◆おっかしいな……
『モンハン』シリーズに連綿と受け継がれる“あの技術”の、匠であり、職人であり、マイスターであり、マエストロでもある……! まあ、まとめて言ってしまえば人間国宝みたいなもので、さいたま市界隈では(狭いな)、
「“アレ”は、角さんに任せときゃ大丈夫さ!!」
と、全幅の信頼を置かれているのである。
そんな“あのシステム”が、満を持して『モンハンNow』にも実装されてしまったというのだから穏やかではない。
狩りでは★9モンスターをなかなか狩れず、装備の生産ではイビルジョーのヨダレが出ずに完全な袋小路にハマりつつある老境のガンランサーに……再びスポットが当たるかもしれん!!
その新たなシステムとは……もちろん!!
うおおおおおお!!! 上手に焼きてぇぇえええ!!!
そう!!! 肉焼き!!! ハンターたちのアイデンティティのひとつでもある肉焼きが、ついに『モンハンNow』にもやってきたのだ!!! 俺はこの肉焼きに関しては20年前の無印『モンハン』の時代から非ッッッ……常~~~に得意としていて、付いたその名はズバリ、
“肉焼きの天才”
……まあ、そう呼んでいたのは俺ひとりなのだが(独り言じゃねえか)、『モンハン』シリーズの歴史書として名高い『本日も逆鱗日和』という書物にも、その件に関する随筆がいくつも載っているので証拠として引用しておこう。
シリーズ5作目の『本日もただいま! 逆鱗日和』に、『天才は今日も肉を焦がす』という一節がある。これは『モンスターハンター3(トライ)』に実装された“連続肉焼きセット”を初めて使ったときの衝撃を綴ったもの。その一部を流用する。
◆◆◆
ヘッドホンから流れてくる軽快な肉焼きの音楽。先ほどのタイミングは覚えたので失敗する要素はない。チャンチャラチャランチャチャチャ~……♪ よし、そろそろだな……と思ったところで、我が分身が思いがけない行動をした。
ズズン!
なんとコンロの片側にもうひとつ、生肉とおぼしき肉の塊を乗せたのである! う、うわ! なにしやがるんだコイツは!! タ、タイミングはどうしたらええの!? さっぱりわからーーーん! って、さ、最初に乗っけた肉の焼き加減もわからなくなった!! ひぃぃぃ! どうすんだ!?
いいトシして大いにウロたえていると、ヘッドホンから流れ込んできた信じられない音が俺の鼓膜を揺るがせた。
ブヒィィン!!
コゲ肉になりました!!
わああああ!! コゲ肉なんて作っちまったよおお!! ……って、驚いていたら2個目の肉が!! ちょ、ちょっとちょっと! なんで俺の許しも請わずに3個目の生肉をコンロに乗せてるんだよ!
ブヒィィン!!
コゲ肉になりました!!
ほらみろ!! 2個目がコゲ肉にな
ブヒィィン!!
コゲ肉になりました!!
ちょ!! まだ文字を打ち終わってないのに!! わかったよ!! 遅いんだろボタンを押すのが!! ホレ、これでどうだ!!
ポヨヨン
生焼け肉になりました!!
わあああああ!! 今度は生焼け肉かよ!!
◆◆◆
……これだけだと成功しているのか失敗しているのかよくわからんが(大失敗じゃねえか)、「肉焼きは楽しい!!」ってことだけは伝わったんじゃないかと思います^^;
ということで『モンハンNow』の肉焼きなのだが、そのやり方はシリーズ本編の肉焼きとほとんど同じで、
てなわけで、『モンハンNow』では初となる肉焼きだ。
なのでいつも通り、音楽はナシ!! ジワジワと炙られていく肉の表面をジッと見つめて……!! 生肉から生焼け肉、そして……珠玉のこんがり肉へ……って、ここだ!!! ここしかない!!!
俺は「肉ぅぅぅううう!!!」と叫びながら、画面にヒビが入るほど押していた指のホールドをピッと解除した。
そ、そしたら……!!
!!!!?!??
って、失敗したじゃんよおおおお!!!(驚)
な、なんてこった……!!
この20年間、一度足りとも肉焼きに失敗したことのなかったこの俺が、『モンハンNow』でいきなり汚点をつけられるなんて……!!!
い、いや!! いまのは何かの間違いだ!! ちともう1回、仕切り直しで肉を焼かせてくれぇぇえええ!!!
翌日、再び生肉を手に入れた俺は、
「ここだッッ!!! ここしかない!!!」
汗のにじむ指先をボタンから離したらぁ……!!
!?!?!!!!?!!
ハンターとして生きてきて、20年……。
俺はついに、そのときが来たと悟ったよ。
「“肉焼きの天才”の看板、下ろさせていただきます(涙)」
続くw