【本日もちょっと!逆鱗日和(9)】フルフルという名の天敵

2014-06-02 16:34 投稿

まさかヤツを相手にこんな……

“フルフル”っているでしょう。

色白でプニプニで首が長くてハイトーンボイスで唇が色っぽくて……って、キーワードだけ見ていると脳内にかわいい女の子ができあがってしまうのだが決してそんないいもんじゃなく、関取のような体型で電気ビリビリでヨダレだらだらのアイツのことです。フルフルは無印(初代『モンスターハンター』のこと)のころから存在する古参中の古参モンスターで、一部にカルトな人気を持つ不思議な存在だったりもする。今日はそんな、フルフルのお話。

俺は『モンスターハンター2(ドス)』で初めてガンランスが登場して以来、どれほど強大なモンスターが目の前に現れても一貫してこの武器を使い続けてきた。

リオレウス、ティガレックス、ナルガクルガ、そしてラージャン……。

少なからずクセのあるこの武器でこれら歴戦のツワモノどもと渡り合うのは骨が折れたが、それでもくり返しくり返し挑むうちになんとか形になっていったのである。

そんな過酷な狩猟生活であるからこそ、ときには癒し……というか、ハンター側が圧倒的な主導権を握った状態でモンスターを翻弄できる狩りがしたくなる。世界戦を間近に控えたチャンピオンが、自信を植え付けるために格下の相手とスパーリングをするような心理状態なのかもしれない。

こんなとき、ガンランサーがスパーリングパートナーとして選ぶモンスターはただの1種で、それは『モンハン2(ドス)』の昔から“フルフル”と相場が決まっている。この白いプニプニのモンスターを向こうに回したとき、ガンランスの潜在能力は限界まで解き放たれるのだ。

頭抜けたガード性能と“砲撃”という唯一無二のフェイバリットホールドを持つガンランスは、動きが鈍く、立ち止まっての攻撃が多いフルフルとは相性が抜群だった。体内発電をくり出したら、ガキンとガードしてチクチクチク。電撃ブレスのモーションに入ったら横に回り込んでチクチクチク。砲撃の1発もかませばドゥと真横に倒れるので、頭側に回り込んで弱点の顔をチクチクチク……。これをくり返すことでフルフルプルプルフラフラになるので、回復アイテムをひとつも使わずに討伐することも珍しくないのである。

なので俺は、以前から豪語していた。

 

「ガンランスという相棒を手にして以来、俺はフルフルに後れを取ったことがない!!」

 

と。要するに、“フルフルには一度たりともやられていない”と宣言しているわけだ。

ある日、そんなフルフルの討伐クエストに出掛けた。最近、村の下位クエストを終えてネコートさんから上位のクエストを受注できるようになり、うれしさのあまり、「まずは景気づけに、フルフルを屠り去ってきてやろう!!」ってんで“旧密林に走る稲妻”というクエストを受注したのである。

このクエスト、PSP版の『2nd G』から数えたら、いったい何度プレイしただろう。おかげで、フルフルが出現する場所、移動するエリア、そして着地地点まですべて頭に叩き込まれているので、半分寝ながら立ち回ってもどうにかなってしまう感じすらする。実際、俺はセオリー通りの動きでフルフルを翻弄しまくり、あっと言う間に「もうぼちぼち、討伐しちゃうんじゃないかな」と思えるところまで追いつめることに成功した。

「やっぱり、ガンランスはフルフルの天敵だぜ^^」

ニコニコと目尻に皺を発生させながら画面を見つめる俺。どうせ瞬時に討伐しちゃうだろうと思って、シビレ罠捕獲用麻酔玉という“捕獲セット”は持ってきていない。でもいいのだ。討伐も手間はかからないし。俺は、

「おし、仕上げといきますか!」

と気合を入れ直し、フルフルの顔面めがけてガンランスで突っ込んでいった。しかし、その瞬間。

 

「キャォォォォォォオオオオオオオ!!!!!!」

 

フルフル得意の叫び声が発生! 「あっ!」と思ったときには時すでに遅く、耳をふさいで長時間の硬直を食らった我が分身は、流れるように放たれた電撃ブレスをモロに浴びてそのまま昇天。いつ以来なのかさっぱりわからぬ、“フルフル相手の1オチ”を計上してしまったのでありました。

「なっ……! こ、この俺がフルフルなんかにやられるなんて……!」

醜態が信じられず、オノレの亡骸を見下ろしたまましばし動けなくなるガンランサー。でもすぐに、頭を切り替えた。

「……考えてみたら、俺がフルフル相手に持っていたのは“クエストを失敗しない記録”だった。3オチしなければ、記録は続く『2(ドス)』の時代から続いている“不滅の記録”は継続だっ!!

こうやって都合のいい解釈がどんどん生まれてくるのが俺のスゴイところなのである。俺は「記録はこうして守られるのだ!!」と鼻息を荒くし、傷ついたフルフルの待つ洞窟へと駆けていった。

そして……。

一瞬で、2オチ目を計上……!

「ぎゃあ!!!!!」

フルフルの巨体に押し潰されて昇天した我が分身を見て、思わず叫び声が漏れてしまった。

「さっきから、何を騒いでんの??」

斜め向かいの席から江野本ぎずもが不思議そうな顔でこちらを見たが、えーいうるさい。ほっといてくれ。

「なんでもない。フルフルになんかやられてない」

俺は短くそう言い、心の中で(捕獲セットを持ってくりゃよかった!!><)と慟哭した。

さあたいへんだ。もうミスれない。でも、俺の見立てではフルフルは青色吐息もいいところで、あと数発、突きか砲撃が入れば決着を付けられるのは間違いがないところである。

「大丈夫だ……! 俺はこういう窮地から、幾度となく立ち上がってきたのだから!! “最後の招待状”のときもそう!! “武神闘宴”のときもそうだった!!!

ラージャン2頭や究極の大連続狩猟と比べられてフルフルのほうが驚いたと思うが、“もしかしたら記録が途切れてしまうかもしれない”という恐怖は、超高難度クエストから受けるプレッシャーと同等のものだったのだ。俺は「ふぅ…………」と1発長い息を吐き出し、「大丈夫……! きっとやれる!!」と心を鼓舞して、再度フルフルの待つ洞窟へと赴いた。

そして…………。

フルフルと出会った直後、咆哮→硬直→電撃ブレスという必殺コンボを浴びて、ものの見事に昇天!!

 

「ぎぇぇぇぇえええええ!!!!」

 

図らずも出てしまったフルフル並みの悲鳴を聞き、江野本が顔をしかめた。「さっきからうっさいな(苦笑)。何してんのさ」

こうして、俺の“対フルフル連続討伐記録”は途絶えてしまった……。『2(ドス)』のころから継続していた、8年越しの記録だったのに……

しかも、これで終わりではなかった。以下、俺と江野本のSkypeでのやり取り。

大塚の発言: 村の上位フルフルに6連続オチ中……(現在進行形)
江野本の発言: あれ? ガンランスってフルフルを得意としてるんじゃなかったでしたっけ?
大塚の発言: かつて一度たりともやられたことはなかった……
江野本の発言: (ウソばっか)
大塚の発言: (ウソじゃねえ)
江野本の発言: 老ガンランサーの身にいったい何があったのか!!
大塚の発言: うるせえ! って、な、7連続オチ……!!
江野本の発言: ラッキーセブン!
大塚の発言: フルフルを恐ろしいと思ったの、『モンスターハンターG』の旧沼地で2頭いっしょになったのを見たとき以来だわ……
江野本の発言: 上位フルフル楽しみにしとこ♪
大塚の発言: やばい!!!!!!!!!!
大塚の発言: またちんだ!!!!!!!!!!
江野本の発言: どうやったらそんなに力尽きれるのか……
大塚の発言: いまなんて、ペイントボールぶつけただけだぞ……
江野本の発言: フルフル、向いてないんじゃない……?
大塚の発言: そ、そんなはずは……><
江野本の発言: 防具を強めたほうがいいのでは……?
大塚の発言: これでハットトリックしたら考える……

(数分後)

大塚の発言: いったーーーー! 捕獲した!!ww
江野本の発言: お疲れ様ですw
大塚の発言: ネコートクエやべよ……

このやり取りにもある通り、なんと俺は2回連続のハットトリック(3オチすること)+2オチという、口が裂けてもフルフルが得意♪」なんて言えない醜態をさらしてしまう。

油断大敵……。男子三日会わざれば括目して見よ……。

いろいろな格言が身に染みるひと時でした……。

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大塚角満Twitterアカウント→@otsuka_kadoman

大塚角満(おおつか・かどまん)……週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。編集業務のかたわら、執筆活動を精力的にこなしており、多数の連載記事を持つ。著書に、『モンスターハンター』シリーズのプレイ日記をまとめた『逆鱗日和』シリーズが9作、『ダークソウル』のプレイ日記をまとめた『折れてたまるか!』シリーズなど。ファミ通Appでは、“熱血パズドラ部!”を始めとするスマホゲームの執筆活動も行っている。

モンスターハンターポータブル 2nd G for iOS

ジャンル
ハンティングアクション
メーカー
カプコン
配信日
配信中
価格
1600円[税込]
対応機種
iOS 6.0 以上

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