海外のレア物を発掘する“コーラス・ワールドワイド”ってどんな会社だ(その2)

2015-01-07 15:00 投稿

海外の良作を日本に持って来てリリースする、橋渡し的なメーカーの“コーラス・ワールドワイド”に迫る2回目(1回目の記事はこちら)。ヨーロッパでのスマホゲーム事情からスタート。2015年3月までに配信予定だという、新作8本の情報も合わせて公開する。

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ヨーロッパのスマホゲーム事情

――ヨーロッパの課金形式の流行りってどんな感じなんですか?

大柳 まずガチャがないですね。基本はプレミアムと言って買い切りのタイトルになります。あとはさきほどお話したような途中まで無料、それ以降は課金してアンロックというものが多いですね。フリートゥープレイとして作られているものももちろんあります。ただこれもガチャではなく、アバターアイテムの購入やコンティニュー、DLCなど、いずれにしても納得してお金を払うという形のものになっています。

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▲お話を伺った、代表取締役の金親晋太郎氏。

金親 ただ、これも今後は変わってくるかもしれないですね。海外のインディーメーカーはアジアの課金の仕方に注目していて、それをどう欧米に持ってくるかをすごく研究していますよ。とくにEAスポーツさんから出しているFIFAのゲームもガチャではないけど、買うまでどんなプレイヤーかわからないというシステムを入れてきていますね。ランダム性をもたせた課金のシステムは今後どんどん取り入れてくると思います。

意外にも中国でヒット

――いま日本で3本ローカライズタイトルを配信されていますが、手応えはいかがですか?

金親 『グリフクエスト』がいちばんDL数は多いですね。

大柳 日本のお客さんに響くと思ったのですが、想像以上に中国でウケています。レビューの評価も肯定的で、向こうはゲームに対する評価が素直なのかなという印象です。日本での評価も概ね好評です。で、ビジュアルに関しては賛否両論。ヘタウマの世界だという声もあれば、かわいいと言ってくれる人もいます。ですからこのタイトルに関しては、国内のほかの3マッチパズルとはちがった味は出せたと思います。『レイブンロックの秘密』は有料アプリなんですよ。グローバルで同発したのでそれなりに売れました。

金親 日本では一応アドベンチャーの有料ランキングで1位になりました。

大柳 アドベンチャーゲームのカテゴリー自体はすごく盛り上がっているというわけではないですけど、2週間くらい継続してランクインはしていたので、自分たちの中でこれくらいのDL数でこれくらいの位置にくるという感覚がわかったのはよかったですね。今後もセールを実施したりして少しずつ売上を伸ばしていきたいと思っています。

金親 会社の規模はまだ小さいですから、DL数がそこまでいかなくても利益が出るようなコストのかけかたをしています。立派なオフィスはないですけど、ヴァーチャルで仕事はできていますので、コストを抑えつつもいいものを提供していけると思います。

大柳 『アリーナ:クラッシュ オブ チャンピオンズ』に関しては弊社として初のオンラインタイトルで、試行錯誤しています。オンライン常時接続で遊ぶタイトルなので、サポートの件数も多いです。アップデートに関する不具合なんかもどうしても出てきちゃいますしね。ただ、これはコアゲーマーには非常に評価が高いタイトルですね。

金親 この3本はそれぞれビジネスモデルが違っています。『レイブンロックの秘密』は最初ランクインして売上はよかったんですよ。ただ、買いきりモデルでクリアーしたら終わりのゲームなので、セールスが伸びることはないですよね。『アリーナ』に関しては、ゲームにハマれば継続して課金の売上があるので、本当にひとつひとつ違いますね。

――ビジネスモデルもそうですけど、ジャンルも違うものが最初に出てくるのは珍しんじゃないですか? 今後はどういうラインアップを予定しているのでしょうか。

大柳 フリートゥープレイも有料もやっていきます。ジャンルも絞らないですね。たとえばつぎに控えている『マッチメーカー』が当たったとして、つぎもデートゲームにするかと言ったらそれはわからないです。『ザ・ルーム』ともう1本アドベンチャーゲームが出るので、若干アドベンチャーゲームに寄ってる感はありますけど、それは意図したものではないです。単純に我々ふたりが日本のお客さんに遊んでもらいたいタイトルを選んだ結果そうなっただけなんです。

――基本は自分たちの目利きを信じて配信タイトルを決めていくと。

大柳 そうですね。僕らふたりはお互いけっこう偏っているので、ふたりが「うん」と言えばまあ間違いないだろうと。

――いまのところはふたりとも「あり」なタイトルなわけですね。

大柳 はい。『ザ・ルーム』なんかは問答無用で1千万本クラスのタイトルなので、日本版が出たら絶対に遊んでもらえると思います。自分の得意なジャンルじゃなくても、そういうものは積極的にやっていこうと思っています。

金親 『ザ・ルーム』はコーラスを始めたときから狙っていたタイトルです。イギリスのゲーム業界って、会社としてはたくさんあるんですけど、横のつながりがかなり強いんですよ。1本目の『グリフクエスト』のクリエイターが『ザ・ルーム』の会社の社長と親しいんです。『グリフ』でいい仕事をできたことが、『ザ・ルーム』のローカライズができることに繋がったんですよね。

大柳 うちは掘り下げるよりは広く浅くやりたいなと思っています。じつはふたりとも飽きっぽいので(笑)。

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▲PRマネージャーの大柳竜児氏。

金親 うちが持ってくるほとんどのゲームは日本のクリエイターが“作らない”ものなんですよ。“作れない”んじゃなくてね。そういうちょっと違うものを持ってきたいと思っています。

大柳 やっぱりストアの上位のタイトルが固定されつつあるのがすごくつまらないんですよ。ヒット作の追従作ばかりクリエイターが作っているようでは市場は潰れちゃうと思うんです。それだったら海外で出ている、いまの日本にないものを持ってくるのが我々の使命みたいに感じています。

もちろんお客さんはいまのタイトルがおもしろくてプレイしているというのは当然のことですけど、ゲームはそれだけじゃない。パズルもあればRPGもあるし、デートゲームだってあるんです。そういう幅を持ったラインアップをお客さんに見せてあげるというのはゲーム業界にいる人間は絶対にやらなければいけないのかなと。

金親 クリエイターを表に出したいというのは考えています。彼らはある意味アーティストなので、彼らを前に出して成功してもらいたい思っています。

大柳 究極、うちの名前はそんなに売れなくてもいいんですよ。ただ、“コーラス”という名前を聞いたら「これはきっと変化球的なタイトルだな」とユーザーさんに連想して手にとってもらえたらいいなと思っています。

これから“クル”のはどのエリア?

――いま注目している国やエリアはどのあたりになりますか?

大柳 これはやっぱりUKですね。

金親 僕の繋がりというのもあるんですけど、ヨーロッパの中でいちばんUKがインディーに向いていると思います。ずっと前からインディークリエイターが大きなメーカーを作ったという実績がありますからね。いまは新たに、そういうメーカーで10年以上活躍してきたような人が、改めて自分のゲームを作りたいという思いで独立する傾向にあるんです。

――そうなんですね。一般的なイメージだとフィンランドが強いのかなと思っていましたが。

金親 そうですね。スーパーセルやロビオがありますからね。ただ、UKも数自体は多いですよ。あそこまでのスーパーヒットがまだないので目立ってはいませんが。

大柳 EAなどの大きな会社のスタジオが解散したりしていることで、人の流れが多いのも要因でしょうね。

金親 いまは素晴らしい時代ですよ。Unityなどもありますから、ゲームを作りやすい環境になっているんです。『グリフクエスト』も夫婦ふたりで作ったタイトルですからね。

――え、そうなんですか!

金親 奥さんがアートディレクションをやって、旦那さんがゲームの製作者になります。しかも彼はエンジニアじゃないんですよ。それなのにUnityを使ってゲームを作ってしまった。あとは配信自体も楽ですよね。そういう時代背景もインディーの盛り上がりに拍車をかけていると思います。

――たしかにそれはありますよね。日本でも個人開発者は多いですし、インディーメーカによるスマッシュヒット作も出てきています。では最後に、日本のゲーム市場に取り組んでいく意気込みを聞かせてください。

大柳 コーラス・ワールドワイドはほかのメーカーには出せないタイトルを出すというところで注目してもらいたいですね。2015年の1月から3月にかけて一気に8タイトルを投入する予定です。

――8タイトル!

大柳 すでにお話した『マッチメイカー』や『ザ・ルーム』を筆頭にさまざまなジャンルのものを出していろんなお客さんに楽しんでもらいたいですね。

金親 ユーザーを選ぶタイトルが多いと思います。コアゲーマーは『マッチメイカー』の見た目は受け付けないかもしれないですね。実際やるとおもしろいんだけどなあ。

大柳 万人受けということなら『レッツ・ダッシィー・クラッシィー』がいいかもね。『テンプルラン』のようなランニングゲームなんですけど、これは気軽に誰でも楽しめるものになっています。ほかのものはクセのあるものが多いですけど、どれもおもしろいです。よく金親が集めてきてくれましたよ。

金親 いや、まだこれからだよ(笑)。2015年は頭から一気にタイトルを出せますけど、僕の仕事は海外でタイトルを探してくることなのでもっともっといいものを出していきたいですね。大手のメーカーさんのゲームはたしかにビジュアルやいろんな面でクオリティーが高いのは間違いないですけど、それとは少し違う魅力がインディーゲームにはあります。従来だったら考えられないようなゲームがどんどん生まれてきているので、そういうものを見つけ出して皆さんにお届けしたいですね。

近日配信予定のタイトルはコレ!

スカイパトロール

東京ゲームショウのインディーコーナーに出展されていたタイトル。ミサイルなどを駆使して、押し寄せる敵弾を迎撃していく縦スクロールのシューティングゲームだ。2015年1月の配信予定。

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ザ・ルーム

全世界で1000万本近いセールスを記録した、脱出ゲームブームの先駆けとなったタイトル。フル3Dで描かれた世界と、それを駆使した謎解きは高い評価を得ている。

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キティー パワーズ ・マッチメーカー

話題性バツグンのデートゲーム。プレイヤーは、ビデオゲーム・ドラッグクイーンとして活躍する、キティー・パワーが経営する結婚相談所に入社。相談所を訪れる顧客の要望を聞き、最適の相手とのデートをセッティングし、カップルを誕生させるのが目的。

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スーパーグリフクエスト

2014年に配信された『グリフクエスト』の最新作。ゲーム全体のボリュームが見直され、ストーリー性の強化、スキルツリーの追加、パーティーによる戦闘の追加、キャラクターのカスタマイズ、追加シナリオなどが実現している。

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ドラゴンフィンガ

タッチ、ピンチ、スワイプなど、スマホで慣れた操作でカンフーアクションをくり出し、襲いかかる敵を倒していくアクションゲーム。ステージが進みにつれて、敵の攻撃は多彩に、そして激しくなってくる。指先を駆使して、最強のカンフーファイトを楽しもう。

DragonFinga

レッツ・ダッシィー・クラッシィー

プレイヤーはクルマを運転し、道路上に発生する交通渋滞や、パトカーとのチェイスなどさまざまなアクシデントを切り抜けて、走行距離を競う。いわゆるランニングゲームをベースにしたアクションゲームだが、シンプルなルールだけに、ハマり度も高い。

DashyCrashy

バートラム・フィドルの冒険(仮)エピソード1

ビクトリア朝時代のロンドンを舞台に、冒険家のバートラム・フィドルと、助手のギャビンが連続殺人事件を追うアドベンチャー。たっぷりのダークユーモアと、魅力的なミステリーで構成された物語を楽しもう。操作は気になる部分をタップする、ポイントクリック型となっている。

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スワップクエスト

パズルをRPG要素がミックスした、ドイツ生まれの新作ゲーム。プレイヤーの背後から迫る闇から逃れるため、タイルを組み替えて未知を切り開き、立ちはだかるモンスターを倒しながらマップを制覇していこう。8ビットゲーム調のビジュアルが、いい味を出している。

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