『オートチェス:オリジン』初の世界大会に日本から出場した“tuttu”選手&“Bomeron”選手にインタビュー!勝負を分けた駒選択の裏側に迫る

2019-11-08 18:00 投稿

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Auto Chess:Origin(オートチェス オリジン)

世界に爪痕を残した日本代表にインタビュー!

2019年10月25日~27日の3日間にわたり、中国・上海正大プラザにて開催された『オートチェス:オリジン』による初の世界大会“Auto Chess Invitational 2019”。

本大会には、アジアサーバーランキング1位の実績により招待枠での出場となったtuttu選手(https://twitter.com/tuttu76)、アジア最終予選にて2位に輝き出場権を得たBomeron選手(https://twitter.com/bomeron_lol)の日本人選手2名も熱戦をくり広げた。

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▲表彰式後に肩を組むtuttu選手(写真左)と、Bomeron選手(写真右)。

ファミ通Appでは、現地で試合を終えた直後の両選手にインタビューを敢行! 初の世界大会に参加した心境や、試合を振り返っての感想などを聞いてみた。

また、末尾には本作を手掛けたDragonest社のCEO、Loring Lee氏へのインタビューも掲載。今後のeスポーツ展開やアップデート予定なども語られているので、最後までチェックしてみてほしい。

▼大会の模様は以下の記事をチェック!


tuttu選手

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▲惜しくも準々決勝敗退となったtuttu選手。

――この世界大会、振り返ってみていかがでしたか?

tuttu選手(以下、tuttu) まずは招待選手枠をいただけたことがすごくうれしかったです。実力を本国の方に認めてもらえたということですから。ただ、予選免除という形で参加したので、言ってしまえば1回も勝てていない。そこがすごい悔しいのと同時に、周囲の選手を見ていて「予選に出ていない自分が悔しがっていていいのか?」という気持ちにも正直なりましたね。

――ご自身のアジアランキング1位という肩書きにプレッシャーは感じていましたか?

tuttu 確かに海外のメディアなどでも「tuttuには特別なプレッシャーが掛かっていた」と言われていたようなのですが、僕自身はあまり気にせずプレイできたと思います。けれど後から試合を思い返してみると、いつも通りのプレイはできていなかったのかなと。とくに今大会では選手側から自分の現在順位を確認する手段がなく、「つぎは何位を取れば準決勝に上がれるんだろう?」という焦りが準々決勝の3試合目で出てしまいましたね。

――準々決勝の第3試合は、構成のキーになる駒がなかなか引き入れられない苦しい展開でした。

tuttu 僕はわりと構成を決めるのが早いほうなんですが、今回はかなり遅くなってしまいました。2試合目のときからすでに「ふだんより遅いな」という自覚もあり、それでもその場はうまくいったんですが……、3試合目ではそうもいきませんでしたね。ようやく構成を見極めたと思ったら今度は裏目ばかり引いてしまって、自分の中で「これは切り捨てた」と思った駒がどんどん出てくるようになり。だったらその駒を重ねることも視野にいれようとすると、今度はまったく引けなくなるという……。

――第3試合は“ライフルマン”を引いたことからウイングスへ移行する判断だったのでしょうか?

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tuttu ウイングスハンターと混成ハンターでずっと迷っていました。最終的には混成ハンターを狙ったのですが、ウイングスのパーツ自体も最後までひとつも出なかったですし。結果論ですが、どちらに行っても目がなかったのかなと。運の悪さはありましたが、振り返ると全体的にいいプレイができていなかったという自業自得感もありました。ある意味、腑に落ちる負けかたでしたね。

――一方、第2試合ではド肝を抜くようなデーモン構成で会場を沸かせました。勝因はなんだったのでしょうか?

tuttu 2試合目では、しっかりと勝ち筋が見えていました。そもそも、ラウンド4の時点で“リフレッシュの球”を装備した“ヘブンボンバー”★2を持っているプレイヤーと当たって、「トップ争いをするなら彼と戦うことになるだろうな」と思ったんです。

――たしかに、あれは驚異でした。

tuttu 周囲にはメイジ構成が多かったので、マリーンシナジーを出す構成以外はやらないと心に決めていました。その後、1位争いに食い込んできそうな選手も早い段階でディバインメイジへと移行していたので、相手に取らせない意味で“雷神”をキープしつつ、マリーンシナジーを出せるように自分の盤面に“アクアハンター”や“深海の歩行者”を組み込んでいけたのもよかったです。

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▲準々決勝Bグループ、第2試合にて現行バージョンでは使用者の少ないデーモン構成を使って1位を獲得したtuttu選手。

――メイジに対してデーモン構成を選んだ意図について教えてください。

tuttu メイジに対して“裏切りのデーモンハンター”は相性がいいという目算もあり、かつ周囲にはグレーシャーなどが多くCC(※1)も少ない。となれば本来ならCCに弱くあまり有効ではないデーモン構成も、今回に限ってはいけるのではという考えからですね。

※1…行動阻害系スキルを持つ駒

――デーモン構成はふだんから練習していたのでしょうか?

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tuttu 最近はまったく選んでいなかったのですが、以前は“裏切りのデーモンハンター”がすごく好きで積極的にデーモン構成を狙っていた時期がありました。じつは現在も“裏切りのデーモンハンター”は強くて、グレーシャーデーモンを選んだ相手に対してデーモンシナジーを消せるという大きなメリットがあります。

――そのほか、全試合通して“ライフルマン”を多用されていましたね。

tuttu “ライフルマン”の強みは、やはり序盤と中盤、そして最終盤における火力です。今回は3試合すべて“ライフルマン”を軸にした混成ハンター構成を狙っていました。僕はこのゲームにおいて、ある程度シナジーが出揃ってくるレベル8前後がもっとも重要な時間帯だと考えています。しかし、混成ハンターはそのほかの時間帯で強いぶんレベル8前後で負けがちなので、例に漏れず今回もそこでつまづいてしまった感じですね。

――最後に、今後の『オートチェス:オリジン』に期待することなどがあれば教えてください。

tuttu もっと日本でもはやってほしいですし、今回の“Auto Chess Invitational 2019”ほどの規模でなくてもいいから大会が増えていくといいですね。今後もいくつか大会が開かれる噂は聞いているので、そういった流れに期待していますし、僕もどんどん出場していきたいですね。

Bomeron選手

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▲決勝戦まで勝ち残り、総合7位で大会を終えたBomeron選手。

――決勝戦を戦い抜き、世界7位入りを果たしたいまの率直な感想を教えてください。

Bomeron選手(以下、Bomeron) 『オートチェス:オリジン』は、勝ったときと同じような戦いかたをもう1回やったとしても絶対に同じ結果にはならないゲーム性なので、7位まで登り詰めたという実感は少ないです。「うまいこといったなぁ」という感じ(笑)。ここまで勝ち上がってきた選手は全員ハイレベルなプレイヤーだと思うので、そんな彼らと戦えていい経験ができたなと思います。

――今大会に出場するにあたって、どのような準備をされたのでしょうか?

Bomeron 各出場選手の配信などを見て、選んでいる構成の傾向などを調べましたね。結果、全体的にグレーシャーを選んでいるプレイヤーが多かったんです。グレーシャーは被りさえなければ上位率も高いシナジーなのですが、取り合いになった途端に下位率が高まるので、準々決勝~準決勝ではまず自分は選ばないと決めていました。ただし、決勝に上がってきた選手だけを見るとグレーシャーを選ぶ傾向が少なかったので、決勝に限っては取りにいけたらいこうかなとも。実際、グレーシャーを取りにいったらめちゃくちゃ被ったんですが(苦笑)。

――グレーシャーに加え、決勝ではメイジを選ぶプレイヤーも多かった印象です。

Bomeron メイジ構成を選ぶ場合、序盤でどういう構成からメイジにつなげるかというとメカ系から集めていくのが必勝パターンになります。メイジは最初に持っておいて強い駒というのがないので、メカで補う人が多い。なので、こちらはメカに対するカウンターだといえる“禁忌のデーモンハンター”と“戦神”の優先度を自分の中で上げました。

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――“戦神”は通常攻撃のダメージを軽減するパッシブスキルを持っているためですか?

Bomeron
 そうですね。通常攻撃のダメージを軽減することで相手の駒のMPが溜まり辛くなるので、相手の攻めを遅らせているうちに潰せればという判断でした。また、グレーシャーナイトなどと違ってメイジ構成の場合はメイジの駒自体が★2でも十分と言えるので、4人くらいがメイジ被りをしていてもまったく問題ありません。なので、自分もいけるときはメイジ構成を目指すつもりでもいましたね。

――全体を通して、積極的にレベル4から5レベルへ上げる選択が多かったように思います。どんな意図があったのでしょうか?

Bomeron 一部事故もありましたが★2にリーチがかかった駒が見えていたからですね。ふだんから、レベル4の時点で1勝できており、かつ2駒重なっている駒があればレベル5に上げるという動きをよくしていて。ほかのプレイヤーがレベル4のときにレベル5に上げれば、たとえ★1の駒だけだとしても駒数の多さで勝てることが多いですから。

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――そこでまず勝ちを拾い、リーチの駒を★2にしてさらに連勝を伸ばすと。

Bomeron そうですね。とくにメカだとそのパターンがうまくいくことが多く、だいたい2駒重なっていれば周囲がレベル5になったころには大方★2にできているだろうという経験則でレベル上げを選びました。また、準々決勝~準決勝では上位4位以内に入ることが次戦の進出条件だったので、序盤からライフをできるだけ多く保つという意味でも積極的にその戦法を取りました。しかし、決勝ではそれが本当にうまくいきませんでしたね…。

――振り返ってみて、いちばん印象に残っている試合を教えてください。

Bomeron やはり、準々決勝のいちばん最初の試合で1位を取った場面でしょうか。そこで「勝てるんだな」という手応えを感じたことで、自分の思った通りにやればいいんだなと思えるようになりました。試合前は緊張もありましたが、ゲームが始まると自然と緊張も感じなくなりましたね。

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▲Bomeron選手は準々決勝の第1試合を皮切りに、準決勝でも2度の1位獲得を果たした。

――決勝の大舞台でも緊張はなかったのでしょうか?

Bomeron 決勝に関しても緊張せずにプレイできた……と言いたいところですが、改めて思うとふだん通りとはいかなかった部分もあります。とはいえ大会なので、ほかの選手ももふだんのプレイスタイルとは違うし、ほかが変えてきたぶん自分もそれに合わせてプレイを変えたところがあると思います。変えたことが正解かどうかも正直わからないですし、大会は難しいですね。

――最後に、応援してくれた人に向けてメッセージをお願いします。

Bomeron 自分が予想していたよりも、はるかに多くの人が観戦してくれているなと感じ、すごくうれしかったです。Twitterなどでの応援メッセージも改めてがんばろうという気持ちになれて、そんな声のおかげで自分もここまで上がれたと思っています。皆さんに、応援ありがとうございましたと言いたいです。

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Loring Lee氏インタビュー

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▲中国DragonestでCEOを務めるLoring Lee氏。

――初の世界大会ですが、会場の盛り上がりを体感してみていかがですか?

Loring Lee氏(以下、Lee氏) 想像以上の盛り上がりでした。私たちの『オートチェス:オリジン』はおもしろいゲームであると自負していますが、esportsとして観戦することがおもしろいかどうかについては検証の余地があると思っていました。個人的な意見ですが、“駒”を使う伝統的なゲーム……将棋や囲碁のようなものは、競技性こそあれど観戦すること自体は退屈だったりします。しかし、今回の“Auto Chess Invitational 2019”の盛り上がりを見て、本作がesportsとして観戦することも楽しいゲームだとしっかり確かめることができたと感じています。

――初の世界大会として、これほど大規模な舞台を用意した理由とはなんだったのでしょうか?

Lee氏 本作に観賞性があるか確かめる試験的な側面もありましたが、一方で“Auto Chess Invitational”は今後も年1回ペースで開催していきたいと思っています。というのも、私たちは現在『オートチェス:オリジン』のプロリーグの立ち上げを予定していまして、“Auto Chess Invitational”はそれらプロシーンの“核”となる大会にしていると考えているのです。

――プロリーグ構想がすでに始動しているんですね! さらに詳しくお話いただけますか?

Lee氏 具体的なお話は後日お伝えしますが、現段階ではオンラインとオフラインの両面での開催を考えています。オンライン開催時にはより多くのプレイヤーに参加いただけるはずですし、オフライン開催時は今大会に負けないくらい華やかな舞台にできればと思っています。

――ゲーム内では、今後どのようなアップデートを予定していますか?

Lee氏 協力プレイ的な側面にも力を入れていきたいと思います。現在もDUOモードはありますが、今後4vs4モードも実装予定です。また、オンライン上でトーナメントを開催する機能も追加しようと考えています。ユーザーの皆さんに気軽にトーナメントに参加してもらい、esportsのおもしろさを日常的に感じていただけるようにするのが目標です。

――最後に、日本のユーザーやこれから遊ぼうと思っているゲーマーに向けてメッセージをお願いします。

Lee氏 日本の皆さんが、私たちのゲームをプレイしてくださっていることに感謝しています。もっと多くの方に楽しんでもらえるよう、私たちもさまざまな施策を考えていますので、今後とも応援お願いします!

Auto Chess:Origin(オートチェス オリジン)

対応機種iOS/Android
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ジャンルリアルタイムストラテジー/テーブルゲーム
メーカーDragonest
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