『MARVEL SNAP(マーベル・スナップ)』リリース1周年を記念したウェブサイトが10月19日より公開。公式生放送の実施も決定
2023-10-18 15:21
2022-12-08 21:00 更新
この記事に関連するゲーム ゲーム詳細
MARVEL SNAP(マーベル・スナップ)
マーベル作品に登場するキャラクターたちがデザインされたカードで戦うデジタルカードゲーム『MARVEL SNAP』(以下、『マベスナ』)。
2022年10月19日の配信から1ヵ月を超え、イベントなども続々と展開している本作について、プロゲーマーのちょもす氏にインタビューを行った。
『マベスナ』に抱いた印象から本作の魅力、今後さらに多くのユーザーの目に触れるために必要と思われる要素など、さまざまな話を聞くことができたので、本作をプレイしている人もまだ触っていない人も、ぜひ最後まで目を通してほしい。
ちょもす氏(文中:ちょもす)
プロゲーミングチーム・魚群所属。デジタルカードゲームなど、戦略性を重視したゲームで屈指の実力を発揮する。
ゲームプレイだけでなく、ゲーム攻略記事などのライティングも行っている。
――まずは、『マベスナ』が登場した際に抱いた第一印象を教えてください。
ちょもす まずは「よく作ったな」というのが最初の感想でした。デジタルカードゲーム(DCG)というジャンルが『ハースストーン』により開拓されて以降、さまざまなデジタルカードゲームが出てきましたが、そのほとんどが『ハースストーン』ライクな作りであったり、新しいことに挑戦してもうまくいかなかったりといった状況だったと思います。その中で『マベスナ』に近いことをやっていたタイトルもありましたが、それも大成功をしたとは言えなかったと記憶しています。
そしてゲームシステム的にも課金システム的にも、これまでのDCGとはひと味違った作りになっているのも印象的でした。
このように成功例を出しにくい市場で、新しいゲームシステム、新しい課金システムを搭載したゲームを企画して予算を取り、完成させたのは本当にすごいことだと思います。そういった意味での、「よく作ったな」という感想ですね。
――では、実際にゲームを遊んでみての感触はいかがでしたか?
ちょもす ゲームとして、非常におもしろい作品だと思います。ここ数年はDCGもネタを出し尽くした感があって、既存のシステムから脱却できていない状況にあると感じていたのですが……。
『マベスナ』は既存のTCGやDCGが抱える問題に実直に向き合い、しっかりと答えを出した上で、すごく楽しみやすいゲームに仕上がっていると感じます。
――具体的に、どういった部分に魅力を感じましたか?
ちょもす やはり、スナップシステムですね。正直、そこが解放されるまではシンプルすぎる印象があったのですが、スナップが出てきたことで急にゲーム体験が変わったんですよね。
スナップのいいところは、まず機能がよくわかっていなくてもボタンを押したら気持ちよくなれるところですね(笑)。「スナップだ!」ってボイスも出るし、爽快なSEも鳴るし、わかりすく気持ちいい!
それにスナップができるようになってから、戦略性や駆け引きのおもしろさが一気に増すんですよね。スナップが開放されてはじめて「このゲームの核となるのはここなんだ」と本作の本当のおもしろさに気付ける部分があると思うので、ちょっと触って本作の評価を決めるのではなく、スナップのシステムが開放されるまでは遊んでみてほしいです。
――スナップによって生まれる駆け引きがあって、はじめて『MARVEL SNAP』の真の面白さがわかりますよね。
ちょもす 本当に、スナップが出てからの駆け引きがおもしろいんですよね。「『MARVEL SNAP』の魅力は?」というと、わかりやすい「1試合が短くて、3分もあれば終わる」、「MARVELのキャラクターがデザインされている」という点ばかりに焦点があたってしまいます。もちろんそこも魅力のひとつではあるのですが、やはりスナップこそが最大の魅力ですよね。
スナップとは、つまりはポーカーで言うところのレイズとフォールの要素です。掛け金を倍にするか、倍賭けの提案を受けて撤退するかという選択が生まれるので、それだけで戦略性が増しているのですが、最大の効果は「スナップによって理不尽な運要素を受け入れられる土壌が作られる」ということだと思います。
――理不尽な運要素を受け入れられる土壌、ですか?
ちょもす 正直、ロケーションの運要素ってすごいじゃないですか。相性のいいロケーションが出たときはすごく有利ですけど、逆に相手に有利だったりすると手も足も出ないまま終わることがあります。その理不尽さはネガティブにも見えますが、逆に運次第ではとんでもないことが起きて、めちゃくちゃ気持ちよくなれる要素です。
――ロケーションによって「そんなのありか!」と驚かされることも珍しくないですからね。
ちょもす ロケーション“バー・シニスター”でカードが4枚に分裂したのは衝撃的でしたね(笑)。
ともあれ、そういった運要素はネガティブに働くことが多く、とくにそれで負けた際にはゲームへの不満にも繋がってしまいます。しかし『MARVEL SNAP』はスナップのシステムを取り入れたことで、撤退にも戦略的な意味が出てくるようになっているんです。
スナップがなければ、撤退は「降参」、「参りました」というニュアンスになってしまうと思うのですが、スナップがあることで戦略的撤退というニュアンスが強くなって、それをひとつの選択肢として素直に受け入れられるようになってるんですよ。
それに付随して、本来なら運要素であるはずのロケーションに対してもポジティブに受け入れやすくなっているので、ここは本当に「よくできているな」と感じました。
――スナップシステムは本作の大きな特徴ですが、ほかの部分で本作ならではの魅力と言える部分を挙げるとしたら何でしょうか。
ちょもす 序盤で、使えるカードがプール(シリーズ)ごとに分けられているのは、本当に偉いと思います。自分のプレイ段階によって、使えるカードに縛りが生まれるってことですから。
稼働初期ではそこまで大きな要素として実感できないと思うんですけど、これは地味にすごい発想なんですよね。
というのも、たとえば2~3年、そして5~6年とゲームが続いていくと、カードの量は膨大な数に膨れ上がっていくことになると思います。そうなってくると、後発組はその時点で実装されているカードを把握するだけでも大変ですし、それを集めるとなると資産的にも苦労することになりますよね?
でも『MARVEL SNAP』の区切り方を採用すれば、最初に使えるカードプールはみんな同じなので、稼働初期に遊んだ人でも後発組でも、最初の体験が変わらないんですよね。だから、どのタイミングからでもゲームを始めやすくなってるんですよ。
――事前にデッキレシピやコンボを把握しておかないと、というハードルがないのは参加しやすい部分ですね。
ちょもす そうなんですよね。ここは本当に、さまざまなカードゲームの問題点を分析して作った結果なのかなと思います。先程語らせていただいた通り、必要な知識がそこまで多くないんですよ。
序盤なら、自分が使うカードも相手が使うカードも似通っているので、自分のカードをある程度覚えておくだけで楽しめますし、そこから進んでいっても、その都度ちょっとずつカードを覚えていくだけで楽しく遊べます。こうして覚えるカードが少ないので、ちょっと遊ぶだけで「6ターン目に、あのカードが出てきそうだな」とか、「こういうコンボを狙っているのかな」という予想ができるようになって、手軽に駆け引きを楽しめるところまでいけるんですよね。
カードゲーム初心者でも、けっこう早い段階から「こういう戦略かな? それなら、こうしたら勝てそうだ。スナップを仕掛けてみよう」という読み合いと駆け引きが楽しめるようになると思います。読み合いや駆け引きという要素はカードゲームの醍醐味のひとつですが、そこに到達するまでが早いというのは、非常にユーザーフレンドリーですよね。
そういう意味では、1試合が短くて軽い気持ちで遊べるのも初心者にやさしい部分ですね。
――ものにもよると思いますが、やはりほかのカードゲームと比べると1試合の時間は短いですよね。
ちょもす そうですね。一般的なカードゲームだと、試合によっては1時間近くなることもありますから。1試合が長いと、単純に1試合にかかるエネルギーが多くて疲れますし、デッキやカードを試すのも億劫になるんですよね。
それと比べると『MARVEL SNAP』は長くても3分~5分で終わるので、対戦自体も新デッキを試すにしても非常に手軽ですね。
――手軽にプレイできるというのは、初心者にとっては非常にありがたい仕組みですよね。
ちょもす 初心者に優しいというのはもちろんなのですが、1試合が短くてハイテンポにサイクルを回せるのって、じつは対戦ガチ勢からしてもメリットが大きいんですよね。
同じレート帯でハイテンポで試合を回すと、似たシチュエーションに遭遇するケースが増えるんですよね。そうすると「さっきの試合は、ああやって負けたから、今度はこうしてみよう」とか、対策やチャレンジがしやすいので、トライアンドエラーが捗るんです。
初心者目線で見れば、成功体験を積みやすい環境ができていると考えることもできるので、本当にいい設計だと感じます。自分の作戦がハマった気持ちよさを味わいやすいというのは、ほかのカードゲームにない魅力だと思います。
――勝つにしても負けるにしてもサクッと終わりますから、そのぶん知見も溜めやすいしモチベーションも上げやすいですよね。
ちょもす あと、序盤は人間のフリをしたAIと戦わせてくれる期間が、ほかのゲームと比べると長めに設定されているっぽいので、そこも初心者に優しい設計になっていると感じます。このAIが非常によくできていて「こうやったら勝てるんだ」と実践を通して気持ちよく学ばせてくれるんですよね。
――初心者でも遊びやすいという点では、デッキ枚数が12枚と少ないのも複雑すぎなくていい部分かと思ったのですが、ちょもすさんから見てここはいかがでしょうか?
ちょもす それも大きいと思います。デッキ枚数も少ないですし、入手できるカードの順番も人によって違うので、プレイヤーごとのストーリーがあって、デッキ編成に正解がないのもいいところなんですよね。
使えるカードが極めて限られている状況、たとえばプール1を集めきったタイミングでの結論となるようなデッキはあるかもしれませんが、自分の持っている資産のなかでの正解というのは、どこの攻略サイトにも書いてないと思うんです。
そのなかで、自分が正解だと思うところを考えて、デッキを構築する。その考える楽しさを実感しやすいという点でも、初心者が遊びやすいカードゲームだと感じます。
――デッキ構築はカードゲームの核とも言える部分ですから、そこを楽しみやすいのは大きいですよね。
ちょもす それは本当に大きいですね。じつはここ数年、DCGの市場が大きくなってからは、みんなデッキを組まなくなっちゃったんですよね。デッキはネットにあるテンプレで済ませて、プレイの部分だけを遊ぶというプレイヤーが多くなってしまって。
ネットにあるテンプレデッキで楽しく遊べる、というのもひとつの手軽さであり、ひとつの魅力ではあると思うのですが、やっぱりデッキを作る楽しさというのは、カードゲームに絶対あるものだと思います。
『MARVEL SNAP』は、そこを諦めずに「楽しんでデッキを組んでもらうためにはどうすればいいか」と、考えに考え抜いてこの仕組みを作っているんだなと感じられました。
『MARVEL SNAP』を遊ぶ際にはぜひ、自分でデッキを考える楽しさも味わってほしいですね。
――初心者にやさしい部分をたくさん語っていただきましたが、一方でカードゲームをよく遊ぶプレイヤーから見た魅力は何がありますか?
ちょもす やっぱり、ロケーションの存在ですかね。ロケーションの種類も多いですし、同じ組み合わせでも出てくる順番によって展開が変わるじゃないですか。
「ある程度カードとロケーションを把握できたかな」というころに新しいカードプールが追加されて、組み合わせがまた膨大になっていって、そこでまた新しい展開が生まれてくる。そうした環境の変動、流動性が非常に健全だと感じます。
これまでのカードゲームって知識量が勝敗に直接関わってくるので、攻略サイトがすごく強いんですよね。知識量に乏しい初心者プレイヤーでも、攻略サイトでおすすめされているデッキで、パターン化された順番でカードを切っていけば、攻略サイトを見ていない人にはかなりの確率で勝ててしまいます。
――たしかに、そのイメージは強いですね。
ちょもす しかし『MARVEL SNAP』の場合、攻略サイトが得意とするパターン化がすごく難しいと思うんですよ。もちろん軸になるカードを紹介して「こういうカードと相性がいいですよ」と、ある程度デッキの組みかたを見せることはできますけど、それもロケーション次第ですべて変わります。
ロケーションが爆破されて一個だけになっちゃったりしたら、攻略サイトにあるプレイの仕方なんて到底できません(笑)。
ちょもす これも『MARVEL SNAP』がカードゲームの抱える問題に対して出した、ひとつの答えだと思います。
これまでのカードゲームはテンプレデッキ、テンプレ行動がすぐに流行ってしまって、ゲームとしての賞味期限が短くなりがち、という問題を抱えていました。
でもそこにカードよりも強い影響力を持った要素“ロケーション”が加わったことで、状況に応じたプレイングが必要になってくるんです。
攻略サイトを読んだだけでは勝ち切れない、というのが逆に魅力的な部分だと思います。
――自分で考えて遊ぶ、という部分が大事にされている印象はありますね。少し雑談に近くなりますが、好きな『マーベル』キャラクターはいますか?
ちょもす じつは、あまり『マーベル』作品は見たことがなかったんですよ。なので逆にカードとしての性能から好きになっていって、まわりの『マーベル』ファンにどんなキャラクターなのか聞いたりして、新たに趣味が開拓されていっているのを感じています(笑)。
ブルーマーベルやエンチャントレスにはお世話になっているので、そのあたりが気になったんですよ。
でもブルーマーベルは新しめのキャラで映画にはまだ出ていなかったり、エンチャントレスも昔のコミックスにしか出ていないらしかったりで、読むのもたいへんだな、みたいな悩みはありますね(笑)。
ちょもす ただ、11月11日に映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』が公開されたじゃないですか。
気に入っているカードのなかにネイモアもいるんですけど、ネイモアは『ブラックパンサー』のキャラクターらしいので、彼を見に映画を見に行こうかなと思っています。ちょっとレアケースだと思うんですけど(笑)。
――『MARVEL SNAP』から映画作品などにつながっていくのは、開発メーカーとしてはうれしい展開だと思います(笑)。
――現在はランクマッチのみが実装されていますが、ほかのモードは必要だと思いますか?
ちょもす 『MARVEL SNAP』でいちばんおもしろいのは、相手を出し抜いてお互いにスナップした状態で8点を勝ち取った瞬間だと思うんですよ。
なので、仮に練習モードみたいなものがあったとしても、スナップシステムと噛み合ったものでないと意味がないかな、と思います。
ランクに影響しない試合であっても、たとえば5試合、10試合をワンセットにして、そのなかで点の取り合いをするようなものであれば、スナップの駆け引きは変わらずに楽しめるんじゃないでしょうか。
――本作がより多くの人に広がるためには、どんな要素があるといいと思いますか?
ちょもす やっぱり、配信向けの部分が強化されると広がりやすくなるかなと思います。カードゲームに限らず、大きめのストリーマーが付いたゲームは人口も増えていることが多いと思うんです。
なので、日本国内に限って言えば、配信しやすい、配信で見やすいゲームにするのが大事かな、と。
――まだ市民権を得たとは言えないところがありますが、NFTなどにその可能性があるのかもしれませんね。
ちょもす そうですね。ただ、じつはすでにNFTを使ったタイトルもあったんですけど、やっぱりまだ浸透していないこともあって、なかなかうまくいっていない印象なんですよね。
そういった直接的な方法ではない別の方法で、トレーディング要素をうまく活かす方法はないかな、と最近ぼんやり考えています。
――では最後に、『MARVEL SNAP』をまだ遊んでいない人へ、背中をひと押しするメッセージをお願いします。
ちょもす カードゲームと言うと「頭を使うんじゃないか」、「カードを集めるのにお金がかかるんじゃないか」みたいなイメージが強くて、そこから『MARVEL SNAP』を敬遠している人もある程度いると思います。
ただ、このゲームは明らかにこれまでのカードゲーム像から離れたところにあって、あまりカードゲームっぽくないカードゲームです。なので先入観を取っ払って、カードゲームとしてではなく『MARVEL SNAP』という新ジャンルなんだと思って遊んでみてほしいですね。
本当に、どこに課金したらいいかわからないくらい初心者にやさしい作りなので(笑)。
もちろん合う合わないはあると思いますが、ひとまずスナップ機能が解放されるまで遊んでみて損はないと思います。
カードゲームが好きな人も、このゲームから得られる知見は多いのではないかなと思うので、とりあえずは触ってみてください。もちろん、スナップ機能が開放されるまで(笑)。
――ありがとうございました。
対応機種 | iOS/Android |
---|---|
価格 | 無料(アプリ内課金あり) |
ジャンル | カードゲーム |
---|---|
メーカー | Nuverse/Second Dinner/Marvel Entertainment |
公式Twitter | https://twitter.com/MARVELSNAP_JP |
配信日 | 配信中 |
コピーライト | © 2022 MARVEL |