
【本日もちょっと!逆鱗日和(3)】キャンプの儀式
2014-05-13 17:46 投稿
“ガシャガシャ”という……
iOS版の『モンスターハンターポータブル 2nd G』を、俺は基本的に同僚の中目黒目黒や江野本ぎずもと遊んでいる。江野本とは、『モンスターハンターポータブル 2nd』の後半からだから丸6年、目黒に至っては無印(プレイステーション2用ソフトの初代『モンスターハンター』のこと)の発売日からなので、10年以上もともにフィールドを駆け巡っていることになる。
そんな目黒と先日、会社の食堂で昼飯を食いながら『MHP 2nd G for iOS』で遊んでいた。見ると目黒は、前回のコラムで書いたボーンククリ(片手剣)を卒業したのか、粗末なハンマーを背負っている。
「まったく、大塚さんもえのっちも気が利かない……。箱(アイテムボックス)にハンマーが入っていることをもっと早く教えてくれていれば、わざわざ慣れない片手剣で苦労することもなかったのにブツブツブツ……」
ブツブツブツと、言いがかりもいいところなつぶやきを発する目黒を無視し、砂漠のダイミョウザザミ討伐クエストを受注する。これは目黒が、
「アメフトのプロテクターみたいな装備、ありましたよね?? 俺が『モンスターハンター2(ドス)』のころからお気に入りのヤツ! ……あ、ザザミだ! ショウグンザザミ!! あれに連れてってくださいよ!!」
とわめいたので、「うん、わかった。ショウグンザザミはいないから、ダイミョウザザミに行こうね、目黒ちゃん」とやさしくたしなめて、砂漠のバカンスにくり出した次第である。
このクエストでも、働いていたのはほぼすべて俺だった。目黒のハンマーはひたすらガキンガキンと攻撃を弾かれて、ほとんど使い物にならないのである。あまりの惨状に呆れた俺が目黒の画面を覗き込むと、ヤツのハンマーは斬れ味ゲージがギザギザになってしまっている。これじゃ、弾かれて当たり前だ。なので、俺は指摘した。
「目黒、斬れ味ゲージがギザギザだよ? ちょっと離れて砥いでこいよ」
言われた目黒、スッと目を細くして、噛みつくような口調で吐き捨てた。
「……いくら砥いでもギザギザですよ。……斬れ味マックスで、これなんですから!!(泣) バカにしてるんすか!!!」
俺、触れてはいけない傷にさわってしまったことを悟り、苦笑いをしながら謝った。
「……あ、そうなんだ^^; ど、どんまい^^;;」。
そんなこんなでいくつかのクエストをこなし、「つぎでラストにして、仕事に戻るか」ということになった。選んだクエストは確か、沼地のゲリョス討伐かなんかだったと思う。
俺はキャンプに降り立つとすぐに、青のアイテムボックスに取りついて自分の分のアイテムを回収する。
地図、応急薬、携帯食料、ペイントボール……。
それが終わったらウインドを閉じ、無意識のうちにR1+Y+Bを押してガード姿勢。続けてR1+Bボタンでガンランスに弾丸を装填した。ここまでの一連の流れが“ガンランサーがキャンプですべきこと”で、俺以外のガンランス使いも同じような“儀式”を行っていると思うのである。
さあ、準備は万端だ。ゲリョスを目指して、沼地を駆け巡ろう!!
そんなことを思いながらガンランスを畳み、走り出そうとしたその瞬間、目黒がいきなり声を発した。
「大塚さん、いつもそうやって、キャンプでガンランスをガシャガシャしていますよね」
ん? と思って顔を上げると、目黒が続けた。「それこそ、『モンハン2(ドス)』の昔から……」。
何が言いたいんだこいつは。思い出話にでも、花を咲かせる気なのか?
発言の真意が読めず「まあ、そうだね。ガンランスだからね」なんてテキトーに答えると、目黒はまったく予期していなかった言葉を発したではないか!!
「前から思っていたんですけど、それってガシャガシャ音を出して、かっこつけているんですよね?www ガンランスって中二っぽいしwww 仲間を音で威嚇して、主導権を取ろうとしているんですか??www そんなんじゃ、ビビりませんよ俺はwww」
「ぶーーーーーーっ!!!」と味噌汁を口から噴き出しながら、俺はわなわなと震える怒声を出した。
「んんん、んなわけねぇぇぇええだろ!!! 弾入れてんだよタマを!!! ガ、ガ、ガンランスにタマを!!!(怒)」
目黒、ポカンとした顔で言う。「は?? タマ???」。俺の怒声は、涙声になった。
「じゃ、じゃあなにか!!? オマエ、『モンハン2(ドス)』の8年前からずっと、俺がカッコつけでガシャコンやってると思っていたのかよ!!(泣) んなわけねえだろ!!!」
俺の叫びの意味がわかったのかわからなかったのか、目黒は「ふーん。そうなんスか」と言って、斬れ味ギザギザのハンマーを担いでキャンプから飛び出していってしまったのでした……。
おしまい。
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※【動画あり】『モンスターハンターポータブル 2nd G』がiPhoneアプリになって甦った!
大塚角満Twitterアカウント→@otsuka_kadoman
大塚角満(おおつか・かどまん)……週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。編集業務のかたわら、執筆活動を精力的にこなしており、多数の連載記事を持つ。著書に、『モンスターハンター』シリーズのプレイ日記をまとめた『逆鱗日和』シリーズが9作、『ダークソウル』のプレイ日記をまとめた『折れてたまるか!』シリーズなど。ファミ通Appでは、“熱血パズドラ部!”を始めとするスマホゲームの執筆活動も行っている。 |
モンスターハンターポータブル 2nd G for iOS
- ジャンル
- ハンティングアクション
- メーカー
- カプコン
- 配信日
- 配信中
- 価格
- 1600円[税込]
- 対応機種
- iOS 6.0 以上
- コピーライト
- (C)CAPCOM CO., LTD. 2014 ALL RIGHTS RESERVED.
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