『Ingress』4年間の歩み(後編):2016年「さらなる挑戦」

2016-08-01 15:00 投稿

過去最大を記録した先にある挑戦

『Ingress』の成長を支え続けてきたナイアンティック社(NIA)のアジア特活本部長 川島優志氏、アジア統括マーケティングマネージャー 須賀健人氏、さらにこれまで『Ingress』を追いかけてきたライター深津庵の3人が、これまで4年間の歩みを振り返る企画記事。

▼前回まで
はじめに

2012~2014年
黎明期からの飛躍

2015年
NIA独立からの大躍進

【Ingress記事まとめ】
イベントリポートや取材記事も

2016年

おもな動き
2016年──
1月 日本赤十字社と提携
2月 XM“アノマリー“オブシディアン”、フジテレビなど企業からの出資
4月 お台場日本科学未来館とコラボ、東北復興イベント“イニシオ”、オートバックスと提携
5月 伊藤園がXM-Profilerを設置
7月:XMアノマリー“イージスノヴァ”、旅行会社ウィラートラベルと提携&NL-PRIMEを開発

2016
▲川島氏(=青線)と須賀氏(=赤線)のテンショングラフ。

──この年は一部抜粋しても半年とちょっとでこれだけの動きがありました。川島さんの安定した高いテンション、須賀さんはXMアノマリー“オブシディアン”前に25%まで下がりますが、4月からは一気に上がってXMアノマリー“イージスノヴァ”でおふたりともにテンションMAX超えの150%と急上昇していますね。

川島 つい先日ということもあって“イージスノヴァ”の熱がいまも残っています。過去最大規模で開催できたこと、これはくり返しになりますが全国のエージェント、ステージでパフォーマンスを披露してくれたアーティスト、各スポーンサー、ボランティアの皆さんの存在があって成し得た結果です。

──都内各所、広範囲に渡る戦いということで、エージェントの中には移動の合間に写真をつけてSNSに投稿する方が多く見られましたね。

川島 それはうれしいですよね。アノマリーは広さもですが、開催地を訪れ、そこの歴史、文化に触れてもらうのも大きな目的です。それをどう維持しながら規模を広げるかは難しいところなんです。NIAはいま、別のプロジェクトも動いていて、「『Ingress』ユーザーが減ってしまうのでは?」と心配した方も多いようですが、じつはすごい勢いでエージェントが増えているんです。つまり、また日本でXMアノマリーを開催するとなれば、今回以上の規模を考えないといけない。いまは終わったばかりなので想像もつきませんが。

 
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▲XMアノマリー“イージスノヴァ”の会場には多くのエージェントが集結。アフターパーティー会場で披露された各アーティストのパフォーマンスはどれもすばらしかった!!

 

川島 毎回高い目標設定を立ててXMアノマリーを準備していて、たとえば今回の“イージスノヴァ”の場合、チケットだけで言えば1万5千以上売ろうとか、来場者数は1万人以上だと、前回の倍を目指しているので、いつも須賀にはたいへんな思いをさせちゃってるよね。体を壊さず突き進んでくれて本当に助かってます。これも日々の筋トレの成果なのかな(笑)。

──そんな須賀さんでも、“イージスノヴァ”はきつかったようで、イベント終了直後、控室でダウンしていましたよね。それなのに、数時間後には各陣営が主催するパーティー会場に顔を出してくれたことは本当にうれしかったです。

須賀 みんなの顔を見たいんですよ。そして、勝った陣営からはエネルギーをもらい、負けてしまった陣営にはがんばろうぜと伝えたい。あれは、誰かに行けと言われて行動しているのではなく、自分がそうしたくてやっているんです。

──明確な勝者と敗者を決めるXMアノマリーはスポーツと同じだと思います。みんな勝ちたくて挑みますし、そのために多くのエージェントたちが作戦を共有、リーダーの指揮のもと戦場を駆けまわっている。何がよくて悪かったのか、終わった後いろいろと議論されます。その熱量を正しく、士気を高める文字に変換してしっかり伝えようと、みんなが一生懸命SNSで叫んでいるのも知っています。

川島 言葉の力は重要ですよね。政治にたとえると与党と野党、政権交代できるのか否か、それぞれが目指す目標をもって呼びかけます。負けているからこそ、勝ったときに動き出すストーリーが大きなものになるので、レジスタンスにはぜひ勝ってほしいんですよね。ちなみに今回、ヨーロッパからレジスタンスの軍団が、アメリカからはエンライテンドの軍団が参加していたんです。次回はもしっかり世界の皆さんが連携をとれるような戦いになるとおもしろいと思いますね。

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▲国内は浜松で行われたXMアノマリー“オブシディアン”、日本科学未来館、東北4つの地域で開催された復興イベントなど、たくさんの出来ごとがあった2016上半期は思い出話が尽きない。

 

須賀 プレイヤー側から見て今回はどうでした?

──緊張感が違った、というのが第一印象でしたね。絶対に勝ちたいというレジスタンスの想い、一方でエンライテンドはずっしり構えている。実際に現地の戦いに参加しても、両陣営で見ているものが違うんだな、と感じる場面が多かったです。どうやってポイントを稼ぎ、何を攻めて守るのか、これは戦ったみんなが実感していると思います。

川島 それは大きな学びですよね。

須賀 うちでもこんな感じで戦況分析を行ったらおもしろいかもしれませんね。

川島 僕が思うに、今回はエンライテンドも危機感を持って戦っていたと思うんです。レジスタンスは敵サイドに強者の存在を感じ、エンライテンドからすると東京は相手陣営のほうが多いと考えていたんじゃないかと。ただ、ここまでくるとその数はほぼ同数だったと思います。そこに両者がどんな作戦を練ってきたか、新規エージェントをどう導いたか。アフターパーティーでも少し話しましたが、おそらく数年先の未来には現実世界を舞台に、さまざまなレイヤーが重なった情報のうえで戦うゲームが当たり前になっていくと思います。その基盤となるものを体験しているはずなので、これからも楽しんでもらいたいですね。

──自分は“ダルサナ”がXMアノマリー初参加で、当時はスキャナを見ていても、これが戦いになっているのか、いまいち実感がなかったんです。しかし、経験を重ねて迎えた今回、取材中に覗くIntel Mapや、現地で開くスキャナから見えてきたのは間違いなく激戦、そう強く感じることができたましたね。

川島 それは興味深い感覚ですよね。

──当日、自分はシャード戦のゴールにいて、まもなく頭上にみんなが繋ぎ、運んできたシャードたちが飛んでくる。幸いにもそこが大きな公園でエージェント以外誰もいない広場の片隅だったので、対象ポータルの直下で仰向けになって空とスキャナをずっと見ながら、ゴールの瞬間を体で感じようと待ち構えたんです。

川島 空を見ちゃいますよねー!

須賀 飛んでほしいですねぇ!!

──そこに結果、10個のシャードが飛んできて、自分は何もできませんでしたが、本当にその瞬間は気持ちよかったですね。

須賀 あの公園にいたんですね!!

 
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川島 スキャナを介さないと見えないはずのシャードを見上げ、XMを肌で感じる。ジョン自身XMは実際にあって、後はそれをどう感じるかだと言っていますからね。

──事実、エージェントになったいま、スキャナを見ずとも何がポータルなのか直感で気付けることが多くなって、現実世界の見えかたが何倍も刺激的なっているんです。

須賀 顔を上げたほうがポータルを見つけられる、それくらいXMを感じている証ですね。

──インドア派で太陽が苦手だった自分がいま、顔をあげて外を歩いてますからね。その心境の変化もXMを浴びたからなんだと信じています。そうした感覚をもっと楽しんでもらうための試みとして今回、遠方から訪れるかたに向けて“ゆりかもめ探査”という企画を立て、新橋から豊洲、端から端まで各駅ごとに気になるポータルを巡り、登録されている写真を評価、気に入るものがなければ自分で申請する散歩をしたんです。

須賀 やってましたね!

川島 えぇ、それはすごいなぁ!!

──通い慣れたゆりかもめ沿線だったけど発見が多く、記録的猛暑日の炎天下で歩きまわったんですが本当に楽しい散歩だったんです。

ゆりかもめ沿線探査の旅

須賀 その記事を見ていてもね、はやくポータル申請を復帰させたいと感じましたね。

川島 そうなんだよね、まだポータルになっていないものを発見する楽しみもあるもんね。じつは、それに向けたアクションも起こしていて、近い将来再開すると思います。みんなが知らないものを発見、共有していく魅力を伝える。これはNIAが目指すとこでもあるので、これからも努力していきます。

──それでは最後、次回XMアノマリーが日本は瀬戸内で行われると発表されていますが、その後の追加情報をいただけますか?

川島 そこは須賀がね、がっくりしながら、近々丸亀にもいく予定なので……ね。

須賀 あはは、おもしろいものになると思います。いま、河合も含めて話し合っているところで、従来のクラスター戦やシャード戦のほかに、もっと別の楽しみかたもいろいろ検討しているので期待してください。

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【余談】
今回の対談後、ここからはプライベートトークということで昼食を取りながらいろいろな話をした。その中でADAが日本語を覚えたストーリー展開、その音声が声優の緒方恵美さんだという話題から、川島さんが緒方さんの声が実装されたテスト版を披露。スキャナ起動時、各種アイテムを使ったとき、ハックしたとき、トレーニングガイド、陣営を選択する最初の声も全部緒方さんの声。もうね、鳥肌立ちまくりでした。

気になるこのバージョンが反映されるのは“つぎのつぎあたり”とのこと。

いやぁ、マジですごかったぞ!!

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2012~2014年
黎明期からの飛躍

2015年
NIA独立からの大躍進

2016年
さらなる挑戦

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P.N.深津庵&あしたづひむ(撮影アシスタント)
※深津庵のTwitterはこちら

Ingress(イングレス)

ジャンル
オンライン位置情報ゲーム
メーカー
Niantic, Inc.
配信日
配信中
価格
無料(ゲーム内課金あり)
対応機種
iOS/Android

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