【企画連載】教えてponta先生!「『三国志』ってなぁに?」―第4回:まんじゅうの起源は生首!?現代まで続いている三国志の影響
2021-08-13 20:00 投稿
じつはみんな気付いていない!
現代にまで影響を及ぼしている『三国志』由来のアレコレ
名前は知っているけれど、中身までを知っている人は意外と少ない(!?)『三国志』を学ぶ企画連載。第4回のトークテーマは“現代まで続いている三国志の影響”。
過去の歴史の話という枠にとどまらない、現代にも『三国志』の隠れた影響はたくさんあって…?
【話者】
ponta 生粋の三国志好きであり、コーエーテクモゲームスのゲームシリーズ『三國志』の大ファン。 三国志好きがこうじて、大学時代は中国上海に短期の語学留学を敢行。しかし、いまも憶えている中国語は「廁所在哪儿?」(トイレはどこですか?)のみである模様。 | |
ヒゲメガネ長谷部 担当編集。 この連載シリーズが始まって以降、三国志関連コンテンツに目を通すように。 |
今回は、『三国志』が現代日本にも影響を与えている逸話を教えてください!
いいですよ! じつはハセベさんが気づいてないだけで、『三国志』の影響は身近なところにたくさんあるんですよ!
本当ですか?
ふだん、ぜんぜん意識しないけどなあ……。
『三国志』現代への影響 その1 ”まんじゅう”
たとえば…ハセベさんはコンビニに行きますよね?
そこに『三国志』の影響があるんですけど、何だかわかりますか?
え、なんだろう。
24時間営業とか?
それはない。
コンビニのレジ横には、何がありますか?
ホットスナックとか、あとは寒くなってきたら肉まんとか……?
そう、その肉まん(まんじゅう)の起源は孔明(蜀軍)だと言われているんです。
孔明が南の国を攻めたとき、川のはん濫を鎮めるために生きた人間の首をチョンパして水に沈めるという残酷な風習を目にしたんですよね。
それで「いやそれはいけにえが可哀そうだ」ってんで、小麦粉の中に肉を詰めて、「これで人の首と変わらないよ」って川に沈めたのが肉まんの起源といわれています!
だから“まんじゅう”を漢字にすると“饅頭”と、頭という字が入ってくるんですよ。
へー知らなかった!
にしても、小麦粉で作った皮の中に肉を詰めたものが人の首と変わらないって発想も、なかなかぶっ飛んでますね。
まぁまぁ。なので、孔明がいなければ現代日本のコンビニの風景はちょっとだけ変わっていたかもしれませんね!
伝説なので、真相は不明ですけど。
伝承、逸話はどうしても真偽不明になりがちですよね。
pontaさん自身はこの話の真偽はどうだと思います?
まったくの嘘とは言い切れないんじゃないかなってところですかね。
チョコのM&M’Sとか、日本軍の肉じゃがとか、軍隊関係で発明された食べ物って、兵士が復員して帰郷することで、家庭に普及していくことがすごく多いので。
『三国志』現代への影響 その2 ”破竹の勢い”
おまんじゅうのほかに何か『三国志』起源のものってありますか?
メジャーどころだと、やはり慣用句ですね。
現代日本人がふだん何気なく使っている言葉の中にも、『三国志』由来のものってたくさんあるんですよ!
そういえばハセベさんは、サッカー好きですか?
好きですよ!
LINEのアイコンもマラドーナですからね!
チームが連勝したとき、”破竹の勢い”って言いませんか?
言います言います。
チームの猛烈な勢いが止まらないときの言いかたですね!
この慣用句は三国時代の締めくくり、杜預(とよ)という武将が、呉を亡ぼすとき、「竹がバリバリっと破れるみたいに一気に攻めちゃえ~」って言ったセリフが由来とされています!
なるほど、たしかにナタとかで竹を縦に割ろうとすると、簡単に割れますもんね。
横からの力にはめっぽう強いくせに。
まぁそんな感じで生まれたとされるこの”破竹の勢い”という言葉ですが、スポーツの連勝街道を表現するときにめちゃくちゃ便利なので、竹を見たことがない現代っ子が増えていっても、死語にならない気がします。
『三国志』生まれの慣用句はほかにも “白眉(はくび)” とか “読書百遍(どくしょひゃっぺん)”、”水魚の交わり(すいぎょのまじわり)”、”白波(しらなみ)”、”男子三日”とかがありますが、だいぶ使われなくなってる言葉もあります。残念ですが。
ただこの”破竹の勢い”と”大器晩成”、そして”白眼視”あたりは使用頻度も高いので安心しています。
ぼくもよく、締め切り遅れるライターさんからのLINEをそういった目で見てますけど!
ぐっ……。
さ、三国時代に阮籍(げんせき)っていう人がいたのですが、この人は青い目と白い目を使い分けることができて、自分が嫌いな人が家に来たら白い冷たい目をして出迎えるという、かなりわかりやすい人だったそうです。
この故事の影響で後世、誰かを冷たい目、悪意を持って見るようなときのことを、”白眼視する”というようになったんですね。
なるほど。
青い目と白い目を使い分けるってのがイメージ付きませんけど、白目を向いて出迎えられたら「なんだこいつ! こわっ!」ってなりそうですね。
きっとハセベさんが想像しているのは、オードリー・春日さんのギャグ「鬼瓦!」みたいな感じなんでしょうね。
あながち間違いではないのですが、顎を思いっきり引いて睨むように相手を見ると白目のほうが多くなりますよね? そういうことです。
マンガとかで白目をむいて冷たい表情をするキャラとかいるじゃないですか。
ああいう演出も、阮籍がいなければちょっと違う感じになっていたかもしれないですね。
『三国志』現代への影響 その3 ”風林火山”
食べ物と慣用句。
それ以外に、なにかありますか?
そうですね。
『三国志』がなければ、現代の山梨県の景色が変わっていたかもしれないッス!
山梨?
かなりピンポイントですね!
どういうことですか?
それはこういうことです。
『三国志』の主役のひとり、曹操は『孫子』という中国の兵法書を整理し、みずからの経験に照らしてメモを入れたんです。
そのおかげでわかりやすくもなり、後世に名著が消失もせず、無事残るといったことにもなったわけです。
なるほど。曹操は政治家、武将としてだけではなく、学者としての面も持ち合わせていたんですね。
でも、それが山梨県とどういう関係があるんです?
ほら、山梨県に行くと、いたるところにあるじゃないですか。”風林火山”の四文字が。武田信玄が旗印にしていたあの”風林火山”は、『孫子』の一節なんですよ。
つまり”風林火山”が山梨にあふれているのは孫子のおかげ、ひいては曹操のおかげ!なのです。
逆にいえば、曹操がいなければいまごろ山梨県にはためく四文字は”葡萄美味”とか”壮麗富士” になっていたかもしれないわけですよ!
山梨県の風景が変わっていたどころか、歴史が変わっていた可能性も感じますね。
現代日本にもこんなに影響があったとは!
ちょっと感慨深いです。
今回はリアルへの影響の話をうかがったので、そろそろゲームへの影響の話を聞きたいですね!
やっとホームグラウンドきた!
では次回は、ゲームシーンにおける三国志について、語ってみることとします。
文:ponta
企画協力・画像提供:㈱コーエーテクモゲームス
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