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スクエニプロデューサー安藤武博氏のブログ“スマゲ★革命”第三回 「おわり」と「はじまり」

2011-10-12 12:58 投稿

●第三回 「おわり」と「はじまり」

前回の記事から今日までの間に、
いくつかの「おわり」と「はじまり」がありました。

それぞれが本当に大きな出来事でした。
今回は連載の続きをいったん止めて、これらのお話をしたいと思います。

まず1つ目は、
「おわり」のお話。

2011年10月1日(頃?)にクリックホイール付きiPodゲームの販売が終了しました。
奇しくも、前回「ソングサマナー」の話題を書いた直後のことでした。

僕とアップル社とのやりとりは、クリックホイール付きiPodからはじまりました。個人的な憶測ですがクリックホイール付きゲームの販売終了は、iPod Classicの販売が終了することを意味するのでしょう。

今となってはゲームも電話もメールもネットすらもポケットに入れてしまったiPod(iPhone)。僕にとってはスマホの原点はクリックホイール付きのミュージックプレイヤーであったiPod。圧倒的な数の音楽を持ち運べた、始めて手に入れた日の衝撃は忘れません。

あれほど革新的なものが、ものの10年で完全に新しいインターフェイスへ移りゆくスピード感に、業界がダイナミックに動いていることを実感します。

ダウンロードのゲームは、それ自体に目に見える形が無いので、ストアから消えてしまうと、本当に何も残らなくなってしまいます。だから本音を言うと、寂寥感のほうが強いです。

目に見えない、手に取れないというのは、これまでのパッケージゲームとの大きな違いです。実際、そこにあるという手応えや手触り。そこからくる充足感。手に取れたほうがいいに決まっている部分は絶対にあります。

今後デジタル配信が市民権を得ても、CDや書籍、パッケージのゲームが完全になくなることは無いと思います。物理的に存在する良さを、如何にしてダウンロードのゲームでも再現するかは、徹底的に考え続けなければならない。これは、現在もそしてこれからも大きなテーマのひとつだと思っています。

ポスターなどの販促物もダウンロードゲームでは作らないことが多いです。ほとんどがオンライン上の告知で十分完結してまうからで、本当になにも残らない。

ポスターなどの形に残る販促物は、自分も含めて制作したスタッフのモチベーションをすごく上げるグッズなのです。ですから、これからはスタッフとお客様へのプレゼント分だけポスターを印刷してもいいかな、なんて思っています。

「クリックホイール付きiPod」。

音楽を沢山持ち出すときは、まだまだ現役で使うつもりです。
いつもありがとう。

お疲れさま。
そして、さようなら。

次に、2011年10月5日に
起こった大きな「はじまり」。

ついに発表されました「iPhone 4S」!

国内においてはキャリアが増えるというニュースもありました。iPhoneのゲームは音楽マーケットと同じように、アメリカと日本が二大市場です。今回の件で、お客様の数が増えて、スマホでゲームを遊ぶ環境がさらに整うのは大変、喜ばしいことです。

キャリアの話で言えば、年初にアメリカでAT&Tに加えVerizonが増えたときには正直、AppStoreでのビジネスに大きなインパクトが残るほどの売上増はありませんでした。

我々のRPGを中心とした作品群は、日本のお客様に強く愛されている傾向があるからかもしれません。ですので、個人的には米国で起こったそれよりも、auの参入には大きな期待感があります。

それにしても、てっきり「iPhone 5」だと思っていたので、まず「4S」だった事に驚きがありました。これは逆に「5」と名前につくものには、相当のサプライズと進化を用意しているという証左でもありますから、はやくも次の発表が楽しみです。

4Sであれ5であれ、必ず年間数回のアップデートや新ハードの発売が行われるというのがiPhone。アンドロイドも季節ごとに新機種が発売されるので、とにかく数カ月ごとにハードが進化していくのがスマホというプラットフォームの特徴。

これまで数年に一度の新ハード発売をサイクルとしてきたゲーム機からすると、このペースはめちゃくちゃ早い。ですが、クリックホイールの時代からアップルと付き合っていると、こんなのもう当たり前です。

このハードのリリースのペースは、結果的にゲームのリリースのペースを良い意味でたきつける事になっているような気がします。毎年新しいiPhoneが出るから、ゲームも負けずにすぐに出さねば、というような気持ちになります。

ソングサマナーのiPhone完全版は半年強、ケイオスリングスは8ヶ月強。続編のケイオスリングスΩは半年弱。移植ではないフルスクラッチのRPGとしては驚異的なスピードの製作期間で創っています。

一方で、スマホに対する要求品質は、ゲーム機と差がなくなってきました。短い期間でゲーム機と遜色のないクオリティを実現させる製作会社のクリエイターの方には本当に頭が下がります。

制作を急ぐのは、スマホがマーケットとしてまだまだこれからなので「制作費をいかに効率的に使っていくか」という問題もあるからです。

有能なクリエイターがスマホで思う存分ゲームを創れるような環境づくりを、これからどうやって創るのか? 日々真剣に考えていかなければ、このマーケットに未来はありません。いま一生懸命考えながら、実践しているところです。(詳しくは次回以降に掘り下げて書きます。)

クリエイターの方々には、いつも制限ばかりかけて申し訳ない気持ちでいっぱいですが、このスピード感でこそ生まれる、新しい時代が必ずあると思います。

「I」発売から1年で2作品目の「Ω」をリリース。二年経たない間に、3作品目の「II」が発売される「ケイオスリングス」シリーズのスピード感と面白さに期待していただければと思います。

ケイオスリングスⅡの関連情報はこちらから

また、同じタイミングでiOS5もクローズアップされました。これも見逃せません。どちらかと言えばこちらの方がアイデアとしてはチャレンジのしがいがありそうです。

個人的にトライを始めようと思っているのがiCloudを使った何か。少なくともゲームのセーブデータのクラウド化はやってみようと考えています。

家のiPadでRPGをじっくり遊んで就寝→翌朝、通勤or通学。電車の中で取り出したiPhoneに、昨晩遊んでいたiPadのデータがiCloudで引き継がれている。このくらいはへいちゃらで、できそうなのがiOS5です。

数年経てば、家のリビングでAirPlayのような技術により、大型のフルHDテレビでiPhoneのゲームが楽しめるようになるでしょう。その時iPhoneはコントローラーに切り替わっている・・・みたいな事が普通になると思っています。

これがどういうことを示しているかというと、おそらく数年後にはパッケージの超大作ゲーム(いわゆるトリプルAタイトル)がスマホでも、TVでも場所を問わずにデータを共有しながら遊べる時代がやってくるということです。

Adobe社による最新型Flash Playerの3D API 「Molehill」などの技術なども一般化すれば、それこそブラウザで3Dバリバリのゲームが簡単に遊べるようになります。

もはや、そのハード専用のアプリであることすら、なくなっていく時代が来るのも夢物語ではないところが、いまの時代の面白いところ。

これが、2011年10月に起こった、大きな「はじまり」のひとつ。

携帯電話の仕事をしているからといって、小中規模のタイトルのことばかり考えていられない時代になりました。いずれ僕達も創ることになる可能性が高いからです。ゲーム機で展開されている大規模タイトルのプロダクションも引き続き要注目。「コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア3」。「アスラズラース」。早く遊びたいです(ファン目線)。

そして、これらに負けない面白さをスマホで皆さんに楽しんでいただけるよう頑張ります。

そして、さいごの「おわり」。
でも、「はじまり」だと思っています。

スティーブ・ジョブズが、いなくなってしまった。

もちろん僕が直接会ったことはなく、クパティーノのアップル本社を訪れたときに「あそこがスティーブのオフィスだよ」と紹介され、「おお、あそこに!」と見上げたくらい。

PSPでもDSでもなく、僕がわざわざiPodのゲームを創ったのは、新しい市場探しもさながら、そもそも個人的にアップル製品LOVEがあったから。ずっと好きだったから。

アップルLOVEがなければ、「ソングサマナー」も「ケイオスリングス」もなかった。

それらがなければ僕が今、携帯電話のゲームを作っていることは無い。ということを考えると、彼とアップルの創りだしたものは、僕個人のゲーム作りや人生に、決定的に大きな影響を与えています。

スティーブ・ジョブズがいなければ、今僕はこうしてスマゲ☆革命など、書いていない。

こんな事、いままで全然意識していなかったけど
僕と同じような人がたくさんいます。

彼がいたから「はじまった」事があるならば、
それは「おわり」ではなく「はじまり」に、他ならない。

なんという幸運だったのだろう。

大きな「はじまり」ばかりを創った本物の革命を、
同じ時間軸で体験できるなんて。

スティーブ・ジョブズ。
iPodとiPhoneを創ってくれて本当にありがとう。

スマホは、あなたによって「はじまり」ました。
あなたが亡くなっても、それは「おわり」ません。

これからもスマホで面白いゲームを創るために、「はじめ」よう。

そうだ!
明日は今日より、良いものを「はじめ」よう。

つづく

 

安藤武博
スクウェア・エニックスのゲームプロデューサーにして、同社のスマートフォンアプリ制作の中核を担う人物。早くからスマートフォン事業に携わってきたことから、アプリに対してはすでに確固たる理論を構築している。それでいて、つねに新たなステージへのチャレンジを忘れないスマートフォン業界の革命児。

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