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【インタビュー】”事前登録もリワードもやらない”PC向けMMOの老舗メーカーの新たな戦略は?

2015-11-07 12:00 投稿

ゲームメディアといっしょにタイトルを盛り上げていく

2015年、PC向けMMORPGの老舗ハンビットユビキタスエンターテイメント(以下、HUE)がスマートフォン向けタイトルを展開していく運びとなった。

第1弾タイトルが10月4日より配信開始したMMORPG『ZEEO -ジオ-』。第2弾タイトルは、2015年内の配信を予定している『はがねオーケストラ』だ。第1弾はMMORPG、そして第2弾はまだ詳細発表されていないものの、おそらくコア向けのゲームであることは間違いないようだ。

ただ、アプリ市場はいまレッドオーシャンと呼ばれる厳しい局面。では、HUEがなぜこのタイミングでコアゲームを引っさげてスマホ市場へと参戦することになったのか? それをどうやってプロモーションしていくのか? キーマンとなる事業部長の中尾圭吾氏、次長の片野健氏にインタビューを敢行。

前置きとして中尾氏は「まだスマホ業界で実績を出せてないので大きなことは言えないが」と謙虚な姿勢だが、PCオンラインゲーム市場での経験をふまえたじつに密度の濃い話をうかがえた。

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▲写真左から中尾圭吾氏、片野健氏。
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▲第1弾タイトルの『ZEEO -ジオ-』。ハック&スラッシュを楽しむMMORPG。2015年10月4日よりAndroid版が配信中だ。
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▲第2弾タイトルの『はがねオーケストラ』。いまのところ3回情報公開が行われているがいまだ謎に包まれた新作。2015年末配信予定だ。

第1弾は真剣な練習、第2弾は本番

――まず初めに、PCオンラインゲームメーカーのHUEがスマホアプリ市場に参入された経緯をお聞かせください。

片野 じつはスマートフォンの前にも、「フューチャーフォンで遊べるタイトルを作れば儲かるのではないか?」という話が上がっていたんですよ。でも、そもそも開発していくための資金も、リソースも確保することができませんでした。

その後、技術も進歩していき、Mobageなどのプラットフォームがヒットし始めた頃、もう一度案を見直す話が上がり始めたんですよ。この頃は「プラットフォームから作る」なんて話も出てきたくらいです。

中尾 でも、そこまですると結局予算がかなり高くついてしまう……ということもあり、やはり案はお蔵入りという形になっていました(笑)。

片野 中には「PCゲームと連動する形にすればいいんじゃないか」という案もあり、いくつかのタイトルで実際に実施してみた時期もありました。しかし、少ないお金でどうやっていくかの試行錯誤で時間はドンドン流れて行き、気づいたら市場が巨大化、ついにはスマートフォンが登場するという(笑)。

中尾 スマートフォンって言ってしまえば小型PCみたいなものじゃないですか? これだったら逆にいままで培ってきたPCゲームのノウハウでアプリ開発ができる……かも?ということで、弊社にとってはフューチャーフォン時代よりも敷居が低くなったわけです。「これならイケる」ってなりましたね。

――時間とともに参入障壁が下がったと(笑)。

片野 その後、いまから3年ぐらい前ですかね。『はがねオーケストラ』を含む、いくつかの計画が立ち上がったんです。企画をすぐに準備して出資元の開発会社に計画を打診しましたが、先方の事情もあり、中々実施に踏み切ってもらえませんでした。それならば、日本で自社開発に着手しよう……という流れになりましたね。

――なるほど。参入第1弾となる『ZEEO-ジオ-』は海外からのタイトルを買いつけ、第2弾は完全新規と……これってどういう戦略があるんですか?

中尾 大雑把に言ってしまうと、第1弾の『ZEEO -ジオ-』は真剣な練習用、第2弾の『はがねオーケストラ』が本番用という形で動いるんですよ。

――真剣な練習用と、本番用? おもしろい表現ですね。

中尾 初めてスマホタイトルをリリースする際に、一本ぐらい軽くやってから本番というパターンもあるかと思われますが、ユーザーの貴重なお時間を練習に付き合わせるのは良くないと思い、弊社のPC向けMMORPGを作ってきた”昔取った杵柄”が多少なりとも活かせる『ZEEO -ジオ-』を一作目として勝負する事にしました。今のレッドオーシャンのスマホ市場で1作目から当てられるとは思っていませんが、1作目で転ぶにしても真剣に転ぼうと思った訳です。

『ZEEO -ジオ-』は、スマホでは珍しいランダムオプション全開のハクスラ色が強いタイトルです。こちらでレベルデザインやビジュアルを強化し、日本人向けに仕上げたタイトルではありますが、完全純正100%オリジナルというわけではありません。

一方の『はがねオーケストラ』は「スマートフォンというゲーム機でゲームを遊ぶならどうなる?」というのを1から考えて作り上げたスマホに特化した完全新作となります。この作品だけの新たなジャンルにも挑戦しているので、『ZEEO -ジオ-』でスマートフォン市場の立ち回り方を確かめて、ズレがあれば、『はがねオーケストラ』で失敗しないようにフィードバックできたらいいかなと。

片野 『はがねオーケストラ』は、着手した時期から「何年後には端末のスペックがこれくらいになるはずだから、その時期のミドルウェアに合わせよう」などの計画を立てながら開発を進めてきました。まぁ実際は、予想よりも端末スペックは向上していなかったのですが、逆にもし開発が順調に進んでいたら画質を落とすなどの悲しい作業も発生していたかもしれませんね。これは計画の始動が遅れて良かった点と言えるかもしれません(笑)。

中尾 開発サイドとしては、『ZEEO -ジオ-』よりも『はがねオーケストラ』のほうがゲーム性が複雑で、詳細は言えないんですけど、より細かな開発作業が要求されています。とはいえ、『ZEEO -ジオ-』はPCユーザーに懐かしい感覚で遊んで貰えるようにリリースしたので、スマホユーザーたちには理解できない要素がいくつかあることを踏まえると、『はがねオーケストラ』は内部構造が複雑でもプレイする分には直感的かつシンプルに扱えるよう、さまざまな工夫を加えていますのでご安心ください。

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「翌日も面白い」と思われるのが重要

――話しを少し戻します。第1弾タイトルのジャンルとしてMMORPGを導入してきたのはなぜですか?

中尾 かなりざっくりですが、どんな意図かと言われればランチェスター戦略に近いかもですね。鋭く研ぎ澄まして狭いジャンルで勝とう的な感じです。『ZEEO -ジオ-』はMMORPGの中でも更に特殊で限定されたジャンルになるので、トップセールスランキング上位は狙っていません。無理です。

ただ、複雑なオプションを組み合わせる同ジャンルのゲームはそうそうリリースされないと思います。このタイプのゲームで少しでも売れれば、競合が出てこないので、それなりに長くやっていけるというのが狙いです。オンラインゲームをプレイする客層へ向けて、商品性さえ間違えなければ大きな問題にはならないとも思っていたので、まずはMMORPGからという形ですね。

――商品性ですか?

片野 オンラインのゲームで重要なことって「翌日も面白いと思われるか」なんですよね。

――「翌日も面白い」って発想がすごくおもしろい。コンシューマーは作品としての完成度をあげることが至上命題ですもんね。でもその考えはいまのスマホゲームに合ってるかも。

中尾 そうなんです。これは『はがねオーケストラ』にも言えることで、「翌日面白い」と言われるようにコンセプトを明確にしつつ鋭意開発中ですね。

片野 オンラインゲームって「今日楽しかった」、「2週間プレイして楽しかった」という形で感想が完結してしまうようでは失敗と言っても過言ではありません。つまるところ、従来の家庭用ゲームと基本無料方式のオンラインゲームは商材として全くの別物なのです。

ですので、我々も開発完了直後の品質よりも、その後のリカバリーやアップデート計画の柔軟性、状況に適したサポートをうまく投入していける仕組み、引き続き楽しんでもらえるような工夫を加えられる構造になっているかなどを重視しています。

――PCのMMORPGの運営を行ってきたメーカーさんならではですね。その経験値からの他社との差別化ってほかにありますか?

片野 弊社は元々パブリッシャーですので、ゲームに対する”ヘルプ”という概念については特に「わかりやすい」、「さわりやすい」という点を重視しています。例えば「応答式」よりも「対話式」の方が敷居が低く、伝わりやすいといった点です。どうしたら見てもらえるか、むしろ見たくなるヘルプというものを念頭において考える癖がついているわけです。

また、弊社はカスタマーサポートを外部にお任せしたことがないので、この対応がどれだけ大変なのか身をもって知っています。満足した、理解したから問い合わせやクレームが減る。そうなれば、より開発に注力できるというわけです。

――御社はそれくらい尖った作品で勝負してますよね(笑)。ゲームの運営方針としても何かあります?

中尾 作品内に課金でしか手に入らないアイテムがある……といったことを『ZEEO -ジオ-』では撤廃していますね。「課金はあくまでも選択肢」という形にする方がこの先の時代に合いそうだなと思っています。なので課金コンテンツのアイテムもちゃんとドロップするようにしています。

課金でサクッと手に入れるか、ダンジョンを攻略していく中で獲得するか、ユーザーの選択肢として用意している点は大きな違いですね。

――それはでかい。『ZEEO -ジオ-』では課金ガチャにも制限がかけられていましたね。

中尾 課金ガチャは1日10回までと制限を設けています。でもこれは課金ポリシーというよりも『ZEEO -ジオ-』のゲーム性からくる内容ですね。ハクスラゲームで課金だけで100%装備をそろえられちゃうのもつまらないじゃないですか。あくまでハック&スラッシュをしてトレジャーハンティングを楽しみ続けてもらいたいタイトルなので、周回プレイを繰り返し、クリアー時の報酬で自分にとっての良い装備を獲得してもらえたら嬉しいですね。

片野 『ZEEO -ジオ-』はコンセプトに“ガッツリプレイしてもらう”というのがあるので、先ほどのような仕組みが設けられていますが、逆に『はがねオーケストラ』は手軽にサクサク楽しんでもらいたいというコンセプトがあるので、購入することも楽しみの1つにしたい!という形式で開発を進めています。

――課金推奨タイトルということですか?

片野 推奨と言いますか、お金を使わないと進めない、出来ないといった内容は私も否定派です。元々、課金方式としてのFree to Playは”自分がほしいものだけを買う”、もしくは”時間をお金で買う”というコンセプトで成り立つものでした。ですので、時間とお金が比例して上がっていくような課金システムは少し違うかなと感じているのです。

たとえば“通常3時間かかるレベル上げを30分に短縮できる”……こういう課金はありだろうと考えています。お金を消費しても時間がかかる、むしろお金を支払えば支払うほど余計にプレイ時間を要求されるような形にはしたくないんです。

『はがねオーケストラ』では消費するものがいずれか片方を補い、お金と時間が正しく反比例するよう心掛けて設計しています。あくまで私個人の好き嫌いでもありますが。

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事前登録や先行ガチャなどはやらない方針

――2タイトルを配信する上で気になるのがプロモーション展開です。スマホ業界ではデフォルトになりつつある事前登録や先行ガチャといったものを利用しないんですよね?

片野 まず、スマートフォン市場でよく見受けられる事前登録や先行ガチャについてなのですが、本音を言ってしまうと長い目で見た場合にメリットがないのではと考えている為、我々のタイトルでは実施しないことを早々に決断しました。

――ほう。

片野 事前登録や先行ガチャをした場合、事前に知ったユーザーとその後に知ったユーザーとの間で受け取るサービスに“差が生まれてしまう”と考えているからです。こういう商品はプレイ後も口コミによって広がりやすいのですが、口コミで聞いた時には劣化したサービスを受けることになってしまうわけじゃないですか。

そうした特典を獲得したユーザーとそうでないユーザーでサービスに差が生まれてしまうのは、長く新規を獲得していくうえでは逆効果にもなりえるんじゃないかなと。

中尾 それに「事前登録で何万人突破」と言っても、それがそのまま本配信時に来てくれるか……というと答えは否ですよね。その裏でサービス格差によって失うユーザーも出てきますし、そしてユーザーがアイテムを受け取る手間の大きさや、アイテム入手が無機質な感じと言いますか、味気なさを考えると万能の集客とは呼べない気がします。

――うちのユーザーさんも事前登録の特典目当てというよりも、純粋にゲームの配信日を知りたい、スタートダッシュに間に合いたいという思いの人が多いような気がします。実際、Appの編集者たちもそうですもん(笑)。では、主流のひとつであるリワードなどは?

中尾 リワードはランキング系のことですね。ランキング操作やレビュー操作も常態化してきていますが、我々はこれについても否定的な見解です。お金を支払うことで順位を獲得できてしまう……言い方が悪いと操作できている事で、ランキングそのものが価値を失ってしまいますから。

片野 資本主義ですし、広告数の多さや露出の多さを強さとする点はむしろ肯定的なのですが、こういうランキングやレビューの姿は本当にユーザーが見たいもののだろうかと考えると否だと思うからです。

中尾 現にランキングを操作したり、リワードにお金を費やそうとすると開発費の半分がそれ用のお金に回っちゃうこともありますし。例えば開発費5,000万円でプロジェクト進めた場合、2,500万円はリワードやレビュー偽装の費用に回そうって……「予算がいきなり半分になっちゃった」って開発者サイドからすれば驚きのひと言ですよ(汗)。

片野 10年ぐらい前のオンラインゲームの世界でも同じようなプロモーション戦略が多く見受けられましたね。ユーザーの多くは明らかにお金の臭いがする広告よりランキングの方が信憑性が高いと考えているので、ここに介入しようとする企業は少なくないんです。

中尾 正直な話、もう今はクローズしているタイトルですが過去にPCでやった事がありましたね。結果は定着率が凄い低くなりましたし、コミュニティも荒れました。どうせバレますしね。スマホのレビューを見ていても、徐々にユーザーにサクラがバレてきている印象です。

片野 それが良くないと理解していても、ランキングや評価レビューを固められてしまうと自社タイトルの生死に関わってしまう。結局、間違ってると考えている企業も露出する為に買わざるを得なくなっていたわけです。そんな悪循環の時期もありましたね。結果としてランキング、ひいては業界そのものの信頼が失われ、痛い目を見たわけですが(汗)。

中尾 ポイントサイトやBOTでの会員水増しも当時は結構ありましたね。会員数だけ発表して盛り上がっているように見せ、ポイントをためてもらうユーザーにサイト登録を進めてもらう……みたいな。「何百万会員突破!」とかタイトルが盛り上がっているかのように宣伝していく。あれも結構お金や表には目に見えない何かを失っている事が色々とありましたね。

片野 そういう手法は定着率を下げるだけで最終的には大して成果に繋がらないんです。もともと実態がないものなので。そういった経緯から、提供側はランキングに対して直接的はもちろん間接的であっても不可侵でなくてはいけないと考えるようになりました。なぜならユーザーたちで築き上げられる信頼できる数少ない道標だからです。

介入すれば絶対にバレますし、思っているよりも気付かれてしまいます。ランキングの信用を失うことは企業や業界の信用を失うことと同義ですから、その後に待つのは衰退だったわけです。

中尾 レビューなんかもそうですね。企業以外からの情報源とされているところへ企業が介入しても良いことなんてないですから切り分けるべきだと考えています。色々な業界発表から出ていますが、ゲームへのユーザー定着率って割と低いじゃないですか。つまり辞める割合の方が多い訳ですから、ゲーム業界のレビューは低くなるパターンが自然なのかもしれません。

もちろん、しっかりと高評価を維持しているタイトルもあると思いますが。だから遊ぶ人を限定する『ZEEO -ジオ-』みたいなゲームは万人受けしないので、例えばグーグルレビューの評価が2.0になっていたとしても妥当な気がします。でも例え2.0だったから、なんだって感じですけど、一部のユーザーの方でも嵌ってくれてペイできそうなら頑張ってアップデートやらせてもらうだけです。

――「何百万会員突破!」ですか……どこかで聞いたことがあるような……(笑)。

中尾 利用者が拡大し続けていくうちに、ランキングと同じく“多額の広告費をかけて定着率が悪く実態がない媒体でも資産を投入し、○○人を獲得した!って言わないといけなくなった雰囲気があって……悪循環に入っていき、ユーザーにも“操作”しているのが次第にバレ、「意味がない」ことに気づいていきました。ですので、結局衰退していきましたね。

片野 しかも荒れやすくなるんですね。そこからくるユーザーの多くが、目的はゲームじゃないわけですし。マーケティングチームにターゲティング外のユーザーを流し込まれて、定着率が低いと泣いている開発運営スタッフは非常に多いと思います。

そういった経験から、こういった操作して人を増やす……といった宣伝手法というのはオンラインゲームメーカーの多数が利用しなくなりました。

中尾 パッケージの売れた数は価値があると思うのですが、売り切り型じゃないオンラインゲームは最大の瞬間数や累積数を競わない方が良いと思っています。累計のDLや会員数が数千万とか5百万人って実際の所、ほとんど維持できないと思うんですよ。ゲームを開始する時期もみんなバラバラですし、離脱もありますしね。

極論ですが5万人超えていたら、人口が少ない市より人数が多いですし、例え500人しかいなくても熱心な方に支えてもらえば、十分に開発や運営が続けられるはずです。妙に多くの数を集めて謳わないといけないという風潮は、誰も得しないと思います。 大量の人が遊んでないとダメだという風潮に流されてかろうじて黒字だったタイトルが経営判断でストップした事例もこの業界では少なくないです。

片野 我々はスマートフォンというハードでは新参ですがオンラインゲームという商材では古参として色々と見て来ました。そんな我々から見た今のスマートフォン市場は懐かしい匂いがするといいますか、サービスもプロモーションも抱えている問題の大半がPCオンラインゲームで起きていた旧態依然とほぼほぼ同じなんですよ。

我々が散々痛い目を見ながら改善していったことが改めて起こっている様を見ていると「10年ぐらい昔に経験したのと同じ苦労をしているなぁ」と。希望のある市場ですし、同じ轍を踏まないよう気を付けたいと思っています。

――むしろおふたりには「懐かしいなぁ」って状態なわけですね。

片野 そうですね。ランキングブーストとかガチャの確率とか、勝手知ったる危うい手法が出てくる度に「これ、怒られるだろうなー」って(笑)。

中尾 歴史は繰り返すって感じですね。工作が下手な所のレビューは、他のタイトルで全くレビューしていない人達がいきなり☆4や☆5を付け出すんですよ。☆1や☆2も全く他でレビューをしていないIDが急につけ出す例もあるので逆のパターンもありそうですね。感想も定型的というか非常に分かりやすいですから、多分鋭いユーザーの方達はもう気づいちゃってるんでしょうけど(笑)

片野 あとはPCオンラインゲームとしては全年齢向けのタイトルなのに、広告バナーにモザイクを使用したようなものも出現してましたよね。集客においてフェチズムやエロティシズムを武器にすることを否定しているわけではないですよ。

ただ、実際の内容と一致してるわけでもないところで下品な引きをするようなものは、さすがに違うだろうと。プロモーションを掲載するサイト側もお金がもらえればこういうの載せるんだ……って考えさせられましたね。過激な広告合戦が続けば、集客の為にそういう過激さのみを追求したものもいずれスマホ市場にやってきてしまうのかなと不安になることもあります。

中尾 なので我々は、PC向けオンラインゲームのプロモーションとして最終的に落ち着いたと実感している“ゲームメディアを使ってのプロモーション”を中心に据えたいと考えています。実際、メディアが作ってくれた記事を見るのは開発サイドとしても「楽しい」のひと言ですし、情報を見て入ってきたユーザーがゲーム性を間違えた状態で来る事も減りますし。やりたいと思って入ってきた人は圧倒的に定着率も高いですしね。

――ユーザーがより楽しめるような記事を作り上げていく……そういった努力がさらに我々にも求められているということですね。

中尾 我々メーカーとゲームメディアさんがしっかり協力しあい、メディアを観てゲームを選び、ゲームを楽しめるユーザーを増やしていくという昔当たり前に存在した“サイクル”を再び蘇らせていくことが業界にとっても重要になってくるのではと考えています。本当にメディアさんには期待しています。

片野 そうして選んでくれたユーザーが実際にプレイして「楽しい!」と思えたことで、利害ではない愛着から生まれる口コミが広まり、その効果によってさらなる新規ユーザーが増えるという流れが生まれれば、なお嬉しいと思っています。口コミの効果はやはり大きいですからね。

中尾 現状ではランキング操作やレビュー工作の効果はあるかもしれませんが、長く見ると悪影響が大きいので、ちゃんとした宣伝手法を産み出せるように我々も頑張ります。 おそらく最初は無理だと思いますが、『はがねオーケストラ』をリリースするまでには何とか確立したいですね。

――プロモーションという意味では10月4日に『ZEEO -ジオ-』のカウントダウン生放送もやられますがどのような狙いが?
(※9月末にお話しをお聞きしております。当日はオリジナルタイトルにも関わらず40000人近い視聴者を集める盛況ぶりに)

中尾 『グラナド・エスパダ』時代から生放送でユーザーにプレイ映像や実機プレイなど含み、リリース時にゲームの映像を放送してきました。やはり、ベストなタイミングで集客することができるということと、映像により伝えられる幅が広がることがいい部分ですね。ゲームの要素を確実に伝えるという意味ではすごく便利ですよね、生放送は。

――でも有名実況者さんなどは出演されませんよね、そのあたりにも理由があるのでしょうか?

中尾 いえ、特別な理由はないです。今回の『ZEEO -ジオ-』は『グラナド・エスパダ』よりもゲーム性がコア過ぎて、良い候補が見つけられなかっただけです。

あくまで個人的な解釈なのですが、有名実況者さんも「自分だからこそ出せるエッセンス」をフルに活用しようとするでしょうし。多分自分達が得意なジャンルがあると思うんですよ。その中で、得意分野じゃないことを無理にお願いしてやってもらっても有名実況者さんたちも実況者の方も我々もユーザーも全員が得しないだろうなと思っただけです。

それでは放送する意味がなくなってしまうので、色が一致しないかぎりはお願いするべきではないと考えています。とりあえず“使えばいい”というふうには捉えていません。

――使い分けが大事ということですね。では、今後御社が配信していくふたつのタイトルではどのようなプロモーションを進めていくのか……について教えていただけますか?

片野 あまり堂々とお伝えしづらいので少し濁しながらお話しますが、実は存在はしているけど、スマホ市場ではまだ行われていない幾つかのプロモーションといいますか、展開を試してみたいと考えています。それがどういうものかは今後配信されていく『はがねオーケストラ』をチェックしていただければと思います。

中尾 『グラナド・エスパダ』がリリース時に失敗して、そこから徐々に上がったタイトルでして、レッドオーシャンの市場のひりつき感は意外と好きです。(笑)。なので、自信を持って言える時が何本目の作品になるかは分かりませんが絶賛レッドオーシャン中と言われているスマホ市場でも成果を上げていけるように取り組んでいきます。

番外編:『はがねオーケストラ』についても聞いてみた

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▲初報で公開されたイラスト。第3報にて、少女の名前がクレハという女の子であることが判明している。荒野を舞台にどんな物語が展開していくのだろうか。

――話せる範囲でよろしいので『はがねオーケストラ』についても少し教えてくださいよ(笑)。

片野 私が慣れ親しんだスーパーファミコン時代からあるようなシンプルで実績のある遊び、懐かしさあふれる遊びを軸にスマートフォンアプリならではの触り心地、オンラインゲームならではの運用・展開で長く遊べるものを提供していければと考えています。

中尾 バトルが準リアルタイム戦術バトルRPG(仮)を採用している点も推しポイントだよね。

片野 リアルタイムで動かす部分と、止めた状態でじっくり考えられる部分を上手く活用しながら戦うといったイメージですかね?見たことあるようで見たことないゲーム性になっているので「ジャンル名をどうしますか?」と言われて悩みました(笑)。

そのほかにも、色々驚いていただける要素を用意していきます。スマートフォンはポジティブに見て性能的にも普及率的にも夢のハードですから、あれこれ否定するより、とにかくこのハードで楽しみたい、活かしたいという気持ちです。是非楽しみにしていてください。

――いままでに無かったようなジャンルを目指してるんですよね? でもメーカーさんによっては”リスク”ととらえるところもありますよね?

片野 もちろん承知の上です。何故かと言われますと、長い間愛されるタイトルって結局のところ新しいことに挑戦した“パイオニア”タイトルなんですよね。ですので、我々も受け入れられる新ジャンルを生み出すことで「○○ジャンルといえばこのタイトルだよね」という形でファンを取り込みブランド化していくことを目指しています。

中尾 HUEの一番のブランドになりえるのは『はがねオーケストラ』だと思っていますので、初動で受け入れられなかったとしても継続して頑張っていきます。配信はまだ先になりますが、引き続きご期待いただければと思います。


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