Oculus Touchの発売日や新作VRゲーム続々! VRイベント“Oculus Connect 3”詳細まとめ
2016-10-07 17:29 投稿
基調講演の気になる部分を総ざらい!
現地時間2016年10月5日~7日、アメリカのカリフォルニア州サンノゼで開催中のOculusによるVR開発者向けカンファレンス”Oculus Connect 3″(OC3)。ここでは、その中で行われたオープニングキーノートの気になる情報をまとめていく。
オープニングキーノートでは、まずFacebook CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が登壇。ザッカーバーグ氏がVR、Oculusの軌跡を辿るところから始まり、VRを使ったチャットルームの紹介、VRの教育方面への活用とそれに対しての投資、スタンドアローン稼働のVR HMDの発表等がなされた。
チャットルーム、スタンドアロン型モデルに関しては、それぞれ以下の記事を参照。
マーク・ザッカーバーグ氏、Facebookを利用したVRコミュニケーションサービスを発表!
Oculusがスタンドアローン型VR HMDの開発に着手!Gear VRとOculus Riftの中間のような存在に
WebブラウザでVRが動くように!?
マーク・ザッカーバーグ氏が降壇した後に行われたのは、Webアプリとして稼働するVRソフトウェアに関してのプレゼンテーション。
これまで、VRソフトはネイティブアプリとして開発がなされてきたが、これからはWebブラウザでも十分な開発ができるということのようだ。プレゼンターは、Webブラウザの活用例として、GoogleMapのようなマップアプリや、車内の様子をVRで確認できるものなどを紹介していた。
なお、これらのWebアプリ(ブラウザ)は、すべてコードネーム“Carmel”と呼ばれる開発者向けキットで作られたものだという。なお、こちらのキットは間もなくリリースされるとのこと。
これに続けて発表されたのは、アバターを使ってのソーシャルプレゼンスについて。VR空間をソーシャルなものにすることは難しくないが、そこで個性を発揮するには、やはりユーザーのアバターをVR空間で表現しないといけない。
そこで開発されているのが、このOculusプラットフォーム向けのアバタープログラムだ。
VR空間上でのアイデンティティの基礎となるアバターは、当然だがユーザーが任意に作成できるほか、これらを自由に動かせるようになるという。
プレゼンの中では、それを示すように、VR空間に設置されたコミュニティスペースで会話やゲームが楽しんでいる様子が映されていた。
▲髪型や表情はもちろん、サングラスの装着や服の変更まで可能。
なお、このコミュニティスペースは“Rooms”というシステムとなっており、この場で簡単なボードゲームなどができるのは先述の通り。だがそれだけに留まらず、このスペース経由でゲームを起動し、そこから場にいるユーザーたちを同じゲームに招待するといったことも可能になるようだ。
VRが要求するPCスペックが引き下がる新技術
プレゼンターが変わり、つぎに語られたのは、Oculusが開発している新技術について。難しい話なのでざっくり概要だけまとめると、内容は以下のようになる。
通常、ヘッドトラッキングを用いたVRコンテンツは、ユーザーが首を振っても映像がしっかり追いついてくるように、90fpsという高いフレームレートが要求される。しかし、このフレームレートをしっかりサポートできるようなコンテンツ開発は簡単ではない。
そこで、Oculusは“スペースワープ”という技術を用いて、差分となるフレームを補完することに成功。この技術により、コマ落ちという形でプレゼンス損失の解決はもちろん、Oculus Riftが要求するマシンスペックを下げることにも成功したという。
ちなみに、この技術を用いた場合の必要最低スペックは、グラフィックボードがGTX 960、CPUがIntel i3-6100 / AMD FX4350、RAMが8GBとなるとのこと。
これまでの必要最低上限がグラフィックボードでGTX 970以上、CPUではi5以上となっていたので、このスケールダウンは如実にパソコンの値段にも影響してくる。
このスケールダウンを受けて、PCメーカーCyberpowerは新たなOculus対応モデルのPCを発表。価格は驚きの499ドルとなる見通しだという。
これは私見だが、おそらくこのモデルはVR、それもOculus Riftを動かすのに必要最低限のものだけを詰め込んだものとなっているので、常用したり、ほかのリッチなコンテンツを楽しんだりするのは難しいものと思われる。
閑話休題。プレゼンターはこの要求スペックの緩和によって、これまで難しかったノートPCでのVR HMD稼働も容易になったと語っており、今後多くのOculus対応ノートブックが出てくるであろうと予測を立てていた。
要求スペックの緩和に続いて発表されたのは、Oculus専用イヤホンと、待望のハンドコントローラOculus Touchのリリースに関して。これについては先に速報記事があるので、そちらを参照してほしい。
【速報】VRハンドコントローラ”Oculus Touch”価格は199ドル!発売日は12月6日予定!
地味にうれしい! Oculus Rift用のイヤホンが2016年内に登場! 価格も判明
VRゲームのラインナップも拡充
つぎに行われたプレゼンテーションは、VRゲームについて。現状ではまだラインアップが弱いVRゲーム。
とくにOculusはプレゼンスを大事にしており、開発者が粗悪なものをストアに並べないように審査を行っている。そのため、コンテンツの拡充こそり進んでいないが、ストアに並べられるコンテンツはかなりクオリティの高いものになっている。
ここで紹介されたのは、今度新しくストアに陳列されるハイクオリティコンテンツたち。
最初に紹介されたのは『ARKTIKA.1』。これはハードSFの世界を舞台としたFPS。若干のホラー要素を含んでいるようで、かなり緊迫した空気が味わえるものとなっているようだ。ストーリーや価格、リリース日などは不明。
■『ARKTIKA.1』
続いて紹介されたのは『LONE ECHO』。こちらの作品では、プレイヤーはロボットとなり、宇宙空間での船外活動を行っている様子が確認できた。映像では、その後大きな爆発を伴うトラブルが発生していたようだが、そこからどう物語が進んでいくのかは不明。こちらも、価格などの詳細情報は明かされていない。
■『LONE ECHO』
ここでスピーカーが交代。アンリアルエンジンを提供しているエピックゲームの開発者が登壇し、『ROBO RECALL』というゲームの紹介に。
■『ROBO RECALL』
『ROBO RECALL』は、Oculus Touchに最適化されたFPS。プレイヤーはロボットとなり、暴走して迫り来る、リコール対象のロボットたちを、あらゆる手段を使って破壊していくというもの。
かなりユニークなコンセプトのゲームだが、その内容はかなりのハイクオリティコンテンツ。
Oculus Touchという自由度の高いハンドコントローラを活かすために、本作にはかなり多様なアクションが取り入れられており、銃撃はもちろん、ロボットを掴んで投げたり、掴んだまま頭部をボッコボコにしたりといったアクションも行えるようになっている。
そのほかにも、ロボットが撃ってきた弾丸を指先でつまんで投げ返したり、両手でロボットを掴んでぶつけ合ったりと、スタイリッシュな動きも散見でき、会場は大きな盛り上がりを見せていた。
こちらのコンテンツ『ROBO RECALL』は2017年中に、なんと無料で公開される予定だという。
しっかり紹介されたタイトルはこの3タイトルのみとなっているが、このほかにもNASAと共同して作成したISS(国際宇宙ステーション)でのミッションシミュレーターや、VR空間に手軽に3Dペイントができるソフトなど、35種類ものOculus Touch対応ゲームがローンチタイトルとしてリリースされることが発表された。
また、このゲームコンテンツに関しての追加発表として、Oculusプラットフォームタイトルに関しては、Facebookを通じてのライブストリーミング配信機能を実装されることも明らかに。
これにより、プレイヤーだけしか楽しめないというVRの特性を払拭し、体験を共有できるようになるとのこと。サービスの正式なリリース日などは不明。
モバイルVR向けコンテンツも
先のプレゼンに続いて行われたのは、モバイルコンテンツ(Gear VR向けコンテンツ)に関しての発表。これまでにもモバイルVRコンテンツはたくさんリリースされてきたが、そのほとんどが映像コンテンツで、ゲームコンテンツはさほど多くなかった。
しかし、先日発表されたとおり、Gear VRがついにXboxコントローラをサポート。これからはゲームコンテンツも拡充していくだろうとの見通しが立っている。
が、それは一端置いておいて、今回発表されたものはすべてコントローラフリーの映像コンテンツとゲームタイトルだった。
まず最初に紹介されたのは『Face your fears』。「ハロウィーン向けに怖いのを用意した」と語るプレゼンターは笑顔だったものの、その内容は、ちょっとシャレにならなそうなもの。
天井を這い回る子ども、ピエロの影から突然キバを剥いて襲いかかってくる子どもと、とにかく恐怖心を駆り立てるようなデモが流された本タイトルだが、価格などは不明。
続いての発表は、VRショートアニメーションとして高い評価を受けた『Invasion!』の続編『Asteroids!』。こちらも短編の3Dアニメーションで、前作同様キュートなエイリアンたちによるストーリーが描かれるという。こちらのリリースは2017年予定。
つぎに紹介されたのは、ゲームタイトル『SingSpace』。これはGear VRを通じてカラオケができるというもの。しかし、ただのカラオケではなく、これは最大4人でグループを作ってセッションもできてしまうというもの。
セッションはオンラインでも可能なようで、離れたところにいる友だちとセッションを楽しむこともできるとのこと。
また、インターフェイスには歌詞はもちろん、カラオケパーラーのような専用の世界が描かれ、そこにはグループを組んだメンバーのアバターも表示されていた。
最後に紹介されたのは、トレーディングカードゲームと攻防ストラテジーとを組み合わせたような『Dragon Front』。
これは、構築したデッキからカードを引き、そのカードを戦場となるボードに配置していくことで戦略的な攻防を行うというもの。こちらのタイトルはすでに発表されていたタイトルだが、ここで改めて発表がなされたようだ。
本タイトルはOculusプラットフォーム専用タイトルとなっており、発表がなされた時点からオープンベータテストが始まっている。正式リリース日などは不明。
映像コンテンツはパートナーシップでよりリッチに!『ブレードランナー』を題材にしたVRも
先述の内容からもわかる通り、Oculusプラットフォームでは、ゲーム以外にも映像コンテンツや教育コンテンツ、エンターテインメントツールなどが配信されている。
基調講演ではその中の、映像コンテンツについて触れられる場面も。短い発表となっていたので、ここではその内容だけをまとめて記していく。
発表の中でもとくに大きなものは、ウォルト・ディズニー・スタジオとのパートナーシップ締結。これにより、今後はOculusプラットフォームにてディズニーのVRコンテンツが配信されていくことに。
また、日本でも2018年に公開予定の映画『ブレードランナー2』のVRバージョンがOculusプラットフォームで配信されることも明らかに。さらに、アーティストOK GOのミュージックビデオも配信されることが発表された。
ここからも、Oculus社がどれだけ映像コンテンツに力を入れようとしているのかが伺える。各コンテンツのリリース日や価格などは不明だが、期待は膨らむ。
Oculusが見る5年後の未来
基調講演の最後に語られたのは、Oculus社が想像する5年以上先の未来に関して。
プレゼンターは現状VRが持つ技術的な問題、“解像度の低さ”、“視野角の狭さ”、“視界深度への非対応”などを挙げつつも、それらに関してはもうすでに解決の目処が立っていると語り「5年後にはパネル解像度は4K×4Kに、画素密度は30pix/degreesになり、視野角も視界深度も広くなるだろう」と推察している。
現状、視界深度に対応しているVR HMDはFOVEのみ。しかし、Oculusもこれに追随するように視界深度をどう確保するかを研究しているという。
また、そのほかにもプレゼンスの向上のため、現在のハンドコントローラを進化させ、指1本1本をトラッキングするフィンガートラッキングデバイスの開発、ワイヤレスヘッドセットの研究もしているとのこと。
プレゼンターは最後に「今後5年以内に、現実と仮想現実の世界の境界はぼやけてくるでしょう。VRシーンで構築された世界でアバターによる会議が開かれもするし、完全にソロな職場環境でもVRさえあれば事足りるようになります」と、VRが作る社会を想像を示してくれた。
また、合わせて今後訪れるであろうアバターを使ってのコミュニケーションをよりよいものにするため、ユーザーの表情さえトラッキングする技術の研究も行われていることも判明。基調講演は、VRの未来を感じさせるトークで幕を閉じた。
▼Oculusカンファで発表ぞくぞく
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