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【海外メーカーインタビュー第4回】超ジャパンなイギリス生まれのアドベンチャー『TENGAMI』

2012-11-02 18:12 投稿

●感動すら覚える圧倒的な世界観に注目
東京ゲームショウ2012で催されたインディーズゲームの祭典、”センス・オブ・ワンダーナイト”。そのノミネート作品であるiPad向けアプリ『TENGAMI』。美しくも情緒豊かな日本の風景を表現した本作には、飛び出す絵本のような仕掛けが幾重にも施されている。なぜこのような作品が生まれたのか、イギリスにある開発元nyamyamに話を聞いた。

nyamyam
ゲームクリエイター
フィル・トセル 氏、ジェニファー・シュナイダー・ライト 氏、東江亮 氏、東江理子 氏(※写真左から)

――まず、『TENGAMI』とは、どういうゲームなんでしょうか?

東江 ゆったりしたペースで進むアドベンチャーです。飛び出す絵本みたいな感覚でページをめくると世界が広がり、そのなかで何か仕掛けを見つけると先に進めるように作っています。


――映像を見させていただきましたが、すごいジャパンだなと思って(笑)。絶対に日本びいきだなと思いました。

フィル ゲームとかマンガとかアニメとかから日本を好きになったのですが、年齢を重ねていくにつれて伝統的な文化に興味を持つようになって、最近では合気道もやるようになりました。黒帯も持ってます(笑)。

――日本人より日本人ですね(笑)。

ジェニファー 私も侍とか忍者が好きで、『侍道』や『忍道』を作りたくて、そのためにアクワイアに勤めていました。nyamyamの最初のタイトルのテーマを日本にしようというは、始めから決めていましたね。

――なるほど。会社名もちょっと変わっていますよね。どういう由来があるんですか?

ジェニファー 日本語って、ピカピカとかキラキラというような同じ言葉を繋げたときに響きがいいものがあると思うんですが、そういった響きがいいものを選びたい思ってnyamyamにしました。英語ではおいしいをYummyと言うですが、そういったニュアンスで作りましたね。

――『TENGAMI』というタイトルの由来は?

ジェニファー 『TENGAMI』という響きも海外ではクールだと言われていて、響きがいいというのと感性で決めています。

――4人が知り合われたきっかけは何だったんですか?

東江 もともとは、『キネクトスポーツ』などを作っていたイギリスのレア(※)に勤めていたときの同僚なんですよ。新規会社を立ち上げたのは、ちょっとやらかしたなという感じですね(笑)。

※レア(Rare):イギリスの家庭用ゲームメーカー。Xbox 360の『キネクトスポーツ』や『あつまれ!ピニャータ』など、多数の人気ゲームを開発。

――(笑)。プログラマーをしているのは東江さんなんでしょうか?

東江 nyamyamでは、全員ゲームクリエイターにカテゴライズされています。自分たちの範疇を超えてアート、プログラム、デザインに関しても意見を出し合えるような形にするためです。一応、プログラムをしているのがフィル、デザインやストーリーを考えているのがジェニファー、僕と彼女でアートを担当しています。

――バーチャルパットのようなコントローラーが見当たりませんが、操作性はどのようになるのでしょうか?

フィル iPad向けに作るということで、バーチャルパッドにしてしまうと古い感じがしてしまい、わざわざ作る必要がないなと思いました。よくあるゲームだとコントローラーでキャラクターを動かしていきますが、それとは逆の発想で、背景や世界に触ってもらうことで、キャラクターを動かしていくようにしました。ゲームをやって頂けるとわかりますが、シンプルに動かせるようにしています。

▲画面中央のサムライが主人公。画面を指でなぞるとサムライが移動する。中央に流れる川の段差部分をフリックすると仕掛け絵本のように橋が飛び出し……。

▲対岸への橋が架かると、さきに進めるようになる。

――飛び出す絵本というコンセプトは初めからあったのでしょうか?

フィル youtubeでポップアップのアニメーションを見たときに、子どものころに好きだったのを思い出したのがきっかけです。飛び出す絵本は業界的にはまだないので、どうせなら見たことがないものを作ろうと思いました。

――仕掛け絵本の部分は驚くほど精密ですね。

ジェニファー 建物は製図を起こして寸法を取って造っています。よく海外の人たちが日本のものを作っていたときに、中国のものなんじゃないかというニュアンスの違いは避けています。

▲仕掛け絵本の動きは、アプリ上でも緻密に再現。紙の質感もあいまって、まるで本物の仕掛け絵本をめくっているような感覚に陥る。

―― 素材感も非常にリアルで、本物の紙のようでした。

ジェニファー 素材は折り紙や千代紙などの紙だけでなく、藍染め、友禅なども試していった結果、和紙に落ち着きましたね。ゲーム中に紙の切れ目などが入っているのも、紙の質感を残すためにわざとやっています。和紙は実際に作ったわけではなくライセンスを買って素材集を見ながら試しました。本当は時間と予算に余裕があれば、その場所まで行って買ってきたかったですね(笑)。

―― 日本で報道される場合はインディーズゲームと呼ばれることがありますが、インディーズにこだわっているわけではないのですか?

東江 大きな会社で働いて政治的な決定などもあり、自分たちの思うようなものを作れないということを経験したので、自分たちでお金を出資して作りたい作品をとことんやろうと言う意味ではインディーズであっていますね。海外でインディースゲームを盛り上げるためのインディケードと呼ばれる組織があって、900社ぐらいのエントリーのなからファイナリストの36社のなかに選んで頂いています。

―― それはすごいですね。36社の中に選ばれたならプレッシャーもあるんではないですか。

東江 日常的にお金がもうからなかったらどうしようと考えなかったわけではないですが、もともとの会社はビジネス的に作らせてもらえないということが多かったので、誰かの為でなく自分たちの遊びたい作品を作れるという意味ではプレッシャーはないですね。

―― 『TENGAMI』がnyamyamとしての処女作になるわけですよね。そうすると、いまみなさん貯金で暮らしているんですか?

東江 そうですね。フィルさんは今回のゲームのために車も売却しましたね。中途半端にやるよりも、全部を掛けてやっていますね。もとの会社にいたときは低年齢の人達に喜ばれる作品を作っていたのですが、大人の僕らが作るということがすごい難しいんですよ。どうせだったら自分たちと同い年ぐらいの人達が喜んでもらえる作品を作りたかったんですよね。あと、小さくてもいいから業界にイノベーションを起こしたいということもあったので、こういうことをやらかしました(笑)。

――いまの開発状況はどのくらいなんですか?

ジェニファー 全体の20%ぐらいです。Duncan Birmingham(ダンカン・バーミンガム)という仕掛け絵本のプロの方から作りかたを学び、それをデジタルで作れるようなものを独自で開発しました。そこから作っているので、技術的なベースが全部終わって、いまはコンテンツを作り始めている状態ですね。

――リリースはいつごろでしょうか?

東江 2013年6月ごろの予定です。業界だと何よりも完成までのスピード感重視だと思いますが、それだと、そこと同じ競争をすることになると感じたので、腰を据えて作っています。

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