「Oculus TouchはソーシャルVRでこそ活きる」プレス向け体験会“Game Day”リポート

2016-11-17 23:33 投稿

Oculus Touchローンチタイトルの紹介も

2016年11月17日、Oculus社日本オフィスにて、Oculus主催のプレス向けVR体験イベント“Game Day”が開催された。

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同体験イベントでは、12月6日に発売を控えた、Oculus Rift向けハンドコントローラ“Oculus Touch”を紹介。OculusのHead of PublishingのJason Holtman氏も登壇し、VRの未来についても語られた。

またOculus Touchのローンチタイトルを手掛ける、日本のディベロッパーの代表者たちによるプレゼンテーションも行なわれた。

本記事では、前半でJason氏によるプレゼンテーションと氏へのQ&Aの模様、後半でローンチタイトルの紹介といった2部構成でお届けする。

Oculus Touch最大の特徴はハンドプレゼンス

Oculus
Head of Publishing
Jason Holtman氏

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Oculus Touchとは、ハンドジェスチャーでの操作と、実際に手がそこにあるかのような感覚の再現を可能にしたVR専用のハンドコントローラ。

Jason氏は同機を「魔法のようなデバイス」と称し、高いポテンシャルを秘めているデバイスであることをアピールした。

■Oculus Touch

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なかでも、Jason氏がOculus Touch最大の特徴として挙げていたのが、ハンドプレゼンス(※)について。「手のプレゼンスがあるだけで、さまざまな可能性が生まれる」とJason氏。

※直訳すると “手の実在感”。今回の場合、バーチャル空間上に表示された手が、Oculus Touchと連動することで本物の手のように感じることを指す。

その例として、医療現場でのVRの活用例を紹介。外科手術の研修の際に、Oculus RiftとOculus Touchを使用することで、仮想空間ながら現実味を帯びた外科手術体験ができるのだという。

ちなみにOculus Touchでは、グリップ部分にある2個のボタンと、デバイス上部にあるアナログスティックで指を表現している。

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コンテンツによってまちまちだが、基本グリップ手前のボタンで中指・薬指・小指を、グリップ前面のボタンで人差し指を、そしてアナログスティックに親指が触れているか否かで、指の動きを再現している。

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さらに、コントローラ本体を実際に握ることで、触覚的な要素が合わるのもポイント。これによって、VR空間上でオブジェクトを掴んだ際の実在感が増すのである。

では、“VR空間上で物を掴むこと”がOculus Touchをリリースした狙いだったのか。Jason氏は、Q&Aの中でその問いに対して、つぎのように答えていた。

「ソーシャルVRでの活用が前提にありました。そもそもは、VR空間でのハンドジェスチャーを実現させることが目的だったんです」(Jason氏)。

Jason氏によると、親指を立てる“サムズアップ”をしたり、人差し指で物を指差したり、ハイタッチをしたりなどのジェスチャーが行なえれば、VR空間上でのコミュニケーションが発展。実在感を高めるのだという。

■Oculus Connect 3で発表されたソーシャルVRデモ

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この話を踏まえると、Oculus Touchが中指~小指をワンボタンで制御している点にも納得。生産性やユーザビリティも少なからず影響しているだろうが、ハンドジェスチャーを実現するのが目的なら、わざわざ五本の指を個別制御する必要はない。

また会場では、HTC ViveのViveコントローラに対する、Oculus Touchの優位性に関する質問も浮上した。Jason氏は「HTCとValve、ソニーのようなVRデバイスのハードメーカーが多く存在することは、VR業界にとって重要」と述べ、“どこが勝っているか”という点については発言を控えていた。

しかしながら、Oculus Touchが“ソーシャルVRにおけるハンドジェスチャー”に重きを置いたデバイスならば、Steamというゲームプラットフォームを軸に置くHTC Viveと比較するのは、見当違いだったのかもしれない。

日本市場を重要視

Jason氏は、VR元年とも呼ばれる2016年を「消費者向けのVR製品が続々と発売され、VRにとって重要な年だった」と振り返る。

Oculus社としても、「Oculus Touchに刺激を受けた開発者がコンテンツを開発し、それをユーザーが楽しむという“エコシステム”が重要である」と説明した。

日本へのローカライズについても意識しており、「日本の市場は非常に重要」(Jason氏)と、これまで以上に注力していく姿勢を見せた。

事実、Oculusはすでに日本オフィスを設立。デベロッパーやクリエイターとのコミュニケーションにも、かなりの時間を費やしているのだという。製品の日本語対応にも力を入れており、Oculusの一部メニューやストアも日本語に対応。オンラインストアでは、日本円での購入決済も行えるようになっている。

ただ残念ながら、HTC Viveのような小売店での販売は計画されていない模様。その点については「店頭販売を行なっていない国は数多くある」とフォローを入れていた。

最後にJason氏は、Oculusの強みを「VR専業の会社であること」と言及。ソフトウェア開発、ハードウェア開発、パブリッシング事業、研究施設、それらすべてを自社で保有。そしてそのすべてが、VRに特化している

Jason氏の「10年、15年先のVRの進化を見据えて行動をしている」といった発言の通り、発展途上のVR業界を牽引し続けるのは同社かもしれない。

日本のディベロッパーが手掛けるOculus Touchローンチタイトル

Jason氏のプレゼンテーション終了後には、コロプラ、よむネコ、トリコル、オーパス、キュー・ゲームスといった5社の代表が登壇。

各社が手掛けるOculus Touchのローンチタイトルの紹介を行った。

コロプラ(ゲームタイトル:『Fly to KUMA MAKER』、『Dig 4 Destruction』)

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コロプラからは、『Fly to KUMA MAKER』と『Dig 4 Destruction』の2タイトルがリリース予定。いずれもHTC Vive向けで配信中のタイトルである。

『Fly to KUMA MAKER』

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『Fly to KUMA MAKER』は、ブロックを動かして、かわいいクマたちをゴールまで導くアクションパズルゲーム。

前身にあたる『Fly to KUMA』というパズルゲームがOculus Rift向けで配信中だが、本作では新たにメイキングモードを実装。メイキングモードでは自分でステージを作り、世界中のユーザーに遊んでもらえるようだ。

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本作のデモ展示もされていたが、Oculus Touchならではの“ブロックを掴む”感覚がとても印象的。

また『Fly to KUMA』では、“ブロックを配置⇒クマたちが動く姿を眺める”というものだったが、本作ではクマたちの移動中にブロックを動かす要素も加わっていた。

動くクマに合わせてブロックを移動させる必要があるため、ハラハラ・ドキドキする感じは倍増!

『Dig 4 Destruction』

『Dig 4 Destruction』は、ボクセル風のステージで、地中を掘りながら発掘した武器で撃ちまくるオンラインFPS。こちらはデモ展示こそなかったが、Oculus Touchに合わせてさまざまな部分が最適化されているらしい。

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よむネコ(ゲームタイトル:『エニグマスフィア』)

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よむネコ代表の新 清士氏が、Oculus Touchにはじめて触れたときの衝撃から企画が立ち上がったという『エニグマスフィア』。

本作は、”スフィア”と呼ばれるオブジェクトをハンマーで壊すことで、部屋の扉が開かれていくVR脱出ゲームである。

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スフィアは部屋の中に隠されていることもあり、設置されたレバーを下ろすことで隠されたスフィアが顔を出すことも。ハンマーで倒す爽快感もさることながら、このレバーを下ろしたときの気持ちよさがクセになる!

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ふたり同時の協力プレイも可能で、「複数人でのプレイが圧倒的におもしろい」とは新氏の言。

本作には全20ステージが用意されているらしく、ひとりなら2時間、ふたりでも90分ほどと、昨今のVRゲームにおいてはかなりのボリューム感になっているようだ。

『エニグマスフィア』は、11月19日~12月18日の期間限定で、大阪の“梅田ジョイポリス”に出展される予定。

■Japan VR Summit 2で『エニグマスフィア』をプレイ

キュー・ゲームス(ゲームタイトル:『Dead Hungry』)

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京都のインディーメーカー”キュー・ゲームス”が手掛けるのは、ちょっとおバカなゾンビアクションゲーム。

プレイヤーはフードトラックのシェフとなり、ハンバーガーやピザ、フライドポテトなどの食べ物を調理。迫り来るゾンビにそれらの食べ物を投げつけて、人間の心を取り戻させるのが目的だ。

ちなみに“食べ物”とは言ったが、置いてあるラジカセやケチャップの容器なども、バンズに挟んだり、ゾンビに投げつけたりすることができる。

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そんな“おバカ”なノリが全開の本作は、少人数のスタッフが楽しみながら短期間で開発したものなのだとか。

じつは、もともとOculus Touch向けで作られたタイトルではなかったという本作。「後からOculus Touchに対応させてみたところ、没入感が高まり、非常におもしろくなった」と、同社のBaiyon氏が明かした。

こちらもデモ版を体験したのだが、料理を作るのがとにかく楽しい! それこそ“カセットテープバーガー”などのおバカな料理を作るのもよいのだが、パティ⇒チーズ⇒レタス⇒トマト……そしてバンズ! といった“完璧なハンバーガー”を作り上げるだけでも、かなりテンションが上がった。

オーパス(ゲームタイトル:『Pro Fishing Challenge VR』

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Oculus Touchを“究極の釣りコントローラ”と考え、開発が進行しているという『Pro Fishing Challenge VR』。

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いわゆる“釣りゲー”なのだが、従来のものと一線を画すのは、本物さながらに“釣竿を持ちながらリールを巻いている感覚”が味わえる点。

プレゼンテーションを行なったオーパス鈴木氏は、「ふつうのコントローラで“100回リールを回せ”という指示があったらクソゲーですが、VRとOculus Touchなら苦にならない」とコメント。

体験中の映像も披露されが、それを見て氏の発言に納得。体験している青年が活き活きと動き回っている姿を見ると、きっと無我夢中になってリールを回すであろう自分の姿が容易に想像できた。

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トリコル(ゲームタイトル:『PLANNES』)

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2016年5月に設立されたばかりの開発会社トリコル。創業からわずか半年だが、すでに『千客万来!VRラーメン屋体験』、『前代未聞の、VRフリースロー体験』といったVRゲームをリリースしている実力派である。

そんな同社が手掛けるのは、テニスのようなスポーツゲーム『PLANNES』。正対した対戦者とボールのようなオブジェクトを打ち合い、相手の背後にオブジェクトが到達したら自身の得点になる。

 
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使用するラケットには複数のアビリティがあるようで、ラケット集めというやりこみ要素も内包。

またPCモニターとゲームパッドを使うことで、1台のPCでのふたり対戦も可能になっているのも特徴。

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番外編:話題のVRゲーム『Robo Recall』と『Medium』を体験

イベントの体験会では、Oculus Touch対応コンテンツ『Robo Recall』(開発:Epic Games)と『Medium』(開発:Oculus Studios)の2タイトルも出展されていた。

『Robo Recall』

『Robo Recall』は、ロボットと戦う近未来FPS。かつてEpic GamesがOculus Touch用のデモとして開発したVRゲーム『Bullet Train』を前身としており、『Bullet Train』で可能だった“敵が撃った弾を掴んで投げ返す”アクションは本作でも健在。

また『Robo Recall』では、迫り来るロボットを掴んで引きちぎるといった格闘要素や、腰にコントローラを移動させてトリガーを握ると銃が出てくるといった要素を搭載。腰から銃を取り出すあの独特のアクションは、クセになる人が続出しそうな予感。

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最終的には、ボスのような巨大ロボに乗り込んで敵を一網打尽にすることも。こちらはぜひ一度体験してもらいたい。

ちなみに移動方法は、到達地点を指定してテレポートするタイプ。プレイヤーの身体的移動は少ないため、酔いについてもかなり考慮されているようだった。

『Medium』

もう一方の『Medium』は、VR上でオブジェを作り上げるクリエイティブなコンテンツ。

VRペイントツールといえば『Tiltbrush』が有名だが、本作は立体物を作り上げるまったくの別物。

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ホイップクリームの缶のようにスプレーすると、オブジェクトが出てくる仕掛けになっている。オブジェクトの回転や拡大・縮小はもちろん、着色や切り取りなども可能。

謎の物体を作るだけでも楽しいのだが、アーティストが手掛ける本格派の彫刻なんかが生まれる未来にも期待が膨らむ。

Oculus Touch概要

・予約開始日:2016年10 月10日
・発売日: 2016年12月6日
・価格:23,800円[税込・送料込]
・販売:公式サイトにて販売
・セット内容:左右コントローラ、トラッキングセンサー、『Rockband VR』専用マウント、電池

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