『白猫NW』はなぜバトルシステムを大規模アップデートしたのか|開発ディレクターインタビュー

2024-04-13 09:00 投稿

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白猫プロジェクト NEW WORLD'S

大規模アップデートの裏側に秘められた開発者の意図に迫る

コロプラが送るスマホ向けアクションRPG『白猫プロジェクト NEW WORLD’S』(以下、『白猫NW』)がバトルシステムの大規模アップデートを実施すると発表した。

SL01_大型アップデート看板

このアップデートはUIの変更からダメージ計算式の変更など遊びに直接関わってくる更新も多く、今後『白猫NW』がどうなっていくのか気になる人も多いことだろう。

そこでファミ通Appでは『白猫NW』でディレクターを務める武田飛鳥氏(文中:武田)にメールインタビューを実施。

バトルシステムに関するアップデートの真意を聞いてみた。

大規模アップデートは将来を見据えた第一歩

――まず、今回のバトルシステムアップデートで実施される仕様変更が各種存在しますが、それぞれの変更意図・目的をお教えください。

武田 まず、今回の大規模アップデートの背景には「できる限り多くのユーザー様に、今後も永く『白猫プロジェクト』を楽しんでいただきたい」という想いがあります。

そのためには現在プレイしていただいている方はもちろん、新しくプレイしてくれる方や久々にプレイしてくださる方にとっても「楽しさがわかりやすい」というのが非常に重要なポイントになってきます。

今回、さまざまな面でアップデートを行っていますが、そのすべての背景にはこの考えがあり、これをもとに内容を調整してきました。ただ各要素ならではに込めた意図などもあるので、それぞれについてお答えさせてください。

SL03_大規模アップデートとは?

属性に対する想い

――それでは、属性に関するアップデートの意図からお聞かせいただけますでしょうか?

武田 まず属性についてですが、これまでの仕様では物理ダメージと属性ダメージの2種類が表示されていました。しかしこれでは直感的にその強さがわかりにくく、与えている合計ダメージを知るためには、画面に表示される数値をつねに足し算し続けないといけません。

また2種類のダメージ両方に同じだけの価値を持たせてしまうと、ゲームがかなり複雑になってしまいます。そのせいもあってか、属性のダメージはあまり意味のないものと見做されるようになってしまいました。

ただ属性という概念・要素は多くのキャラクターに価値を与えるものとしてはいい要素だとも考えていたので、廃止ではなく仕様の変更を行うことにしました。

そのため変更内容も「ダメージの種類を1つにしつつ、基本的には武器属性の弱点を突けばオッケー。属性も弱点ならさらに嬉しい」ぐらいの、バランスを目指して調整したものになっています。

SL08_属性の仕様変更①
SL09_属性の仕様変更②

――では続けて状態異常についてはいかがでしょうか?

武田 状態異常の仕様変更に関しては2つの意味合いを持っています。ひとつは“ゲームの複雑さを下げる”というもので、もう1つは“状態異常の有用性を上げる”といった意味合いです。

“複雑さを下げる”という点では、状態異常をカテゴリーごとに内容を統一することで煩雑さの軽減を目指しました。

SL14_状態異常の仕様変更(調整版)

武田 「凍結状態の敵に打属性でダメージを与えるとダメージが大きくなる」など、状態異常ごとの細かい仕様や強みを把握するのは大変ですよね? しかし今回のようなアップデートを実施することで覚えることが減り、さらに状態異常ごとの強さにムラがなくなるので、ゲームとして非常にわかりやすくなります。

“状態異常の有用性を上げる”ということについては、【感電】を例に挙げて説明をしていきますね。

【感電】という状態異常は「敵のアクションを中断して、一定時間完全に動きを止める」という非常に強力な状態異常です。そしてこれまでの状態異常の仕様は、ざっくりいうと次のような定義になっています。

従来の状態異常の仕様

・同じ敵を、同じ状態異常に、何度もすることができる
・敵の状態異常の耐性値を上回った攻撃を行うと確実に状態異常になる

武田 つまり、それがたとえボスが相手であっても【感電】が有効であった場合、完封しようと思えば完封できてしまう仕様だったんです。ほとんどのボス級が感電無効を持っているのは、このためですね。

ただこうした調整をしているため、「強いのに、本当に効いてほしい相手には効かない」「効く相手がいないので、意味がない」という状況が生まれてしまいました

そうした現状を変えるために「同じ敵に同じ状態異常は3回まで」そして「確率発動」という仕様に変更する調整を行い、状態異常全体に等しく価値を持つようにしています。これに伴い、多くのモンスターの状態異常耐性も変更しています。

つまり【感電】が効くボス級のモンスターも存在するようになった、ということですね。これによって、キャラクターの価値やクエストの攻略に幅を持たせられると考えております。

――ダメージ計算に関するアップデート意図についてもお聞かせください。

武田 このアップデートに関しては「各ステータスの影響力を直感的にわかるようにする」、「すべてのステータスに意味を持たせる」という二言に尽きます。

これまでの仕様では、各ステータスがどこにどのように働いているのかが分かりづらかったのですが、アップデートを経て以下のような状態を生み出すことが最大の目的です。

・敵の防御力を下げれば、与えるダメージが大きくなる
・自身の防御力を上げれば、受けるダメージが小さくなる
・自身の会心を上げれば、会心発生時のダメージが大きくなる

武田 またキャラクターステータス画面を変更することで“会心発生率”や“移動速度”など、わかりにくかったステータスも確認することができるようになり、キャラクターごとの特徴がわかりやすくなっています。

SL16_ダメージを与えることについて

バトルアップデートで変わっていく環境

――バトルシステムアップデートの中で、もっともプッシュしたいものはどの要素になりますか?

武田 4月17日に実施するアップデートは「バトルシステムの根幹を見直す」という、言わば遊びの土台を整理する内容となっています。

そして、皆様が実際にプレイして「バトルが面白い!」と強く実感いただけるのは4月26日に実施するアップデートの方が多くなっております。

ですので4月17日のアップデートがすべてではなく、むしろ4月26日のアップデートをもってして完成すると考えていただければと思います。

SL04_大規模アップデートのスケジュールに関して

――属性の仕様変更、状態異常の仕様変更により今後は“手数”が重要な環境に移行していきそうな気がするのですが、いかがでしょうか?

武田 属性の仕様変更では、手数の重要性にそれほど大きな影響は発生しませんが、こと状態異常については手数の重要性は上がります。しかしそれも重々承知しているので、今後は「有効な相手であれば必ず毒にする」みたいな、手数が関係無い攻撃なども追加していこうと考えています。

また今後登場するキャラクターについては「手数が多い」などの有利に働く要素を持った攻撃やキャラクターは与えるダメージを少なくする調整を行っていく予定です。純粋に手数の多さでキャラクターの強弱が決まるような環境にならないよう、そして場面によってその価値も変わるようなバランスにしていきたいと考えています。

前述の通り、今回のアクションのアップデートは4月26日のアップデートをもって完成するものなので、その時に自分好みのキャラクターを再確認してほしいなと思います。

――ダメージ計算、属性倍率の仕様変更に関して、それぞれ倍率計算がかけられるとのことですが、攻撃タイプの弱点と属性の弱点、どちらがより重要な要素となるのでしょうか?

武田 基本的には攻撃タイプで弱点を突いたときの倍率の方が大きく、重要となります。ただし属性モンスターにおいては、属性で弱点を突いたときの倍率を非常に高く設定しているので、この場合は属性が非常に大事になります。

なので「普段は攻撃タイプを意識して、属性モンスターが出たら属性を意識する」ぐらいの温度感で大丈夫です。

SL12_「属性モンスター」の仕様変更について

――防御無視ダメージを廃止するとのことですが、既存の防御を無視するスキルや効果はなにかに置き換えや変更が加えられるのでしょうか? それともシンプルに削除されるのでしょうか?

武田 こちらは純粋に廃止となります。

まず、防御無視の効果は、ゲーム性や攻略方法を狭めてしまう仕様となっておりました。

たとえば防御力が高い敵が出現した際、防御無視の効果があると“燃焼や毒を使って攻略”、“防御力を下げて攻略”といった攻略法をすべて無視することができてしまうんですね。こうなると、キャラクターやモンスターの幅は極端に狭まってしまいます。

ですので廃止を決定したのですが、もちろん廃止をするにあたって「何かに置き換えるのか?」という議論も重ねてきました。

しかしすべてのキャラクターをひとつひとつ精査していこうと思っても、検証するデータが膨大すぎて全検証は現実的ではなかったため、純粋な廃止にすると決断いたしました。

SL19_その他のバトルシステム調整について

――バトルシステム、ダメージ計算に手が入ったことによって起こるインフレ率についてのご意見をお聞かせください。

武田 今回のアップデートでキャラクターの価値の幅を広げることで、インフレ速度を遅くしていく考えです。

たとえばこのアップデートを行うことで「属性の有用性が上がることで、属性の数だけキャラクターの幅が広がる」、「状態異常の有用性が上がることで、状態異常の数だけキャラクターの幅が広がる」といった効果が見込めるため、今後はキャラクターの選択肢も大きく広がっていきます。

これによって状況によってキャラクターを使い分けていく環境が進んでいくことになるため、インフレは遅くなっていくと考えています。

――会心の仕様変更で最大値が50%になるとのことですが、これは“リアーナの首飾り”など装備込みでの上限になりますか?

武田 会心率の最大値に関してですが、こちらは「装備品込みで最大50%」となります。これよりも上がることはありません。

ですので、これまでのように装備を駆使して会心発生率を100%にして確定で会心を発生させることはできません。ただ、確定で会心が発生するスキル効果などは現状のままとなります。

SL17_「会心」というステータスの仕様変更①(調整版2)
SL17_「会心」というステータスの仕様変更②(調整版)

―― 開発・運営チームが今回のアップデートに寄せる想いや意気込みをお聞かせください。またあわせてこのアップデートがもたらす今後の展望についてもお聞かせください。

武田 チーム全員が、常に「できる限り多くのユーザー様に、今後も永く白猫プロジェクトを楽しんでいただきたい」という想いのもと、日々の運用を行っております。そして、今回の大規模アップデートにも、その想いを全力でぶつけております。

今後は、このアップデートで再構築した土台の上で、新たな冒険やアクションが登場していきますので、楽しみにお待ちください。

――最後に、白猫プロジェクトをお楽しみのユーザー様に向けてメッセージをお願いします。

武田 『白猫プロジェクト』は今年で10周年となります。

10年目というのは大きな節目でありつつも、それはゴールではなく、ここからさらに新たな冒険が始まっていきます。今回のアップデートも含め、これからもっともっと皆様に楽しんでいただけるようチーム一同頑張ってまいりますので、これからも白猫プロジェクトをよろしくお願いいたします。

白猫プロジェクト NEW WORLD'S

対応機種iOS/Android
価格無料(アプリ内課金あり)
このゲームの詳細を見る
ジャンルアクションRPG
メーカーコロプラ
公式サイトhttp://colopl.co.jp/shironekoproject/
公式Twitterhttps://twitter.com/wcat_project
配信日配信中
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