【注目アプリレビュー】『MASS EFFECT INFILTRATOR』手のひらサイズの宇宙戦争勃発
2012-05-23 12:03 投稿
●銀河に轟く『MASS EFFECT』の世界
遥か未来、宇宙に進出した人類とエイリアンが共生する時代……そんな映画のような世界を堪能できるTPS(サード・パーソン・シューター)『MASS EFFECT INFILTRATOR』。開発は、名作と名高いiPhone版『Dead Space』を制作したチームが担当。Xbox360/PS3/PCで発売されている『MASS EFFECT』シリーズと共通の世界で展開される本作だが、ゲームシステムや操作系はモバイル端末向けに最適化されている。FPS/TPS初心者からベテランまで楽しめる、本作の魅力を紹介していこう。
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『MASS EFFECT INFILTRATOR』のここが○ |
・TPS初心者でも楽しめる独特の射撃操作と一般的なTPSの射撃操作から操作方法を選べる ・据え置きゲーム機にも劣らない美麗グラフィック |
ここが× |
・用語や世界設定の説明がなく『MASS EFFECT』シリーズの知識がないとストーリーの背景がわからない ・初回クリアまでのプレイ時間がやや短め |
こんな人にオススメ |
・『MASS EFFECT』シリーズのファン ・歯ごたえのあるTPSを楽しみたい方 ・私は枯れ専だ |
遥か未来、人類は火星で発見した超技術“マスエフェクト”により宇宙に進出。銀河系の他種族と交流を持ち、銀河系を統治するシタデル評議会にも名を連ねることになる。しかし躍進を続ける陰で原因不明の人類連れ去り事件が多発。その事件に対抗すべく、人類存続を使命とする秘密組織“サーベラス”が発足する。サーベラスに所属するインフィルトレーター(潜入工作員/暗殺者)の主人公、ランダル・エズノが、改造実験の被検体となるエイリアン捕獲任務に赴くところから本作のオープニングが始まる。粛々と任務を遂行するランダルだったが、サーベラス局長の要求はエスカレートして行き……。
iPhoneオリジナルのストーリーではあるが、『MASS EFFECT』シリーズの世界観/設定を踏襲している本作。しかし、世界観や背景に関する説明が作中にはない。ゲームを進めていく中でなんとなくわかるようにはなっているが、細かい設定や背景が気になる方は据え置き機で発売されている『MASS EFFECT』シリーズ本編をプレイしてみるといいだろう。用語や設定を知っていると、グッと面白くなるはずだ。
●モバイル端末に落とし込まれた宇宙
本作は複数のチャプターで構成されており、ひとつのチャプター内は3Dフィールド上で探索(非戦闘)モードと戦闘モードがシームレスに切り替わり進行する。探索モードでイベントや通信による指令を受けて目的地が決まり、目的地を目指す途中で戦闘が発生すると戦闘モードに移行。敵を殲滅すると探索モードに戻り、目的を達成するとチャプタークリアという流れだ。進行したチャプターまでは何度でもやり直せるので、気になったところは再挑戦してみるといい。
▲探索モードで画面をタップするとナビアイコンが目的地の方向を教えてくれる。フィールドには、ゲーム内通貨の“クレジット”が詰まった端末が散在しているので、まずは目的地に向かわず散策してみよう。
▲チャプター選択後、さらにチェックポイントも指定可能。お目当てのシーンをピンポイントでプレイできるのは嬉しい。
戦闘は、開始から終了までを評価するシステムになっており、戦闘にかけた時間、受けたダメージ、戦闘内容の華麗さ(スタイル)により評価が変わる。戦闘評価に応じて報酬も決まるので、納得がいかない評価であればリトライしてみよう。
▲“スタイル”は攻撃の多彩さと連続攻撃数により評価されるので、武器を切り替えながら連続攻撃を継続できれば高評価が期待できる。連続攻撃を狙うなら、何度か挑戦して敵の種類や数、出現位置を覚えておくといいだろう。
▲特定の敵が落とす“情報”のディスク。取得数が戦闘評価に含まれるので見逃さないようにしよう。また取得した“情報”は換金できるほか、連動サイト“銀河戦争”にアップロードすることで『MASS EFFECT 3』の臨戦レーティングがアップする。
チャプターの途中では特定の場所で行動の選択を迫られる、『MASS EFFECT』シリーズ伝統の“モラル”値変動イベントが発生する。選択できる行動は“パラゴン:模範的、理性的な選択 ”と“レネゲイド:暴力的、利己的な選択 ”のふたつで、どちらを選んだかによって主人公の外見(顔)や能力、後のイベントに影響が出てくる。こういう形でプレイヤーがゲームの世界に介入できるのも、『MASS EFFECT』の魅力のひとつなのだ。
●孤独な戦場を生き抜くための基本操作
本作の操作系について説明しよう。フィールド内の移動はタッチスクリーンの左側を下から上にスワイプすることで可能だ。スワイプ幅が短いと歩行、長いと走行になり、スワイプ後そのままホールドすることで移動が継続される。カメラは画面右側をスワイプすることで360度動かしたい方向に動かせる。カメラ感度の調整はメニュー内オプションで可能なので、自分好みの感度に調整しよう。
ここまではiPhoneアプリのFPS/TPSでよくある操作系で、本作でも探索モード/戦闘モード共通の操作だが、以下ふたつの戦闘モード専用アクションの操作は本作独特のものだ。
■カバーアクション
物陰に身を隠して敵の攻撃を防ぎつつ、反撃に転じる機をうかがう行動。壁や遮蔽物に接してから移動をやめると、身を潜めつつ敵の様子をうかがう姿勢のままジリジリと動ける状態になる。このとき主人公のまわりに青い矢印が表示されるが、これはその方向にロール移動が可能というサイン。青い矢印の方向に画面左側をスワイプすると、主人公がその方向にダイブ/ロール移動を行う。このカバーアクションを駆使し、攻撃を受けないように遮蔽物から遮蔽物へと移動して位置取りをするのが重要だ。
本作の敵は、四方八方から複数体同時に出現することがあるため、突っ立っているとすぐに集中砲火を浴びてしまう。フィールド内をよく見てつねに安全な位置取りを心がけよう。
▲カバーアクションを制する者は銃撃戦を制す。とりあえず頭は引っ込めよう。戦場でぼっ立ちは禁物だ。
■攻撃対象選択システム
攻撃はまず、射程内の敵をタップして選択することから始まる。攻撃方法によって射程はさまざまだが、射程内の敵は体の周りに青い枠が表示されているのでそれをタップする。すると自動的に連続射撃が始まるので、カメラ操作で照準を動かしてうまく当てよう。
また敵を倒すと少しの間、ほかの敵の動きがスローになる。この間に敵を攻撃すると連続攻撃となり、さらにスロー時間が継続する。これを繰り返して敵を倒していくと、通常は同じ武器で敵を倒した場合に低下するスタイル評価が下がらず、戦闘所要時間も短縮できていいことづくめなのだ。連続攻撃は積極的に狙ってみよう。
▲敵にはそれぞれ弱点部位(丸い枠で表示される)や有効な武器がある。武器を切り替えつつ弱点を狙っていこう。
▲本作の武器に弾数制限はないが、一定の連続使用でリロードが入る。リロードで連続攻撃を止めないようにタイミングよく武器を切り替えよう。
上記の独特な攻撃システムは筆者のようなFPS/TPS初心者には直感的でわかりやすいと思うのだが、従来のFPS/TPSゲーマーからは不評だったようだ。しかし現在ではアップデートにより、従来のFPS/TPSに近い照準直接操作式の攻撃も行えるようになった。これでますます間口が広がったと言えるだろう。
なお、こちらのダメージはどう表現されるのかというと、画面の状態が自分のライフ残量にともない変化する。電磁シールドが割れ、血糊がこびりつき、視界が白く霞んでいくダメージ表現は直感的でわかりやすい。死亡すると戦闘前からやり直しになるため、不慮の事故で死なないよう慎重に行動したい。
▲気を抜くとすぐこの画面にご案内。ランダルもご立腹なので、“アップグレード”から装備を整えてリベンジしてやろう。
●ワンマンアーミーの生存戦略
ひとりで軍隊を相手にするような、無謀な突破作戦が目立つ本作。多種多様な敵に立ち向かうには、相手と状況に応じた装備と能力を使い分けていかなければならない。主人公ランダルが生き延びるために必要な装備と能力をまとめて紹介しよう。
<武器>
・アサルト:攻撃力、持続性どれも平均的で汎用性が高く扱いやすい武器
・ショットガン:近接した敵に絶大な威力を誇るが射程が短く持続性も低い
・スナイパー:射程、威力ともに絶大だが単発リロードが必要で連続攻撃ができない
・ビーム:メカ系の敵に絶大な威力を誇り、持続性がかなり高い
▲シューター系のお約束、至近距離でぶっ放すショットガンの威力はヤバイ。ザコならほぼ即死だ。
▲スナイパーライフル特有のスコープ画面。敵を選択するとスコープ画面になりタップで狙撃する。決めろヘッドショット!
<バイオティクス>
・プル:盾持ちや物陰に隠れている敵を空中に浮かせ、無抵抗な状態で引き寄せる
・リーシュ:離れた敵を行動不能にし、左右どちらかにスワイプして投げ飛ばす
・ストーム:敵の周囲に球状の破壊空間を作り出し、継続的にダメージを与える
・サルヴォ:複数に分裂する誘導弾を発射し、指定した敵を追尾して攻撃する
▲プルは隠れて出てこない敵に特に有効だ。気持ちよさそうに浮いているが、この直後に肉塊と化す運命である。
▲サルヴォは直接的な攻撃バイオティクス。敵を複数選択して放つとそれぞれに分かれて飛んでいく使い勝手の良い能力だ。
<アビリティ>
・スプリント:戦闘中の走行速度を上昇させ、機動性を高める
・スライド:スプリント中にスライディングが可能になり、回避能力を高める
・クローク:戦闘中、使用者の姿を透明にして敵から認識されなくなる
▲スライドは実行中無敵でかなりの距離を移動できる。緊急回避、敵陣突破、カバーポイント間の移動など用途はさまざま。
▲クローク使用中はボスさえもこちらを見失う。包囲網からの脱出や相手の虚を突く攻撃を行うために溜めておきたい。
<近接攻撃>
・パンチ:近接した敵に強烈なパンチをお見舞いして一時行動不能にする
・プッシュ:物陰に隠れた敵を吹き飛ばし、射撃可能な位置へ押し出す
・チャージ:スプリント中、敵にタックルを炸裂させて吹き飛ばす
▲手の届く距離にいる敵にはゲンコツ一発! 殴られた敵はしばらく悶絶しているので容赦なくとどめを刺そう。
<ヘルメット>
・ヘルメットなし:ただの素顔。改造おじさんの顔が丸出しになり特殊能力もなし
・攻撃:サーベラス アサルト ヘルメットを装着して武器ダメージに+10%補正付加
・防衛:イージス ディフェンシブ ヘルメットを装着してシールド強度に+10%補正付加
・ステルス:ステルス ヘルメットを装着してヘッドショットダメージに+10%補正付加
・インフィルトレーター:インフィルトレーター ヘルメット装着で武器ダメージ、シールド強度、HSダメージに+3%補正付加
<アーマー>
・攻撃:サーベラス アサルト アーマー装着でバイオティックダメージに+10%補正付加
・防衛:イージス ディフェンシブ アーマー装着でライフに+10%補正付加
・ステルス:ステルス スーツ装着でクロークリチャージ時間に-10%補正付加
・インフィルトレーター:インフィルトレーター アーマー装着で武器ダメージ、近接ダメージ、シールド強度に+3%補正付加
ズラッと並べてみたが、どれを使えばいいのか悩んでしまいそう。武器や能力は状況に合わせて使い分けることが必要だが、防具はまず防御重視にすることをオススメする。本作は戦闘モードの構造上どうしても被弾してしまうので、タフさが大事なのだ。ちなみにゲーム開始時に主人公はヘルメットを被っていないが、最初からインフィルトレーター ヘルメットを持っているので装備しよう。
これらの装備や能力はすべてメニュー内の“ストア”から購入、アップグレードが可能であり、戦闘中でなければどこからでもストアにアクセスして変更可能。戦闘環境やプレイスタイルに合わせてカスタマイズすれば怖いものなしだ。
▲最初の難関であるOGREメック。まともにやりあうと大変な相手だが、写真の位置と距離を保てばストーム系の攻撃しか届かないので撃ち放題だ。球状のストームを投げてきたら横移動してかわそう。たまに上ってくる歩兵は冷静にショットガンで対処しよう。
▲中盤の強敵X-1。まずは武器防具兼用のデバイスを攻撃しよう。メカなのでビームが有効だ。ある程度体力を減らすとフィールドの構造を変えて物理攻撃しかしてこなくなるので、スライディングやクロークを駆使して逃げながら実弾系武器で削っていこう。
●ポケットの中の宇宙戦争
クリア後はすべての要素を引き継いで“新規ゲーム+”が可能になる。パラゴンとレネゲイド、1周目では選ばなかった方を選んでプレイしてみるといいだろう。また『MASS EFFECT 3』で活用できる“戦闘資産”をアップロードしたり、アップデートで追加された“ボーナスミッション”を遊んでみたりと、まだまだやれることは尽きない。
ここまでご紹介した内容から、『MASS EFFECT』ファンもシリーズ未経験者も良質なTPSとして楽しめるのがおわかりいただけただろう。450円で買えてしまう『MASS EFFECT INFILTRATOR』はコストパフォーマンスのよさも天文学的である。よろしければあなたのポケットにも、ぜひ。(ちんぴら)
MASS EFFECT INFILTRATOR
- メーカー
- Electronic Arts
- 配信日
- 配信中
- 価格
- 450円[税込]
- 対応機種
- iPhone 3GS、iPhone 4、iPhone 4S、iPod touch(第3世代)、iPod touch (第4世代)、およびiPad に対応。iOS 3.1 以降が必要
- コピーライト
- (c) 2012 EA International (Studio and Publishing) Ltd. Mass Effect, Mass Effect logo, BioWare and BioWare logo are trademarks of EA International (Studio and Publishing) Ltd. EA and the EA logo are trademarks of Electronic Arts Inc.
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