【ひらブラ vol.13】お台場に1000人のスマゲ開発者が集結!? CRI Uniteレポート(前編)
2014-04-11 12:00 投稿
お台場に1000人以上のスマゲ開発者が集結!?
ゲームエンジンUnityの公式カンファレンスイベント「Unite」が行われ、1,000人以上ものゲームクリエイターやアプリ開発者がお台場に集まりました。前回予告のとおり、CRIも出展&協力したこのイベントについて、全2回に分けてお届けしてまいります。
なにはともあれ、まずはぜひ、こちらの動画をご覧下さい。
この動画は、Uniteのセッション会場で放映したCRIWAREのプロモーション映像です。Uniteでは、セッション間の休憩時間に関連各社から提供された映像が流れます。このなかでは「UnityタイトルでCRIWAREを採用しているゲームアプリのラインナップ」を紹介しています。
さて今回からのブログでは、CRIのセッション内容を中心にダイジェストでご紹介します。お台場までは遠くて来られなかった方も、忙しくて参加できなかった方も、チケットが早々に売り切れてしまって涙した方も、別のセッションを受講して聴けなかったという方も(笑)、ぜひ参考にして頂ければと思います。
前編となる今回は、おもに「動画技術(Sofdec)」について、次回の後編では「音声技術(ADX)」についてご紹介します。
刺激的で魅力的なムービー演出
CRIのセッションはイベント1日目の夜でした。つねに同時に3つのセッションが並行して行われるのですが、CRIと同じ時間枠には、Unity社エンジニアさん直々の「Androidデバイス向け最適化」セッションや「UnityでテキストADVを作ろう!」セッションなど、とても魅力的なセッションがあって「ホントにお客さんが来てくれるかなぁ…」なんて少し心配していました。
結果的には、ほぼ満席という「満員御礼」状態で、ムービー演出という手法にたいする注目の高さを肌で感じることができたのでした。
では、さっそくセッションの内容をご紹介していきます。やっぱり実際のゲームでの事例やデモに興味があると思うので、そのへんをピックアップしてお届けします。
CRIWAREとは何なのか、Sofdecというミドルウェアがどういうものなのかは、これまでのブログ記事でも繰り返しご紹介しているので、ここでは省略します。もしご存知でない方は、過去記事【ひらブラ vol.10】にて最新の動画演出とUnityについてご紹介していますのでぜひご参照下さい。
テクスチャムービーやアルファムービーといった技術についてピンと来ない方は、デモ動画を観て頂ければ、すぐにお解り頂けると思います。
ひとことで説明すると、テクスチャムービーとは、ゲーム画面の好きな場所に動画を貼り付けることのできる技術です。動画に透明値情報を追加できるアルファムービーと合わせることで、ゲーム画面に重ねて動画を貼ることができるので、ゲーム画面の切り替えが不要になり、流れるようなゲーム進行が実現できます。
「UnityタイトルでのCRIWAREの採用は、去年の秋ごろから増えてきています」と、講演を担当した櫻井の弁。今回は、そうしたタイトルのなかから、いくつかの事例をご紹介。
では、最初の事例です。
「ドラゴンリーグA」(アソビズム)では、ガチャやレベルアップ時のカットイン演出にSofdecのテクスチャムービーを採用。また、バトル移行の画面転換の演出にも活用されています。
ちょうど講演当日と同じ日に始まった『巨神襲来』の演出にも、CRIの技術が使われているとのこと。
このアプリでとても印象的だったのは、ゲームがすでにリリースされた状態で、CRIWARE(ミドルウェア)の組込みが行われたという点。「アプリのリリース後にバージョンアップでSofdecが組み込まれたことは、当社のミドルウェアがアプリに組み込みやすく使いやすいことの証拠です!」と、講演を担当した柴田の弁。
次は、レベルファイブ社の「ワンダーフリック」の事例。
戦闘シーンがスマホとは思えないほど豪華なのが、このゲームの特徴のひとつ。その豪華さを縁の下でお力添えしたのが、CRIのミドルウェア。
画面下部のメダルをフリック操作で弾いて攻撃するという操作を解説するチュートリアルシーンに、Sofdecによるムービーが使われています。「ええっ!そうだったの!?」というプレイヤーの方もきっと多いのではないでしょうか。
「デザイナーさんに動画を作ってもらえさえすれば、プログラム上ではSofdecのAPIを呼び出すだけなので、実装は本当にシンプル!プログラムでチュートリアルを作るのは大変なのでオススメです」とのこと。
なお、「ワンダーフリック」は動画ミドルウェアだけでなく、音声技術も使われているので、次回のエントリでご紹介する予定です。
続いての事例紹介は、ギークス社の「双刻のレガリア」。すでに当ブログでもご紹介したアプリですが、Uniteの講演ではより詳しく実装部分について解説がありました。
「あらゆる部分でCRIWAREが活用されている」という本作。バトル時のエフェクトやスキルエフェクト、マップクリアや勝利時の「オーバーレイ演出」に動画を用いています。オーバーレイなので、アルファムービーが多用されています。
また、アプリ内に収録されている動画は1種類であっても、シェーダーで再生時の色を変えてバリエーションを増やすような応用的な使い方もしています。この手法の最大のメリットは、肥大化しがちな動画データの容量を、グッと抑えることができることです。
百聞は一見に如かず!というわけで、実際に、ギークスさんのご協力で講演時にお見せしたゲームシーンの動画をご覧下さい。
そして、ガチャ演出。
ガチャといえば、期待度の演出が大切です。期待度に応じた演出を行うため、複数パートに分割された動画を連結再生しています。最後のシーンではシームレスに(=継ぎ目なく)ループ再生を行い、ユーザによるタッチによって次の動画に遷移するようになっています。うーん凄い!
こちらも、実際のゲームシーンを動画でご覧下さい。
これら3つのゲームの事例紹介後、Unite講演では、抜き合成と光の合成を同時に行うことのできる「アルファプラスムービー」技術やその作り方、ムービーとパタパタアニメの使い分けの手法について紹介がありました。どちらも以前のブログでご紹介しているので、気になる方は過去記事をチェック!
では、実際にUnity上でこれらの動画技術を使うにはどうしたら良いかというと・・・
Unityの「ネイティブプラグイン」という形で提供しているので、UnityのコンポーネントとしてSofdecを使うことができます。
どの機種(ターゲットプラットフォーム)に対応しているかというと、現状は以下のとおり。iOSもAndroidはもちろん対応済みで、Windows OSやMac OS、WiiUでも利用できます。
最後に、Unityに限らず「最近どんなゲームアプリに使われてるの?」という点を知りたい方は、こちらをご参考下さい。
この事例スライドをみてもお分かりのとおり、パチンコ・パチスロ系のアプリでの採用も多くあります。動画や音声を多用するのがこうしたアプリの特徴ですが、そこで鍛えられたのがCRIWAREという技術であるとも言えます。
貴社内プレゼンのお供に「デモアプリ」をどうぞ!
Androidの実機で動く「アルファムービーデモ」をご用意しました。Unite受講者の方に限定して提供しましたが、今回この記事をご覧頂いている方にも特別にダウンロードURLをご紹介します。
※あえてURLはテキストでは記載しませんので、下記スライド記載の内容をご確認のうえ、アプリを取得して下さい。
今回のエントリを見て、動画を活用したゲーム演出を試してみたい!という方、社内の企画会議で技術内容を共有したい!という方、プロデューサーや会社の偉い人にどんな技術かをプレゼンしたい!という方、ぜひ、このアプリをお役立て下さい。
あ、そういえば、ボクの過去のエントリも参考になるかもしれません(笑)。
※【ひらブラ vol.6】雪を溶かすメカニズム知ってる?(プロデューサー説得トラの巻)
今回ご紹介したゲームアプリについて
今回の事例紹介で取り上げた各ゲームアプリについて、ダウンロード情報などをまとめておきます。
いずれもCRIWARE技術のポテンシャルを体感して頂くのに最適ですし、もちろん素晴らしいゲームばかりですので、ぜひ実際にお手元のスマホにダウンロードして、お楽しみ下さい!
ドラゴンリーグA
- ジャンル
- RPG
- メーカー
- アソビズム
- 価格
- 無料(アプリ内課金あり)
- 対応機種
- Android
- コピーライト
- (c)2012 Asobism,co.ltd. (c)2013 Asobism,co.ltd.
ワンダーフリック
- ジャンル
- RPG
- メーカー
- レベルファイブ
- 価格
- 無料(アプリ内課金あり)
- 対応機種
- iOS 6.0 以降/Android 4.0 以上
- コピーライト
- (C)LEVEL-5 Inc.
双刻のレガリア
- メーカー
- geechs inc.
- 配信日
- 配信中
- 価格
- 無料(アプリ内課金あり)
- 対応機種
- iOS 6.0 以降。iPhone、iPad および iPod touch 対応。 iPhone 5 用に最適化済み。Android4.0 以上(一部非推奨端末あり)。
- コピーライト
- (C) 2014 geechs Inc.
さて、今日のブログはここまで。次回は、Unite講演ダイジェストの続編「音声編」をお届けします。「ワンダーフリック」も再登場、さらに、スクウェア・エニックス社の「ガンズアンドソウル」や、Camouflaj社の「Republique」が事例として登場します。お楽しみに!
ではまた、次回の更新でお会いしましょう!
▼後編はこちら▼
※【ひらブラ vol.14】ワンフリ、ガンソ、Republique!人気アプリの「音」のヒミツ
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【バックナンバー】
※【ひらブラ vol.12】行動変容の春だから…「人生をゲーム化してみよう」
※【ひらブラ vol.11】長く遊べるゲームを低コストでつくるには(ナラティブなゲームってなんだろう?)
※【ひらブラ vol.10】ゲームとムービーの歴史を振り返ってみよう!(最新の動画演出とUnity)
※【ひらブラ vol.9】目にみえないデータの恐怖と魅力(Unityオーディオの独自強化)
※【ひらブラ vol.8】CarPlayはOSか?(ゲームのリッチ化とUnityについて)
※【ひらブラ vol.7】スマホで「音ゲー」3つの課題(ハマるな危険!アプリ開発の落とし穴)
※【ひらブラ vol.6】雪を溶かすメカニズム知ってる?(プロデューサー説得トラの巻)
※【ひらブラ vol.5】ギョーカイ用語は「言葉」のブラックボックス
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※【ひらブラ vol.3】ドラクエの起動画面のひみつ(続・Cocos2d-xとCRIWAREの話)
※【ひらブラ vol.2】 LEDで無重力をつくる話
※vol.1-4:福袋も飛行機もゲームも?ゲーム開発を支える”黒い箱”とは
※vol.1-3:福袋も飛行機もゲームも?ゲーム開発を支える”黒い箱”とは
※vol.1-2:福袋も飛行機もゲームも?ゲーム開発を支える”黒い箱”とは
※vol.1-1:福袋も飛行機もゲームも?ゲーム開発を支える”黒い箱”とは
※vol.0:創刊準備号ということでジコショーカイ
読者の方からのご意見ご感想やご質問なども大歓迎です。以下のコンタクトフォームからどうぞ。なるべく多くの方のご意見に誠意をもってお返事したいと思っております。
幅朝徳(はば とものり) 株式会社CRI・ミドルウェア 商品戦略室 室長、CRIWAREエヴァンジェリスト。学習院大学卒業後、CRIの前身である株式会社CSK総合研究所に入社。ゲームプランニングやマーケティング業務を経て、現CRIのミドルウェア事業立ち上げに創業期から参画。セガサターンやドリームキャストをきっかけに産声を上げたミドルウェア技術を、任天堂・ソニー・マイクロソフトが展開するすべての家庭用ゲーム機に展開。その後、モバイル事業の責任者として初代iPhone発売当時からミドルウェアのスマートフォン対応を積極推進。GREE社やnhn社といった企業とのコラボでミドルウェアの特性を活かしたアプリのプロデュースも行う。近年は、ゲームで培った技術やノウハウの異業種展開として、メガファーマと呼ばれる大手製薬会社のMR(医療情報担当者)向けのiPadを使ったSFAシステムを開発、製薬業界シェアNo.1を獲得しゲーミフィケーションやゲームニクスの事業化を手掛ける。現在、さらなる新規の事業開拓や未来のサービス開発を担当する傍ら、ますます本格化するスマホゲームのリッチ化を支援するためにモバイルゲーム開発者におけるミドルウェア技術の認知向上のためエヴァンジェリストとしての活動に注力中。
趣味は、映画鑑賞とドライブ、クロースアップマジック、デジスコによる野鳥撮影、コンパニオンバードの飼育、そしてもちろん、ゲーム。
CRI・ミドルウェア ウェブサイト
http://www.cri-mw.co.jp/
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