【新作】80年代アーケードを思い起こさせる縦スクロールアクション『エビルファクトリー』
ダサいゲームは作らない!レトロゲームファンが認める『エビルファクトリー』開発の戦略は“差別化”と“かっこよさ”!?【NDC17】
2017-04-28 23:09 投稿
『エビルファクトリー』の開発者が語る“エッジ”とは?
2017年4月27日、ネクソングループが主催する最大規模のゲーム開発者向けカンファレンス“Nexon Developers Conference 17”(以下、NDC17)にて、ネクソンから配信中のスマホアプリ『エビルファクトリー』の開発者ファン・ジェホ氏によるセッションが行われた。
本セッションでは、『エビルファクトリー』がなぜ世界的に受け入れられ人気を博したのか。その鍵となる“エッジ”について詳細に説明された。
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『エビルファクトリー』は、ドットのグラフィックが特徴的な縦スクロールアクション。80年代のアーケードゲームをイメージさせる雰囲気と懐かしのプレイ感覚が魅力だ。
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スタッフ5名という小規模開発かつ、マーケティング活動が少なかったタイトルにも関わらず、なぜ世界中のユーザーの目に止まったのか。
ファン・ジェホ氏は「『エビルファクトリー』は完璧なコンテンツというワケではないが、確実なセールスポイントを持っている。それを私たちは“エッジ”と呼んでいる」と語り始めた。
「私たちはエッジを“差別化”と“かっこよさ”と定義付けしている」と続ける。
差別化というのはゲームの内部的な要素のことを指し、かっこよさというのはゲームの外部的な要素とのことを指す。ここからは、その“差別化”と“かっこよさ”について詳しい説明がなされた。
3つの差別化の要素が生み出す新たなゲーム性
「差別化、それは組み合わせの問題だ」と話す。複数の要素を組み合わせることで、いままでにない新たなゲームを作り出すことができるという。
セッションでは、実際に『エビルファクトリー』開発の際に組み合わせた3つの要素が紹介された。
●ハイクオリティな正統アーケードゲームを作る
●ターゲット層に受け入れられる感情行動を入れる
●従来になかったプレイ方式を入れる
ハイクオリティな正統アーケードゲームを作る
『エビルファクトリー』を開発するうえで意識した差別化のポイントのひとつ目は、ハイクオリティなアーケードゲームを作ること。「スマホゲームでも“アーケードやアクションゲームへの需要があること”は確認できた」と調査結果を明らかにした。
“基本無料のアーケード風ゲーム”というスマホアプリではあまり売上が見込めなさそうなゲームの仕様上、最初から売上は考慮せず、あくまでゲームとしてのおもしろさを目指す方針になったという。
アーケードゲームらしさを前面に押し出すため、武器の強化が戦闘に与える影響は50%未満にし、必ずスキができるボスパターンにすることで、ゲームオーバーをくり返し、攻略法を探るゲームシステムを作成。
ゲームオーバーになったときに、ゲーム内通貨を支払うことでコンテニューするといういまのビジネルモデルに至った。
結果として海外では、“目新しいレトロゲーム”という表現で評判が広がり、「私たちとしては、非常によいポジショニングをとることができた」と反響に満足しているようだった。
ターゲット層に受け入れられる感情行動を入れる
ふたつ目の差別化のポイントは、ターゲット層への効果的なアプローチ。
ゲームを作る際、まずはターゲットユーザーを定義する必要があるが、『エビルファクトリー』は、1980年代から1990年代の日本のゲームに影響を受けたユーザーをターゲットにして開発。ほかにも、難度の高いゲームが好きな人や、その世代のアニメやマンガが好きな人など、より具体的にターゲットをイメージしているようだ。
そして、「設定したターゲット層が好むものをゲーム内に複数散りばめることが大切だ」と要点を述べた。
たとえば、オープニングムービーの司令官の姿勢は、『エヴァンゲリオン』の碇ゲンドウをモチーフに作成していたり、爆弾が十字に爆発するさまは『ボンバーマン』を参考にオマージュしていることがわかる。「これらの要素に気づき、仲間と共有するような人たちは私たちのコアユーザーになる可能性が高い」と計算されたアプローチ方法を話した。
従来になかったプレイ方式を入れる
「数多のゲームの中で差別化を図るには、ほかにはないプレイ方式を入れることも大切だ」とゲームシステム側での差別化の重要性も語った。
『エビルファクトリー』は、数秒後に炸裂する爆弾を設置して逃げる“ヒット&アウェイ方式”をとっている。ボスにはすべて一定の行動パターンが設けられており、“その行動を先読みして爆弾を置く”という遊びかたを導入した。
もうひとつは、スローモーション。本作では、画面から手を離すとスローモーションの効果がかかるようになっている。これにより移動ストレスや攻撃ストレスを緩和することができると話す。これは海外で人気の『Max Payne』の射撃シーンから影響を受けたもの。
一発で死亡する主人公、タイムリーな攻撃、スローモーションの3つを組み合わせることで、プレイ方式での差別化を図っているようだ。
これらの差別化の要素を組み合わせることで、「北米では、“ユニークである”という評価を多数もらい非常に励みになった」とコメント。また、ブラジルの有名Youtuberが動画をアップし、その動画が137万回の再生回数を記録。
「このyoutuberはしっかり差別化ができているものを取り上げるため、いい指標となっている」と動画コンテンツに対する意見も述べた。
海外で受け入れられる“かっこよさ”の追求
エッジのふたつ目の要素である“かっこよさ”。「これは“ダサくない”という意味であり、洗練されているという意味合いも含む」とファン・ジェホ氏は語る。
かっこよさの説明をする際、大ヒットを記録したインディゲーム『downwell』を例に挙げて説明した。
「8bitのグラフィックで、シンプルな見た目の作品だが、ゲームは好調。見た目も決してダサいとは思えない作りとなっている」と差別化ができている例として評価。
ここから言えることは、“グラフィックがハイクオリティであればいいとは断言できない”ということだ。
また、「“かっこよさ”とは非常に文化的で主観的なものである」と続ける。
例として、各国で著名ないわゆる“イケメン”を紹介した。
左から、韓国、日本、アメリカの”かっこいい男性”として例に挙げられた写真だが、まるで傾向が違うことがわかる。
このような文化的なの違いを網羅的できるよう『エビルファクトリー』は意識されている。その例として3つの“かっこよさ”へのこだわりが紹介された。
●レトロ風のピクセルアート
●洗練されたサウンド
●世界共通のかっこいいロゴ
レトロ風のピクセルアート
「西洋圏と東洋圏では、アートの好みが非常に違う。『マビノギ英雄伝』を担当していたときに、その傾向を顕著に感じることができた」と感性の違いについて言及した。
例として、日本のゲーム『ロックマン』が東洋圏と西洋圏で明確にパッケージを分け、ターゲットにささるように作り変えていることを紹介した。
このような“文化による感じかたの違い”はなかなか解決しにくいが、ピクセルアートに関しては西洋圏のスタイルが東洋圏のスタイルを参考に作成しているもの。つまり“8bitや16bitへの感性は万国共通である”と分析。
ほかにも、ピクセルアートへのノスタルジーを刺激するよう作られた映画を例に挙げ、ピクセルアートは世界中で愛されていることを証明した。
これらの情報を参考にし、グローバルでの展開を狙う8bitのゲームを作るに至ったようだ。
洗練されたサウンド
「ピクセルアートと洗練されたサウンドは相性がいい」という過去のピクセルアートの分析結果を公開。ピクセルアートのゲームを開発するうえで、サウンドの存在はゲームの臨場感や没入感を高める重要な要素のひとつと話す。
そこで頼りにしたのが、フィンランドのJukio Kaiiio氏。彼は過去にもゲーム内のサウンドをいくつか手掛けており、人気のサウンドを生み出してきている。結果的に、社内テストのサウンド評価では、10点中8.9点。GooglePlayのサウンド評価では5点中4.8点という非常に高い評価を獲得することができたようだ。
世界共通のかっこいいロゴ
『エビルファクトリー』は『ダークソウル』のように、何度もゲームオーバーになって攻略法を見つけ出す“ハードコアなゲーム”を目指していたため、当初は以下のようなゴツめなゲームロゴがデザインされていた。
しかし、アメリカの関係者から「もしハードコアな雰囲気を出したいのであれば、アメリカ人が好きなドクロを入れてクールなイメージを与えたほうがいい」という指摘を受け、渋々ロゴを変更したそうだ。
ロゴについては直前まで心配していたそうだが、いざリリースされると反響はよく、「ストアに並んでいる描写もインパクトのあるものになった。言うことを聞いてよかった」と笑顔でコメントした。
ゲーム開発でもっとも重要なことは“選択と集中”
最後に、ファン・ジェホ氏から来場者向けにメッセージが贈られたので一部抜粋してお届け。
ファン・ジェホ氏「私たちはたくさんのものを諦めてきた。サウンドクオリティを良くするためにグラフィックへの出資は控えたり、売上のためにガチャの導入も提案されたが、本当におもしろいゲームにするために断った」
「自分たちがどのように差別化をしたいのか決めたら、ほかの要素はすべて省き、目の前のことに集中してください。それから、海外展開を考えているのであれば“ダサくないようにすること”が大切です」
と言葉を残し、セッションを終えた。
エビルファクトリー
- ジャンル
- レトロアクション
- メーカー
- ネクソン
- 公式サイト
- http://mobile.neople.co.kr/evilfactory/
- 配信日
- 配信中
- 価格
- 無料(アイテム課金有り)
- コピーライト
- c 2017 NEXON M Inc. & Neople Inc. All Rights Reserved.
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