編集長イチ押しアプリ『ママにゲーム隠された』の個人開発者ハップさんに会いにいってきた
2016-11-18 13:20 投稿
ハップ流アプリの作りかた
皆さん、突然ですがハップ(hap)というメーカー(開発者)をご存じでしょうか?
え? 知らないだって?
これですよ、これこれ。
こんな感じのアプリ見たことありませんか?
水色の背景が特徴的なバカゲーを多数をリリースされているアプリメーカーで、巷では“ハップブルー”と称されているそうな。
知っていた方も、知らなかった方も、このハップアプリ。『ママにゲーム隠された』がリリースされた2016年8月にものすごい偉業(?)を達成していたのです。
何がすごいのかと言うと、こちら。
アプリに関する市場データと分析ツールを提供しているApp Annie調べで、8月度トップパブリッシャー第2位(iOS部門)! 1位コロプラ、3位バンダイナムコ、4位ナイアンティックなど、名だたるパブリッシャーを見ればそのすごさがわかるはず。
というわけで、一躍その名が広まった感じがするハップさんですが、知る人によると、じつはかなりの“変態”らしい(?)。
独創的な作風はそれゆえなのか。開発者に興味を持ったファミ通App編集長の中目黒目黒が、「会ってみたい」と言い出しました。どうもファンらしいです。
ハップさんに会ってみたい!
【個人開発ゲームを斬る】ド変態クリエイターが脱出ゲームを作るとこうなった『ママにゲーム隠された』 [ファミ通App] https://t.co/5ApvYZpXv8 @famitsuappさんから
— 中目黒目黒@ファミ通App (@tasukusu) 2016年9月26日
ならばと、【個人開発ゲームを斬る】の連載でつながりを持つあぷまがさんに仲介を依頼し、両氏に面識のあるライターぎょにちむを携え、渋谷某所でインタビューが実現しました。世の中コネですよ、コネ。
さて、ハップさんとはいったいどんな人なのか? 本当に変態なのか? その真実に迫ります。
▼ハップさんのTwitter
@hap_inc
変態とウワサ……じつは!?
──ようこそお越しいただきました!
中目黒 のっけからすみません。ハップさんが変態だというウワサを聞きまして(笑)。
ハップ あ~……あのぅ、先に言っておきたいんですけど、僕ぜんぜん変態じゃないんです。
──(一同)えーーーッ!
ハップ あぷまがさんから紹介記事のお話をいただいたときに、「バカゲー開発者っぽく、雑に扱ってくれ」ってお願いしたら、変態になってしまったという……。
▼ネタ元はこちら
ド変態クリエイターが脱出ゲームを作るとこうなった『ママにゲーム隠された』
──え~……(よし、どっかから変態ポイントを見つけてやろう)
中目黒 アプリの開発はいつからやってるんですか?
ハップ 3年前くらいからですね。もともとは、Web系のデザインやシステム構築、企画などをやっていて、空いた時間にFlashを使ってツールや知育アプリなどを作っていました。それからゲームも作るようになり、アプリだけでやっていけるくらいになったのは2年半くらい前ですかね。
中目黒 いまもひとりでゲームを作っているんですか?
ハップ ほとんどひとりですね。だから、ゲームもいまだにFlashで作っています。
中目黒 ひとりだったんですか!(笑) いちばん最初に作ったゲームってなんですか?
ハップ いまはもう消えていますが、ただリフティングするだけのゲームですね。ツールアプリで言うと、サイコロを振るだけのアプリです。
あぷまが 最初はごくふつうのアプリを作ってイイ子ぶってたんだよね~。Web系の仕事関係者にヘンなアプリ作っているのがバレるとまずいからって(笑)。
ハップ クライアントワークだったので、そっちに影響があったらいやだなって(笑)。で、ちょっとバカゲーも作りたいなと思って出したのが『こんなフリーキックはいやだ』というアプリで。これがヒットしてくれました。
中目黒 何かヒットしたキッカケってあったんですか?
ハップ このつぎに出した『東京デッドボール』というアプリをいろいろなメディアに取り上げていただいて、その影響で『こんなフリーキックはいやだ』のDL数も伸びてくれました。
あぷまが 『フリーキック』は世界で人気だったんだよね。
ハップ はい。韓国で総合2位、イタリアで総合1位になりました。僕のアプリってほとんど説明なしで遊べるように作っているんです。できるだけイラストと動きだけで表現したいと思っていて。なので、ローカライズも不要でタイトル名だけ変更しました。それも翻訳サイトを使っただけですけど(笑)。実際にイタリア人に見てもらったら「ヘンだよ」って言われちゃいました。
中目黒 そうなりますよね(笑)。ボイスは日本語ですけどどうするんですか?
ハップ そのままですね、気にしません(笑)。
中目黒 強気(笑)。一方で細かいところにこだわったりしていますよね? トースト少女のアップデート内容を見て爆笑しましたよ(笑)。
──自転車男の髪の分け目の位置を調整。
ハップ いやー、そこは気になっちゃって(笑)。
中目黒 あとハップさんのゲームってほぼすべてのゲームにおまけとかエンディングがありますよね?
ハップ 僕自身、エンディングがあるゲームが好きなので、ハップのゲームでも一定の満足感を感じてもらえたらと。クリアー後にすぐアンインストールされてもかまわないから、「つぎは別のハップのアプリをやってね」というスタンスで作っています。“ハップのアプリはエンディングがある”という認識が広がれば、意地でも最後までやってくれる人が増えて、全体としてはゲームを長くプレイしてもらえるかなと。
中目黒 まさに逆転の発想! そうやってユーザーに“ハップのアプリ”を認知させていく、と。誤タップなどを誘い広告で稼ごうっていうアプリが多い中、それは志としてすばらしい! てか、ここまで変態要素ゼロじゃないですか!!(笑)
あぷまが ネコ被ってるんですよ。
ハップ えええ~!
(一同笑い)
学生時代はマンガ家を目指したことも
あぷまが 売れている個人開発者を見ると、あんまりゲームをやらない人とか、デザイナーの人が作ったアプリとかが売れるよね。
中目黒 ハップさんもゲームはやらないんですか?
ハップ あまりやらないですね。でも、僕のアプリのユーザーさんもふだんゲームをやらない人が多いんです。スマホ自体ゲーム機ではないので、そういった層にも楽しめるものを同じ目線で作ろうと意識しています。
中目黒 ファミ通Appのアンケート結果でも、アプリを選ぶ基準の1位が“見た目”でしたから、意外とスマホユーザーはゲーム性にそこまでこだわっていないのかもしれませんね。そういう意味でも、ハップさんのイラストって独特ですよね。あれもおひとりで?
ハップ そうですね。最初は外注に頼もうと思っていたんですが、細かいニュアンスを伝えるのが難しくて。最終的にはイラストレーターに渡す用のラフ絵をそのまま使うことにしたという(笑)。
あぷまが ハップさん、Twitterで4コマとかたくさん上げているんだから、電子書籍とか出したらどう?
ハップ いいですね~。
中目黒 じゃぁ、うちでやりますか?(笑)
ハップ ええ! いいんですか!?
▼ハップさんのTwitter(2回目)
@hap_inc
Twitter大好き
あぷまが ハップさんってTwitterですごいエゴサーチ(※)するよね?
(※)自分のハンドルネームや作品名などを検索して調べること。
ハップ 大好きですね(笑)。アプリのヒットは口コミが大切なので、シェアしていただけるツイートには嬉しさのあまりついついふぁぼ(※)しまくっています。
(※)そのツイートをお気に入り登録すること。ツイートした本人には誰からふぁぼられたのかが通知される。
逆に、ハップのアプリを「クソゲーだ」ってディスってるツイートにも無言でふぁぼると「いい意味でクソゲーです!!」ってわざわざ言い直してくれたり(笑)。
中目黒 本人降臨あるある(笑)。
あぷまが LINEスタンプとかも出してたよね? どうなの?(売り上げは)
ハップ 売上はぜんぜんダメでしたね(笑)。まぁ、おまけみたいなものなので。
次回作は?
中目黒 次回作はすでに着手されているんですか?
ハップ いちおうアイデアはあるんですが、『ママにゲーム隠された』がヒットしてくれたので、もうすこし内容を練り直そうかなと思っています。つぎに出したアプリが「つまらない」って言われたら嫌なので(笑)。
中目黒 『ママにゲーム隠された』の続編とかは?
ハップ 新作づくりに挫折したら続編作るかもしれません(笑)。
中目黒 今後も個人で続けていかれるんですか?
ハップ どうしたらいいか相談したいくらいですよ(笑)。人を雇いたいという気持ちはあるんですけどね。
中目黒 個人開発は厳しいって聞きますけど、みんなハップさんのような成功を目指しているんじゃないですか?
ハップ いやあ、僕も厳しいですよ。ハップのアプリはほかの方のアプリに比べると、1DLあたりの収益平均が半分以下だと思います。
中目黒 そういえばハップさんのアプリって広告少ないですよね。
ハップ 1DL単価を無理して上げたいと思っていないんですよ。広告を多く貼るくらいなら、そのスペースに自分のアプリを紹介したいですね。アプリ1本でいかに稼ぐかというよりは、ハップのアプリ全体のダウンロード数を増やすということを考えていますね。
中目黒 収益よりもDL数だと。
ハップ ですね。じつは、Twitterでもエンディング(クリアー)のツイートがいちばん多くて、そこから拡散されてさらにDL数が伸びるんですよ。だからゲームの難度やボリュームを減らして、すぐに終わるくらいでいいと思っています。スマホゲームは供給過多ですからね。
──ほかにも、真面目なことをたくさん言ってたんですけど、真面目すぎてつまらないのでカットします!! ハップさんごめんね!!
宴もたけなわ、ここで編集長の「“ハップ”と“App”って似てるじゃないですか。今度ファミ通Appと何かコラボしたいですね!! ファミ通ハップとか!」というナゾのひと言によって談合は終了(笑)。
「実際に会ってみるとぜんぜん変態じゃなかった」というのがファミ通App編集部陣の感想で、一方あぷまがさん曰く、「こんなの本当のハップさんじゃない!」とな。
ハップさんの心の扉を開けるには、お酒の力を借りてもまだ少し時間が足りなかったようですね。
しかし、ユーザー思いな一面、周りの評価を気にしまくる一面、さまざまなハップさんを見つけることができました。
ハップさんはとにかくツイッターのフォロワー数を超超超気にする方のようなので、みなさんぜひフォローしてあげてみてくださいね!!
▼ハップさんのTwitter(3回目)
@hap_inc
今後は、ファミ通Appでハップさんのアプリだけでなくマンガの連載が始まるかも?
ハップファンの方はもちろん、ハップさんを知らない方も、“ファミ通ハップ”要チェックですよ!!
(取材・文/ぎょにちむ)
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