1. サイトTOP>
  2. 『Ingress』エージェントと連携して生まれる地域イベントとコミュニティのありかた

『Ingress』エージェントと連携して生まれる地域イベントとコミュニティのありかた

2018-10-13 10:00 投稿

イベント運営の裏側をコミュニティ担当に直撃

ナイアンティックの位置情報ゲーム『Ingress』は、世界各地を舞台にこれまでXMアノマリーと呼ばれる大規模バトル、地域の魅力と触れ合うミッションディなど数多くのリアルイベントを開催。日本では各自治体が地域活性化の一環として取り入れ、さまざまな経済効果を与えている。

本記事では開催地のエージェント(ユーザー)が運営にも関わることが多い、『Ingress』特有のイベントがどのように作られているのか。

その舞台裏と今後の展開を各種イベントの運営と企画に携わる成沢千明氏にライターの深津庵が直接聞いてきたぞ。

niantictiakinarusawa01

▲コミュニティ担当の成沢千明氏。

本記事のポイント
●エージェントとともに構築していく地域ガイド
●地元エージェントが動かすファーストサタデーとミッションディ
●きっかけは無人島!! エージェントオリンピアードの素案とXMをアノマリーのありかた

エージェントとともに構築していく地域ガイド

――ナイアンティックの中でおもに『Ingress』のイベント運営や企画に携わる成沢さんですが、具体的にどんなことをしているのか知らないエージェントも多いと思います。そこでまず、ご自身の担当と携わってきたイベントを教えてください。

成沢千明(以下、成沢) XMアノマリーと呼ばれる大規模バトルや地域を巡るミッションディなど、2016年の入社以降のイベント運営や企画とそれらに関連するユーザーコミュニティを担当しています。国内でいえば瀬戸内や大阪、最近では7月末に札幌で開催されたのXMアノマリーとそれに関連して行われたミッションディですね。また、今年開催したNL-1331という車が各地を巡るツアーにも携わっています。

――2016年の夏にナイアンティックに入社したということですが、『Ingress』は以前からプレイされていたのでしょうか?

成沢 入社する約6ヵ月前くらいからプレイしていました。わたしは基本的にソロプレイが多く、コントロールフィールド破壊と構築をコツコツと楽しんでいたんです。

――どういった経緯で加わることになったのですか?

成沢 ナイアンティックがGoogleのスタートアップだった当時から務めていた友人の誘いを受けたのがきっかけでした。その型が楽しそうに働いている姿を見て迷うことなく転職する道を選ぶことができましたね。

――入社前と入社後、社内の印象はどうですか?

成沢 入社当時、日本の部署には村井説人(日本法人代表)、須賀健人(グローバルマーケティング)、廣井隆太(アジア統括プログラムマネージャー)の3名とスタッフも少なく、男性ばかりということもあって戸惑いました。しかし、みんなの人柄もよくすぐになじむことができました。わたしにとってもとてもいい環境だったといまでも思いますね。

niantictiakinarusawa02

▲今回がメディアインタビュー初体験という成沢氏。

――よりよいコミュニティを築いていくには、それをまとめるリーダーという存在。楽しむための場である“イベント”の提案と継続が必要だと考えています。直接エージェントがイベント運営に関わることが多いナイアンティックは、どのようにエージェントと連携してコミュニティを築いているのでしょうか?

成沢 面と向かって声を聞きながらのコミュニケーションが大切だと考えています。イベントの現場に立つことはもちろん、Twitterなどでエージェントとつながって、つねに意見を交換しながら情報収集することも重要ですね。弊社のグローバルメディアマネージャーであるAndrew Macintoshは、エージェントに向けて毎月“なんでも聞いて”と呼びかける場を設けていて、そこではみなさん遠慮なく意見をぶつけています。それに対してAndrewがひとつずつできるだけ隠しごとをせず回答しているんです。わたしもそれを見習い、イベントに参加したりSNSを通じて多くのかたと知り合い、たくさんの意見と向き合っていこうと考えています。

――ナイアンティックのみなさんは友だち感覚にも似たフレンドリーな交流が多く、エージェントの顔と名前を覚えて声がけしている光景が印象的ですね。

成沢 たしかにそうですね。敬語を使わず気兼ねなく声を掛け合えるエージェントも多く、SNSでは「どこそこの食べ物が美味しかったよ」とか、「この絶景いいよね」とか画像を送ってもらうことで各地の知らないスポットを知ることもできる。現場での交流はもちろん、離れていても繋がっていく関係性を受け入れてくれることに感謝しています。

――ガイドブックにはない隠れた地域の魅力を感じられるのも『Ingress』のいいところですね。

成沢 その通りですね。XMアノマリーやミッションディで直接会うことはもちろん、みなさんがSNS上に投稿している数々の情報から得られる地域情報はとても重要です。ガイドブックがなくてもなんとかなってしまうんですよね。これこそ、現実世界を舞台にしている位置情報ゲームであり、『Ingress』だからできるコミュニケーションだと日々実感しています。

niantictiakinarusawa03

▲入社して2年、筆者との交流も2年とほかのスタッフに比べれば短い関係だが、むかしから面識があったような安心感を与えてくれるのは、さすがコミュニティ担当といったところだ。

地元エージェントが動かすファーストサタデーとミッションディ

――毎月第1土曜日に世界各地で開催されるファーストサタデー(以下、FS)は、陣営の壁を越えた交流の場であり、経験者が初心者を育成するイベントです。このFSの開催地域はどのように決め、運営にどうエージェントが関わっているのでしょうか?

成沢 FSに関してはほぼエージェントが運営しているといっていいですね。弊社は深く関わっていません。近々ですと2018年11月の第1土曜日に千葉で開催されるFSではMODカード(ゲーム内アイテムのコードが付いたアイテム)の手配を手伝っていますが、それもFSを盛りあげる材料になればという思いで積極的に参加しています。

――つまり地元のエージェントが「うちでFSやりたい」とナイアンティックに申請する必要は?

成沢 必要はありません。簡単な流れとしてはナイアンティックとはべつにあるFev Gamesというサイトから申請を行ってもらい、こちらからは必要に応じてグッズの提供をしているといった感じですね。また、このFSは開催地域ごとに稼いだAP(経験値)と初心者エージェントの成長度(レベル)を競う目的もあります。単なるふれあいの場で終わらない点もFSの魅力です。まもなく放送が始まるアニメ『Ingress』を観てゲームに興味を持った人は、ぜひ最寄りのFSを探して参加してほしいですね。

niantictiakinarusawa04

▲新規ユーザー獲得だけが目的ではなくポイントを競い合うのもFSの魅力。地域ごとにさまざまな企画が練られていることも多いので気楽に参加してほしいと成沢氏。

――FSがイベント入門編だとすれば、指定された地域を歩き発見とふれあいを楽しむミッションディ(以下、MD)は応用編。スタンプラリーに例えられることも多いイベントですが、こちらはどのように運営されているのでしょうか?

成沢 MD用のフォームに申請していただき、日程や自治体との調整が整っているものに対してこちらから具体的な提案をさせていただいています。その中でわたしは登録サイトの準備や告知。MD終了後、実績メダルが参加者のアカウントに反映されるまでのサポートといったものを担当しています。

――MDで行われる催し物は各自治体の判断?

成沢 その通りです。オープニングセレモニーや集合写真の記念撮影、グッズの配布などはすべて現地のエージェントと各自治体のみなさんによるものです。また、各ミッションのルート、エリアの選定などもすべてお任せしていまして、こちらではいただいたデータを確認して問題がなければアップロードするといった流れですね。

――MDのために作られたメダルのデザインに対するリテイクは?

成沢 著作権に関わるものを使っていないかの確認は徹底しています。もちろん、『Ingress』のロゴを加工したものもNGなんですが、過去にレジスタンスの青、エンライテンドの緑、各陣営のカラーを使ったものが提出されたことがあり、それに関しては訂正のお願いをした記憶がありますね。

――MDで思い出深い体験は?

成沢 何度か参加しているオーストラリアのMDは印象的でしたね。オープニングセレモニーや集合写真などビシッとしたタイムスケジュールができあがっている日本とは違い、バーやレストランを貸し切って受付会場にしている場合が多い。MDの目的を達成したエージェントたちが集まってビールを飲んで盛り上がっているんです。イベント盛りだくさんなミッションディが日本で成り立っている理由のひとつには、各自治体に高確率でエージェントが潜んでいるという点もあるでしょうね。

Jpeg

▲地域色が強くでるMDは新たな発見も味わえる観光にも適した壮大なスタンプラリー。こちらは2016年9月に倉敷で開催されたMDでの1枚。引きこもりがちな筆者がこんな体験ができたのもMDのおかげだ。

きっかけは無人島!! エージェントオリンピアードの素案とXMをアノマリーのありかた

――2017年から始まり今年で2回目を迎えた富士急ハイランドを貸し切って行われたエージェントオリンピアード(以下、AO)。その開催までの経緯を教えてください。

成沢 じつを言うとAOは須賀健人の発想から生まれたイベントでした。以前からよく、「無人島でエージェント達を戦わせて生中継したらおもしろくない?」と言っていたんです。アメリカではキャンプナバロ(特定の地域で課題に挑むイベント)がスタートしたこともあり、日本でも何か新しいものにチャレンジしようと決断。その流れからAOの企画がキックオフしました。

――AOを生中継しているドワンゴとの提携はいつごろ?

成沢 ドワンゴさんは本当に『Ingress』のことを熱心に考えてくれていて、ニコニコ動画を通して過去のアノマリーを生放送・実況をして頂いていました。スタッフの方たちともとても気が合い、また別の形で何か企画を立てたいという気持ちはお互いあったので、キャンプナバロをきっかけにアイデアを具体化していく会議はスタートしました。

――第1回の体験者とのディスカッションが2回目の開催に生かされたと伺っています。どのような声があがりどう反映させたのでしょうか?

成沢 良かった点と悪かった点、数多くのフィードバックをいただきました。“第2回の参加者が本当にたのしかった感じてもらえるイベントにしたい”という情熱が詰まった意見が多かったことをいまも強く覚えています。その中から第2回のAOに反映したフィードバックを1部申しあげますと、人数を減らして各参加者を積極的に紹介することですね。今年はエージェントプロフィールを紹介したり、もっとカメラ前ではなしていただくようにしました。数多くの貴重な意見をすべて反映することはできませんでしたが、お陰様で今年もたくさんのかたにたのしんでもらえたイベントだと思います。

――AOの参加者をアピール動画から選定する仕組みでしたが、どのように選ばれたのでしょうか?

成沢 最初の工程としては弊社からはわたしと山崎富美、ドワンゴさんでひと通り視聴。互いのフィードバックを共有しながら選考しました。わたしが注目した要素としては、応募するエージェントがどのように自分の強みを活かして活躍できるのか。自分はなぜこの挑戦にもっともふさわしいのかを主張できる方でしたね。

niantictiakinarusawa06

▲こちらは2018年に行われたAOの様子。各陣営から15名、計30名のエージェントが選ばれ、真夜中の富士急ハイランドでさまざまな試練にチャレンジ。どこかに隠れる開発陣を捕まえたり、ニコ生で観戦する視聴者が現地に支援物資を投入するなど、最後まで目の離せないバトルが展開した。

――世界各地を舞台にした大規模陣取りバトル“XMアノマリー”シリーズ。こちらはどのようにして開催されているのでしょうか?

成沢 XMアノマリーの場合はまず戦うエリアの選定が重要です。それに欠かせないのが地元を熟知しているエージェントであり各陣営の代表となるPOC(Point of Contact)の存在です。ポータルが多いエリアや多少人数が集まっても大丈夫な場所。立入禁止になっている場所の確認など、XMアノマリーを安全に実行するためはPOCの支援、活躍が必要不可欠です。

――XMアノマリーといえば現地に行けないエージェントたちが間接的に参加する通称“リチャージ会”がつきものです。これに参加することで現地参加者と同じゲーム内メダルが付与されますが、その達成条件にある“リチャージ量”はどうやって決めているのでしょうか?

成沢 リチャージ量に関してはナイアンティックではなく開催地のPOCが決めています。リチャージ量の設定によってはとても難しくなる場合もあると思いますが、我々としてはひとりでも多くの参加者にメダルと受け取ってもらいたいですね。

 

――POCとはどのように連携をとって当日を迎えるのでしょうか?

成沢 XMアノマリーはPOCの協力がなければ成り立たないイベントですので、できるだけ多くコミュニケーションが取れるよう心がけています。アフターパーティー会場を含め、開催地周辺の環境はどうなのか。安全面に関する情報から地元グルメまで幅広いアドバイスをいただいています。開催までの道のりが険しいことも多いですが、笑顔いっぱいでよろこび会える当日を迎えた瞬間は最高ですね!

niantictiakinarusawa07

▲こちらは2017年11月に大阪で開催されたXMアノマリーでPOCを務めたエージェントたち。地元エージェントの尽力があって我々参加者は安心してたのしめていることを忘れてはいけない。

いますぐ実現することはできないが来年2019年にはこれまでにない多くのチャレンジを実行したいと成沢氏は最後に意気込みを語ってくれた。

ここではどんな名前があがったのかは伏せておくが、その言葉からエージェントにとって2019年が期待の年になると確信できたのは大きな収穫だ。

まもなくといわれながら進展のない(2018年10月05日現在)『Ingress Prime』のリリースが待ち遠しいのが本音だが、『ポケモンGO』を含め今後もナイアンティックのチャレンジに注目していきたい!!

P.N.深津庵(撮影協力:あしたづひむ)
※深津庵のTwitterはこちら

イングレス

対応機種iOS/Android
価格無料(アプリ内課金あり)
このゲームの詳細を見る
ジャンルその他
メーカーナイアンティック
配信日配信中
コピーライト

ピックアップ 一覧を見る

関連記事

この記事に関連した記事一覧

最新記事

この記事と同じカテゴリの最新記事一覧