『RPGタイム!』のデスクワークス最新作は前代未聞の“2画面RPG”!『World Ⅱ World』ディレクターインタビュー【TGS2022】

2022-09-17 15:39 投稿

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World Ⅱ World(ワールド・ツー・ワールド)

デスクワークスが運営型スマホゲームに挑戦!

2022年9月15日から9月18日にかけて“東京ゲームショウ2022”が開催中。この会場のアニプレックスブースでは、スマートフォン向け新作RPG『World Ⅱ World(ワールド・ツー・ワールド)』が展示されている。

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この『World Ⅱ World』の開発を担当するのは、『RPGタイム! ~ライトの伝説~』(以下、『RPGタイム!』)で知られるデスクワークス。インディーゲームで数々の賞を獲得した彼らがスマートフォン向けRPGを手掛けるということで、どのようなタイトルになるのか注目が集まっている。

今回はデスクワークスより、ディレクターを務める藤井トム氏にインタビューを敢行。本作の開発に至った経緯や、『World Ⅱ World』の魅力など気になるお話を伺った。

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――はじめに、新作『World Ⅱ World』の開発が決定した経緯をお聞かせください。

藤井 前作『RPGタイム!』もアニプレックスさんにパブリッシングをお願いしているのですが、じつはその話が決定するよりも先にアニプレックスさんから「なにか新しいタイトルはないか」とお声かけいただいていたんです。

我々としても『RPGタイム!』以外のアイデアが溜まっていて新しいゲームを作る機会を探していたところだったので、いくつか企画を提案させていただきました。その中で、この2画面RPGを気に入っていただき、プロジェクト化に至ったという流れです。

――『RPGタイム!』以前から話が動いていたのですね。

藤井 2019年ごろだったかと思いますが、『RPGタイム!』の展示を通してアニプレックスさんにお声かけいただいたんです。

その時点では『RPGタイム!』のパブリッシャーとして名乗り出ていただいたわけではなかったのですが、ちょうど開発資金が枯渇していたこともあり、いいタイミングでしたね。そこから『World Ⅱ World』の開発と『RPGタイム!』の開発を並行して進めていました。

――『RPGタイム!』ではデスクワークスのおふたりを中心に、何人かがお手伝いをしながらの開発だったとうかがっています。今回の新作も開発はデスクワークスのおふたりがメインで行われるのでしょうか? それともアニプレックス様からも人員が追加されるのでしょうか?

藤井 『World Ⅱ World』のプロトタイプは、南場と私のふたりで作りましたが、スマートフォン向けの大型のRPGとなると我々のチームだけでは開発力がそもそも足りないので、本作の開発には多くの方に携わっていただいております。

現在では、プログラムを北海道の企業様、グラフィックは東京の企業様にお願いし、我々は企画とシナリオを担当する形で進行しています。弊社が大阪にあるので、大阪・東京・北海道でそれぞれ連携して開発する形ですね。ちょうどコロナ禍と重なったことで、はからずもリモート開発というナウな開発環境になりました(笑)。

――携わっている人間の総数としてはどの程度の規模になるのでしょうか。

藤井 カードイラストをフリーランスのイラストレーターさんにお願いしていたりするので正確な数字は難しいのですが、大規模でも小規模でもない、いわゆる中規模なタイトルになると思います。

――今作において、デスクワークスのおふたりはどのような立ち位置になるのでしょうか。

藤井 今回は私がディレクターを務めていて、南場が演出やキャラクターモーションの監修を行っています。南場は『RPGタイム!』で鉛筆画をすべて描いていた男ですね。立場は変わりましたが、もちろんアイデア出しも行っています。

――前作は構想16年というかなりの構想時間、開発時間をつぎ込んだ作品と伺っています。今回のRPGについても、構想はかねてより温めていたものになるのでしょうか?

藤井 まさに『RPGタイム!』の開発中にアイデアを温めていました。2画面に分割するアイデアを思いついたのは、たぶん2013年ごろのスマートフォンが爆発的に普及していった時期だったと思います。縦長の画面は片手操作だと持て余すように感じていたので「これを分割してふたつの画面それぞれを操作できるようにすると、おもしろいアイデアを詰め込めるのではないか」と考えていました。

アニプレックスさんに企画を出すにあたって、10年くらい前から考えていたアイデアもいくつか提案させていただいたのですが、さすがに10年近く前に思いついたアイデアって、だいたい誰かがすでに世に出していたりで時代遅れになっているんですよね。でもこの2画面というアイデアは誰もやっていなかったし、改めて見てもおもしろく感じられたので、これを採用しました。

――構想としては10年前からあったわけですね。

藤井 そうですね。2画面のRPGが世に出るとはなかなか思えなかったのですが、今回実現することができてすごくラッキーです。

――開発期間についての目標もお聞かせください。

藤井 『RPGタイム!』ほどお待たせすることはありません(笑)。9月17日22時からの公式生放送にて詳細な情報をお出しできると思うので、それまでお待ちいただければと思います。

 

――過去(『RPGタイム』)のインタビューでは「『ドラクエ』、『FF』に影響を受けないように意識している」とお答えいただいていますが、今回も、そういった既存タイトルに影響を受けないように意識をした開発が予定されているのでしょうか? それともいい部分は取り入れる形で進める形になりますか?

藤井 『RPGタイム!』ではそれ自体が変化球なタイトルだったこともあり、過去のゲームに引っ張られないように意識して外してきた部分がありました。ただスマートフォン向けのRPGを作るにあたっては、我々の世代で『ドラクエ』や『FF』から影響をを受けずに作ることは無理に等しいと思っていますし、実際にバッチリ影響は受けています。

今回で言うとバトルシステムがターン制のコマンド選択方式になっているのですが、やっぱり2画面という強烈なアイデアが加わることによって新しい体験になっていると思います。

――“アイデアをぎゅうぎゅうに詰め込んだおもてなし”というコンセプトで制作に臨んでいるとうかがっておりますが、おふたりのアイデアの源泉はどこにあるのでしょうか? またアイデアを生むために重要だと感じている、考えていることをお教えください。

藤井 アイデアを出すうえでいちばん大事なのは、その源泉ではなく、アイデアを受け止める土台を作ることだと考えています。

『RPGタイム!』の場合はノートと鉛筆、そしてゲームクリエイターになりたい少年がゲームマスターをするという土台があったため、すごくアイデアが広がりやすい構造になっていました。鉛筆とノートで描けるものだったらなんでも表現できるわけですからね。

そして今作『World Ⅱ World』の2画面というアイデアも本当にすごくアイデアを吸収してくれる土台でして、いろんなシステムを2画面に乗せることで、さまざまなアイデアを詰め込めるようになるので、2画面ならではのアイデアという点に注目していただけると嬉しいですね!

『World Ⅱ World』の詳細に迫る!

――画面がふたつに分かれていることについて、ゲーム内では何か理由があるのでしょうか?

藤井 そもそもなぜ2画面になっているかというと、“ふたつに分断されてしまって緩やかに滅びに向かっている世界”が物語の舞台になるからですね。

例えば機械と人間で住む場所が分かれた世界があるのですが、そこでは機械たちは汚染された土壌を捨てて空へ上がった一方で、人間たちは地上に住み続けています。この世界で登場する機械の女の子と人間の男の子は友達だったのですが、世界が分断されたことで会えなくなってしまいます。

そこで、人間の男の子は女の子に会いに行くために上の世界を目指すことにし、一方の機械の女の子は与えられたタスクをこなしながら、新しい敵を倒すために人間と協力の道を探していくというストーリーが描かれていきます。

このようにふたつに分断されてしまった世界が3つあって、分かれた先に1人ずつ計6人の主人公が用意されているのが本作です。各世界にはそれぞれに分断される理由があって、それに対して世界を結束させる道へ導いていくのが主人公たちの目的になります。これをプレイヤーが操作してサポートする形ですね。

なお、いま例に出した人間とロボットの世界以外では、東西に分断された世界があります。西部劇風のキャラや時代劇風のキャラが出てきて、銃と剣どちらが強いのか決めるような流れですね。

また異世界と現代が分断された、なろう系風の世界もあります。ここでは元魔王の女の子が現代の田舎に転移し、逆に普通の高校生がファンタジー世界に送られます。

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――この大きなポップで描かれているのが主人公たちでしょうか。

藤井 そうですね。後列の中央にいる女の子はこの世界のナビゲーションキャラクター的存在で、彼女が分断された世界の狭間でそれぞれの世界を観測しています。プレイヤーは彼女にお願いされて、分断された世界の崩壊を止めることになります。

彼女に関しては話が進むことによって紐解かれる部分がありますし、持っているスケッチブックを使って分断された世界がどうしてこうなってしまったのかを教えてくれます。

このスケッチブックのイラストは南場さんが描いているので、こうした手描きの演出も楽しみにしてほしいですね。

――いずれもシナリオが気になる世界ばかりですね。本作は買い切り型と運営型、どちらになるのでしょうか。

藤井 本作は運営型のタイトルになっていて、シナリオもそれに即したものになります。

それぞれのワールドのお話はTVアニメのクール制みたいなものを考えていまして、だいたい12話ぐらいで各世界の物語が大きな区切りを迎えるように設計しています。

ローンチ時点で実装されるメインストーリーは述べ12話ぐらいになると思いますが、それ以降は毎週1話ずつメインシナリオを更新していく想定です。週刊漫画やテレビ番組のように、毎週新しい物語をお送りする予定なので、毎週の楽しみにしていただけると嬉しいです!

――運営型ということですが、キャラクターはガチャで手に入る形でしょうか?

藤井 まずお話の主人公となるキャラクターたちがいて、その主人公を使ってお話を進めることで手に入れられるキャラクターがいます。

また毎週お話を更新する中で新しい冒険のフィールドや新しいイベント、新しい仲間に出会えるようになります。そういったキャラクターは、いわゆるガチャという形で仲間にすることができます。

――本作の開発コンセプトをお教えください。

藤井 今回開発コンセプトのようなものは設定していないのですが、キャッチコピーとして“ひとつでふたつの物語、ふたつでひとつの物語”という2画面を意識したものが用意されています。

本作は2画面分操作が必要なので、ひとつの画面だけでなく2画面同時進行でバトルを行う場面も出てきて、プレイヤー側の負担も少し大きいんですよね。それを“2倍大変”ではなく“2倍楽しい”と受け取ってもらえるよう、キャッチコピーで強調しています。

バトルを二重にこなせばその分報酬も手に入りますし、ストーリーもふたつの視点から見ることで、一見正義の行いなのに別サイドから見ると悪のように見える、といったおもしろさも出てきます。こういった部分を楽しんでいただきたいですね。

――本作の2画面で遊ぶゲームというアイデアを活用できるゲームジャンルはいろいろあるかと思います。その中でRPGを選択した理由をお聞かせください。

藤井 開発チームがRPGが好きだったり、開発経験があるというのがもっとも大きなところではあるのですが……。やはり2画面という要素は、話を描くのにすごく適していると思うんですよ。それにRPGというのはすごく懐の深いジャンルだと思っているので、アイデアを詰め込めるという点でも最適だと思っています。

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藤井 実際の画面で説明すると、この上画面と下画面、両方とも同時に操作できるんですね。

上画面がバトルに入っていますが、オートバトルが採用されるスマホゲームだとバトルで戦っているあいだずっと眺めているだけの時間もあるじゃないですか。本作では、そういった猶予の時間をムダなく使うよう、たとえば上画面で戦っているあいだに下画面でよくお話を進めるなどして、時間効率のいいプレイ体験が得られるようになっています。

こうした作りができるのも、RPGというゲームジャンルならではだと思います。

――“ながらプレイ”がひとつのゲーム内でできるのはすごく現代的ですね。

藤井 テレビやYouTubeを見ながら遊ぶというスタイルもいいと思うのですが、開発者としてはひとつのゲームに集中してほしいという気持ちもありますからね。そこでバトルで止まっている時間を別の画面で使ってもらえるようにしました。

もちろん片方の画面ずつゆっくり遊びたい人も、効率重視で早く先へ進めたい人もいると思いますが、この2画面で遊ぶことで両方に対応できるのではないかと考えています。

――育成や編成も各画面ごとに行う形になるのでしょうか。

藤井 そうです。たとえば下の画面だけ強化し続けると上のほうが弱くなってお話が進まなくなったり、ふたつのチームが合流した時に力の差がついてしまったりということが起こり得るので、バランスよく進めていくことをオススメします(笑)。

――育成用のリソースは上下の画面で共通なのでしょうか。

藤井 ものによっては異なります。たとえば装備品はパーティーの持ち物なので、異なる世界間で行き来させることはできません。ただ経験値をアップさせるようなアイテムは世界共通のアイテムとしているので、上下の画面で共有するリソースとなります。

――本作はどのような人に遊んでもらいたい作品になりますか?

藤井 本作はシングルプレイのRPGで、フレンド要素やギルド、PvPなどのソーシャル要素を排してマイペースに楽しめるように作っています。期間限定イベントなども今のところ予定しておりません。

毎週新しい話が更新される点以外はコンシューマーチックなプレイ感覚になっているので、コンシューマーでRPGを遊ばれている方にはとくにオススメしたいですね。スマートフォン向けRPGは比較的オリジナルIPが出てきづらい部分がありますので、新しい体験を求める人にも遊んでいただきたいです。

それから世界ごとにSFチックな話やバトル重視の話、コミカルな話など物語の傾向も変わってくるので、それぞれのジャンルが好きな人達は好きな世界を遊べるようになっています。逆に本当は興味のないジャンルにも、このゲームを通じてそのおもしろさに触れていただければと思います。

――本作に詰め込みたいと思っているアイデアの片鱗でもいいので、お教えいただくことは可能でしょうか?

藤井 世界をどのような対立構造にするかという点が本作における最大のアイデアの魅せどころとなっています。たとえば機械と人間、銃と剣、男と女、陰と陽、海と陸……。いろいろな対立構造がある中でドラマが生まれてきます。

また世界という大きな単位ではなくとも、たとえば2対の装備だったり、双子のキャラクターというのもこの世界では特別な意味を持ってきます。そして同じ敵でも世界が分かれることで独特な成長を遂げるというのも、おもしろくなるポイントなので、そういった点に注目してみてください。

あと、右手で三角を描きつつ左手で四角を描くのは難しい、という遊び(?)のようなものがありますよね? 本作でも、このように片方の画面ずつやるぶんには簡単だけど、両方の画面で同時に求められると難しくなるミニゲームなども取り込んでいければいいなと考えているので、そちらも楽しみにしていてください。

――このほか、アピールしておきたい点などあればお願いします。

藤井 今回は160~190体ほどキャラクターがいて、ゲーム内ではデフォルメキャラを使って表現しています。こうしたデフォルメキャラって頭身がかなり重要なんですよね。頭身が低すぎるとかわいくなりすぎてシリアスな話題が合わなくなってしまいますし、逆に高すぎるとデフォルメのよさが損なわれてしまう。でもこの4頭身くらいのサイズ感だとシリアスな話もコミカルな話も対応できるので、この4頭身というバランスにはすごくこだわりを持っています。デフォルメキャラを使ったシナリオの演出にも注目してほしいですね。

それとRPGの魅力のひとつとして「最初は主人公ひとりだけど、徐々に仲間が増えていって編成の幅が広がっていく」という点があると思います。本作ではこれが各サイドごとにあるので、仲間を集める楽しみも通常のタイトルの6倍になっていて気に入っているので、この楽しみをぜひ皆さんにもご経験いただきたいです!

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――個人的には自分の背丈を超えるような巨大な武器、超重武器を持っている女の子が好みなんですが、そういった子もいるのでしょうか。

藤井 ちょうどいい子がいますよ! 異世界サイドに、2mを超える巨人族の女騎士がいるのですが、彼女は自分の背丈を超す巨大な剣を振り回すという設定なので、ぜひ彼女をお迎えしてあげてください(笑)。

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――最後に、スマートフォンゲームが大好きな読者に向けて一言メッセージをお願いします。

藤井 スマートフォン向けに新しい体験ができるRPGを、開発チームとアニプレックスさんの二人三脚で作っています。欲張りなので、1粒で2度美味しい、一石二鳥でWIN-WINなみんなでニコニコになれるタイトルを目指して頑張っています。ご期待いただければ幸いです。

World Ⅱ World(ワールド・ツー・ワールド)

対応機種iOS/Android
このゲームの詳細を見る
ジャンルRPG
メーカーアニプレックス
公式サイトhttps://worl2.world
公式Twitterhttps://twitter.com/W2W_pr
配信日配信終了
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