ローソンを選ぶ理由は『Ingress』にあり!ゲームと現実世界をつなぐビジネスモデル

2016-04-20 23:27 投稿

位置情報技術のスペシャリストが生んだ『Ingress』

2016年4月20日、東京・六本木アカデミーヒルズにて“Google for Mobile Game Bootcamp”が開催された。この記事では位置情報ゲーム『Ingress』の開発・運営を行うNiantic, Inc.によるセッションの模様をリポートする。

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本セッションでは、Niantic, Inc.のアジア統括マーケティングマネージャーを務める須賀健人氏が、“Ingressのビジネス戦略~拡張現実プラットフォームが描く未来~”というテーマで講演。

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『Ingress』は拡張現実技術を利用した位置情報ゲームであり、プレイヤーはGoogleマップの地図上に示される“ポータル”を見つけ出し、所属する勢力の陣地を広げていく。ポータルは歴史的・文化的価値のある建造物やオブジェクトを世界中のプレイヤーが申請し、審査ののち登録。現実世界がゲームフィールドとなり、自分の足で歩き回りながら発見する楽しさが人気だ。

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Niantic, Inc.はもともと、Googleの社内ベンチャーだったNiantic Rabsが独立した会社であり、創業者はGoogle Earthの生みの親として知られるJohn Hanke氏。位置情報のスペシャリストが集まる会社で開発されたのだから、『Ingress』が世界中のプレイヤーを夢中にさせているのも納得だ。

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『Ingress』が目指した4つの原則

そんな『Ingress』を作り出す過程では、以下の4つの原則が指針になっていたという。

●世界が舞台
●動いて遊ぶ
●新しい視点から見ること
●現実世界の友情を作る

ひとつ目の“世界が舞台”とは、世界中、地球上すべての場所をゲームフィールドとし、プレイヤーに外に出て楽しんでほしいという狙い。すでにアメリカ、日本、ドイツなど200以上の国でプレイされており、1500万ダウンロードも間近ということで、成果を収めつつある。

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ふたつ目の“動いて遊ぶ”というのは上記に関連する指針。ゲームが好きだからといって家にこもってプレイするのではなく、『Ingress』を活用して外を散策し、体を動かしてもらうことにつなげようとしている。

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3つ目の“新しい視点で見ること”には、歴史的・文化的な場所や物から新たな発見を促す意図がある。『Ingress』内で登録されているポータルは無数に存在するが、ふだんの生活ではなかなか知ることがない場所や物も多く含まれる。『Ingress』を通じてそれらを目にしたとき、興味を抱いてポータルにまつわる新たな知識をみずから収集し、知識として蓄積されるとすれば、非常に魅力的で発展的な要素であることは疑いの余地もない。

須賀氏自身も、麻布十番でポータルを探すうちに“きみちゃん像”を見つけ、それが童謡“赤い靴”のモデルになった女の子の銅像であることを知ったというエピソードが語られた。

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4つ目の“現実世界の友情を作る”も、現実の生活を豊かにするもの。自分の生活圏がゲームフィールドになる『Ingress』の特性上、知り合ったプレイヤー同士が近い距離にいるため、地域コミュニティなどで新たな友情が生まれやすいという。ほかのオンラインゲームでは難しいプレイヤーどうしの出会いも、『Ingress』なら簡単につながり、そうした交流が世界各地で起こっているそうだ。

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これら『Ingress』が目指すところは現実のものとなっており、通勤や通学時など、ふだんの移動中にポータルを求めてちょっとした遠回りをする人が多数存在する。人々の行動属性に変化を起こすほどの影響力を持った『Ingress』は、ゲーム業界における発明と言っても過言ではないだろう。

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『Ingress』を集客につなげるビジネスモデル

『Ingress』の収益は、ゲーム内課金モデルとパートナーシップモデルによって成り立っている。ただし、ゲーム内課金で大幅に有利になることはないため、より重視しているのはパートナーシップモデルだ。これは、ポータルを見つけるために行動属性を変化させるほどの影響力を持つ『Ingress』を活かし、ポータル化したパートナー企業の店舗に集客を図る戦略であり、いくつかの実例が紹介された。

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ローソンの店舗をポータル化した例では、近くにあればどの店でもいいと考えがちなコンビニエンスストア選びに、少し遠くてもローソンに行こうとする理由付けを提供した。

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三菱東京UFJ銀行のMUFJ(三菱東京UFJフィナンシャル・グループ)でも同様に、支店やATM設置場所をポータル化して認知度アップに成功。さらに、ゲーム内でアイテムを入れておくと利息が付く“MUFJカプセル”を実装し、多くのプレイヤーが利用していることでブランディングにひと役買っている。

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また、全国にある伊藤園の災害用自動販売機もポータル化された。この取り組みは、災害時に無料で飲料を確保できる自動販売機の場所を認識させる狙いが大きいが、通常の売上アップにもつながったという。

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こうした実例からわかるように、『Ingress』は企業と消費者のつながりを強める影響力を持ち、多くの企業が苦労しているオンラインとオフラインの融合戦略も実現することができている。現実世界を舞台とする『Ingress』だからこそ提供できる、優れた価値と言えるだろう。

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『ポケモン』が拡張現実の世界へ

拡張現実技術のスペシャリストとして『Ingress』という実績を上げたNiantic, Inc.は、今年サービス開始が予定される『Pokémon GO』の共同開発にも参加している。多くのプレイヤーを夢中にさせた技術が、『ポケットモンスター』の世界をどのように広げることになるかも注目だ。

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Ingress(イングレス)

ジャンル
オンライン位置情報ゲーム
メーカー
Niantic, Inc.
配信日
配信中
価格
無料(ゲーム内課金あり)
対応機種
無料(ゲーム内課金あり)

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