安藤ブログ“スマゲ★革命 シーズン2” 第四回 『激熱対談最終章! おもしろさを追求した果てに』

2013-03-28 15:00 投稿

●革新的なものを生むために

 

このシーズン2では、安藤氏のいつものブログ以外にも、安藤氏が個人的に気になる方との対談も掲載。前回に引き続き、今回の対談相手は、『ドラゴンリー グX』の生みの親、アソビズムのチーフクリエイティブオフィサー、森山尋(もりやま ひろし)氏。全3回でお届けしてきた本対談もいよいよ最終回。スマゲ業界のこれからを背負う二人が語る”ゲームのおもしろさ”とは? 対談後半で語られる次世代を担う若手クリエイターたちへのメッセージも必見だ!

【まとめ】スクエニプロデューサー安藤 武博氏のブログ“スマゲ★革命”

 

▲対談ということを忘れ、まじめに話をするふたり。ゲーム業界のこれからを背負うふたりの男の背中は大きく見える。

 

 

安藤 アソビズムさんの、そして森山さんの「唯一無二のものを作り続けていかないと、おれたち死んじゃうかも」みたいな考えはスゴイですよね。でも、その考えをチーム全体というか、複数人に伝えて徹底させるのは難しいと思うのですが、どうやって意識の統一を図っているのでしょうか? アソビズムには、ゲーム作りとはそういうものだという、イズムや精神がもともとある人が集まっているのでしょうか?

森山 そんなカッコイイことはないですよ。やっぱり、色々な人がいます。”趣味と仕事のバランスをとりながら働いてる人”もいれば、”ちゃんと給料がもらえればそれでいい”というタイプの人もいるし、”プロとしてゲーム作りに没頭する人”もいますよ。ふつうの、健全なゲーム会社と同じです。ただ、みんな個性というか、クセが強い(笑)。それなのに、バランスだけはいい、バランスだけは(笑)。

安藤 僕たちは「つまらなかったら作り直す」というゲームの作り方が至極当たり前になってしまっています。というか、これ以外のやり方を知らないだけだけど(笑)。やっぱり、この作り方しかないんでしょうか? 任天堂さんもそうだという話を聞きますし。

森山 僕は任天堂さんと長くお仕事していましたけど、そんな感じでしたね。任天堂さんは、ホント超絶な体力があるじゃないですか? なので、おもしろくなるまで延々に研究開発してますよね。大変だけど、ユーザーのことを考えたら、このシステムが一番なんですよね。

安藤 逆説的に言うと、そのくらいしつこく研究開発をしていかないと、本当におもしろいものや革命的なものは生まれませんよね。

森山 あらゆる可能性を試して、モックを作ってダメだったら捨てる、よかったら続けるということをくり返すしかないですよ。

安藤 ただ、仰るとおりこれをやるにはスゴク体力がいるんですよね。作り手側も会社としても。だからこそ、今このブームに乗ってたくさん儲けたSAPさんには“投資の方法や新しい儲けかたを考えるのではなく、儲からない可能性もあるけど、あみ出したら圧倒的なものになる。という前提で、ひたすらおもしろいことを考えるための予算を作ればいいのに”とホントに思います。そういうことをしないと、新しいものはなかなか出てきませんよね。

森山 でも、これはソーシャルゲーム業界だけの話ではないですよね。コンシューマー業界も、いまだに『マリオ』シリーズ、『ポケットモンスター』シリーズがいちばん売れているじゃないですか? つまりこれは、僕を含めた今のクリエイターたちが、新しいゲームを作れていないということですからね。その現実を目の前に突き付けられているわけですよ。ユーザーのみなさんから「いまだに『マリオ』がいちばんおもしろい」という現実を突き付けられているこの現状って、ヤバイですよね? だからといって、それらを超えられるものは簡単に作れないんですけど。でも、そんな中、『パズドラ』は久々にそれらと同じ土俵に立てたゲームと言えますよね。僕たちも同じスマートフォンゲームのひとつではあるけれど、あまりにスゴすぎて、同じ業界の話とは思えないくらい。正直悔しいですよね、これは。

安藤 去年の12月にガンホーの山本(大介)さんが仰っていましたが、その当時登録者人数が500万人で、月間のアクティブユーザーが450万人だったらしいんですよ。この450万という数字は、久しぶりに聞きますよね。そう、パッケージゲームの大ヒット作品の数なんです。いちばん売れた『ドラクエ』シリーズ作品が約400万本(※注1)、『Newスーパーマリオブラザーズ』が約640万本(※注2)、PSP(プレイステーション・ポータブル)の『モンスターハンターポータブル 3rd』が約480万本(※注3)ですから、単純比較はできませんが、数的にはいよいよその桁まできたわけです。しかも今は、登録者数が1000万人(※注4)までいったみたいですからね。

(注1~3):ゲームの累計販売本数は、3月27日時点のエンターブレイン調べに基づいた数値で記載させていただいております。
(注4):インタビューは2013年1月31日に実施されており、『パズドラ』はすでに1000万DLを突破しております。

森山 僕は、数字とかを見てもなかなかリアリティーがないんですけど。でも、ゲームをまったく知らない僕の友だちが「パズドラって知ってるか?」ってオススメしてくるくらいですからね。パズルもやらないし、とにかく本当にゲームをやらないような人までもが「みんなやってるから」という理由で『パズドラ』を知っていて、しかも遊んでオススメしてくるって、スゴイことですよ。「みんなやってるから」という言葉は、ホントに憧れの言葉ですね。

安藤 アクティブ数がこれだけ多いと、やはり世の中の認知度もそれだけ高くなりますよね。

森山 なんか、(野球選手の)イチローを見るような感じに近いですね。羨ましくて憧れるけど、ムカつくんですよね(笑)

安藤 わかります(笑)。クリエイターとしての率直な感情ですよね。祝福と嫉妬が混じった複雑な感情。これは最大の賛辞でもあります。

森山 でも、あれは山本さんだからこそ作れたタイトルだったと思うので、素直にスゴイと思います。ああいうゲームがこれからも出ていかないと、正直終わってしまいますよね。ゲームは飽きとの戦いですから、どんどん新しい体験を提供し続けないと本当に終わってしまう。だから、他社さんが新しくておもしろいゲームを出してもうれしいですよね。まだゲームは終わらないんだと思えますから。

安藤 森山さんがこれからも作っていくであろう、「これはドコから出てきたんだ?」と思えるまったく新しいものを、業界全体で作っていかないといけないんだと感じます。あと、複数のジャンルや遊びを化学反応させる、マリアージュというやり方にも、いろいろなヒントが含まれていると思うので、そこも開拓していきたいです。とくに、ゲームは技術とお友だちなので、古いものはダメなものという風潮がありますよね。プレイステーションが出てきた時代、『FF VII』が大センセーションを起こしてコンピューターグラフィックスがポリゴンの時代に突入したのと同時に、ゲーム業界全体でドット絵を作る人、ドッターの必要性がいきなり下がったり、お払い箱になったりしたこともありました。でも、僕はそれは違うと思います。たとえば絵に関して言えば、油彩でも水彩でも絵としていいものはいいと評価がされます。「いい画材や技法が生まれたから、これを使わないと消されるよ」なんてことはないじゃないですか? だから、今あるジャンルとの融合というほかに、新旧の組み合わせでも新しいものは作れます。さまざまな技術がこなれてきた今だからこそ、強くそう思います。

森山 今は技術の新旧ではなく、どの技術を選択するかという時代になっていますからね。

安藤 そうなんですよ。なので、あえてドット絵を使って、プレイヤーの想像力に委ねるとか、そういう手法もアリだと思うんですよ。

森山 ユーザーの想像力はスゴイですからね。昔のドットの粗いRPGで、女の子が花を目の前に「なんてきれいな花なんでしょう」と発言をしたら、ユーザーは頭の中でものすごいイメージを膨らませるという時代がありましたもんね。8×8のドットでも、イメージによる補完で楽しめていたんですよ。だけど、今はすさまじい解像度で花を描いていて、ユーザーがイメージを膨らませる機会を奪っている気がしないでもない。しかも、その花自体はどれだけ美しくても、ゲームのおもしろさにはまったく関係なかったりするじゃないですか?

安藤 そのとおりだと思います。なんでもないドット絵やコメントのひとつから、行間を読んでいろいろ想像ができたり、そこにプレイヤーがツッコミを入れておもしろさを感じるという楽しさがありましたね。『ドラクエ』には「へんじがない ただのしかばねのようだ」という歴史的名言がありますけど、これはまさしくそれ。「“ただのしかばね”ってなんだ?」とツッコミを入れてみたり、「こんなところまで人が来ていたのか」と想像したり。『ドラクエV』で主人公の結婚相手を選ぶ場面があるじゃないですか? 夜中ベランダで幼馴染のビアンカに「フローラにしなよ」と言われ、そんなことできるかよお!と”童貞男子はビアンカ一択”なわけです。女子プレイヤーはその点クールなので、しょこたんみたいに”イオナズン覚えるしフローラ一択”なわけです。あそこで、フローラの父親のルドマンに求婚できるのも、まさしくゲームの楽しさのひとつですよね。もちろん「そ それはいかん!」と断られますし、誰を選んでも結局、天空の楯と船はもらえるわけです。でも、ああいう、ゲームの攻略や分岐フラグにはまったく関係がないところにこそ、ネタを仕込んでくるのはスゴイですよね。これこそゲームの醍醐味のひとつですし、堀井雄二さん(※注5)の真骨頂ですよね。『ドラゴンリーグX』も、それと似たような感じで、いたる所に仕掛けられたツッコミどころがありますよね。ダジャレが多かったり、起動画面にあの妙にリアルなヌボボのCGが出てきたり。もうとにかくいろいろなところに。あれもやっぱり意識して作られたんですか?

森山 そういうゆるい感じのものが好きなので入れたという感じですね。『FF』シリーズを作っている方たちのように、カッコイイとかドラマチックとか、そういうのに僕たちが長けていれば、そういうものを作っていたと思うのですが、アソビズムはそういうメンバーが揃っているわけではないので、どうしてもギャグとかゆるいのが欲しくなっちゃうんですよね(笑)。なので、意識しているとかではなく、ウチのメンバーの空気がそのままゲームに出ているといったほうが近いですね。召喚神殿の演出に関しても、最初は、召喚獣が出てくるときのセリフを若手が無理してカッコイイセリフを付けていたりしたんですよ。でも、カッコイイセリフをひとつ作るのにも、”カッコよさ”をどう伝えるかというセンスが必要なわけで、どこにでもありそうなカッコイイ文章をただ書いても受け手の心に響かないし、しょうがないんですよね。恋愛と同じですよ(笑) そういったことを細かく伝えて「じゃあカッコよくないお前には何ができるんだ?」、「お前がミノタウロスだったら、どんなセリフを言うのか?」と1ヵ月くらい悶々と悩ませて、今のセリフに至ったんですよ(笑)。ちなみに、さんざん悩ませた結果、そのミノタウロスのセリフは「4番 サード ミノタウロス」というものになりました。いいんですよコレで(笑)アソビズムらしくて。

(注5):堀井雄二氏…ゲームデザイナー。『ドラゴンクエスト』シリーズの生みの親。

▲こちらが噂のミノタウロスのイラスト。こんなイカつい表情で、「4番 サード ミノタウロス」と言わて、笑うなという方が無理な話だ。

 

●ゲームに作り手の個性を出す

森山 やっぱり、ゲームは手作りですからね。僕はそこに作り手のにおいだったり、 個性が欲しいんですよね。そうすることで、ゲーム作りのおもしろさや責任感が味わえますから。

安藤 そういう色とかがないと、ゲームづくりもゲームもおもしろくないですもんね。やっぱり、そういうところがあるから『ドラクエ』に感じるおもしろさと、森山さんの『ドラゴンリーグX』に感じるおもしろさに、そこはかとなく共通する部分を感じるんだと思います。

森山 やっぱり『ドラクエ』に影響を受けている部分もあります。無意識のうちに出てしまいますよね。

安藤 改めて堀井(雄二)さんはスゴイですよね。なんであんなことができるんだろう?

森山 “ぱふぱふ”とかスゴイですよね! あれを自分が作っているゲームに実装させるかどうかって話になったとき、その決断をするのってけっこう勇気いりますよね(笑)。

安藤 僕が好きなのはロトの3部作に出てくる、詩人ガライのエピソード。『ドラクエIII』は初代『ドラクエ』よりも昔の話ですが、ガライは『ドラクエIII』でプレイヤーに「竪琴を忘れてきてしまったから、取りに行ってくれ」みたいなことを言ってくるんですね。そこでまず「自分の商売道具を忘れるヤツがあるかよ」みたいなツッコミどころがあって。で、時代背景的に未来にあたる初代『ドラクエ』には“ガライの墓”というものすごい広大なダンジョンが出てきますが、「あのドジなガライがどうやってこんな大きなお墓を立ててもらえるまでになったんだろう?」といろいろ想像したうえにツッコミができる(笑)。この話が個人的にはなにより印象深いですね。

森山 そういうぶっ飛んだ設定は僕も好きですよ。でも、そういうぶっ飛んだ設定も、おもしろければそれでいいんです。いまあるSAPさんって、ゲームの設定をすごい細かく練りますよね。でも、ウチは一切考えていません。大事なのはゲームのおもしろさに寄与しているかどうか。設定や世界観が本当に必要で、それがあったらスゴイおもしろくなるということだったら用意しますけど、もし必要がないんだったら用意する意味はないですよね。

安藤 それはそうですね。まず、ゲームでアクションを起こすこと自体がおもしろくないと、その時点で飽きられてしまいますからね。設定や物語性を強めるのは、その土台がしっかりしてからの話だと思います。

 

 

●ゲーム作りの秘訣は、会議をしないこと!?

安藤 森山さんは、どうやってゲーム作りをしてます?

森山 僕は、会社の近くの喫茶店で、タバコとコーヒーを飲みながらもらった企画書をバーッと読んで、そこで半日くらいひたすら議論って感じですね。ゲームをたくさん作っていると、パッとアイデアが浮かんだ瞬間に胸がスッキリして、これまで断片的に思い浮かんでいたものたちがパパパッと一気に繋がったりするじゃないですか? あの感覚がくるまで、ひたすら話す! で、繋がったら次の日すぐにそれを試して、何かあったらまた議論をしてのくり返しですね。

安藤 でも、半日話したら繋がるってスゴイですね。繋がらない日もありませんか?

森山 わりと繋がりますよ。いちばん最初に作るプロジェクトの骨子とかは、1日話してても無理ですけど。そこについては1ヵ月くらいかけますが、始まっちゃってポイントポイントでアイデアが出始めたら、もうみんなで死ぬほどタバコ吸って、胃がおかしくなるくらいコーヒー飲んで、それでひたすら話し合えばほとんど繋がりますよ(笑)。なので、うちはほとんど喫茶店で話し合いますね。会議室でやっちゃうと若手の子たちが仕事モードに入っちゃって、無駄にカッコイイこと言おうみたいな雰囲気が出ちゃうんですよね。

安藤 あぁ、わかります、わかります。僕も会議室でいい結果が出た記憶ってあんまりないですね。だから、企画会議はほとんどせずに、製作会社に向かう電車の中とか、歩いているときに話をして、なにかが繋がるということが多いです。そうすると、会議の手間も時間も省けるし。やっぱり身体が動いていると脳も動くんですかね(笑)?

森山 やっぱり若手って、ゲーム作りが仕事になっていて”ちゃんとしたことを言おう”ってなっちゃうんですよね。ゲーム作りって、ちゃんとしたことを言っちゃいけないのに(笑)。

安藤 召喚嬢というネーミングも、おおよそ会議室で生まれるような名前ではありませんよね。もし出るとしたら、もう何時間も会議室に閉じ込められて「めっちゃ眠たい」、「めっちゃ帰りたい」となって、朦朧としながら「もはや、ダジャレしかない」という状態にならないと出ませんよ(笑)。でもね、ダジャレは意外とまとまらない話をまとめますよね。下手にこねくり回すよりも、お客様に届きやすいような気がします。

森山 やっぱり、会議室じゃない場所で多少リラックスしながら話し合って、そこで出た話の内容のほうが、ユーザーにも伝わりやすかったりしますね。会議室で論理立てて出された話をゲームにしてみても、一切おもしろくないですよ。やっぱり論理的でないもののほうが、絶対におもしろいし、話をしててもおもしろい。

安藤 いや、それは聞けば聞くほど納得します。大ヒットした『Wii Fit』なんて、絶対会議室で出る話ではないですもんね。あれは風呂場で毎日体重を量っていたら「これゲームにしたらおもしろいな」と感じて生まれたものだと思いますし。

 

 

●ゲーム作りに理屈を持ち込む若手クリエイターに喝!

森山 理屈で固めて作られたゲームは、ある程度のおもしろさにしかなりませんよね。ウチの若手の中にもいるのですが理屈でユーザーをコントロールしようとするんですよ。「ココをこうするとユーザーはこう動くから、こういうアイテムが欲しくなって、こうなります」って。もうね、それで毎回叱り飛ばすんですよ。「ユーザーはおもしろいからゲームをやるのであって、パラメータとかアイテムが欲しいからゲームをやるんじゃない。ユーザーをコントロールしようとするんじゃないよ!」と。理屈で作られたゲームは、どうしてもユーザーに”やらされてる感”を与えてしまうんですよ。僕たちは、ユーザーにサプライズを与えなくちゃいけないのに。

安藤 お客様とかプレイヤーは受け手の側だから、ジャンル分けをしたり、区別をしてこれはこういうものだと落ち着きたいし、そういうものだと思います。一方で僕たちは作り手だから、最初からそういった枠組みにカッチリはまるようなものを作ってしまうと、すぐにお客様に整頓されて「これはこういうものだ」というレッテルを張られてしまうんですよね。でも、区別しやすいものは理解しやすいものなので、飽きられやすい、もしくは引っかからずに流されてしまう。と言うことでもあるんです。だから、僕たちはその整頓用の枠組みをぶっ飛ばすくらいのものを作らないと、お客様にはビックリしていただけない。それこそ、最初は嫌悪感や異物感を覚えるくらいの驚きを与えるくらいの意気込みじゃないとダメですよね。

森山 つねにユーザーを驚かせられるものを用意しておかないと、つまらないですよね。失敗してもいいから、とにかく全力でバットを振れと。その結果三振してもいいけど、当たればホームランが出るんだから。三振でも、三振なりのエンターテイメントで驚きや感動、楽しさを伝えられる可能性だってあるし。

安藤 客の呼べる三振というのはあります。全盛期の長嶋茂雄のようにヘルメットがポーンと上に飛んでいくくらいの気持ちのいい空振り。逆に言えば、みんながドン引きするくらいのスイングをしないと、当たってもバックスクリーンや場外までは届きません。

森山 イベントも同じで、本来「どうしてもこのイベントがやりたいんです!」という人がいて、はじめてイベントが成り立つはず。予定調和で適当にやっていたのでは、絶対にダメなんですよ。まあ、そのせいでウチはイベントひとつ作るのに、アプリ1個作るのと同じくらいのお金と時間がかかっちゃってるんですけど。面白くなりそうにならなかったら「面白くなるまで延々に作ってろ!」と、そういう”ゆとり教育”を実践しています(笑)。

安藤 でも、「おもしろくなるまで延々作ってろ」と言われて延々作っていると、呪いというか自己暗示というか、そういうゾーンに入って、おもしろいものが作れたりするんですよね。

森山 こうしないと、ゲームをおもしろく作れる人が育ちませんよね。「あのゲームのコレと、このゲームのがソレがいいから、コレとソレのいいとこを取ってなんか作ろう」なんてやっていても、何の意味もない。

安藤 100%当たるというものなんて決してないのだから、とにかく一心にひたむきに突っ込んでいくしかありませんよね。目先のこととかビジネスの側面を考えると、なかなか難しかったりしますけど。

森山 そうですね。なのでウチのやり方は厳しいとは思います。でも、それでみんなが信頼を寄せてくれているので、僕は悔いなくやるしかないですよ。悔いなくやって、全力でやって、それでつまらないとか売れないとか、それでチームや会社が解散するんだったら、僕はそこまでの人間だったということで、しょうがないかなと思えますよね。もちろん潰す気は一切ないし、いつでも勝つつもりでやっていますが。とにかく、僕は勝負をし続けるしかありません。これからも全力で勝負をしていきます。

 

 

●おもしろさを徹底的に追及!

安藤 今日は、アツイ話を聞かせていただきありがとうございました。あと、昔のゲームの話ができて楽しかったです(笑)。それと、こうやって話をしていて、ぜひ森山さんの『ドラゴンリーグX』とウチの『拡散性ミリオンアーサー』でコラボをしてみたいなと思ったのですが、いかがでしょう? 例えば『拡散性ミリオンアーサー』は、割となんでも“萌え”や“美少女”にしてしまうんですけど、『ドラゴンリーグX』に出てくる“ヌボボ”を、めっちゃ美少女にして“ヌボ子”として出してみるとか(笑)。

森山 “ヌボ子”いいですね(笑)。“ヌボボ”は、ウチの永遠の“非公式”マスコットキャラクターなので、その新しい解釈というかイメージを見てみたい気がします(笑)。

安藤 それも含めて、また何かおもしろいことを思いついたら一緒にやりましょう!

森山 ぜひぜひ! ウチはなんも数字に反映しなくてもいいですよ。おもしろければそれでいい。僕たちとユーザーが楽しくて笑えたらそれでいいです。ウチのスタッフが喜ぶのは、ユーザーから「おもしろい」というメールが来たときだけですから。これは本当に。

安藤 そうですね。儲かるかどうかを度外視して、おもしろいかどうかという点に徹底的にこだわってゲームを作りたいですね。

森山 くだらないことに全力でこだわりたいです!

安藤 わかりました、そのときにはぜひともよろしくお願いします。今日はありがとうございました!

 

全3回の対談を通じて、読者の方々にもお二人のゲームに対する”熱量”を感じていただけただろう。この”スマゲ★革命”では、安藤氏のブログはもちろん、今後もさまざまな著名人の方々との対談企画を実施していくので乞うご期待! また、今回の対談を通じてアソビズムという会社に興味を持った人がいたら、ぜひ一度公式ホームページを訪問してもらいたい。森山氏が話していた”おもしろい”を追求する人たちの、生の声を聞くことができるぞ。

アソビズムの公式ホームページはこちらから

 

■著者紹介

安藤武博(あんどう たけひろ)
スクウェア・エニックス 特モバイル二部 ジェネラル・マネージャー兼プロデューサー。ゲームプロデューサーにして、同社のスマートフォンアプリ制作の中核を担う人物。早くからスマートフォン事業に携わってきたことから、アプリに対してはすでに確固たる理論を構築している。それでいて、つねに新たなステージへのチャレンジを忘れないスマートフォン業界の革命児。

 

 

【まとめ】スクエニプロデューサー安藤武博氏のブログ“スマゲ★革命”

 

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アソビズム
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