『Ingress』4台目のXM-Profilerが京都に! 全力で挑む伊藤園の本気と未来を訊く
2016-12-29 15:00 投稿
新たなフェイズに突入する伊藤園と『Ingress』の可能性
『ポケモンGO』の原点でもあるナイアンティック社(以下、NIA)が手掛ける位置情報ゲーム『Ingress』。本作には世界各地を舞台にしたXMアノマリーという大規模なイベントが数多く開催されている。
その国内会場に飲料を提供してくれるのが、日本を代表する飲料メーカーである伊藤園だ。
2015年には飲料販売機ですらない完全『Ingress』仕様のXM-Profilerなる特殊なマシンまで開発。
▼XM-Profilerって?
『Ingress』伊藤園、お茶の出ない例のマシンがついに解禁! 今後の展開も聞いた
このマシンは、ゲーム内でふたつの陣営が奪い合う“ポータル”としての役割を果たすと同時に、その攻防をXM-Profilerから流れる効果音と映像で視覚化。本来AR上に存在するものを伊藤園は現実世界にもたらし、すでに東京はお台場、仙台、大阪と3ヵ所に設置されている。
また、本作に関連する多くのキャンペーンを展開しているのだが、飲料メーカーである伊藤園が『Ingress』とパートナーシップを結び、なぜ飲料を買えない大掛かりなマシンまで開発することになったのか、不思議に思う人もいるだろう。
そこで、そのきっかけから今後の展開まで、マーケティング部の大楽泰督氏にライターの深津庵が直接聞いてきたぞ。
新展開あり!! 4台目の設置は始まりの地と決まっていた
──まず、2016年5月にお台場ヴィーナス・フォートにXM-Profilerが設置された際に伺った話に戻します。あのとき、2015年のXMアノマリー“証人”のサンプリングをフェイズ0とすると、フェイズ1が災害対応自販機のポータル化、フェイズ2ではキャンペンコード付きのお茶を展開、フェイズ3が当マシンの設置だとおっしゃられていました。つまりゴールも目前、これで終わりということなのでしょうか?
大楽泰督氏(以下、大楽) じつはこれで終わりではなく、すでにフェイズ4が動き出しているんです。
──それはずばり!?
大楽 まだ詳細は言えませんが、皆さんに喜んでもらえるものになると確信しています!!
──2015年のXMアノマリー“ペルセポリス”の会場で、4台のXM-Profiler設置(当時はイルミネーション自販機と呼称)を目標にしていることを宣言していましたよね。
大楽 はい、こちらも近々に4台目の設置が予定されています。きっと多くのエージェントが忘れているかと思うのですが、ペルセポリスの会場で東京、宮城、大阪、京都と宣言していたんですよ。
──つまり4台目は京都?
大楽 有言実行、ということで!
──これまでお台場、仙台、大阪3都市に設置されたXM-Profiler。この3ヵ所に決まった経緯を教えてください。
大楽 最初のお台場、東京がいちばんたいへんでしたね。当初は渋谷や新宿なども候補に挙がっていたのですが、いずれも先方の方が『Ingress』を知らないんです。その説明から始めなければならないので、XM-Profilerを提案しても、その存在意義を理解してもらえない。「伊藤園なのに自販機じゃないんだ?」という。
──いまになってみればその存在も理解できますが、エージェントたちも当初はコンセプトに戸惑いましたからね。
大楽 そうですよね、私も先方にそう問われてしまうと返す言葉がなかったんです。そんな中、お台場ヴィーナス・フォートの担当の方は、「XM-Profilerは自販機でもなければ飲料も販売しないけど、新たな集客に繋がる可能性を秘めた新しいビジネスモデルなんです」という私の話に興味を持ってくれたんです。
──お台場ヴィーナス・フォートに設置が決まったのは、同じ年にお台場で開催されたXMアノマリー“イージスノヴァ”ありきだと思ったのですが、これはまさに偶然だったのですか?
大楽 これはまったくの偶然なんですよ。お台場ヴィーナス・フォートに決まった翌日、NIAの村井さん(代表取締役)と、須賀さん(アジア統括マーケティングマネージャー)にお会いする機会があって、そこでご報告したら「じつはつぎのXMアノマリーもそのあたりかもしれません」と告げられ、3人で驚いちゃったくらいなんです。
──それは選ばれたエージェントに見えるというエキゾチックマター(以下、XM)の導きですね。
大楽 そうでしょ、私もこれはXMが強く影響しているんだと感じた瞬間でした。これをきっかけに仙台、大阪、京都に関して直接オファーをいただけるようになったんです。もちろん、もともとはペルセポリスで宣言したエリアなんですが、本当にありがたいことだと感じています。
──あらためて振り返ると大阪以外、すべてXMアノマリーの開催地ですよね。
大楽 我々にとって始まりの地となった京都には設置したかった。そして、仙台はXM-Profiler発表の場であったこと、国内最初の大型XMアノマリー開催地になった東京もその候補に挙がったんです。大阪に関しては、XMアノマリーを含めて大きなイベントが開催されず、首を長くして待っているエージェントが多いことは知っていたので、少しでもその要望に応えたいということから決定しました。
──この4台のXM-Profiler設置でフェイズ3は完結ですか?
大楽 これで完結です。本当にXM-Profilerにはいろいろな想いがありますね。これまでを振り返ったとき、どうして作ったんだろうと考えることがあるんです。過去の私はちょっと尖った企画を立案しても、最終的には角を取ったものに落としこむタイプでした。そんな私を突き動かした背景には、いつもエージェントたちの存在あったと気づいたとき、皆さんが突き動かしてくれたんだという結論にたどり着いたんですよ。
XM-Profilerお披露目イベント in お台場ヴィーナス・フォート
XM-Profiler起動時にのみ表示される伊藤園ロゴ in お台場ヴィーナス・フォート
3台のXM-Profilerを使ったコントロールフィールドは想定外
──大阪に3台目のXM-Profilerが設置されて早々、エンライテンドが3台を結ぶ巨大なコントロールフィールド(以下、CF)を完成させました。いずれ誰かがやっていたと思うのですが、あのタイミングで実行されるとは予想できましたか?
大楽 予想なんてできませんでしたよ。じつは大阪での設営イベント当日、ステージに上がる直前に川島さん(アジア総括本部長)から、「もしもXM-Profilerを結ぶCFができたら、伊藤園さんのサイトに関わったエージェント名を載せましょう」と、無茶振りな提案を冗談交じりにかわしていたんですが、まさかの当日ですからね。
──あの事態をどこで知ったのですか?
大楽 当日のイベント終了後、“ハングアウト”(SNSツール)が立て続けに鳴り出したんです。確認すると、そこには巨大CFを完成させた画像や、「どうだ、やってやったぞ!!」という皆さんからのメッセージがいっぱい。最初の1時間くらいは何の冗談だと思ったのですが、Google+などにも取り上げられているとこを知って、さすがに驚きましたね!!
エージェントに喜んでもらうことを第1に考え歩んだこれまで
──パートナーシップを展開するにあたり、ユーザー第1であり世界観を崩さない。そして、自分自身も『Ingress』を愛し、その魅力をもっと広げていく。この4点を心掛けていることを伺いました。最初のふたつに関してはすでに達成していると感じます。そこで残るふたつについて、大楽さんがどう向き合ってきたのか教えてください。
大楽 『Ingress』を好きになった最大の理由はエージェントです。すべては京都で開催されたXMアノマリー“証人”でサンプリングを行ったとき、エージェントの皆さんが我々にかけてくれた声、ゴミを出さないマナーのよさや熱量に心を打たれました。これは私だけではなく、当日関わったスタッフ全員がそうです。そこまですばらしい皆さんが楽しんでいる『Ingress』をもっと知りたい、いっしょにその時間を共有したいという想いから始まりました。
──レベル16が最大値の『Ingress』には、それ以降何を目的にすればいいのか問われることがありますが、その先にはエージェントどうしの交流あり、それらコミュニティーを楽しむことも続けている原動力だと思います。
大楽 そこは大きいですよね。私も多くのエージェントに同じ質問をしたのですが、その中でも印象的だったのが、「大人になって友だちができた」という言葉でした。
──地域活動が多くなるので、自然と地もとエージェントの輪が広がるんですよね。
大楽 私がエージェントになる前、弊社にも相当なエージェントがいまして、「これはただのゲームじゃないぞ」と力説されたのですが、当時は理解できなかったんです。それがいまではなくてはならない存在であり、人を繋ぐ大切なコミュニケーションツールになっている。「そうか、たしかにただのゲームじゃないぞ」としみじみ感じますね。
──『Ingress』を始めて間もないとき、何をしていいか戸惑いませんでした?
大楽 それはもう戸惑いました。とくに忘れられないのがポータルを攻撃したとき、フォースアンプやターレットによる反撃を受けますよね。どんどん減っていくXMゲージをみながら、「このままでは死んでしまう!」と焦り、全力でその場から逃げた経験があるんです。
──XMゲージが体力ゲージにみえますもんね。
大楽 これ、同じ経験したエージェントはけっこういると思いますよ。XMが尽きたときのノイズもその原因がわからず、しかも何もできないもんだから、最初はビックリしますよね。
──そんな初々しい一面があった大楽さんも、いまでは伊藤園を代表するエージェント。コラボテーマの4つ目、“広げる”立場になったわけですよね。
大楽 マーケティングという立場からいまの立ち位置にいますが、どこまで『Ingress』を広げることができているのか、弊社の災害対応自販機をポータル化した結果、エージェントが増えているのかは正直なところ予想できません。しかし、少なくとも『Ingress』のロゴ、その名前くらいは記憶の片隅に残ってくれていると信じています。
──興味を持ってもらう重要な役割りは果たしてると感じますよ。
大楽 飲料を買えなければ弊社のロゴもないXM-Profilerに関しては、一般の方にも多く興味を持ってもらえているようです。ちなみに、当初は“伊藤園 XM-Profiler”という名前だったんですよ。ただこれも、『Ingress』の世界観に合わせるために弊社の名前を消したんです。
──その徹底ぶりもエージェントから支持されているポイントだと思います。
大楽 開発当初はたいへんなことも多かったのですが、いまとなってはこだわり抜いて本当によかったと実感しています。XM-Profilerは一般の方が見れば大きな音を鳴らしながら、青や緑に光る謎のマシンですが、そのほかに、キャンペーン賞品のQUOカードやパスコードなど、さまざまな切り口で多くの人に知ってもらうチャレンジもみんなで進めてきました。
──うちの両親も『Ingress』という名前は覚えていませんが、伊藤園のお茶にキャンペーンシールが付いていると、「お散歩ゲームのやつだよね」と、持ち帰ってくれるんですよ。
大楽 おぉ、それはうれしい広がりですね。そうやって何気なく触れてもらう中で、「あれはなんだ?」と興味を持ってもらえれば、それは大きな第1歩。そこから第2第3歩と踏み出してもらうチャンスに結び付くと信じています!!
──それでは最後に2017年の展望、チャレンジしてみたいことをぜひ!
大楽 ザワつかせますよ、いまみんなで考えています。
──それ、かなり期待値上がっちゃいますがっ。
大楽 楽しみに待っていてください!!
【余談】大楽さんとスタジオジブリの意外な関係!?
現在、伊藤園のLINE公式アカウントと友だち登録すると、“となりのおにぎり君”というオリジナルキャラクターのLINEスタンプをダウンロードできる。
じつこの発案者があのスタジオジブリの鈴木敏夫氏(以下、鈴木さん)であり、そこに大楽さんが関わっているというウワサを耳にした。
──あのジブリと大楽さんが(疑いの目)!?
大楽 本当ですってば! 鈴木さんは今年28回目になる弊社の“お~いお茶新俳句大賞”で審査員を担当してもらっていまして、長く続く当企画を通じて弊社に感心を持っていただき、何かしたいと鈴木さんご本人から提案があったんです。そこで、「伊藤園と言えばお茶、お茶といえばおにぎりでしょ」という流れからおにぎり君が誕生し、サプライズでいただいちゃったんですよ。
──最高のサプライズですね!
大楽 もともとのお話は1年前、『Ingress』が本格的に動き出したころから始まっているんです。しかも、この件とは別に、NIAのジョン・ハンケ氏(ナイアンティックCEO)と鈴木さんが対談したという話を聞いたときは本当に驚きましたね。
──これもまたXMですね。
大楽 ねっ! ハンケ氏も鈴木さんも個々に弊社が関わっていること、その担当が私だと伝えたらふたりとも驚いちゃって。あ、ちなみに、LINEスタンプのダウンロード可能期間が2017年1月19日までなので、興味のある方はぜひ、活用してもらえるとうれしいですね!!
▼XM-Profilerって?
『Ingress』伊藤園、お茶の出ない例のマシンがついに解禁! 今後の展開も聞いた
P.N.深津庵(撮影協力:あしたづひむ)
※深津庵のTwitterはこちら
Ingress(イングレス)
- ジャンル
- オンライン位置情報ゲーム
- メーカー
- Niantic, Inc.
- 配信日
- 配信中
- 価格
- 無料(ゲーム内課金あり)
- 対応機種
- iOS/Android
- コピーライト
- (C) Niantic, Inc.
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