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Oculus、HTC、ソニー、ハコスコのキーマンが語る、VRが社会に与える影響とは?

2016-05-10 22:29 投稿

VRは社会に変革をもたらすか?

2016年5月10日、グリーが主催するVRコンテンツに関するサミット“Japan VR Summit”が品川にて開催された。

イベント冒頭では、各セッションの開始に先立ち、本公演を主催したグリー株式会社 取締役執行役員の荒木英士氏が登壇。

「VRという技術は、これまでの過去数十年、コンピューターなどが人類を押し進めてきたような技術革新と同じく、VRが我々を一歩先の段階へと進めるものです。そして今年はVR元年と言われているターニングポイントになる年。そんな環境で世の中にVRでインパクトを与えていくには、ビジネスサイドからのアプローチが必要と考え、このような会を開かせていただきました」(荒木氏)と、開会の挨拶を述べた。

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▲グリー株式会社 取締役執行役員 荒木英士氏。

なお、こちらでは同イベントにおけるセッションのひとつ、“VRがもたらす大変革”についてのリポートをまとめていく。

Virtualは偽物ではない

本セッションには、理化学研究所 適応知性研究センターチーム チームリーダーを務め、株式会社ハコスコ代表取締役でもある藤井直敬氏をモデレーターに、Oculus社の池田輝和氏、HTC社のRaymond Pao氏、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの吉田修平氏がパネラーとして登壇した。

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こちらのセッションでは、まず「VRとは何か?」という話から始まり「それぞれが見据える今後の展望」、「各ハードウェアから見る、ほかのハードウェアのメリット」などが語られた。

はじめに”VRとは何か?”というテーマについて語ってくれたのは、モデレーターを務める藤井氏。

藤井氏は「Virtual Realityの“Virtual”を、日本では都合上“仮想”と訳していますが、これはある種の語弊を生む訳」と、VRという言葉だけが先行している昨今における誤りを指摘。

その上で「Virtualという言葉は、“見た目は異なるが、本質は同じである”という状態を表す意味が正しい」と、日本人が持つ“Virtual=偽物”というイメージを訂正するところから話はスタートした。

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▲モデレーターを務めた藤井直敬氏。

VR元年と言われている2016年だが、その歴史は遡ること50年前の1965年に源流があるとされる。藤井氏は、VR元年にいたるまでの変遷を写真とともに紹介していった。

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▲日本のアミューズメント施設への導入や、バーチャルボーイ(任天堂)の登場でヘッドセットが一般化する兆しもあった。だが1990年代にはそのムーブメントも終わりを見せている。
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▲衰退を見せていたVRだが、2012年に転機が訪れる。それがキックスターターでOculus Rift DK1のクラウドファンディングを試みた、パルマー・ラッキー氏(Oculus創業者)の登場である。
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▲ラッキー氏の登場というエポックメイキングを経て、ハイクオリティのヘッドセットが続々と登場することに。写真は今回登壇した三者にちなんだヘッドセットのOculus Rift(Oculus)、HTC Vive(HTC)、プレイステーションVR(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)。

各ハードウェアから見る今後の展望

続いて話にあがったのは”VRの今後の展望”について。

VRの火付け役という印象の深いOculus Rift。Oculusの池田氏は「いま課題としているのはハードウェアを普及させ、VRコンテンツを楽しめる人を増やすことにある」のだという。

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また、普及に当たって大事なことについて、同氏は「VRでどのようなことができるのか?」を知ってもらうことだと言う。

これを解消するため、現在OculusはOculus Storeという専用マーケットを通じて、さまざまなコンテンツのプロモーションを実施。

加えて池田氏は「現状では“VR=エンターテインメント”という色こそ強くなっていますが、実際には教育や観光、不動産といった幅広いジャンルでの可能性を秘めています」と、VRへの多いなる可能性について期待を寄せた。

また、Oculusの親会社でもあるFacebookがF8(Facebook Developer Conference)で発表していたように、”VR空間上でのコミュニケーション”にも力を入れていく可能性を示唆。

Facebookプラットフォーム上で行われるコミュニケーションがVR上で展開され、現実世界における制約(時間や距離など)を打破した新たなコミュニケーションの形が実現するのかもしれない。

だが、こうしたVRの可能性を実現させるためには、デバイスそのもののさらなる進化も求められるはず。

そのひとつの突破口とも言えるのが、すでに発売決定のアナウンスがされている、Oculus Rift対応コントローラー”Oculus Touch”の存在だろう。

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Oculus Touchを使えば、VR空間で物を触ったり、手を使ったアクションができたりといったことが可能となる。

池田氏は「見れるだけじゃない。自分がしたいこと、やりたいことを、手で触って実現させることができるんです。それによってVRの世界は大きく広がることでしょう」と述べた。

そうしたコンテンツ、デバイス面での進化の行く末として、「VRがより身近なものになることで、いまの我々には想像できない使われかたがされて、世界をより便利なものにしていくでしょう」とも語っていた。

続いてHTCのPao氏は「VRは、消費者がもつ想像、ビジョンを現実にオーバーレイさせることで形として実現させられるもの。その今後の市場規模は予測できないほど膨らむ可能性すらある」と言う。

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▲ゴールドマンサックスのリサーチによると、VRの市場規模は110億ドル規模だと予想されている。「スマートフォン、PC、TVとも親和性の高いVRならば、他の市場も内包した巨大な市場になりうる」とPao氏。

Pao氏も池田氏と同じく「いまでこそVRはゲームという分野で強みを見せていますが、VRの可能性はそこだけに留まらないでしょう」と述べ、VRの高いポテンシャルへの期待をあらわにした。

ゲーム以外のジャンルでのVRの活用法について、Pao氏はエンターテインメント、デザインの分野における実例を紹介。

エンターテインメントにおいては、試合会場に行けなくてもフィールドの袖でスポーツ観戦ができたり、映画においても映画館の好きなシートで観れたりなど、今後さらなる発展に期待が寄せられる。

一方のデザイン分野はすでにプロダクトが進みつつあり、3Dデザインを可能にしたアプリケーション『Tilt Brush』(配信元:Google)のほか、Audi、BMWといった車メーカーが、新車のデザインサンプルを実物大でVR、AR上で見せるケースもあるのだという。

IKEAが実際に開始した、VR上で好みの家具を設置して、バーチャル上でキッチンを体験できるサービスなど、家具・家屋におけるデザイン分野でも力を発揮している。

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またPao氏はユーザー目線での今後の展望のほかに、クリエイター目線での持論も展開。

「スマートフォンコンテンツでもそうであったように、新しい技術をベースとする市場では、必ずしも巨人(大企業)が勝利を収めるとは限りません。想像力、スピード、クリエイティビティ、そして技術に対する理解があれば、誰しもが勝者となる可能性を持っているのです」とし、クリエイターにVRへの参加を誘っている。

ソニーの吉田氏は、同社から発売するプレイステーションVRのシステムを例に挙げ、「ひとりだけじゃない、誰かといっしょに楽しめることも大切だと思いながら開発を行っています」という。

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誰かと楽しむための機能として、プレイステーションVRには”ソーシャルスクリーンミラーリングモード”と”ソーシャルスクリーンセパレットモード”といった2種類の画面表示モードを搭載。

通常、奥行きのある3D映像を作り出すために、ヘッドセット内では魚眼のような映像が両眼で差異を持たせて映し出される。だが”ミラーリングモード”では、ヘッドセット内の映像を観やすい状態に変換して、テレビに映し出すことが可能となる。

いっぽうのセパレットモードでは、ヘッドセットを被った人とTVを見ているプレイヤーの人がいっしょにゲームを楽しめるモードなのだという。

吉田氏はセパレットモードの例として、以下のスライド下段にあるゲームについて紹介をした。

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このゲームでは、ヘッドセットを被った人が巨大な怪獣役となり、TVモニターを見ている4人がコントローラーを使って怪獣役の人を倒す模様。まさに”ひとり遊び”の印象が強いVRにおける、みんなで遊ぶためのソリューションと言える。

吉田氏は今後への期待と併せて「VRというコンテンツは、何よりも体験してもらうことが大事です。むしろ、体験してもらわないことには分からないと思います。なので、ユーザーのみなさんには、まず各所で行われている体験会に足を運んで体験をしていただきたいです」と体験の重要さも語ってくれた。

この展望に関しての所見は、細かい差異こそあれど、三者とも「VRは可能性を秘めたものであり、今後の大活躍が予見されるものである」、「また、その活躍はエンターテインメントに限らず、多くの分野で発揮される」という意見で一致したようだ。

それぞれが見る、それぞれの利点

パネルディスカッションの中には、自社のものではないVRヘッドマウントディスプレイを褒めてみようという一幕も。

今回は、Oculusの池田氏がHTC Viveを、HTCのPao氏がプレイステーションVRを、ソニーの吉田氏がOculus Riftをそれぞれ褒めるという流れが採用され、他社製品のすばらしいと思うところについて感想を述べた。

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「まず、世界のどこよりも早く、モダンなコンテンツ作りをするベース(Oculus Rift DK1)を提供したというのがすごいですよね。Oculus Riftがなかったら、プレイステーションVRは社内でもここまで支持されるものにならなかったと思うし、VRそのものが業界全体に訴求する力もここまでなかったと思っています」(吉田氏)

「プレイステーションVRは去年の年末に体験させてもらったけれど、デザインがものすごくカッコイイですよね。プレイ環境を支えるプレイステーション4そのものがスタンダードなハードで、多くのデベロッパーがPS4のパワーも、そこで求められる体験も知っています。そこで生まれるコンテンツは、おそらく高いクオリティで統一されるでしょうし、すごく期待をしています」(Pao氏)

「HTC Viveのすごいところは、やっぱりルームスケールで動き回ってVR体験ができる点ですよね。それと、これは自虐的な話になりますが、オーダーから配送までが非常にスムーズであるのはすごい(笑)。我々はお詫びを申し上げないといけない状態ですから……」(池田氏)

セッションの最後には、「それぞれがVRによってどういった世界を作っていきたいのか?」についても語られた。

これに関してOculusの池田氏は「VRデバイスは、まだまだ敷居の高いハードウェアです。将来的には、ヘッドセットのサイズを眼鏡レベルまでコンパクトで手軽なものにして、万人が持つようなものにしたいですね。そして生活様式のひとつとして溶け込むような世界を作っていきたいと思っています」とコメント。

また、同じ問いに対し「VRとは、皆さんの想像力を現実にする力を持った技術だと思っています。皆さんにはぜひこの技術に参加してほしいです。そして、そこで得た知識を共有して、健全な競争が行われる市場を形成していきたいと思っています」とPao氏。

そして吉田氏は「VR空間を利用すれば、距離や時間、次元すら越えられると思います。VRは、遠く離れたプレイヤーのアバターとコミュニケーションはもちろん、ゲーム内のキャラクターとさえコミュニケーションが取れるものだと考えています。もし、そういう世界が生まれれば、絶対に楽しいですよね」と語ってくれた。

最後に、モデレータとしてセッションに参加した藤井氏は、全体をまとめて以下のように述べている。

「これまでの電子コンテンツでも、時間と空間という制限は壊せませんでした。ですが、その問題はVRによって解決され、より広い表現が可能になるでしょう。そういった変革が感じられるお話をお三方から聞けて、非常におもしろかったです」(藤井氏)

VRが今後世界を変えていくのか? 注目して見ていきたい。

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