『ベイングローリー』開発者を直撃! 5年10年と遊び続けられる深い戦略性を持ったゲームを目指す

2015-04-22 13:00 投稿

『ベイングローリー』が目指すものとは?

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MOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)というジャンルを、スマホやタブレットといったモバイルタッチスクリーンデバイスに最適化した『べイングローリー』。4月8日に開催された日本上陸記念イベントの翌日、開発陣にインタビューを敢行。ここではその模様をお届けする。

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▲左から、通訳を担当した日本コミュニティマネージャーの渡口優(とぐち・ゆたか)氏、スーパーエヴィルメガコープCEOのBo Daly氏(以下、Bo)、マーケティングマネージャーのHEINI VESANDER氏(以下、HEINI)。

——本作でおふたりが手がけられた仕事内容を詳しく教えてください。

Bo 私の最初のキャリアはロックスターゲームスのエンジニアだったので、『ベイングローリー』でもCEOとして会社の舵取りをするだけでなく、プラットフォームエンジニアリングの責任者も務めました。33名の小さな会社なので、他にもいろいろな業務を担当しています(笑)。この小規模なままで、世界に進出できたら良いなと思っているのですが……。

HEINI 私はマーケティングやイベントのディレクションを担当しています。『ベイングローリー』はコミュニティを作って、プレイヤーベースで繋がっていくことが重要。ですので今回のように来日してプレイヤーと直接触れ合って、生の意見を聞いて、コミュニティのベースを作っていくことが重要だと考えています。

——モバイルタッチスクリーンデバイス(スマートフォン、タブレット端末)でMOBAをリリースしようと思ったきっかけは何でしょう?

Bo 現在のタッチスクリーンで遊べるゲームはほとんどがカジュアルゲームで、奥深い戦略性を持ったゲームがまだなかった。そこに絶対何かがあると思ったので、チャレンジしてみようと思いました。私たちはコンシューマゲームを作ってきて、そのノウハウを持っていたので、それをどうタッチスクリーンデバイスで活かして、プレイヤーにユニークな経験を持っていけるかを考えました。

また、コンシューマ機を持っていない子どもも多い一方で、スマートフォンなどのタッチデバイスは身近にある。そしてPCゲームの市場は徐々に縮小してきているけど、ハードコアゲーマーたちもタッチデバイスは持っている。これから5年間、ハードコアゲームは、だんだんタッチパネルに移行していくと思います。かつてPCゲームのブリザード・エンターテインメント社(『ディアブロ』シリーズ)がそうであったように、タッチデバイス用のハードコアゲームメーカーが出現してくるでしょう。それが、私たちスーパーエヴィルメガコープなら良いなと思っていますけどね(笑)。

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人生の一部になったようなゲームを作りたい

——モバイルタッチスクリーンデバイスでMOBAをゲーム化するにあたって、もっとも気を配った点は?

Bo 『ベイングローリー』はできるだけ直感的に操作できるように気を配っています。ゲームはビギナーにとってもプロゲーマーにとっても、コントローラーと戦うよりも、相手と戦うことのほうが大事。ビギナーが複雑な操作を覚えずとも操作できるようになるのはもちろん、プロプレイヤーレベルの人が求めるリアクションの速さも実現できるようにしています。

昔から人間はタッチで、触りながら何でも感じてきたので、コントローラーがあるとどうしても不自然というか、直感的ではなくなってしまう部分があると思いますからね。

——本作を表現するならタッチデバイスがもっとも適している、ということから、開発がスタートしたのでしょうか?

Bo ソフトでもハードでもなく、まず、プレイヤーが何を欲しているのか? を考えるのが我々スーパーエヴィルメガコープ。皆といっしょに遊べる深い戦略性を持ったゲームを作りたかったのです。若い頃、僕が『ディアブロⅡ』をPCごと友だちの家に持って行って遊んだような、ああいう体験を提供できたらと思いました。

本当に心の中に残る、自分の人生の一部になったようなゲームを作りたい。5年10年プレイを続けていける、そして一度離れたとしても、戻ってきたときにまた楽しめるゲーム。そして月日が経って振り返っても「あの頃は本当におもしろいゲームを遊んでいたなぁ」と思える作品を作りたかったのです。

——子どものときに遊んだゲームって忘れないですものね。

Bo そのとおり(笑)。僕にとっては『ロックマン』がそうでしたね(笑)。

——インスピレーションを受けた日本のゲームはありますか?

Bo ビジュアル的な面も含めて『ファイナルファンタジーⅦ』です。あとは『ICO』、『バイオニックコマンドー』も。昔のタイトルだと『ダブルドラゴン』、『魂斗羅』もすごくインパクトがあったし、『スーパーマリオブラザーズ3』のタヌキ姿のマリオも忘れられない。もっともっとあるけど、とてもこの場では語り尽くせないです(笑)。

——キャラクターデザインは個性的ですよね。

Bo プレイヤーが好きになってくれるキャラクターデザインを出したかったので、個性的なものを作りたかった。キャラクターデザインはとても重要。なので我々のキャラクターデザインとアートディレクターは、もともとブリザード・エンターテインメント社で働いていた経験を持っている。彼らは昔から日本のゲームのキャラクターが大好きで、そこからインスピレーションを受けています。

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——マップデザインもMOBAとしては独特です。

Bo マップレイアウトを作ったデザイナーは、もともとライオット・ゲームズ社(『リーグ・オブ・レジェンズ』)で働いていた経験がある。だからMOBAのマップデザインがどうあるべきかを熟知したうえで、最終的にレーンはひとつでジャングルが下にあるという、現在のマップデザインに落ち着きました。

——3対3に最適化していった結果、現在の横長長方形のマップデザインに落ち着いたと?

Bo そうだね。もともと3対3ありきでスタートして、そこからいろいろとマップデザインを試行錯誤しました。どうしても5対5で10人のプレイヤーだと試合時間が長くなってしまうから。

例えば『リーグ・オブ・レジェンズ』は長いと60分間、どうしても途中に静かな時間ができてしまう。それを排除して、いつでも緊張感がある、つねにハイライトシーンが続いているゲームにしたかった。その方向でマップデザインも決まりました。

——『ベイングローリー』の平均プレイ時間は20〜30分ですね。

最初は5分、45分と、いろいろなプレイ時間で検証をしています。そのうえで、20分、これはおもしろいなと。1試合終わっても、すぐまたつぎの試合をプレイしたくなる。プレイヤーにとって「何がおもしろいか?」という視点に立って、かつ自分たちが遊んでいて楽しいと思えるものを作った。3対3に最適なプレイ時間が、結果的に20〜30分になりました

コミュニティから学んださまざまなこと

——さまざなま検証の結果、現在のゲームデザインに落ち着いたんですね。

Bo まず最初の6ヵ月でゲームを遊べる形にしたあとは、もう検証につぐ検証のくり返しです。『リーグ・オブ・レジェンズ』のプロプレイヤーから、MOBAをプレイしたことのない女性まで、多様なプレイヤーに『ベイングローリー』を触ってもらいました。

最初の1年はプライベートサーバーで皆に遊んでもらって、それで、これはコミュニティを作っていかないとダメだぞと痛感しました。プレイヤーのコミュニティからさまざまなことを学んで、それをベースにしています。

——昨日の発表会では「まだ『ベイングローリー』は10パーセントしか完成していない」という話もありましたね。これからどんどん熟成を重ねていくと?

Bo 本当にその通り。配信がはじまってからも、5年10年と遊び続けてもらうゲームにしていきたい。我々はそのあいだプレイヤーとずっといっしょにいて、もっとプレイヤーベースにいろいろなものをアウトプットしていきたい。

そういえば、観戦モードも本当はあと1年位かけて作る予定だったのですが、どうしてもコミュニティが欲しいという声があったので、ローンチの時点で実装しました。プロレベルのプレイヤーの試合も観戦したいでしょうからね。

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——『リーグ・オブ・レジェンズ』では賞金総額が億を超える世界大会が開催されていますが、『ベイングローリー』もそういった予定はありますか?

HEINI 確かにそれは素晴らしいことなんですけれども、それはプレイヤベースから来るもので、私たちが無理やりプレイヤー側に提供するものではないと思っています。あくまでプレイヤーのコミュニティありきですね。

ちなみにドイツでは既に『ベイングローリー』の大会がプレイヤー主導で行われています。コミュニティ主導で開催された大会に対して、何らかのサポートはしたいと考えています。我々にできるのはTシャツを送ることくらいかもしれないけど(笑)。

Bo eスポーツはコミュニティをより豊かにするものなので、フェアな状態で対戦できるか、ということをつねに念頭を置いてゲームをつくっています。

——将来、かつてのWCGや、現在のEVOなど、世界的eスポーツイベントの正式種目として採用されることもあるかもしれません。

Bo 可能なら私たちも観てみたい(笑)。近いうち、モバイルタッチスクリーンゲームを使った大規模なeスポーツ大会が行われると思います。もっともっとメジャーになる可能性を秘めている。何故かというと世界一メジャーなスポーツであるサッカーは、ボールがあればどこでも遊べるから。アイスホッケーだとこうはいかないですよね(笑)。

Android版の配信も決定!

——現在はiPhone版のみの配信ですが、Androidでも遊べるようになりますか?

Bo 既に予定に入っていて、Android版のオープンベータ版テストが始まっています。まだ完全には出来上がっていないので、それが完璧になったら、正式にAndroid版を発表したいと思っています。

※オープンベータテストの詳細はこちら

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——では最後に日本のファンにひと言、メッセージをお願いいたします。

Bo まず最初に、日本を含めたアジアのプレイヤーたちを、心から歓迎したい。なぜならアジアは本当に大きいコミュニティをいくつも持っているから。なのでアジアでは日本と韓国にサービスを提供する東アジアサーバーと、東南アジアサーバーのふたつの専用サーバーを設置しています。

モバイルデバイスで、自分だけの世界を持って歩けるというのは、とてもエキサイティングなことだと思います。どんな場所でも、カフェでもオフィスでも学校でも、チームプレイで遊べるワケですからね。とても深い戦略性を持ったゲームなので、まず手にとって、皆で遊んで欲しいです。

HEINI ビギナーだと、最初はちょっと難しく感じるかもしれない。今後は、初心者がもっと学べるシステムを実装したいと考えています。上手な人は、ぜひとも初心者を助けてあげてください(笑)。それがコミュニティですから。だからMOBAというゲームジャンルが初めての人も、安心でして遊んで欲しい。

Bo MOBAは現在こそハードコアゲーマー中心に遊ばれているけど、『ベイングローリー』は簡単に操作できるし、即ダウンロードできるし、基本無料なので、初心者でも最初の垣根をすぐに乗り越えていけると思う。是非、手に取ってプレイしてみて欲しいですね!

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Vainglory(ベイングローリー)

メーカー
Super Evil Megacorp
配信日
配信中
価格
無料(アイテム課金あり)
対応機種
iOS 6.1 以降。 iPad 対応。

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