フジゲームスの新作RPG『Project7』キャラ原案の前田浩孝氏、音楽の坂本英城氏ら豪華クリエイターインタビュー

2018-06-15 16:00 投稿

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プレカトゥスの天秤

『Project7』のシナリオや世界観に迫る!

Toshl(X JAPAN)氏をサウンドプロデューサーに起用したことで話題となった『オーディナル ストラータ』を提供するフジゲームスが、第二弾のスマホタイトルとして、コードネーム『Project7』を発表した。

開発会社はスマイルラボ。プロジェクトには、世界観・キャラクター原案に前田浩孝氏(Rejet)、音楽に坂本英城氏(ノイジークローク)などの凄腕クリエイター陣を起用していることから、どのような作品に仕上がるのかに期待が寄せられている。

今回は、前田氏、坂本氏とともに、本作プロデューサーである、スマイルラボの伊藤隆博氏を迎えて、本作の開発にかける思いをお伺いした。

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▲左から坂本氏、伊藤氏、前田氏。

『Project7』に隠された意味とは?

――まずは伊藤さんにお伺いいたします。本作はどんなゲームなのですか?

伊藤隆博氏(以下、伊藤) まず世界観の説明になりますが、本作のコードネームである『Project7』の“7”がキーワードになっておりまして、本作の舞台は1900年初頭、オルディア大陸と呼ばれる大陸にある7つの国が舞台となっています。石炭や石油が一般的な資源の時代に、超絶的なエネルギー鉱石(マギカイト鉱石)が発見され、7つの国の中でこれを巡って資源戦争が広がっていきます。

プレイヤーは、歴史の“観測者” として、7つの国それぞれにいる7人の主人公の視点で、それぞれの物語を読み解いていくことになります。7つの国は、自分たちの正義を掲げているのですが、違う国から見たらそれは罪になってしまうこともあります。そこで今回、“僕にとっての正義は、世界にとっての罪なのか……”というキャッチコピーを掲げさせていただいております。

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――マルチシナリオ型RPGということですが、メインとなるストーリー以外のシナリオが用意されているということなんでしょうか。

伊藤 本作は、オルディア大陸で起こる約1年間の戦争歴史をベースに、7の国のシナリオが展開されていきます。たとえば、A国視点の“自分たちがB国に攻める物語”が発生したとすると、B国側視点の“自分たちがA国から攻められた物語”も用意されている、といったようなイメージです。主人公たちは、それぞれの国のメインキャラにあたりますが、プレイヤーはときおり、彼らの行動を選択しなくてはいけない場面があります。その選択により、主人公たちが出会うシナリオが発生します。

――なるほど。単純にメインストーリー、サブストーリー、というわけではなく、同じ時系列の中で複数の視点からのストーリーを楽しめるというわけですね。

伊藤 そうですね。いまのスマホアプリは一本道のストーリーが多いので、コンシューマーのころのように“遠回りをすることで楽しめる仕組み”を入れたいと考えました。とはいってもマルチエンディングというわけではなく、歴史はひとつですし、ゴールも必然的にひとつにはなってしまうのですが、そのひとつの歴史をさまざまな視点から楽しめる“マルチアングル”と、“出会いシナリオ発生” が楽しめるようになっています。

ちなみに、ひとつの国のストーリーは単行本1冊分くらいの分量を想定しています。

――すごい分量ですね! ところで、『project7』のキービジュアルからは、かなりダークな世界観を感じるのですが、この世界観のゲームを作ることになった経緯を教えてください。

伊藤 いまのスマートフォンゲーム市場は、“剣と魔法のファンタジー”の良作が多いので、本作では、1900年初頭の“鉄と蒸気の時代”なものにチャレンジしたいと思いました。“近代・現代”を舞台にしたゲーム世界観は、魔法使いやドラゴンなどのキービジュアルが使いにくいため、本作のキービジュアルは“ダークな世界観”をテーマにしました。そして前田さんに、その世界観にマッチする7人のメインキャラクター原案を依頼し、坂本さんには、その世界観にマッチする7つの国のテーマ曲を依頼しました。

――現在、開発はどのくらい進んでいますか?

伊藤 大枠は70%はできていると思いますので、これからは、キャラクターやシナリオ制作の作業が増えていきます。100人分のキャラクターをLive2アニメーション化したり、バトル用のSDキャラを起こしたり、7ヵ国分のシナリオ用の背景画を制作したり、とにかく分量が多くてたいへんなのですが(笑)。配信目標は2018年秋を目指して開発中です。

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ゲームの世界観は前田氏が支柱に

――前田さんといえば、乙女ゲームとして大人気の『Vitamin』シリーズのキャラクターデザインを手がけたことで有名ですが、今回、前田さんを起用されたきっかけを教えてください

伊藤 最近のRPGは、女性ユーザーの方も遊ばれていることが多いと思います。そこで、「女性向けのデザイン感性を持たれているイラストレーターさんといっしょに、RPGのキャラクター原案を作れないだろうか?」と考えまして、いろいろ調べているうちに、とあるゲームで“強烈に際立ったキャラクター”を見つけてしまって……。それを描いていらっしゃったのが前田さんだったんです。彼に、本作の柱となる世界観を表現してもらえば、そこから広がっていくんじゃないかと思い、「前田さんに会いたい!」と思いまして、会いにいきました。すごく大雨の日だったので、実際にお会いしたときは、僕はずぶぬれでした(笑)。

前田浩孝氏(以下、前田) 最初はどんな案件かも知らされないまま、伊藤さんとお会いすることになったんですね。お会いして、「男性も女性も遊べるダークファンタジーのゲームが作りたい」といわれて、その点においては、自分は向いているほうかなと思いました。伊藤さん、初対面なのに2時間くらい熱く語っていただいて(笑)。世界観などを含めて、いっしょに作りましょうという形になりました。

じつは、最近はアートディレクションの仕事が増えてきていて、今後、ディレクションとイラストレーターどちらを主軸にしようかなと考えていた矢先のお話だったんです。でも、そういった時期に今回のお話を頂いて、伊藤さんのお話をお聞きして、あぁ、これはこのご依頼は受けるべき流れだなと感じたので、本件を受けさせていただきました。

――キャラクター制作時のエピソードなどがあれば教えてください。

前田 シナリオ先行という部分もありましたが、世界観やデザインの方向性が固まっていない状況でした。ただ、時代が1900年代初頭ということ、その中でもスチームパンクにはしたくないなどの希望がありましたので、服装のデザインについては、“1900年代初頭の人間ががんばったら作れる服”というのを意識しています。

――前田さんが描かれた各国の主人公たち7人は、どのように作られたのですか?

前田 7人の主人公を描くときに、ダークファンタジーという共通のテーマがあったのですが、その中で“いい人”から“悪い人”へ伸びる横軸を作ってひとりずつ最初に振り分けていくんです。“この人はダークファンタジーの中でも明るい雰囲気をだそう”とか、“この人は一見明るく見えるけどバックボーンは暗いキャラ”だとか。そこから、悪い人だったらトゲトゲしたシルエットにしてみようとか、イメージを持って描きます。あとは7人並べたときのシルエットのバランスなどを見ながら調整しました。

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▲前田氏の描いたキャラクター“アシュレイ”の原画

伊藤 前田さんのキャラクタービジュアルがシナリオの指針となることもありました。たとえば、前田さんがダークなキャラクターを描いてくれたときに、シナリオも病んでいると重すぎてしまうので、ちょっと明るめにしてみようとか。金髪の男の子が出てきたら、やっぱり煌びやかでメインとなるので、もっと王道なシナリオに変えていこうとか……。

――前田さんのキャラクターがバランサーとしての役割も果たしていたわけですね?

伊藤 そうですね。上がってくる絵と物語が乖離しないように、シナリオ側の調整をしました。

――かなり前田さんのイラストを尊重されたのですね。

伊藤 それはもう! あと、前田さんの原画をLive2D用に起こし直さなくてはいけないのですが、そこで苦労しましたね。ふつうの絵って“ダークな感じ”を出すときに、明暗で表現することが多いのですが、前田さんの絵って、目線や口のわずかな開けかたなど、本当に細かいテクニックでダーク感や色気のを出しているので、そのパーツを少しでも崩すと、「うーん、前田さんの原画のダーク感が薄まるなあ」って……。

原画を納品していただいてから、2ヵ月くらいかかってしまいましたが、前田さんの原画と、Live2Dの特徴をあわせたゲーム用キャラクターデザインに仕上がっているかと思いますので、今後の情報リリースの中でお見せできたら幸いです。

前田 自分の絵がLive2Dで動くというのは初めてなので、楽しみです。

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“切なさ”を表現する坂本氏の楽曲

――では坂本さんを起用したきっかけについて教えてください

伊藤 前田さんと同じように、どんな曲がいいかなあと探していたんです。この曲いいな、この曲もいいなと思っていたら、なんとそれがすべてノイジークロークさんの楽曲だったんですよね。じゃあ、ノイジークロークさん(坂本さん)に会いに行くしかない! と思いました。前田さんにはダークファンタジー感を依頼したので、その世界観を活かすためノイジークロークさんには“切なさ”を依頼しました。

▲メインテーマ楽曲のピアノアレンジバージョン

――坂本さんは“切ない”楽曲を作るのは得意なんでしょうか?

坂本英城氏(以下、坂本) 切ない人生を送ってきたものですから……(笑)。そういう曲調はよく求められますね。ちなみに23年ほど音楽を作ってきてRPGの楽曲を作るのはほぼ初めてです。

――そうなんですね! RPGの楽曲ということでなにか苦労されたことはありますか?

坂本 ストーリーが複雑に絡み合うというのが本作の特徴なので、“この国では正義であっても、ほかの国では罪になる”という二面性をどうやって音楽で表現していこうかというのが悩みましたね。

――坂本さんが本作で制作した楽曲は何曲になりますか?

坂本 全部で9曲ですね。まずは、7つの国のテーマ曲を作りました。7つの国にはしっかりとしたテーマがあったのでとても作りやすかったです。1900年初頭という時代背景から逸脱しないように、あまり現代すぎる楽曲にならないように、などといった条件はありましたが、あとは任せていただきました。楽器によってはその時代にはないものもあるでしょうから、楽器での個性は出さず、曲調で7つの国の特色を表現しました。

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――生のオーケストラで収録したとの噂ですが……。

坂本 このゲームには伊藤さんの熱い思いと、前田さんの世界観があり、打ち込みでそれぞれのキャラクターの心情を表現するのは難しいと思い、これは生で録るしかない! と思いました(笑)。

伊藤 まさかオーケストラとは思ってもみなかったので、すごくうれしかったです。

――お気に入りの曲はありますか?

坂本 やっぱりメインテーマですね。これはもうコードとメロディはすぐできちゃいました。すぐさっとできる楽曲というのは自分の中で納得ができる作品になりますね。でもそこからの編曲が難しかったです。7つのタイプの全く違う国が存在する、この世界そのものを象徴する楽曲にしなければならなかったので、“切ない”という依頼をベースに、どの国を思い浮かべてもらっても外れていない、というイメージで作るのは苦労しました。

――では最後に、みなさんから、読者の方々にメッセージをお願いいたします。

伊藤 7つの国の物語なので、文庫本としては7冊分くらいのシナリオを用意しています。物量も多く苦労は絶えませんが(笑)、7人の主人公が交差する感覚がうまく伝わるように作っていければと……。前田さんのキャラと坂本さんの音楽に合うようなシナリオを作っていきたいなと思います。

前田 伊藤さんのやりたい、熱いものを、自分の絵を使ってどう表現してもらおうかなという試みとなりました。今回、乙女ゲームではなかなか描けないタイプのイラストも描かせていただいたので、どんな風になるのか僕自身も楽しみです。キャラクターそのものというよりも、全体の世界観を楽しんでほしいと思います。

坂本 自分の楽曲がゲーム内でどのように使われているのかというのが、楽しみです。あと、ダークファンタジーの世界ということで、そういうジャンルの楽曲をそろえたのですが、エンディングだけは、明るい楽曲となっていて、その落差がすごいので必ず! 絶対に! エンディングまで到達してほしいです(笑)。

――おお、エンディングも決まっているのですね。

伊藤 そうなんです。やはりRPGですから、エンディングがあるシナリオとなっています。

――いまからリリースが楽しみです! みなさん、ありがとうございました。

プレカトゥスの天秤

対応機種iOS/Android
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ジャンルRPG
メーカーフジゲームス
公式サイトhttps://pj-7.com/index.html
公式Twitterhttps://twitter.com/pj_7_official
配信日配信終了
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