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【モンスト】幻の没タイトル、ストアBAN騒動、イレバンがある理由……生みの親2人が語る歴史秘話|10周年記念木村弘毅✕岡本吉起インタビュー

2023-09-29 12:43 更新

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モンスターストライク

『モンスト』生みの親がふたたび集結!

2023年10月にて、10周年を迎える『モンスト』。今回はその10周年を記念して、『モンスト』の生みの親である株式会社MIXI 代表取締役社長 CEO・木村弘毅氏、株式会社でらゲー/OKAKICHI SDN. BHD. ゲームプロデューサー・岡本吉起氏のおふたりにインタビューを実施しました。

ふたりの出会ったきっかけから『モンスト』が生まれるまでの話を中心に、リリース後に起きた驚きのエピソードや、生みの親だからこそ知っている裏話など、さまざまなお話をお聞かせいただきました。

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▲左から木村弘毅氏、岡本吉起氏。

【話者プロフィール】

■木村弘毅氏(文中:木村)

株式会社MIXI代表取締役社長 CEO

SNS・mixiでプレイできた大ヒットブラウザゲーム『サンシャイン牧場』のコンサルティングを担当し、後に『モンスターストライク』を立ち上げる。2018年に代表取締役社長に就任。

■岡本吉起氏(文中:岡本)

OKAKICHI SDN. BHD. 取締役・ゲームプロデューサー
日本ゲーム文化振興財団 代表理事
株式会社でらゲー ゲームプロデューサー
株式会社ケイブ 取締役

『ファイナルファイト』、『ストリートファイター II』、『バイオハザード』などを手掛けたゲームクリエイター。『モンスターストライク』立ち上げ時には開発を担当。

『モンスト』10周年を迎えて

――まずは『モンスト』が今年で10周年を迎えることについて、率直なご感想をお聞かせください。

木村: 「思えば遠くへ来たもんだ」といった感じですね。『モンスト』を立ち上げた当初は、「モバイルゲームの寿命はそんなに長くない」と言われていた時代だったので、それがいまもトップランナーとして居続けられているのはおもしろい体験をしていると思います。あっという間だったような気もするし、短いようで長いような、不思議な感覚です。

岡本: そうは言っても、木村さんは開発当時「10年間もつようなゲームにしてほしい、そこを目指して運営してほしい」と言っていたんですよね。でも当時の僕は正直なところ「5年しかもたねぇよ」と思っていました(笑)。木村さんが言った通り、アプリゲームが10年もつなんて誰も思っていない時代でしたから。でも当時から木村さんは、そんな時代の中にあっても10年後という未来を見ていたのだと、いまとなって気付かされましたね。

――岡本様が言う通り、やはり10年先のビジョンを見据えてのオーダーだったのでしょうか。

木村: 結果として、先見の明があったような感じになっていますが、実際のところは、単純に苦しみたくなかっただけです(笑)。

岡本: でも、木村さんの予言というか、木村さんが語る将来像って結構当たるんですよね。なので僕は木村さんを“予言者”と表現しています。

――予言、ですか?

岡本: たとえば、開発当時、僕はビジュアルにもこだわりたくて「こんなグラフィックじゃ絶対ダメだ」と言うことがよくあったのですが、木村さんは「ギリいけると思うんだよな」って言うんですよ。木村さん以外のチーム全員が反対に回ってもそう返す(笑)。「ゲーム性があるから大丈夫」と言ってね。そしたら木村さんの“予言”通り、いけちゃうんですよね。

僕もこれまでの経験則から、ある程度の未来は見えているつもりでいるのですが、木村さんのほうが見えている部分もあって、その都度「言ったとおりになったな」と感動していました。

木村: 今となってはグラフィックも良くなりましたけどね。グラフィックはゲームが進化していく中で変わるものだし、変わっていけばいい。

たとえば『ストリートファイター』シリーズだって遊びの本質は大きく変わっていませんが、絵はだいぶ変わっていますよね? 『モンスト』も同じように進化すればいいのだと、そんな感じで考えていました。

『モンスト』ができるまで

――おふたりの接点はどこから始まっているのでしょうか。

岡本: 当時は株式会社394というアプリゲームの開発会社に出入りしていたのですが、そこがmixiゲームとつながりのあるところだったんですよ。そこでMIXIに来たときに木村さんを紹介してもらったんです。その時の印象は「この会社の人はロン毛でないとアカンのかな」といった感じでしたね(笑)。紹介してくれた人も木村さんもロン毛だったので(笑)。

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▲当時の木村氏。

木村: 僕は昔からゲーム雑誌で岡本さんの記事をくまなく読んでいた大ファンで、ゲーム理論とかそういう部分も含めてものすごく尊敬していたんです。それで「あの岡本さんに会えるの!?」と思っていたら……。

岡本: ガラが悪かった?(笑)

木村: 正直にいうとそうですね(笑)。初対面ではけっこう怖かったですね。

――はじめての出会いは今からどれくらい前になるのでしょうか。

岡本: うーん、13年ぐらい前ですかね。

――『モンスト』が生まれる3年ほど前ですね。そこからどのような流れを経て『モンスト』を作ることになったのでしょうか。

岡本: 当時、394として作っていたゲームの息が長くて、そのご相談で木村さんとは定期的に会っていました。そのたびにマーケティングの理論などを聞いていて、「おもろい兄ちゃんやなぁ」と思いながら参考にさせてもらってたんです。

それでMIXIさんがコナミさんと組んで『mixiパーク』というサービスをやるという話を聞いたときに、「ちょっと噛ましてくれへんか」と頼んだのですが、そこでは断られたんです。

木村: ちょっと難しいですよね(笑)。

岡本: 「MIXIの下請けやっとりますー」で行けたらオモロそうやんけと思ったんですが断られて(笑)。それでもうワンチャン欲しいなと思っていたところに『モンスト』の話が来たんです。うれしかったですね、いっしょにやれるのが。

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木村: 『mixiパーク』については、僕も「MIXIという会社はこういうの欲しがってるんじゃないかな」と思いながら作っていたところがありました。

でも「ゲームを作るなら会社の都合とかに配慮して作るのでは十分ではなくて、さらに自分がおもしろいと思えるものを作らないといけないのではないか」という想いもあり、そこで自分の過去を振り返ってみたんです。そしたら、これまでとくに自分が楽しんできたゲームは『ファイナルファイト』に『ストリートファイター』、『バイオハザード』、『モンスターハンター』などであったことに気付きました。

岡本: カプコンのゲームやね。

木村: そうなんです。それで「自分がおもしろいと思えるものを作るのであれば、やっぱり岡本さんと組むのがベストなんじゃないか」と思い、岡本さんにお願いをした感じですね。

ただ、当時はまだガラケーユーザーも多くいたのでブラウザベースのゲームが非常に強かったんですよね。なのでブラウザベースのゲームというのも選択肢のひとつではあったのですが、ブラウザベースのゲームにしてしまえば、岡本さんがこれまでに作られてきたゲームの気持ち良さを全然表現できません。そこで、ガラケーではできない、スマホアプリだからこそできるアクション要素も取り入れたゲームを作ろうと。そこがすべてのスタートラインになりますね。

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岡本: ガラケーだとゲーム性が深く追求できず、追求しようとしてもプラットフォーム側からは「そんなもの作るんじゃない」と言われていた時代でしたね。

それがガンホーさんから『パズル&ドラゴンズ』が出て、大ヒットをしたことで、ようやくアプリゲームにもゲーム性が求められる時代が来たんです。ゲームのサイズ感もスーパーファミコンぐらいの感覚でしたし、「やっと俺の時代が来た!」と思いましたね。アプリゲームがやっとゲーム性を求められるようになったうえで、肥大化する前のこの時期が僕にとってベストでした。

そのタイミングに木村さんからお声を掛けいただいたので、めちゃくちゃうれしかったですね。過去に自分がゲーム会社をひとつ潰していたのもあって、ここが人生のラストチャンスだと思い、ガチで挑もうと心に決めて臨みました。僕にそういった背景があったので、絶対に妥協はしたくなくて、開発当初は木村さんともけっこう厳しくぶつかることもありましたね。

木村: MIXIにとってもラストチャンスだったんじゃないかと思っています。あの当時、スマホの隆盛によってTwitterやFacebookといった黒船SNSが襲来したことで、弊社の主幹事業であるSNSのmixiの業績も急激に悪化していたんです。なので新しい挑戦をするにしてもその回数は限られていましたし、当たり前ですが予算も限られている状態でした。岡本さんは、ご自身の理由から厳しくぶつかることもあったと振り返っていますが、僕は僕の理由から、厳しいスケジュールを提案したりといったこともありましたね。

岡本: お互いに厳しい時代でしたね(笑)。でも、厳し目のスケジュールとは言いつつも、当時噂として出回っていた『パズドラ』の予算や開発期間よりも余裕はもたされていたので、そこは温情だったのかなと思っています(笑)。まぁ『パズドラ』の情報はあくまでも噂だったので、実際のところはわかりませんが。

木村: 当時はまだ、あそこまで動くミッドコアゲームは市場に出ていなかったということもありますから、バランス調整などを含め、当然『パズドラ』よりはかかってしかるべきだと思っていましたから。噂で聞いていたものよりも、気持ち長めに設定させていただきました。それでも、驚異的なスピード感で動かなくてはならないものだったと思います。

――具体的には、どれくらいの開発期間になったのでしょうか?

岡本: 7カ月ですね。より具体的には、6カ月と28日だったと思います。

――スマホアプリ開発を進めるとなった、当時のスマートフォン向けアプリ市場にはどのような印象を抱いていましたか。

岡本: “大航海時代のアメリカ大陸”ですね。『パズドラ』というコロンブスによって新たな市場が発見され、「あそこはすごいぞ」と言うのが世に知れ渡った時代だったので。それで俺らも乗り込むぞ、と意気込んでいました。

――未開拓の大きな市場として見えていたわけですね。スマートフォン向けゲームはまだ黎明期を迎えるかどうかというところでしたが、ターゲットとする客層が見えづらい点などに不安はなかったのでしょうか。

岡本: そこに不安はなかったですね。黎明期とはいえ、本当に勢いがあった時代ですから、普通に考えれば「これから、みんながスマートフォンに移行していく」というのが見えていましたし、少なくとも数年で、世にある携帯電話の85%ぐらいはスマホに入れ替わるだろうというつもりで見ていましたね。

日本人のほとんどがゲームを遊べるデバイスを所持することになるわけです。そうなれば、そこには絶対にターゲットがいますし、その市場は今後も成長していくことが見込まれます。不安よりも期待のほうが大きかったですよ。

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――それでは、そこからどのようにして『モンスト』は誕生したのでしょうか?

木村: 僕は企画を考えるときに“オズボーンのチェックリスト”というものをよく使います。これは“転用”、“拡大”、“縮小”など、9つの発想の転換方法を試して、既存の技術・アイデアに他の使いかたがないか、そして逆転した発想ができないかというのを探す思考実験のような手法です。当時僕は、これを使ってスマートフォンで遊べる『モンスターハンター』の縮小版を作れないかと考えていました。これが『モンスト』の企画の初期段階となります。

当時は『モンスターハンター ポータブル 2nd G』(プレイステーション・ポータブル)が大ヒットしていて、アドホックプレイを利用し、プレイヤーみんなが集まって遊ぶのが流行っていました。家庭用ゲームとしては空前の大ヒットと呼べるぐらいヒットしていて、その販売本数は350万本とか400万本とか、そのぐらいだったと思います。

でもこうした家庭用ゲーム機にはビジネスモデルの限界があります。限界を作る最大の要因は、ゲームを遊ぶために、まず高いお金を払ってゲーム機本体を購入する必要があるという点ですよね。そしてそこからソフトを刷って店舗で流通させる手間もありますし、コントローラーの配置を体で覚え、操作方法も覚えていくというハードルもあります。もちろんゲーム好きの人にとって、こうしたハードルはハードルとして見えないのですが、一般の人からしてみれば、このハードルはめちゃくちゃ高いんです。

――たしかに、遊び始めるまでに用意すべきものはスマホと比べてしまうと多いですよね。

木村: それにも関わらず、『モンスターハンター ポータブル 2nd G』は400万本も売れたんです。

それに比べてスマートフォンはゲームをするしないに関わらず、多くの人が保有するデバイスになりますし、当時すでにノウハウが確立され始めていたフリー・トゥ・プレイのシステムもユーザーに浸透していました。これにより、ユーザーさんの参入コストを限りなく最小限にできていたんです。

またアプリはパッケージの購入ではなくダウンロードという形式だったので、流通の手間・コストも削減できますし、ユーザーさんからしてみても「遊んでみたい」と思ったらすぐに手に入ります。これで導入へのハードルは極めて低くできるようになるので、あとは操作をモバイルの画面でやるためにミニマイズするにはどうしたらいいかを考えればいいだけです。

――複雑な操作をスマートフォン上向けに簡略化していくようなイメージでしょうか。

木村: 『モンハン』だとモンスターの近くにまで走っていって武器を出して攻撃をするわけですが、それをもっとも抽象化するとどうなるかというのを考えました。そこから「ボールが進んでぶつかれば、移動と攻撃を兼ねることができるな」という考えに行き着くわけです。そうやって、とにかくすべてを簡略化していけば、ものすごく大きなパイが取れるのではないかと。それができるのがスマホアプリ市場だと思っていました。

これは「スマホのゲームなんてゲームじゃない」とまだまだ言われていた時代だったので、おそらく当時のゲームメーカーさんでこの可能性に気付いていた方は少なかったのではないでしょうか。そして気付いていたとしても、動き出しの遅さからアドバンテージが取れると。その点、岡本さんはガラケーの時代からmixiゲームでモバイル分野をやっていたので、スタートダッシュさえ切れれば大きくリードできると考えていました。

岡本: 私たちは、とにかくこっちのマーケットのほうが大きくなると言い切っていましたからね、当時。

木村: 岡本さんはゲームクリエイターとしてのクリエイティビティもあるし、ビジネスとしての嗅覚もある人ですから、スマホが出てきたときに岡本さんと組めたというのが、最大の勝因と言っても過言ではないと思っています。映画のようにリッチで大規模なゲームが好きな人だったら、『モンスト』のような企画は絶対に乗ってこない思うんです。だけどそれこそが当たるんじゃないかと岡本さんが思ってくれたからこそ、こうした成功があると思っています。

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――では『モンスターストライク』というタイトルになったのも、『モンスターハンター』から……。

岡本: それは違う(笑)! こればかりは本当に違って、最初は『ドラゴンストライク』というタイトルになる予定だったんですよ。そしたら開発中に、MIXIさんが先に『ドラゴンストライク』という名前のゲームを出しちゃって(笑)。

木村: 正確に言うとMIXIとサイバーエージェントさんの合弁会社が先に『ドラゴンストライク』というタイトルのゲームを出すことが決まっちゃってたんです。

岡本: ほんのちょっと早くにね。ほんのちょっと。

木村: 組織的に繋がりのある会社ですから、実際にそれがリリースされる前に情報が入ってきて、そこで「えぇッ!」と一同驚きましたね(笑)。岡本さんなんかすでにロゴも描いて付箋で貼ってましたもんね。

岡本: 「よし、このタイトルでいこう!」、「このタイトルはいいわ!」って言ってね(笑)。

木村: でもそれが、本当に急遽使えなくなってしまって。それで「ドラゴンが使えないなら、もうちょっと大きな枠でいこう」ということで『モンスターストライク』になりました。

岡本: だから『モンハン』からきたわけではありません。ちなみに僕らが考えていたほうの『ドラゴンストライク』の名前の由来は『ドラゴンボール』から来ていました(笑)。「ボールよりストライクが上やろ!」ってことで(笑)。

木村: ネーミング辞典を読みながら岡本さんと話しながら考えたんですよね。スポーツ関連、その野球の項目あたりを眺めながら「岡本さん新作のタイトル何がいいッスかね」、「ドラゴン……ボール! あ、ボールはあるか……」「じゃあドラゴンアウト、ドラゴンストライク……おっ、これだ!」ってね(笑)。

岡本: 「これや!」と思ってすぐにそれでいこうと決めたのですが、合弁会社側でも同じタイトルを思い付いていたのは想定外すぎましたね(笑)。タイトルはゲームのイメージ全体にも影響する大事なものですし、失ったものは大きかったです。すごく悔しくて、結構ヘコみましたよ。たった7カ月の開発期間のうち、3日間も落ち込んでしまって、仕事になりませんでした。

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――『モンスト』のリリースが10月で『ドラゴンストライク』の発表が4月ですから、かなり早い段階でタイトルが決まっていたんですね。

岡本: いろいろ事情があって、7カ月じゃなく4カ月で出せと言われたりもしていましたからね。ただそこはできないと、最初からハッキリ伝えていましたね。「7カ月で間に合うように作っているから、4カ月の時点では動くものは何もない状態である可能性が高い。4カ月の時点でとりあえず動くようなバージョンを無理矢理作ることもできるが、そうすると最終的なものがあがるのが、当初の予定よりも1~2カ月遅れてしまう」と。

……でもいま思うと、あのときのスケジュールって、たぶん当時の経営陣には通してないよね?

木村: まぁ、そうですね……(笑)。

岡本: いま思い出しても大変でしたね、言っていいのかわからないけど(笑)。

――かなりのスピードで開発されたようですが、どれぐらいの人員が開発に携わっていたのでしょうか。

岡本: スタートの時点では6、7人ぐらいでしたかね。そこに途中から3、4人が加わり、リリース後に好評を得て大増員といった感じだったと思います。

激動の時代を越えて

――『モンスト』リリース後のスマホゲーム市場はどんどん参入が増えていた時期でしたが、それだけにかなり荒れた市場になっていたと思います。その中でトップを維持し続けてこられた理由は、どのようなところにあったとお考えですか。

木村: ひとつは差別化ができていたことだと思います。その中でもとくに大きかったのは、アドホックプレイにこだわったことでしょう。当時からスマホでオンライン環境を利用したゲームはいくつかありましたが、当時はまだ“知らない人と遊ぶオンラインゲーム”という文脈が色濃くありました。なので「せっかくの通信媒体なのに、なんでオンライン上の知らない人と遊べるようにしないのか」という話も結構あったんです。

でも僕たちは、あくまでも“友達と顔を突き合わせて遊ぶ”ということにこだわってやっていたことで、独自のポジショニングができ、そこが大きなアドバンテージとなりました。

対面で遊ぶゲームだと、リアルの友達を誘っていかないといけません。そうなると何が起きるかというと、口コミという強力な宣伝が勝手に動いて、それが膨大なユニークユーザーの獲得に繋がるのです。これが『モンスト』の強みのひとつです。

また、コラボまわりで非常に高い交渉力を持っていたのも大きな要因だったと思います。

――交渉力、ですか?

木村: 『モンスト』は大きなユーザー数を抱えていますから、それを理由に「『モンスト』とコラボをすると話題になる」、「コラボをやるなら1発目は『モンスト』のような大型タイトルがいい」と言ってくれるIPホルダーさんが結構いてくださっています。いろいろなコラボを、ほかのタイトルに先駆けて実施できているのはこのおかげですね。

たとえば『鬼滅の刃』も、あれだけの話題になる前からコラボが決まっていましたし、結果として『モンスト』も起爆剤のひとつになれたのではないかと思っています。こうしたコラボによりまた『モンスト』に人が集まってきて、それがまた高い交渉力の維持に繋がるという流れが作れました。

差別化ができていることと、交渉力を維持できていること。僕の見解だと、このふたつの要素が現在のポジションを維持できている最大の要因だと思います。

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――岡本様の目線だといかがでしょうか。

岡本: 木村さんが挙げた理由に加えて、内部から見ている限りでは“木村さんがいっさいブレなかった”というのも、大きな理由だと思います。木村さんは「こうします」と言った後は、とにかく頑固なんですよ(笑)。だからこそ、一度決まったことをあとから「やっぱり、こうしたいなぁ」と変更されることもなかったので、安心して開発が進められていたんです。結果が出ているので、木村さんは正しい判断をしていたと思いますが、あの確固たるもの、ブレない姿勢はなかなかないものなので、そこは強みだったと思います。

僕は“法律”を決めるという言いかたをするのですが、枠組みとルールをしっかり決めておくことで、チームはそのルールを最大限に利用して運営することができます。そこで「気が変わりました」、「市場の流れが変わったから」なんて言ってルールを変えてしまえば、チームが考えていたことが台無しになりますよね。なので、ブレないことって本当に大事なんですよ。

まだ全体像が見えてない段階からいろいろ決定させられる状況だったので、木村さんも大変なプレッシャーが掛かっていたと思うのですが、おかげで助かりました。

――この10年間にいろいろなことがあったかと思いますが、印象に残っている出来事があれば教えてください。

岡本: デイリーの売り上げで初めて『パズドラ』を抜いた日は、いまだに覚えています。当時は『パズドラ』が不動の1位で、ほかのアプリはどこが2位になるかを競っていました。その中で1位になれたので、とにかくうれしかったですね。

――各種メディアが、すごく大きなニュースとして取り上げた記憶があります。

岡本: その日が来たのが、僕が想定していたよりも1カ月くらい早かったんですよ。いつかは『パズドラ』を越えられる日が来ると信じていたので、個人的には気持ちの準備はできているつもりだったのですが……それでもうれしかったですね。

木村: 『モンスト』が出たころには「おめでとうございます、『パズドラ』は越えられないまでもすごいヒットをしていますよね」みたいなことを本当に各所から言われていたんです。ある意味「伸びてほしくない」という呪いの言葉でしたね。

でも私たちにとって『パズドラ』はこの市場を開拓した、まさに金字塔的存在です。なので私も例に漏れず、ほかのゲームクリエイターと同様に『パズドラ』には強い憧れを抱いていました。それだけに1位になれたと分かった瞬間は、本当にうれしかったですね。

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――『パズドラ』の背中が見えた日、このままいけば届くぞと確信できたタイミングはありましたか。

岡本: 開発中、うちのリードプログラマーに「岡本さんはこのゲームは売れるって言ってますけど、どれぐらい売れると見てるんですか?」と聞かれて、「2位の売り上げになる」と答えたことがありました。それを受けてリードプログラマーは「やっぱり『パズドラ』は越えられないですか」と肩を落としたのですが、僕は「『パズドラ』は抜きます。『クラッシュ・オブ・クラン』に次ぐ世界2位になります」と答えたんです。

僕としては『パズドラ』を越えられない壁だとは思っていませんでした。『モンスト』には友達を誘い合って遊ぶ仕組みがあり、友達がやっていることで離脱も防げるのでDAUも高めに推移します。理論値はうちの方が高く、さらに相手もこちらもドメスティックなタイトルとしてやっていることを考えると、『パズドラ』を越えることは想定の範囲内だったんです。みんな信じていませんでしたけどね(笑)。

木村: どのタイミングで『パズドラ』越えを果たすかはわからないまでも、リリースから毎月6倍で売り上げが推移していたので、そう遠くない未来には越えられるかもしれないとは予想できていました。

岡本: 当時は本当に毎月6倍になっていたので「こりゃ年内に国家予算に追いつくな」と冗談を言ったりもしていましたね(笑)。

木村: ただ振り返ってみれば、売上の成長が停滞する時期があったりもして、ヒヤヒヤした場面がゼロというわけではありませんでした。しかし、自分たちが信じた通りの成長は出来ていたと思っています。

岡本: 木村さんはリリース後すぐに「人生の中でこんな大きなクジ引く機会もうないから、これに懸けて全力でやります」とも言っていましたね。

僕はそのときに「いや、この後人生で何本もこういうクジ引くから心配するな」と言いましたが、その後10年引けていませんね(笑)。

木村: いまは岡本さんの言葉を信じて、また大きなクジを引こうと頑張っています。

――逆にもっとも苦しかった思い出があれば教えてください。

岡本: 初期のサーバーが脆弱だったことですね。リリース当初は、それで本当にくり返しユーザー様にご迷惑をおかけしてしまいました。

木村: いや、サーバーが脆弱でトラブルが続いてしまったわけではないんですよ。これまでのゲーム史上にはない速度でユーザーが増えていったことで、サーバーの増強が追い付かずにサーバートラブルが頻発してしまったんです。当時はSNSのmixiの負荷分散用のサーバーまでもゲームに割り振って対応していたのですが、いくら増強をしても追い付かずで……(笑)。

岡本: 開発から「パッチを当てたんで大丈夫です! 1週間はもちます!」と報告が上がっても、結局伸び率が想定を大幅に上回ったせいで1日でサーバーが落ちるということもありましたね(笑)。本当に過去に類を見ない成長率だったので、いくら余裕を見て算段を立てても、一瞬でそれを追い越されてしまう、ということのくり返しでした。

木村さんがリリース前に、「こういう理由でお詫びのオーブを配って、ユーザーさんに喜んでもらおう!」と配布理由をホワイトボードに書き出していたことがありましたが……そのリストが無駄になるくらいお詫びをさせていただいたのも、いまとなってはいい想い出ですね(笑)。

――たしかに当時の『モンスト』は「久しぶりにログインしたら、めちゃくちゃ石がもらえる」というゲームと言われていたりもしましたね(笑)。

岡本: 「リリースしたら配る理由は山ほどあるから大丈夫」と言ってリストアップを無駄だと止めていましたが、本当にその通りになっていましたね。あれは苦々しい想い出でもありますが、それだけみんなが『モンスト』に熱中してくれていたのだと、嬉しさも大きかった出来事でしたね。

――そのほかに印象に残っている出来事はありますか。

木村: AppleからストアBANされたときはすごく焦りましたね。

岡本: あったあった!

木村: いまとなってはご存知ない方もいらっしゃるかと思いますが、『モンスト』は1度App Storeからアプリが消されたことがあったんです。「売り上げトップのタイトルを落とすのか」とびっくりしましたね。

――当時の騒動を知らない読者のために、経緯を改めてお聞かせください。

木村: 当時よくあった、雑誌などでシリアルコードを配布してゲーム内でオマケがもらえるという仕組みがAppleのガイドライン違反に当たり、それでリジェクトされた形ですね。

それでガンホーさんの社長室にいた知人に電話をして「ストアから落とされちゃったんだけど、これどうしたらいいかな?」と相談したりしていました(笑)。

結局Apple Japanに問い合わせして、修正を加えることですぐに復旧はできたのですが、ストアから消されたというのは本当に衝撃でしたね……。

――ストアから消される前に、事前通告のようなものはなかったのでしょうか?

木村: 事前通告のメールは来ていたらしいのですが、報告までのタイムラグもあってか、僕としてはあまりに突然だという認識でした。

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岡本: 当時はApple側としても『モンスト』を消すことで強い姿勢を見せていたのでしょうね。

木村: 今はシリアルコードまわりもある程度緩和されたようなので、同じようにリジェクトされることはなさそうですね。

“イレバン”はなぜ生まれたのか

――これまでに仕掛けてきた施策の中で、もっとも達成感が得られたものを教えてください。

岡本: 重力バリアやダメージウォールを生み出せたときは、ゲームシステムともしっかりハマって、ゲームの将来を見通せるようになったので、これはひとつの会心の出来と言えるものでしたね。ゲームの寿命も跳ね上がりかたも見えるようになりましたし、これらがなかったらだいぶしんどかったはずです。

木村: これはリリース前の話になるのですが、ボスが途中で逃げるシステムの発明もよかったですね。当然ながら、ボスには一定の歯ごたえが感じられるように作らないといけません。しかしただボスを頑丈にするだけだと、単純作業感が出てつまらなくなってしまいます。これに関しては岡本さんも同意見で「固いボスをチマチマ削るの気持ちよくないでしょ」と言ってくれているので、事実だと思っています。

それで、どのようにしてボスに歯ごたえを与えるべきかと、企画の人といっしょに思案して出てきたのが「ボスが1回倒れたらHPゲージの色が変わって、次のステージに逃げていくようにしよう」というアイデアでした。

当時、僕はただ“ボスが逃げる”というシステムを考えただけだったのですが、これによってステージ遷移が発生するためギミックや敵を再配置できるようにもなったんです。ボスのHPゲージが分割されたことで、攻撃時にはガッツリ削っている感じが得られるだけでなく、ステージ遷移によって味付けが変えられるようにもなり、最後までボス戦を楽しめるようになったんです。

岡本: 僕はボス戦をデザインするにあたっては、「出入りを激しくしてくれ」とずっと言っていたんですよね。ボスが逃げてステージごとにHPゲージが切り替わるようにすれば、攻撃したときにたくさん削っている感覚が得られるので、これは本当にいい発明だと思います。

開発初期のボスステージのデザインでは、ステージの切り替わりがなく、こっちの体力もあまり削られないようなバトルを想定していたのですが、それだと緊張感が続きませんでした。

それでこっちもダメージをたくさん食らうようにしつつ、かわりにステージ移動時のHP回復やハートの要素を追加する。そしてハートにもサイズと成長する要素というものを新たに作って、大量回復したいから取るのをちょっと待つような駆け引きを作る。

このあたりは出入りが激しくなったから追加できたネタで、そこからですね『モンスト』が劇的に面白くなっていまの形の雛形が作られたのは。

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岡本: リリース前の話なら、僕がいちばん大きかったと感じるのは、木村さんの鶴の一声で操作方法を変えたことだと思います。じつは『モンスト』は最初、飛ばしたい方向に指を置いてモンスターを飛ばすシステムになっていたんです。だけど木村さんが途中で「引っ張る操作に変えようよ」と。それで試しに一回やってみたら、パチンコで飛ばしているような感覚で非常に良かったんですよね。

木村: それでも何日かは行ったり来たりしましたね。やっぱり飛ばしたい方向を指で押さえてられるほうが、どこに飛んでいくかはわかりやすかったので、そっちのほうがユーザビリティはいいのではないかという議論があったりして。『アングリーバード』みたいに引っ張って飛ばすのと、どっちがより良いシステムになるのか、本当に迷いました。

岡本: でも僕はあれが効いたと思ってますよ。“ひっぱりハンティング”というキャッチコピーが生まれたのも、引っ張り操作あってこそですから。「スマホで『モンハン』を作ったらこうなるぞ」というゲームですから、ハンティングという言葉と組み合わさっていい語感が産めるのは“ひっぱり”だと思います。

――いちプレイヤーとして気になっていることなのですが、イレギュラーバウンド(イレバン)は意図して組まれているのか、システム上偶然起きてしまっているのか、どちらに当たるのでしょうか。

岡本: 両方ですね。最初は意図して入れたわけではなく、バグだったんです。なので、リリース前に一度そのバグを取り除いてみたのですが……これがまぁおもしろくなくて。それで結局残す形になりました。

イレバンをなくしてしまうと、狭い隙間に挟まってカーンと大ダメージを与えるあの動きもなくなるんですよね。そこは外せないので、イレバンもなくせないんです。

――イレバンをなくすと最善手を組み上げていくだけのゲームになる、というイメージでしょうか。

岡本: そんな感じですね。イレバンがあるからこそ緊張感が出ますしね。たとえばイレバンがあったら、ダメージウォールが出てくるステージに挑む編成も変わってくると思うんです。無難にギミック対応キャラで固めて挑むのか、それとも攻めたメンバーで行くのか。

編成もゲームにおいては非常に重要な要素ですから、イレバンというシステムは、ゲーム的にもけっこう大事な存在なんです。

木村: イレバンのシステムを説明すると……。開発初期では、当たり判定の設計で出てきたバグのようなものでした。ボスを始めとする敵キャラクターの当たり判定、コリジョンは、その姿形に合わせて四角形を組み合わせて作られているのですが、その角の部分にキャラクターが当たると反射角の計算ができずに、イレバンが起きるというシステムです。

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岡本: コリジョンに関しては、円形にしたほうがグラフィックの見た目に合わせた設定がしやすくなるのですが、そうすると反射角がわかりにくくなってしまう。下手をすると壁際に入ってボスに連続攻撃をするとかもかなり難しくなってしまう。

木村: ハネる方向がまったく読めなくなるんですよね。

岡本: なのでコリジョンは、どうしても四角で取らないといけません。しかしキャラクターイラストに対して大きな正方形で当たり判定を取ると、どこまでがコリジョンなのかを見極める作業をしてからでないと、隙間を通り抜けるような動きが難しくなってしまう。そこでドット絵で描いた円のように、『モンスト』ではコリジョンの隅をギザギザにしています。こうすると結果的に四角の頂点が増え、それがイレバンの原因になっています。

イレバンを取り除こうと思えば取り除くことはできますし、先にもお話しした通り1回なくして試してみたこともあります。プレイが全然気持ちよくなくて、おもしろくもなくなってしまいましたが(笑)。

そうした経緯から、結果的にあったほうがいい仕様として残してあります。プログラマーは嫌がりましたけど(笑)。

木村: いまは高難度クエストだと意図してイレバンが増えるような構造を作ることもありますが、それだとやはり厳しい評価を受けることもあるようです。

岡本: 10分ぐらいやって最後の1発が変なところに行けば、そりゃ文句のひとつも言いたくなりますよ(笑)。

ただ結論から言うと、ゲームの致命傷になるようなバグなら今からでも取り除けますが、それが刺激になると思っているので残しているといった状態です。でも何度も議論のテーブルには上がりましたよね、イレバンを取り除くかどうか。

――それでもやっぱりあったほうがいい、という信念のもと残されているわけですね。

岡本: はい。あったほうが絶対におもしろいと思い、残しています。

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これからの『モンスト』

――これまで開発当初の話題を中心にお伺いしてきましたが、今と当時だとおふたりの立場も変わって『モンスト』との関わりかたも変わったことかと思います。現状ではおふたりはどのような関わりかたをされているのでしょうか。

岡本: 僕はもうめちゃくちゃ遠いですね。MIXIさんに出向させているうちの会社の子たちと話をするのと、あとは実際に世に出たものをユーザーとしてチェックしてみるくらいです。

うちの会社の子らがまだ主力でプログラムを組んだりしているので、その子たちと月に1度か2度詳しい打ち合わせはしています。MIXIさんと打ち合わせをするのはまったくないですね。

――その距離感になったのはいつごろからでしょうか。

岡本: 急にいまの距離感になったわけではなく、徐々に離れていった感じなので、具体的にこのタイミングからと言うのは難しいですね。ただ5年前からマレーシアに渡っているのですが、そのころにはもう今の距離感になっていました。この10年の中で『モンスト』と本格的に関わっていたのは、その半分くらいでしょうか。

――木村様はいかがですか?

木村: 僕は会社の社長として、これから『モンスト』が20年、30年と愛されていくにはどうしたらいいか、という問いをチームに投げかけています。

でもテルーマンをはじめ『モンスト』が大好きな人間がチームには多くいるので、どうしたら自分の愛する『モンスト』をもっと長く続けられるかは彼らの中でもテーマになっているようで、僕が口酸っぱく言う必要もない状態ですね(笑)。

ここまで愛されてカルチャーになっているタイトルなので、いまでは『モンスト』を運営し続けていくことが社会的責務だと思っています。いま好きなゲームを将来でも愛し続けられたら、それは最高じゃないですか。そこを目指したいですね。

岡本: ユーザー様の中には、ほかの出費を抑えたりして、少し無理してでも課金してくださっている方もいらっしゃいます。そんな方たちに「サービス終わらせますね」なんて言えないですよ。

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――おふたりが『モンスト』の最前線から退いてしばらく経つかと思いますが、それ以降に起きた『モンスト』の変化で、気になっていることはありますか?

岡本: コラボが増えたことと、コラボキャラクターが強くなったことは印象的ですね。昔はコラボキャラ=キャラクター愛があって手にするものという立ち位置だったのですが、最近ではコラボキャラも強くなって「なるほど、こうなるか」と。

木村: 僕は逆に、もっと変わってほしいと思っていますね。UIやUXといったゲームの中身以外のところはもっと進化していいのかな、と。いまは毎月コラボを実施していることもあって、優先度的にいじる余裕がないのかもしれませんが。

――では今の『モンスト』に足りないものがあるとすれば、どういったものだと思いますか。

岡本: キャラクターが増えてきて、目的のものを探しにくくなっているので、そこは改善してほしいですね。

あとは古いキャラクター縛りができるシステムがほしい。いろいろなクエストに対して、昔のキャラクター縛りでやるか、すべてのキャラクターからやるかを選んでプレイできるようなイメージです。キャラクター縛りでクリアできたときに、追加のご褒美がもらえると嬉しいですよね。

――“歴戦の跡地”をもっと自分なりにカスタムしながら、さまざまなクエストで遊べるようなイメージでしょうか。

岡本: まさしくそんな感じです。Bランクだとここまで使えます、SSランクだとこれだけしか使えません、みたいな感じでね。

縛りをかけながら遊ぶのって楽しいし、ご褒美があればどんなに厳しくても「挑戦してみよう」と思えますから。古いキャラの弱さに驚いたあとで、クリアー動画を検索して実際にやっている人がいるとワクワクするじゃないですか。ぼくはそういうキツい縛りもあるほうがうれしいですね。

――木村さんはどういったものが足りないとお考えでしょうか。

木村: “世界”ですかね。ゲームのタイトル的には海外でも戦えるタイトルだと思っています。

過去にも何度か海外に挑戦してきましたし、それで成功している国もあるのですが、まだ戦えてすらいない国が多いんです。どうにかリベンジできないかと、僕はいまだに考えていますね。

岡本: リリースのとき、インターナショナルでいくかドメスティックでいくかを木村さんに確認したんですよ。それで木村さんがドメスティックを選択されたので、『モンスト』は日本国内でヒットしているタイトルを参考にして日本にフィットするように作っています。全部が国内向けに作られているので、途中からは変えられないですよね。

あのとき「インターナショナルで」と言われていたら、設計は変わっていたかもしれません。

――おふたりがこれからの『モンスト』に期待することをお聞かせください。

岡本: 僕の気持ちとしては、プラットフォームになってほしいと思っています。『モンスト』をプラットフォームとして、課金したものがそのまま他のアプリで使えるようになったら、ほかのシリーズタイトルを遊ぶ喜びも増えますよね。べつのゲームにスライドしても、それまでにしてきた課金が無駄にならないというのも大きいと思います。もし、そうした企画が動くのであれば、そのときもぜひ手伝わせてほしいです。

木村: ゲームの中に人が滞留して、そこがプラットフォームになっていくという仕組みは作ってみたいですね。

岡本: やりましょうよ。俺あと4年で引退するって宣言しているんで、早くやってくれないと手伝えないですよ(笑)。

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木村: 考えてみます(笑)。話を戻しますと、さっきも言った通り、長い目で見ると海外展開には期待したいですね。

もちろん日本の皆様に今後20年、30年と愛されるコンテンツにしたいというのが大前提ではありますが、せっかくなのでこの遊びをインターナショナルに広げていきたいという思いがあるといった感じです。

岡本: 遊びはインターナショナルでいけそうだと思いますが、『モンスト』はその構造上、キャラクターが目立ちにくいのが弱点ですよね。どんどん新しいキャラが出るから、それがキツい。

『ポケットモンスター』のポケモンもその数は確実に増えていますが、数に区切りがありますし、新しいポケモンが出るまでにも時差があるので、それぞれのシリーズが出るごとにポケモンたちにしっかり焦点を当てられます。

しかし『モンスト』は運営型であるがゆえに、キャラクターをどんどん増やしていかないといけません。海外を目指して展開させるのであれば、新キャラクターを増やしていくのではなく、追加の上限を決めて横に展開していくほうが向いているかもしれません。

――最後に、ユーザーの皆さまへメッセージをお願いいたします。

木村: 今後もさまざまな驚きを振りまいていきたいと思うので、ぜひお友達やご家族をお誘い合わせのうえ、楽しんでいただけたらと思います。

岡本: 10年間愛していただけたことにすごく感謝しています。ここから先20年30年と、本当にそれが実現するかはわかりませんが、みんなが応援してくれる限り『モンスト』は進化し続けていくと思います。常にその期待の少し上をいけるように、うちの会社でも頑張っていこうと思います。これからもよろしくお願いします。

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