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【モンスト】秘蔵ラフ画像も大量放出!轟絶第5弾“異形なる停滞者”シリーズ生みの親が語る制作秘話|イラストチーム特別インタビュー【9周年企画:第6回】

2022-08-30 07:00 投稿

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2022年10月に9周年を迎える『モンスト』。ファミ通Appではこれを記念し、ミクシィ協力のもと、ふだんは知ることができない制作の裏側に迫る、全9回の企画記事を公開していきます。

その第6回となる今回は、『モンスト』に登場するキャラクターイラストの製作工程にスポットライトを当てていきます。

毎月大量のキャラクターが追加されていく『モンスト』において、キャラクターの個性をひと目で伝えてくれるキャラクターのビジュアル(イラスト)は非常に重要な要素。そんなキャラクターイラストは、私たちの目に届くまでにどのような工程を経て作り出されているのでしょうか?

そんなイラストづくりについて学ぶため、今回はアートディレクターの向後新奈さんにインタビューを行いました。直近で担当された轟絶クエスト第5弾“異形なる停滞者”シリーズを中心に、『モンスト』のイラストがどのように作られているか、詳しいお話をうかがっていきます。

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キャラクターイラスト制作の流れ

――まずは担当されている職務の内容を教えてください。

向後 『モンスト』ではアートディレクターを担当しています。ディレクターとしての業務のほか自分でラフからデザインを仕上げたりもしますし、アートに関するさまざまな業務を担当しています。

――アートディレクターとしての業務とは、デザインの方向性を決定し、クオリティをコントロールするお仕事という認識でよろしいでしょうか。

向後 そうですね。制作パートナーさんとイラストを作っていく際にはイラストの方向性や見せ方などを提案したりして、いっしょにアプリイラストを作りあげていきます。

――イラストの制作にはさまざまな工程があるかと思いますが、どのような流れで進んでいくか教えてください。

向後 通常のキャラクターは、設定の大枠を作るチームから届いた資料をもとに、ラフを内部で制作したり、外部制作パートナーさんに発注することが多いですね。

でも轟絶シリーズは少し特殊なパターンになっていて、最初のテーマや世界観を作り上げるところからアートチームも関わっていって、内部でデザインやコンセプトなどを提案しながら設定を密に詰めていっています。第5弾シリーズでは、とくにその傾向が強かったですね。

――轟絶第5弾というと、“異形なる停滞者”シリーズですね。このシリーズは過去にないようなデザインとネーミングが特徴的ですよね。

向後 すごく特徴的ですよね。轟絶第5弾は、防衛機制 神経症的防衛(心理学:変化に対する防衛)から着想を得て、防衛することで変化を恐れて停滞させてしまう、“停滞者”というテーマを最初に決めていました。

制作では“停滞者”という言葉から連想される単語を書き出していき、キャラクターに落とし込めそうな単語を洗い出すところからスタートしています。そうしてピックアップされた単語からイメージを膨らませながらキャラクターデザインを作り、最終的にデザインが完了したあとに世界観にあわせて名前が付けられていった感じです。

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――キャラクター制作時の資料についてお伺いしたいのですが、キャラクターの属性やアビリティ情報などはキャラクター制作の時点で決まっているのでしょうか。

向後 性能に関してはギリギリまで調整をしていただいている事が多いので、イラストのほうが先に完成していますね。なので、アビリティはイラストが持つ雰囲気やキャラクターが持つ世界観に合わせて付けられることもあります。スピード感のあるイラストができたらそれに合わせてスピード感のあるアビリティがつく、みたいなイメージですね。

――イラスト制作において、もっとも注意している点や意識している点を教えてください。

向後 轟絶モンスターは最高難易度クエストのボスとしてプレイヤーの前に立ちはだかる存在なので、通常の敵キャラクターとはすこし違う畏怖感や恐怖感を与えられるようなキャラになるように意識しています。また世界観も完全な別世界にするのではなく、我々が住む現実世界と繋がりがあるものをイラストの中に入れていたり、よく聞く都市伝説とか怖い話なども表現の中にいれてたりします。

たとえばムラクシャでは、「箱の中身がわからないのってなんか怖いよね」という話から、「開けちゃいけない箱を開けちゃった」、「触れちゃいけないものに触れてしまった」といった感じを出せるようにデザインしています。「怪しい箱を開けたら呪われる」といったストーリーは、童話『浦島太郎』や『おむすびころりん』などにも出てくることが多いので、日本人的にも馴染みが深いのかなという考えもありますね。

そうした制作背景から、ムラクシャの進化前はただの箱に見える姿に、そして進化後には従来のものより異形感が強く感じられる姿にデザインしています。

“モンストらしいイラスト”を生み出す秘訣

――『モンスト』のキャラクターイラストには、共通する“『モンスト』らしさ”のようなものがあると感じています。イラスト制作の際にもそうした点は意識されているのでしょうか。

向後 レギュレーションがカッチリ決まっていて、基本的には線や塗りかたが統一されているのが大きいと思います。それが決まっているからパッと見たときに「『モンスト』っぽいイラストだな」と思える部分があるのではないでしょうか。

あとはイラスト以外の部分で言うと、モチーフをそのままかっこよく描くのではなく「『モンスト』ではこう解釈しました」というアレンジを加えることが多いので、そういう意外性が『モンスト』らしさにつながっているのかもしれません。

――ボール絵にしたときに映えるデザインが多いように感じるのですが、これも何らかのレギュレーションが決まっているのでしょうか。

向後 キャンバスは四角形なのですが、その中に円状のガイドラインがあるんです。必ずそこに入れないといけないわけではないのですが、この中に収まりがいいように描くことを意識してるので、ボール絵にしたときに映えるようになっています。

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――ボール絵はデフォルメが入るためまた感覚が変わってくる部分もあると思うのですが、キャラクターイラストと同じ人が担当されるのでしょうか。それともボール絵担当が別にいるのでしょうか。

向後 基本的にはキャラクターを担当している人がボール絵も担当します。ディレクションでも基本は同じ人が担当しますので、上がってきたボール絵のラフに「デフォルメ感を強くしたり、キャライラストに顔にせをお願いします」と指示を出したり、手直しをすることはありますね。

――ボール絵も一貫して担当されているのですね。キャラクターイラストからボール絵にするうえで、気をつけている点などあれば教えてください。

向後 人間タイプのキャラクターだと手足がどうしても小さくなり、見えにくくなりやすいので、潰れないように気を付けています。体の形がわかるようなデフォルメ感を担保しつつ、ボール絵に落とし込むよう意識しています。

――外注のお話がありましたが、イラストにおける内製と外注の比率はどのようになっているのでしょうか。

向後 細かい比率はちょっとわからないのですが、轟絶キャラや超・獣神祭限定キャラなど、特殊なものに関しては内製でやることが多いですね。この辺りのキャラクターは設定面も含めてかなり作り込む制作になるので、内製メンバーでコミュニケーションをとりながらじっくり進める制作方法にしています。

――“モンストニュース”のPVなどでキャラクターイラストをLive2Dで動かしていることがありますが、Live2D用のモデリングについてもイラスト担当者が行うのでしょうか。

向後 Live2Dに関しては動画チームの方にお願いしています。動かすことが決まっているキャラクターに関してはLive2Dで思い通りに動かせるよう、制作段階でパーツ分けしてデータを作っています。

――キャラクター以外のゲーム内イラスト、例えば“天魔の孤城”のクエストアイコンなども担当されることはあるのでしょうか。

向後 そのあたりは別のチームが制作を担当しています。ただキャラクターイラストが関わる部分があれば、そこの監修依頼が来ることはたまにありますね。

――個人的な興味なのですが、1枚のイラストを制作するのに何枚くらいレイヤーを重ねているのでしょうか。

向後 200程度はあると思いますが、もしかするともっと多いかもしれません。影などはどうしても別レイヤーで作るようになっているので、塗り込みが多いキャラほどレイヤーが多くなってしまうんですよね。たまにレイヤーが増えすぎてデータが重くなってしまっているのも目にしますね……(笑)。

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イラスト制作の裏側

――キャラクター1体が完成するまでにかかる時間を教えてください。

向後 イラストの種類によってバラつきはありますが、轟絶のキャラクターデザインだと案出しからコンセプトが確定するまで1カ月~1カ月半ほどかかりますね。そこからラフ仕上げ、レタッチと、最終工程に進むまで2カ月少々かけて制作しています。

キャラクターデザインの前に存在するキャラクターコンセプトを決める期間も1カ月~1カ月半ほどかかるので、トータルだとだいたい半年程度かかっているのではないでしょうか。

――半年のうち約半分程度がイラストの実制作期間にあたるわけですね。

向後 そうなります。イラストとして見える部分以外のキャラクターの”芯”の部分もしっかり作り込むことが、魅力的なキャラクターを生み出すことにつながると考えているので、時間をかけてはいますが大切な工程です。

――イラスト制作の楽しさ、おもしろさはどのような点にあると思いますか。

向後 自分の世界観を出しながら、ユーザーさんに楽しんでもらっているところが、とくにおもしろいですね。

轟絶シリーズだとキャラデザの中にいろいろな要素を込めているのですが、ユーザーさんの中には「これってこういう意味なんじゃないか?」、「ここの部分はアレが元ネタなのでは?」とイラストから様々な考察をしてくださっている方もいて、ユーザーさんの中で盛り上がっているのが感じられるので、うれしいですね!

――ユーザーの考察の中には当たっているものもあるのでしょうか?

向後 結構当たっているものが多いですね(笑)。たとえば仏教に関するネタを仕込んだ部分では、仏教自体にさまざまな説がある中から「もしかしたらこの説の中のこういう部分を元にしたのではないか」など、すごく詳しく調べていただいていました。合っている部分もちょっと違う部分もあるんですが、そこも含めて楽しんでいます。

ボツ案から生まれたキャラクター

――これまでに担当した中で、とくに苦労したキャラがいれば教えてください。

向後 自分がゼロから担当したものだと、轟絶のアビニベーシャですね。制作自体はスムーズにいったのですが、“執着”がテーマだったので、何に執着したキャラにするのかで悩みました。他人に対する執着なのか、物に対する執着なのか、食に対する執着なのか……。

いろいろな案が出た結果、執着の方向性ごとにそれぞれ違うデザインを作ったんですよ。最終的にもっとも生きることに近いものとして、“食に対する執着”というところに落ち着いたのですが、そこに至るまではどれにするか決めるのに悩みました。

執着

向後 これが最終的に決まったものですね。これは食への執着をメインのモチーフにしつつ、絶食して仏になる即身仏という、食への執着とは反対の要素を組み合わせています。獣神化を遂げてからは自分の欲に抗えず、食への執着を露わにしたというイメージでデザインしました。

向後 “執着”に関するボツ案はいくつかあって、この2案目がほかのデザインに流用されています。

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――これは……クシャーンティでは……?

向後 そうなんですよ(笑)。もともとこれは“人に対する執着”としてデザインしていたものなんです。他人への執着ということで、地縛霊のような、「人を自分のもとにとどめておきたい」という執着をイメージして描きました。

ただ執着をモチーフとする場合、食への執着のほうがわかりやすいということで、現行のアビニベーシャのデザインが選ばれました。でもこちらのデザインも社内で好評だったため、“忍耐”にも使えそうだということでちょっとだけアレンジしたうえで使っています。

忍耐
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向後 こちらはクシャーンティのボツ案で“過去への執着”をテーマに、灯籠流しをモチーフとして入れています。灯籠流しには、死者を送って天に返すような意味があるのですが、それを食い止めて自分の元に集めてしまうイメージです。

カウシーディヤやムラクシャもそうなのですが、毎回1~2案ほど出していて、そこからどちらがいいかなど社内でいろいろ相談しながら決めていく形で進めていますね。

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怠惰2

向後 こちらはカウシーディヤの2案目で、「怠惰で、お布団っぽいやつはどうだろう」と寝ているイメージで描いたものです。ほか案では赤ちゃんのお包みや蚕のイメージも入っていますね。

――ラフの余白にさまざまな書き込みがあるのが印象的でした。

向後 メモのような形でキャラのイメージを描きとめているものですね。どういうイメージで描いているのか、どんなキャラクターなのか説明の際にわかりやすいようにメモ描きをしているのですが、自分用の備忘録としても役立っています。

――轟絶シリーズではモチーフ自体が概念的なキャラクターが多くなっていますが、ここからイメージを膨らませてキャラクターにするというのは大変なように感じます。形を作り上げるまでに苦労はあるのでしょうか。

向後 たとえば“均一”という単語だけある状態から、“均一”らしさが出るモチーフってなんだろう、と関連する資料を探したり、そこから深く調べたりしていく大変さはありますね。

サマの場合は左右対称な印象が強いモチーフとして曼荼羅を選んだのですが、そこからモチーフ自体にはどういう意味や由来があるのか調べていきます。そこから調べた知識や資料などをもとに「じゃあ『モンスト』ではこういう形に落とし込もう」、「歪んだキャラにしたいから本来の意味合いとは真逆のことをさせてみよう」と、連想ゲーム的につなげていってます。

――サマについては個人的に気になっている点があるのですが、曼荼羅の中にいる人がスーツ姿なのはどのような理由でしょうか。

向後 まず前提として、轟絶シリーズでは現代的な要素を入れたいという制作側の方針のようなものがあるんです。それでサマには“人を吸い込んで無個性(均一)な状態にしてしまう”という能力がある設定にし、これを表現するため現代的な無個性の象徴として、スーツを着せられて同じ服装(=無個性)にされた人間を描いています。

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――サマのイラストの曼荼羅部分など、クエストにキャラクターイラストの一部が敵モンスターとして登場することがありますが、あれらにも細かい設定や名前は付いているのでしょうか。

向後 とくに名前らしい名前はないんですよね。ステージ制作担当チームからのここの部分だけイラストが欲しいという依頼が来て、そこだけモンスターとして描き起こしているような形です。

キャラクターデザインの源泉

――これまでイラストを担当してきた中で、いちばん楽しく描けたものがあれば教えてください。

向後 この轟絶第5弾は全体的に世界観やモチーフなど最初から決めさせていただいたので、そういう意味では楽しかったですね。世界観やデザインの方向性から関われたのは、このシリーズが初めてでした。「アジアンテイストで行きましょう」、「仏教をモチーフにしましょう」と提案して、実際に自分でデザインできたので、世界観も統一しやすくてすごく楽しかったです。

――『モンスト』ではコラボイベントも多数実施されていますが、こちらのキャラクターデザインも担当されているのでしょうか?

向後 コラボキャラクターについてはコラボ専門のチームがあるので、コラボチームが担当をしています。ですが、たまにヘルプとしてコラボの方の制作に携わることはありますね。

――では、どんなイラストでも描いていいと言われた場合、どのようなものを描いてみたいですか。

向後 めちゃくちゃ怖いクリーチャーを描きたいです。気味の悪いものが大好きなんですよ(笑)。『モンスト』で出すとしたら敵キャラになっちゃうと思うのですが、めちゃくちゃ怖いボスみたいなやつを描きたいです。

――轟絶第5弾にクリーチャー寄りのデザインが多いのは、そういった理由もあったのですね。

向後 そういう意味では、アビニベーシャはかなり攻めたかもしれないですね。「顔が怖いです」と社内の方からも結構言われました(笑)。

――こうしたクリーチャーデザインのインスピレーションはどのようなところから湧いてくるのでしょうか。

向後 ゲームやホラー映画などを見て、造形の部分などを学んでいる部分はありますね。

轟絶第5弾では宗教観の強いモチーフを多く取り入れていたのですが曼荼羅や仏の衣装の意味など、元になるモチーフについての勉強は結構していました。知識を様々な部分で蓄えつつ一つのキャラにマージしていくイメージでデザインをいろいろ組み合わせています。

なのでデザインしている最中はビジュアルを考えるよりもまずは仏教の本を読んだり、歴史を学んだり、人の心理学みたいな記事を読んだりしてデザイン以外の知識から蓄え、最後にアウトプットとしてキャラデザインをする感じが多いです。

これから挙げる例は虫が嫌いな方は調べないほうがいいと思うのですが、海外の昆虫学者であるウィリアムズ博士という方が昔行なった、“死へのはばたき”として知られる有名な実験があるんです。

蛾のサナギを切断した場合にどのように羽化するのかという実験なのなんですが、カウシーディヤはこの実験のビジュアルにインスパイアを受けてデザインしています。イラストだけを学ぶのではなく、いろんな物事をつなぎ合わせて作っています。

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――最後にユーザーの皆様へ一言、メッセージをお願いいたします。

向後 遊び心で入れたものをリリース後に見つけて反応してもらえると、アート担当としてもすごくうれしくて、制作の糧になっています。イラストに対する皆さんの反応がモチベーションになっています。いつもありがとうございます。

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ジャンルアクション
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