狂気の中に散りばめられた“感傷”を集めて……『歪みの国のアリス』

2011-08-09 19:00 投稿

●携帯アドベンチャーゲーム界屈指のホラー作品をオススメ!

『歪みの国のアリス』は、そのタイトルの通り、『不思議の国のアリス』をモチーフにした、ホラーアドベンチャーゲームです。ただし、全体に狂気が満ちあふれていて、遊ぶ人を選ぶはずです。オススメ!と言っておきながら、最初から“遊ぶ人を選ぶ”というのはどういうことだと思われるかもしれませんが、本作には、残酷な描写が登場するため、万人にオススメとは言いづらいのです。それでも多くの人に遊んでほしいと思っている、僕のお気に入りの作品なのです。

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▲これらの画面写真にピンときたら、是非遊んでみてください。古き良きホラーアドベンチャーの雰囲気が絶妙に継承されています。

ホラーとはいえ、どちらかというと、“奇妙なもの”や“違和感”などを作品の主軸にしているため、「夏の夜に一人で遊んでみよう!」というノリの怖さではありません。プレイヤーは、狂気に気を配りながら、奇妙さに驚かされながら、作品を進めていくことになります。

 

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▲主人公の”アリス”は突如として奇妙な世界に迷い込むが、すぐに高い順応力を見せてくれる。描写がコミカルな部分も多いので、ただ「怖い」だけの作品ではないのだ。

一方で、描かれる物語全体を通してみれば、多くの人が同じような切なさと、ほのかな暖かさを感じられるはずです。ネタバレになってしまうので詳しくは書きませんが、ある人物の物悲しい過去を解き明かして行く過程は、とても繊細です。すべてのエンディングを見るまで遊び続けることができれば、本作が、心に残る1本になってくれるはずです。

 

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携帯アプリ用に作られた作品だけあって、物語の展開は速いですが、それは物語の流れをおろそかにしているということではなく、遊んでみると、そのペースが心地よいことに気づかされます。アドベンチャーゲームの尺というのは、じつに多様ですが、ここ最近のコンシューマー用のアドベンチャーゲームは、とにかく長い。台詞を聞きながら遊んでいると 50時間近くかかるものも多くあります。これらの作品は、奥深く、確かに面白いのですが、果たして、これを、iPhoneや携帯電話で遊ぶと考えたらどうでしょうか?お手軽に遊べるのがアプリの魅力であるにも関わらず、ちょっと、疲れちゃうと思うんです。そういう意味で『歪みの国のアリス』は、アプリとして理想の、適度な長さで設計されており、極めて完成度の高い作品であると言えるでしょう。この作品を遊べば、アプリ用アドベンチャーゲームの新たなおもしろさを発見できるかと思います。(浅葉たいが)

【歪みの国のアリス】
メーカー:サンソフト
配信日:配信中
価格:450円[税込]
対応機種:iPhone/iPod touch、Android

(C) SUNSOFT

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