【本日もちょっと！逆鱗日和（８）】草むらが怪しい

またアホな話

相変わらず中目黒目黒、岩田ジュビ漏の3人で狩りをしていて、しかもナゼかわからんがやたらと｢沼地のババコンガをやりましょう！！｣とババコンガ討伐クエストにばかり連れていかれている。こいつら、ババコに何か恨みでもあるのか、それともこのクエストしか知らないのかわからんが、とにかく連日のように沼地でピンクのサル状モンスターを追い回しているのだ。

とは言っても、例の如く狩りの序盤は、俺がモンスター討伐、目黒と岩田は仲良く採取……という（勝手な）役割分担になっている。俺はワイワイキャアキャアとフィールドで追いかけっこをしているふたりを苦々しく眺めながら、吐き捨てるようにつぶやいた。

｢おまえら、とっとと採取を済ませて狩りを手伝いに来……てもいいけど、来なくてもいいよ＾＾；｣

これに、憤慨した岩田が噛みつく。

｢なんで歯切れが悪くなってんすか！　すぐに行くから待っててくださいよ！！｣

そういう岩田のiPadから、｢カンッ！　カンッ！｣という小気味いいピッケルの音が響いてくる。その音を聞いて、俺はふと思ったことを口にした。

｢ていうか、毎回毎回掘っているんだから、ぼちぼち必要な分の石は溜まったんじゃないの？　ケチらないで、武器とか防具を強めてこいよ｣

すると岩田、急に恨みがましい目で目黒を睨みつけながら、血を吐くようなドス黒い声でこんなことを言った。

｢……そう思うじゃないですか？　でも、こうやってカンカン掘るたびに目黒さんが走ってきて、僕のことを蹴っ飛ばすんですよっ！！！　しかも、毎回毎回！！！　なので僕は石も虫も、ほとんど獲れていないんです！！！（泣）｣

言われた目黒はすっとぼけて、｢いつまでカンカンやってんだよ！ｗ　ホレ、ババコ狩るぞ！！ｗ｣なんて言っている。小学生かこいつらは。

それでも、このときは比較的順調に狩りが進行し、我々の攻撃に辟易したババコンガは沼地のエリア6に逃げていった。

｢追えーーー！！！｣

｢いけーーー！！！｣

｢わーーー！！！｣

と、思い思いの鬨の声を上げて走る3人。たまには、こんな順調な狩猟シーンも展開されるのである。

その後も、俺たちの立ち回りは冴えまくった。

｢ババコは俺が引き受けるので、まわりのコンガどもをどうにかして！｣

という俺のリクエストに目黒も岩田も｢応っ！！｣と応え、ドタバタとコンガを追いかけている。

もう、クエスト達成は時間の問題－－。

誰もがそう思い始めたとき、突然岩田が｢ん！？｣と言い、ピタリと動きを止めてしまった。岩田のキャラはそのまま立ち尽くし、本人は｢んんん？？？｣なんて言いながら画面の1点を凝視している。

（何をやってんだコイツは……？？）

俺と目黒が不思議に思いながら岩田の様子と眺めていると、ヤツは急にガバッと顔をあげてワアワアと騒ぎだしたではないか。

｢俺、見ましたよ！！！｣

ヨダレを巻き散らしながら岩田が叫んだ。だらしなく緩んだ顔は喜色に満ち、｢オラ、UFOを見ただ！！｣と証言する再現VTRの外国人のようにも見えた。

｢は？？　何を見たの？？｣

狩りもせずに不思議ちゃんを気取る岩田にイラつきながら、俺は尋ねた。すると岩田、待ってましたとばかりに｢発見ですよ！！｣と前フリしたあと、こんなことを言ったではないか！

｢草むらです！！　この草むらからサル（コンガのこと）が生まれるのを見たんです！！！　ここがヤツらの巣だったんですよ！！！｣

俺と目黒が（何言ってんだコイツ……）と呆れていると、岩田は畳み掛けるようにこう続けた。

｢さあ、竜撃砲の出番です！！　この草むらを焼き払っちゃってくださいよ！！　そうすればコンガも虫も発生しなくなりますから！！！｣

尻尾をブンブンと振り回し、ウレションする勢いで報告する岩田に俺と目黒は同時にキレた。

｢……んなわけねえだろ！！！！！！！｣

今日もとことん平和です。

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