それぞれのプラットフォームの最大性能を引き出します。
これを図にすると、こんな感じになります。
ツールにもランタイムライブラリにも、長年の研究開発の成果と、数百社という規模のさまざまなクライアント案件のサポートノウハウが注ぎ込まれています。
つまり、、、
【ミドルウェアの真実】
その3:ミドルウェアを使うとリッチなコンテンツが簡単に作れます
【ミドルウェアの真実】
その4:多くのアプリケーション開発会社にご使用いただいております
ということになります。
実績の多さは信頼の証なので、たくさん使われていることは、ミドルウェア選びのなかでも最も大切なポイントと言えます。
ご存知のとおり、CRIは「音声技術」と「映像技術」を得意としています。ここで、、、
【ミドルウェアの真実】
その5:インタラクティブな音声/映像技術はゲーム業界が最先端!
…というわけで、まさに最先端のゲーム業界で培った音声/映像技術だからこそ、ゲーム以外の業界でもいろいろと活躍の機会が広がっていきますし、そうした案件もつぎつぎと増えています。
次世代のミドルウェアを目指して
このように、講話のなかで押見は「ミドルウェアの役割」を再定義するとともに、最後に、これからのミドルウェアの在り方やCRIWAREの未来についても触れました。
ここに書くことは、まだ対外的に発表されたことのある内容ではありませんが、本人の許可を得たうえで、ご紹介させて頂きます。
「従来のコンテンツ」とは
映画/音楽/ゲームなどのようにクリエイターの想いを伝えるためのもの
CRIはそれらに対し、より大きな感動の実現のためミドルウェアを提供してきた
「次世代のコンテンツ」とは
人の感動や驚きそのものがコンテンツとなり、それをクリエイターとユーザが共有するための技術が必要に
現在主流の文字が、音声や映像に置き換わることで、感動や驚きがよりリアルに
「次世代のミドルウェア」とは
クリエイターの想いを伝えるミドルウェアにくわえて
ユーザ同士をつなぐミドルウェアを
今は少し抽象的に感じるかもしれませんが、今後、具体的なプロダクトやサービスでお目にかかることになるかと思います。
これからのCRIのミドルウェアにぜひご期待頂ければと思います。
まとめ:ミドルウェア「5つの真実」
最後に、今回の記事をコンパクトにまとめておきます。
ミドルウェア導入検討時、その有用性や導入目的を整理したり企業内で説明や説得の必要が発生した際は、ぜひ以下のポイントをご参考にして頂ければ幸いです。
【ミドルウェア 5つの真実】
その1:コンテンツのビジネスチャンスの拡大に貢献できます
その2:より多くのプラットフォームへ向けてコンテンツ開発ができます
その3:ミドルウェアを使うとリッチなコンテンツが簡単に作れます
その4:多くのアプリケーション開発会社にご使用いただいております
その5:インタラクティブな音声/映像技術はゲーム業界が最先端!
事前リサーチ:ミドルウェア導入「社内説得の極意」勉強会
「ひらブラ★アカデミア」という、ひらブラの名称を冠したミニセミナーを開催しています。第1回と第2回を先日開催し、ゲーム業界やウェブ業界からデザイナーの方を中心に、プログラマーや企画・プロデューサーの方にご参加頂きました。
テーマは「アルファムービーの作り方」という、デザイナー向けの内容でした。参加した方からは「アルファムービーの作り方はもちろん、アルファムービーそのものの活用法や効果について、より理解が深まった」と、好評を頂けました。
この「ひらブラ★アカデミア」は、今後も継続的に開催したいと思います。
そこで、次の企画をいろいろと考えているのですが、、、例えば、こんな企画はいかがでしょうか?
ひらブラの公式Facebookにも、下記と同じ「企画案」をUPしたので、そのエントリへの「いいね!」がたくさん頂けるようでしたら、実現に向けて準備を進めたいと思っています。
■セミナー名:
「ミドルウェア導入のための『社内説得の極意』を共有しよう!」
■セミナー概要:
「社外ツールやミドルウェアを導入したいけどできない」「プロデューサーや社長を説得できない」「社長だけど開発現場に反対された」「ミドルウェアに頼る前に自分で頑張れ!と怒鳴られた」等々、ミドルウェア導入に際しての「社内説得や調整」にお悩みの方は、実はけっこういらっしゃるようです。
今回のひらブラ★アカデミアは「座談会」スタイルで行います。
ミドルウェア導入の際の参加者それぞれの「悩み」や「失敗談/成功談」、「武勇伝(?)」や「キラートーク」などをグループ内で共有し、必要に応じて、CRIからもアドバイスを行います。
希望者が多ければ、提案者と決裁者に分かれての「ロールプレイングトーク」も実施します。
また、某有名ゲーム企業で初めてのミドルウェア導入を実現した方ご本人によるQ&Aも行う予定です。
CRIWAREに限らず、社外ツールやミドルウェアの導入にお悩みの方はぜひご参加ください。
■参加資格(一例)
・これからミドルウェアを導入しようとしている方
・ミドルウェア導入の社内説得や上司との交渉に悩んでいる方
・ミドルウェア導入の是非を決裁する立場にいる方
・ミドルウェア導入の社内説得の失敗談(または成功談)をお持ちの方
・ミドルウェア企業にお勤めの方(笑)
・ほか、今回のテーマに興味のある方
■備考
・参加者の秘密保持のため、参加時のLiveTweetやSNSへの投稿は原則禁止とします
・参加人数にもよりますが「ワールドカフェ」スタイルでの実施を予定しています
■参加人数枠
10〜20名程度(予定)
■日時
未定
上記のイベント企画に「興味がある」「参加したい」「ぜひ実現してほしい」という方は、こちらのリンク先ページで「いいね!」をして頂けましたら幸いです。頂いた「いいね!」の数を参考に、前向きに実施を検討していきたいと思います。
また、イベント内容についてのアドバイスや「こういう企画はどう?」というご意見もウェルカムです。この下のほうにあるフォームから、どしどしと遠慮なくお寄せください。
というわけで、今回のひらブラはここまで。
では、次回の更新でまたお会いしましょう!
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【バックナンバー】
※【ひらブラ vol.23】ゲームはタブレットをサポートすべきか(アンケート集計結果から)
※【ひらブラ vol.22】CRIロードマップを「ファミ通」読者さま向けに読み解いてみた
※【ひらブラ vol.21】ゲーム実況について語ってみる
※【ひらブラ vol.20】認識系ブラックボックス最前線(Part-2)
※【ひらブラ vol.19】認識系ブラックボックス最前線(Part-1)
※【ひらブラ vol.18】アルファムービーってどうやって作ったらいいの?
※【ひらブラ vol.17】タブレット向けゲームに関する緊急アンケート(プレゼント付)
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※【ひらブラ vol.6】雪を溶かすメカニズム知ってる?(プロデューサー説得トラの巻)
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※【ひらブラ vol.4】gumi田村さんに訊く「ズバリ!Cocos2d-xのココが魅力」
※【ひらブラ vol.3】ドラクエの起動画面のひみつ(続・Cocos2d-xとCRIWAREの話)
※【ひらブラ vol.2】 LEDで無重力をつくる話
※vol.1-4:福袋も飛行機もゲームも?ゲーム開発を支える”黒い箱”とは
※vol.1-3:福袋も飛行機もゲームも?ゲーム開発を支える”黒い箱”とは
※vol.1-2:福袋も飛行機もゲームも?ゲーム開発を支える”黒い箱”とは
※vol.1-1:福袋も飛行機もゲームも?ゲーム開発を支える”黒い箱”とは
※vol.0:創刊準備号ということでジコショーカイ
読者の方からのご意見ご感想やご質問なども大歓迎です。以下のコンタクトフォームからどうぞ。なるべく多くの方のご意見に誠意をもってお返事したいと思っております。
幅朝徳(はば とものり) 株式会社CRI・ミドルウェア 商品戦略室 室長、CRIWAREエヴァンジェリスト。学習院大学卒業後、CRIの前身である株式会社CSK総合研究所に入社。ゲームプランニングやマーケティング業務を経て、現CRIのミドルウェア事業立ち上げに創業期から参画。セガサターンやドリームキャストをきっかけに産声を上げたミドルウェア技術を、任天堂・ソニー・マイクロソフトが展開するすべての家庭用ゲーム機に展開。その後、モバイル事業の責任者として初代iPhone発売当時からミドルウェアのスマートフォン対応を積極推進。GREE社やnhn社といった企業とのコラボでミドルウェアの特性を活かしたアプリのプロデュースも行う。近年は、ゲームで培った技術やノウハウの異業種展開として、メガファーマと呼ばれる大手製薬会社のMR(医療情報担当者)向けのiPadを使ったSFAシステムを開発、製薬業界シェアNo.1を獲得しゲーミフィケーションやゲームニクスの事業化を手掛ける。現在、さらなる新規の事業開拓や未来のサービス開発を担当する傍ら、ますます本格化するスマホゲームのリッチ化を支援するためにモバイルゲーム開発者におけるミドルウェア技術の認知向上のためエヴァンジェリストとしての活動に注力中。
趣味は、映画鑑賞とドライブ、クロースアップマジック、デジスコによる野鳥撮影、コンパニオンバードの飼育、そしてもちろん、ゲーム。
CRI・ミドルウェア ウェブサイト
http://www.cri-mw.co.jp/
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