【独占】『オルサガ』第3部は過去最大のボリューム!? シナリオ担当が明かす制作&設定秘話【インタビュー】

2017-02-07 17:00 投稿

シナリオ担当ライターを直撃!

セガゲームスとf4samuraiが開発・運営をしている戦記RPG『オルタンシア・サーガ-蒼の騎士団-』(以下、『オルサガ』)。本記事では、シナリオ執筆を担当するf4samuraiのライター陣へのインタビューをお届けする。

ダーイラ帝国との戦いの結末は? そして、マゴニア物語の真実と“聖遺物”を巡る“使徒”たちの争いの行方は……。気になる第三部の展開に加え、これまでを振り返っての制作現場の裏話や、未公開設定なども明らかになる、ファン必見の内容となっているぞ。

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▲右から、『オルサガ』の制作を担当するf4samuraiのライターの梯敦志(かけはし・あつし)氏、プロデューサー・田口堅士(たぐち・けんじ)氏、ライター・長山豊(ながやま・ゆたか)氏、同じく菊池里咲(きくち・りさ)氏。

史上最大のボリュームへ

――まずは皆さんがどういったお仕事を担当されているのか教えていただけますか?

長山 私は“騎士伝”制作のヘルプとして、『オルサガ』がリリースされる半年ほど前にf4samuraiに入りました。それ以来、おもにイベントのシナリオや騎士伝を担当しています。

田口 それだけでなく、いまや『オルサガ』には欠かせない、エイプリルフール企画などのおふざけ要素も担当してもらっているんですよ。昨年のエイプリルフール企画のイラストは彼が描いたものです(笑)。

長山 後はプライベートでも『オルサガ』にどっぷりハマっていまして、騎士団のランクもSです。おかげで、忙しいときでも騎士団戦を休むことができなくてたいへんです(笑)。

 長山さんの少し後に入ったのが私で、初めは長山たちが書いていた騎士伝のサポートをして、その後は本編である“オルタンシア伝”を担当するようになりました。

田口 あとは外伝や本編絡みのキャラクターの騎士伝などの担当もしていますね。

 本編まわりのストーリー全般、といったところです。その他、好きな作品のコラボレーションのときなど、イベントも担当することもあります。『アルスラーン戦記』とのコラボイベントなどですね。

菊池 私は入社してちょうど1年くらいになります。基本的には、長山、梯が手掛けるもの以外のシナリオを担当しています。本編に絡まないキャラクターの騎士伝や、長山の手が回らなくなったときのイベントのフォローなどですね。

田口 彼女は、シナリオだけでなくキャラクターイラストの発注だとか、会話シーンのスクリプト(文字の表示や演出などのプログラミング)も担当しています。

――本編であるオルタンシア伝をクリアーするだけでも、第一部、第二部それぞれで家庭用ゲームのRPG1本分くらいのボリュームがあると言われているストーリーですが、そもそも構想にはどのくらい時間をかけているのでしょうか?

田口 三部構成の物語の基本的な骨組みは、じつはリリース時点ではすでにまとまっていたんです。企画時点であまりに壮大なスケールになってしまったので、この作品をリリースするときは「物語を全部描ききれるといいなぁ」と思っていました(笑)。

長山 こうして第三部までゲームが続けられることになって、ずっと描き続けてきた物語を世に出すことができるのは、感慨深いものがありますね。

 全体の流れはそうやって決まっているので、各部の始まる前の準備期間では、どんなキャラクターを出して、どう動かしていくかといったプロットを作っていきます。

 
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▲歴史(年表)やキャラクターの相関関係など、じつに細かい設定も特徴の『オルサガ』は、構想段階から時間をかけて作られているようだ。

――なるほど。第二部終了から第三部開始までのインターバルを長めに取っているのは、新システムの整備のほかにも、それらの準備もあるということなんですね。

 第三部が始まった後も、だいたい1ヵ月ごとに新章をリリースするので、そのたびに細かい構成をチームで話し合いながら決めていくことになります。

長山 と言っても、毎回スムーズに話が進むわけではなくて、しょっちゅう煮詰まっては脱線しているんですよね。

田口 そのたびにネタ系の企画ばかりが進んでいくんですよ。そのおかげで、今年(2017年)のエイプリルフール企画も、半年前くらいから本編の打ち合わせの合間にどんどん進んでいって、かなり力の入ったものになってしまっています(笑)。

長山 外伝(第二部4章)で大活躍したドクトル・グレフとガストンの物語のようなものも、そこから生まれていたりします。ちなみに、彼らは第三部でも登場する予定ですよ。

――まさか、あそこまで彼らが活躍することになるとは思っていませんでした。やはりファンからの熱い支持があったということなのでしょうか?

 かなりの支持がありました。完全に予想外でしたね。もともと、1回限りの登場しか想定していなかったので、彼らのイラストもじつは汎用のものなんですよ。ドクトルの“グレフ”という名前も後付けで、最初は“医者”でしかありませんでしたからね。

長山 おかげで、今後医者を出すときには新しいイラストを発注しなければならなくなりました(笑)。

田口 イラストと言えば、彼らの外伝シナリオでの1枚絵は、スタッフにもすごく好評でしたね。わざとラフ画っぽい粗い仕上げにしているのですが、それがまたいい味を出しているということで……。

 
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▲これがその1枚。確かにグッとくるものがある……かも!?

――本編以外でも、こうしたサブキャラクターたちの活躍が描かれていく『オルサガ』ですが、まとめとなる第三部はどのくらいのボリュームになるのでしょうか?

田口 第一部が11章、第二部で10章の構成で作ってきましたが、やはりこれまでの伏線を回収しつつ、物語をまとめていかなければならないので、第三部はそれ以上のボリュームになるのではないかと思っています。

菊池 騎士伝に関しても、伏線を張るだけ張って、そのままになっているキャラクターが何人もいたりするので、それらの回収も考えながら新キャラクターを用意していくことになると思います。とくに、ダーイラ帝国出身のファイザなどは、第三部で出さないわけにはいかないですから、彼らの活躍にも期待していてください。

――確かに、これだけのキャラクターが登場する作品ですから、伏線の回収だけでもかなりの量になりそうですよね。その他、構想時で苦労されていることはございますか?

長山 ときどき指摘されるのが、イベントでの時間軸ですね。本編中の時間は、第二部までで1年4ヵ月くらい、さらに第三部開始までに約1年ほど経過しているのですが、イベントでは基本的に第一部開始時点だとしてストーリーを作っています。

田口 と言っても、それだけだと出せるキャラクターも限られてきますし、本編中に出てきた新キャラクターを使いたいときもあります。できる限り調整はしていますが、イベントのシナリオはあくまでパラレルワールドだと思って、細かいことは気にせず楽しんでいただけるとありがたいですね。

 全体としては、戦いだけにフィーチャーするのではなく、日常の光景だったり、ユニークなやり取りなどを通じてキャラクターの魅力を出すことを心掛けています。そういった心意気を詰め込んだのが外伝であったり、騎士伝であったりするので、本編だけでなくそちらもぜひ楽しんでください。

 
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▲本編の裏で進行していた“もうひとつの物語”を描く外伝・マゴニア伝承に並々ならぬ情熱を燃やす少女、ヴェラとのエピソードなど、中にはユニークなものも。

――気の早い話なのですが、第三部が完結してしまったその後の、『オルサガ』はどうなってしまうのでしょうか?

田口 主人公たちの物語は一旦幕を閉じますが、『オルサガ』自体はファンの皆さんに支え続けていただける限り、終わりません。それこそ、八英雄の物語であったり、フェルナンドやレオン、ルギス世代の物語など、われわれが書きたいものはたくさんありますし、ファンの皆さんから「こんな物語が読みたい!」といったリクエストも来ているので、どんな展開ができるのか、楽しみです。

――ここまで、シナリオ面についてお話いただいたのですが、その他にも注目してほしいところはありますか?

菊池 演出面のこだわりも見ていただきたいですね。第二部では、第一部よりも会話シーンで多くの“動き”がついています。キャラクターや画面を揺らしたりするだけでなく、SEを入れたりBGMを変化させたり、アニメを意識した演出を多く取り入れました

――そう言えば、先ほどのドクトル・グレフとガストンの抱擁シーンなど、第二部ではイラストが多く挿入されていますね。

田口 基本的に、1章に1枚以上は入っていると思います。

長山 1章につき1枚、ということでやろうと初めは言っていたのですが、じつはたくさん入っている章もあるんです。要するに、どのシーンで入れるか絞りきれなくて、「じゃあ両方とも入れてしまおうか」ということになったというわけです(笑)。

菊池 ファンサービスということで! でも、スタッフも楽しんで描いていました(笑)。

気になる第三部の展開は……?

――さて、第三部の展開についてもお話を伺っていきたいのですが、まずは新キャラクターについてはいかがでしょうか?

 すでに公開されているように、メインどころでは主人公の妹であるテレジアことベルナデッタが加わります。彼女が赤い鎧を装備しているのは、ルギスの想いを受け継いでいることの意思表示でもあります。

田口 現在公開中の第三部0章などをプレイしていただくとわかると思うのですが、ベルナデッタはもともと完全な“お兄ちゃん子”だったんです。ですから、ちょっとしたきっかけがあれば、また仲のいい兄妹に戻れるはずなんですよ。

 マリユスを交えた“三角関係”は、第三部の見どころのひとつかもしれません(笑)。

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▲第一部ではノンノリア相手に主人公争奪戦でリードしていたマリユスだったが、第三部では実の妹・ベルナデッタという強敵を相手にすることに。

――ちなみに、ノンノリアは……。

 現在のところ、一歩引いたポジションに収まってしまっていますが、彼女も第三部で新たな姿を見せてくれると思います。

――ベルナデッタのほかに、主要キャラクターに追加などはあるのでしょうか?

田口 第三部では、ストーリーの展開次第でさまざまな協力者が現われますが、基本的には主人公一行のメンバーは大きくは変わりません。

――ストーリー的にはダーイラ帝国との戦いがメインとなるのでしょうか?

 オルタンシア対ダーイラという構造がメインとなります。一方、第二部で出てきた、使徒を始めとした聖遺物を巡る物語も進行しており、新たな組織も出てきたりします。ルギスの遺志を継いだ主人公にとっては、いずれの戦いにも身を投じざるを得ず、最終的に彼がどんな選択をして、どんな戦いに挑むことになるのかというのも見どころになっていますよ。

田口 “先生”と呼ばれていたクリシーヌや、第二部終盤で登場した謎の少年など、ダーイラ関係のキャラクターや、彼女たちが話していた言葉を覚えておくと、より第三部の話がわかりやすくなると思います。

――主人公の脇を固める、“戦う王女”マリユスや相棒のデフロットたちの成長も、物語のひとつの柱となっていましたが、彼女たちの今後は?

 まずデフロットですが、彼にとっては、周囲の人間が皆“ふつうじゃない”超人だらけですよね。そんな中、何もできないままではいられないと、何かしらの大きなアクションを起こすことになります。

田口 彼の成長への意志は、第二部の終盤でも見せていましたね。

 一方、マリユスに関しては、自分の意志で戦いへと向かう、確かな成長の跡が見られるようになります。そしてその後押しをしてくれるのが弟のシャルロなんです。

菊池 じつは、統一戦の限定ユニットでの騎士伝でも、お姉ちゃんのワガママを聞いてあげたりしているなど、姉思いのところを見せていたシャルロなのですが、第三部では「国のために」という意識の成長も見られるようになっています。

長山 シャルロに関しては、イベントでも少しずつ成長の跡が見られていたのですが、ついに本編でもその成長ぶりが発揮されることになったというわけです。

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▲第二部でも毅然とした姿を見せていたシャルロ。まだ12、3歳の少年である彼の成長ぶりにも注目だ。

――デフロットやマリユスだけでなく、シャルロの成長にも注目、ということですね。それにしても、『オルサガ』は年若い男性キャラクターに立派な人物が揃っている印象があります。主人公もそうですし、シャルロやルーカンなどもそうですよね。

田口 世界観のモチーフである、中世ヨーロッパでは15歳で成人扱いですし、若くしてしっかりとした責任感を持っていてもおかしくない……という設定もあるんです。まぁ、ルーカンはちょっと老成しすぎな気もしますが(笑)。

――ルーカンはいったい何歳なんですか? せっかくなので、オルタンシア王国やカメリア、北方諸国の主要キャラクターについても伺いたいのですが。

 第三部開始時点で、オルタンシア王国では主人公21歳、マリユスとベルナデッタが19歳、デフロット27歳、ノンノリア18歳、モーリス46歳、アーデルハイド32歳、ベルトラン43歳、ギルバード37歳、エメーリエ29歳、ルーカン27歳ですね。

――ルーカンは年齢からすると見た目が若いですね。反対に、ギルバードはもう少し上なのかと思っていました(笑)。それにしても、年齢設定もきちんとされているんですね。

 キャラクターを作る際に、一応全員年齢設定はしているんですよ。続いて北方諸国は、スレヴィ26歳、キュオスティ28歳、クラウス27歳、アーロン24歳、ヴァルム61歳、エドヴァルド45歳です。

田口 クラウスがスレヴィに対して敵愾心をむき出しにしているのは、年下である彼への意地もあるのかもしれません。

 第二部でうやむやのままになってしまっているキュオスティの行方など、皆さんが気になっているところはあると思います。もちろん、彼らの物語についてはあのままでは終わりませんので安心してください。

――こういう設定を見ると、またいろいろな想像ができておもしろいですね。ちなみに、残るカメリアの主要人物は……?

 ロイが29歳、バルカス39歳、ヒルダ24歳です。参謀長であるヒルダの若さが目立ちますが、やはり小さい国ですから、優秀な人物なら若くても抜擢されやすいということがあるのでしょうね。

――主要どころだけでも、これだけたくさんのキャラクターがいる『オルサガ』ですが、皆さんはどんなキャラクターがお気に入りですか?

長山 私はクーですね。本当にいい子だなと。あまりにクーの出番が少ないので、全キャラクターにクーへの言葉を追加したこともあったくらいです(笑)。

 私は3組いて、まずはバルカス。彼は書いていて本当に気持ちのいい、すがすがしい好人物です。それから、ドクトル・グレフとガストン。自分の中で、まさか彼らの存在がこれほど大きなものになるとは思いませんでした。『タイムボカン』の3悪人みたいな感じで、いつまでもしぶとく生き残ってほしいと思っています。フレーゲルもお気に入りのキャラクターですね。英雄的なキャラクターが並ぶ中、すごく人間臭い彼の存在は際立っていますよ。第二部で修行の旅に出てしまいましたが、いい形で復活してほしいと願っています。

菊池 私は、入社してすぐに担当した、思い出のキャラクターであるヴァルナルが大好きです。好きなようにやっていい、と言われて作ったキャラクターで、ものすごくチャラいというか、『オルサガ』の世界観には異質な存在になってしまいました。それでも、「騎士伝の革命だ!」とホメられたりして、いまでも元気がないときには彼のエゴサーチをかけてホメられているのを見て元気をもらっています(笑)。

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▲お気に入りのキャラクターの話を活き活きと語るライター陣。強烈な作品愛が伺えた。

――それでは、最後に第三部での抱負をお願いします。

菊池 騎士伝担当としては、第一部と第二部で張った伏線の回収をしっかりしたいですね。女性ファンの視点から見ると、キャラクター単体の魅力を掘り下げるのもひとつのおもしろさだとは思うのですが、複数のキャラクターの関係性というのがわかると、物語はもっと深く楽しめると考えています。

ですから、騎士伝でも、関連した複数のキャラクターをプレイすることで、ひとつの物語として完結していくような、そんな展開を目指していきたいと思っています。演出面でも、よりわかりやすいものを目指して、さまざまな手法を取り入れていきたいです。

 オルタンシア伝では、第一部、第二部を超える感動をユーザーさんに届けたいと思っています。もちろん、きちんと締切までに原稿を上げられるようにがんばります(笑)。

長山 これまでSRどまりになっているキャラクターに、何とか陽の目を見せてあげたいですね。まだ言えないのですが、密かに新イラストを発注しているキャラクターもいたりします。

中途半端な内容のまま終わってしまっている騎士伝も、きちんと完結させたいですし、新キャラクターも増やしたい。第三部が終わるまでにやりたいことは山積みですが、ひとつひとつ片付けられればいいですね。

田口 『オルサガ』の企画を立ち上げてから、もう3年近く経ちます。最初は第一部だけで構想を練っていたのですが、それがいつの間にか三部構成になり、それも最後まで書ききれる見通しが立ちましたし、何より皆さんにも楽しみにしていただいているのがうれしいですね。

ライターチームも三者三様でいいシナリオが書けているので、第三部の終わらせ方がいいものになるよう、チームとしてがんばりたいと思います。また、第三部以降も『オルサガ』は続くので、どうやって楽しんでもらえるか、いまから考えていきたいと思います。

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オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-

ジャンル
戦記RPG
メーカー
セガゲームス
配信日
配信中
価格
無料(アプリ内課金あり)
対応機種
iOS/Android

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