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スクエニプロデューサー安藤武博氏のブログ“スマゲ★革命”第二十七回 「星葬ドラグニルという戦い~その1~」

2012-08-14 22:24 投稿

●第二十七回 「星葬ドラグニルという戦い~その1~」


今回は、2012年7月23日に発売された『星葬ドラグニル』(詳細はこちら)について書きたいと思います。

2012年に特モバイル二部がリリースしたスマゲ。『ケイオスリングスII』、『拡散性ミリオンアーサー』、『ガーディアン・クルス』……これらに続く第4作品目がこの『星葬ドラグニル』になります。ところで僕は本当の“スマゲ☆革命”が起こるのは来年、2013年であると考えています。2012年は、いわば革命に向けての過渡期といえる重要な時期。携帯ゲーム業界は移り変わりが速いため、言わずもがな毎年が過渡期のようなものなのですが、特モバイル二部と私を主語にすると今年は、もっとも重要な過渡期になります。そのため今年リリースするタイトルには、来年に向けてのさまざまなミッションを設定し、多数のチャレンジも仕掛けています。なかでもこの『星葬ドラグニル』ではもっとも過激なチャレンジが行われ、作品を世に問うた結果、非常に有益なノウハウを得ることができました

本作のチャレンジをひとことで言うと、「家庭用ゲームの創り方を、存分にスマホに降ろしたらどうなるか?」ということになります。これまでの3作品は「スマホをベースとして、そこに家庭用ゲームのロジックを載せてみたらどうなるか?」というものでした。スマゲ最強RPGと言われている『ケイオスリングス』ですら、実はかなりスマホの制限を意識したつくりになっています。今回はその逆を言ってみたらどうなるのか? 家庭用ゲームのつくりかたはスマゲでどこまで通用するのか? というミッションです。これが成功すれば、家庭用ゲームで優れた作品を送り出している開発者が、携帯電話のゲームを手がけても素直にクリエイティブを発揮できる道筋が生まれることになります。現在のスマゲ主流がブラウザを源としたものばかりなので、それ以外の道を模索しておきたかったのです。

まず、最もリスキーだったのがアプリ本体容量に対するチャレンジ。なんと『星葬ドラグニル』は本体容量が1.7GBあります。家庭用ゲームでは、驚くべきデータ量ではないかもしれませんが、アップルが定めている最大容量が2.0GBですから、アプリとしてはほとんど限界まで容量を使い切ったことになります。実際1.7GBのアプリを展開する際に、本体に必要な空きスペースがだいたい3.0GBといわれていますので、本作を遊ぶためにはそれだけのストレージを用意しないといけない。逆に言うと、すでに遊んでくださった数万のお客様は、あるいはアプリを削除しながらインストールをしてくださったわけで本当にありがたいです。

結果としてはやはり大きすぎたというのが“現段階”での印象です。ストレージの容量や回線速度はいずれムーアの法則(※)的に、あっという間に解決されると思いますが、今現在では「ストレージが足りない」、「ダウンロードに時間がかかるのでやめた」という確率が高くなる容量だったと思います。あくまで今年リリースした4タイトルからの肌感覚ですが、いま無理なく落としていただける限界容量は850MBくらいかなと思います。

※Intel社の共同創設者、ゴードン・ムーア氏が1965年に提唱した「半導体チップの集積度は、18~24ヵ月で2倍になる」という法則。転じて、「コンピュータのCPUの性能は18ヵ月で2倍の性能になる」という意味で用いられる。

大容量のリスクは開発途中からわかっていたのですが、それに見合うおもてなしは十分にありますので決して損はさせないようになっていると思います。『ケイオスリングス』シリーズに続いてのフルボイスはもちろんのこと、今回は特モバイル二部のスマゲ初のフル3D(『ケイオス』は戦闘以外のマップは2D)作品。イベントシーンでもキャラクターはバンバン動きますし、いわゆるフェイシャルアニメーションが採用されているのでキャラの表情も豊かです。これは本当にやって良かった。『星葬ドラグニル』は豪華声優が織り成すドラマチック(かつ実に中二病的なアニメ節全開、僕の大好物)なストーリーが魅力ですので、今後も必要なタイトルでは積極採用していこうと思います。もっと言ってしまうと今製作中の別ラインの作品も採用しています。

そのほかも家庭用ゲームでは一般的である、最新の光源処理や法線マップの採用など、ちょっと専門的なので説明は割愛しますが、要するに完全にスマゲの領域を超えた中身になっています。プレイステーション VITAやニンテンドー3DSのゲームソフトと同じくらいのイメージですね。

上の画像はだいぶネタばれになるのですが、プレイしないとわからないので載せちゃいます。このシーンのミナ(CV:水樹奈々さん)の可愛さは、そういった技術の上でなりたっていますし、ここまで表情豊かなスマゲのキャラクターはいままでなかったと思います。この可愛さはクリアしないとわからないので是非遊んでみてくださいね。スマゲの歴史に残る名シーンになっています。ここのミナの可愛さについて語る「先いくねっ! オフ」を開催したいくらい。

まとめると容量の問題は解決しなければならないが、おもしろさを表現するために必要な容量は恐れずにつぎ込みます。ストーリーはゲームではないし、イベントシーンもゲームではありません。ですが、プレイヤーがゲーム部分で重要な意思決定を楽しむ際の盛り上げとしてはとても重要なことだと考えています。特に世界観が大事なRPGにおいては、なおのことです。ただし、ダウンロードしていただく性質の商品において、容量は軽いにこしたことはありませんね。

この問題については、今現在、単純に容量を削減する作業に入っているのと、ダウンロード時間のストレスを軽減するランチャーの実装検討に入っています。ランチャーがないといつダウンロードが終わるのか、“めやす”がわからないですし、その間にハングしたと思ってダウンロードを中断するお客様が多いということもわかってきています。ランチャーを実装するためにはサーバーを立てる必要がありますが、売り切りのゲームであってもこれはやるべきだと思います。

ソーシャル系のゲームが注目されている昨今ですが、来年のスマゲを占う際の戦略的タイトルが『星葬ドラグニル』です。未プレイの方はぜひ遊んでみてくださいね。自分で言うのもなんですが、読後感というかプレイ後感が非常に良いゲームです。「まだコイツらと、この世界で一緒にいたいなー」というアレが本作にはあります。

まだまだ本作のチャレンジの話は続きます。そこから透けて見える未来のスマゲ像の話は次回に!

つづく

 

安藤武博
スクウェア・エニックスのゲームプロデューサーにして、同社のスマートフォンアプリ制作の中核を担う人物。早くからスマートフォン事業に携わってきたことから、アプリに対してはすでに確固たる理論を構築している。それでいて、つねに新たなステージへのチャレンジを忘れないスマートフォン業界の革命児。

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