【注目アプリレビュー】ここで会ったが10年目、『メタルスラッグ2』レビューと思い出話

2013-02-19 14:41 投稿

●『メタルスラッグ』は『メタルスラッグ』だから最高なのである

長いことゲームを遊んでいる人であれば、忘れらないゲームソフトというものが少なからずあるはずだ。単純におもしろかったものはもちろんのこと、女の子にフラれた日に泣きながら遊んだ『真・三國無双3』とか、部室に置いてあった『マリオカート64』とか、アクションゲームを期待して買ったら予想外にRPG色が強かった『キョンシーズ2』とか、人生と深く関わっているが故に忘れられないソフトも多いと思う。先日iOS、Androidアプリ向けに配信開始された『メタルスラッグ2』は、筆者にとってまさにそんなタイトルである。

『メタルスラッグ』シリーズについては、改めて説明するまでもないだろう。誰が遊んだって楽しいこと間違いなしの傑作2D横スクロールアクションである本シリーズについて、「ショットとボム、そしてメタルスラッグを駆使して~」なんて杓子定規なゲーム紹介を行うことは、波動拳コマンドを「レバーを真下、斜め下、横に動かしてからパンチボタン」と説明するくらい野暮なことだと思う。『メタルスラッグ』は『メタルスラッグ』だから最高なのである。そして、『メタルスラッグ2』はそんな最高なシリーズの2作目であるから、当然最高なのである! 話は以上だ!

強気に書いてみたが、『メタルスラッグ』を知らない人がいたらかなり申し訳ないので、そのような人は過去にファミ通Appで掲載した、シリーズ1作目のレビュー記事をチェックしてほしい。基本ルールはもちろんのこと、ゲームを円滑に進めるためのテクニックも紹介してあったりで、タメになること間違いなしです。

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さて、ゲーム紹介は“完璧”にこなしたので、ここからは筆者の『メタルスラッグ2』メモリーを遠慮なくお届けしようと思う。「そんな話には興味ない」という人は、下のボタンからダウンロードページにアクセスして、最高な『メタルスラッグ2』をいますぐダウンロード購入してほしい。移植のクオリティーに関しては『1』同様にまったく問題ないものとなっているので、心配はご無用。思う存分ヘビーマシンガンを撃ちまくって、捕虜を解放しまくってもらいたい。

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●孤独な海外留学、最初に心を許したのはメガネっ子のフィオ

筆者は大学時代、アメリカの片田舎へ半年ほど留学したことがある。べつに自分から望んだのではなく、所属していた学部のプログラムの一貫として、半ば強制的に学部ごとアメリカへ連れていかれたのだ。200名以上の日本人が揃って海外へ行くことが、果たして留学と言えるかどうかは定かではないが、異国に住む不安を解消するという点においては効果があったと思う。しかし、入学以来バイトに明け暮れ、サークルにも入っていなかった筆者は、留学の時点で友だちがゼロ。知り合いでもない日本人大学生(みんな初海外生活でテンション高め)に囲まれて過ごす異国というのは、ある意味で単独渡航よりも遥かにハードモードであった。

そんな“異国&みそっかす”という孤独マシマシな生活がしばらく続いたある日、筆者は大学構内に小さなゲームセンターが設けられていることに気づいた。日本でゲーム漬けな毎日を送っていた筆者は、久々に触れる電子の瞬きに誘われるように、ふらふらと中へ。しかし、置いてあったのはどれも馴染みがない海外タイトルばかり。それはそれで新しい経験だし決して悪くはなかったのだが、孤独マシマシな筆者が求めていたのは、慣れ親しんだ日本のゲームだったのである。諦めかけて帰ろうとしたとき、ゲームセンター入り口の真横、つまり入場時にはちょうど死角になっていた場所に、真っ黒なアップライト筐体が置かれているのを発見した。一瞬胸が高鳴ったが、よくよく見ればレバーがアメリカ仕様の“きりたんぽ”スタイル。「やっぱり日本のゲームはないか」と落胆したが、念のため画面を覗き込んでみると、そこには見慣れたドット絵のゲームが。『メタルスラッグ2』だった。

▲フィオは俺の嫁。

授業が終わると一目散にゲームセンターへ駆け込み、『メタルスラッグ2』の筐体に25セントをインサート。あの出会い以来、これが筆者の日課になっていた。ちなみに本作では、『1』の主人公“マルコ”と“ターマ”のふたりに、元スゴ腕エージェントの“エリ”、由緒正しき軍人一家のお嬢様“フィオ”を加えた計4人がプレイヤーキャラクターとして登場する。性能差はとくにないので、その日の気分によって使うキャラクターを変えるのが正しいと思うのだが、筆者は常にフィオ一択。理由はシンプルで、超好みだったから。だって、メガネっ子が銃を振り回して、さらにメカを乗り回すなんて最高じゃないか! 近ごろは、美少女が戦車を乗り回す『ガールズ&パンツァー』という作品が話題だが、『メタルスラッグ2』はその遥か以前にミリタリー萌えを描いていたのである! 文化的な側面から見ても、同作はじつに偉大な作品であったと改めて感心する次第だ。

●越えられなかったミッション5の壁

『メタルスラッグ2』は、筆者の孤独な留学生活にひとつの目標を与えてくれた。「帰国までにワンコインクリアーをしてやる」である。おまえは一体何のためにアメリカまで来たんだ、というセルフつっこみを禁じ得ない愚かな目標だ。しかし、この愚かさがあったからこそ、筆者はいまのような仕事にありつけているのかもしれない。そういった意味でも同作はじつに偉大な作品であ(以下略)。

とにかく目標は決まった。『メタルスラッグ』シリーズは高難度で知られているが、決して理不尽な難しさというわけではない。たとえば『メタルスラッグ2』だと、多くのプレイヤーがミッション4のボス戦で一度は悶絶するはずだ。巨大戦艦が放つ、ゆっくりとした放物線を描く弾&巨大砲弾のコンビネーション攻撃は、開発者の「殺ったるで!」という意気込みに満ちていてじつに腹立たしい(褒めてます)。しかし、巨大砲弾の攻撃判定が案外小さいことに気がつくと、戦いはグッと楽になる。無駄に動かず、発射口の真下近くにいればノーミスでのクリアーも難しくないだろう。一見すると回避不可に思えるシーンにも、ちゃんと攻略パターンは存在する。良質なアクションゲームでは当たり前のことだが、『メタルスラッグ』の場合は敵の攻撃がとにかく猛烈なので、うまく攻略できたときの“俺スゴい感”もひとしおだ。

▲開発者の殺気たるやすさまじいが、それでもどこかに抜け道がある。と思う。

最初は5分も持たずに25セントを消化していた筆者だが、放課後の猛特訓によってその時間は徐々に伸びていった。やがてミッション4も楽々クリアーできるようなり、目標達成も現実味を帯びてくる。しかし話はそんなに甘くなかった。ミッション5からの難度は文字通り別次元で、前言をいきなり撤回するが、攻略パターンなんてとても見える気がしない。けっきょく、ワンコインクリアーどころか、ミッション5すらクリアーできないまま、帰国の日を迎えてしまった。

●アプリ版で、10年越しの目標達成を!

帰国後も『メタルスラッグ2』はもちろん遊んでいたが、やはり留学中ほどの情熱を持つことはできなかった。やがて筆者にも友人ができ、また新たなゲームと接するうちに『メタルスラッグ2』への思いは徐々に薄れ、帰国から2ヵ月も経ったころにはまったく遊ばなくなる。というか、正直存在を忘れた。

そして今回のスマホアプリ版である。10年前の留学を懐かしむような気持ちで遊んでみたのだが、ミッション1でゲームオーバーになった瞬間、若き日の情熱が蘇ってきた。アプリ版では、ミッションモードで特定のミッションからプレイすることができる。しかもスマホだからよりどこでも手軽に遊べるし、何よりもプレイするたびに25セントを支払う必要がない(PSPの『メタルスラッグコンプリート』があるだろ、という野暮なツッコミはなしだ!)。つまり、より濃密な特訓が可能になったというわけだ。これであれば、当時は不可能に感じられたミッション5、そしてファイナルミッションの攻略パターンも見つけることができるかもしれない。そんなわけで、10年越しの目標達成のため、今日も筆者は通勤中に出撃し続けるのである。

▲顔を洗って待ってろよ! ミッション5!

メタルスラッグ2

メーカー
SNKプレイモア
配信日
配信中
価格
350円[税込]
対応機種
iPhone, iPod touch および iPad 互換 iOS4.0 以降/Android2.3 以上
備考
※「メタルスラッグ」は株式会社SNKプレイモアの登録商標です。 ※”METAL SLUG” is a registered trademark of SNK PLAYMORE CORPORATION. ※その他、記載されている会社名・商品名は、各社の商標または登録商標です。

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