エヌシージャパンより2024年12月11日に配信された新作アプリ『運任せの召喚士』(以下、『うんまか』)。
本作は、タイトル通りに運任せ(ランダム)で召喚される召喚獣を配置し、つぎつぎと現れる敵が溢れる前に倒しきるカジュアルなタワーディフェンスゲームだ。
そんな本作の開発を手掛けたRichAlien.Incのチェ・ソンウック氏(文中: ソンウック
)、イ・ジニョン氏(文中:
ジニョン
)と、エヌシージャパンの運営プロデューサー柴田優輝氏(文中:
柴田
)にインタビューを実施。本作が産まれた経緯や開発秘話、新キャラを含む今後の展開についても聞いてきたので、本記事にて紹介していこう。
RichAlien.IncのCEOチェ・ソンウック氏(左)、運営プロデューサーの柴田優輝氏(中央)、開発プロデューサーのイ・ジニョン氏(右)。
▼どんなゲームか知りたい方はこちら
韓国で大ヒットしたゲームを日本向けに調整して生まれた『うんまか』
――まずはお三方が本作にどのような立場で関わっているのか、自己紹介からお願いします。
ジニョン
私は『運任せの召喚士』の、日本向け開発を統括している開発プロデューサーをしています。
柴田
私は運営プロデューサーとして、日本ならではのイベントやキャンペーン、アイテム配布であったりと、ユーザーの方々に快適に遊んでいただくための動きをしています。キャラクターの設定や、スキン販売の企画なども実施しています。
ソンウック
私は本作の開発会社の代表を務めています。
――あらためて、本作がどのようなゲームなのかをご紹介いただけますか?
ジニョン
本作は、ディフェンスジャンルのモバイルゲームです。既存のゲームと異なる特徴として、ユーザー同士で力を合わせて敵を倒す、マルチプレイが醍醐味になっています。
柴田
タイトルの通りに、運で一発逆転ができる要素があるのですが、もちろんそれだけのゲームではありません。麻雀などのように、運を活用して、よりよい結果に変えていく、盤面を読みながらプレイするのがユニークな部分になっています。入り口はカジュアルですが、非常に奥が深く、コアゲーマーにも受け入れられるポテンシャルがあると感じています。
ソンウック
ローグライク系の特徴も含んだゲーム性ですよね。毎回プレイをするたびに、攻略法や結果が変わる。プレイスタイルも自分で設計できるので、運を活用しつつ戦略を組み立てていく、特殊なディフェンスゲームだと思っています。
柴田
盤面を作っていくフィールドビルディングを含んだ、新しいジャンルですね。
――運で引いたキャラをどう活かしていくのか、という部分はたしかにローグライクに近いものを感じます。ちなみに、本作をカジュアルゲームとして売り出した理由は何かあるのでしょうか? ゲーム性を考えると、コアゲーマー向けでも通用する内容だと思いますが。
柴田
その点は、パブリッシャーとしてとても悩みましたね。奥深さがある一方で、「よくわからないけど連打して召喚していると楽しい」と、ライトにも楽しめる点がおもしろいとも感じていました。カジュアルだけど奥深いという方向性で多くの人に楽しんでもらいつつ、実際にプレイした人には「ここまでできるんだ」と奥深さにも気づいていただく。コアユーザーも含み、より多くの人に楽しんでいただける形で売り出しています。
――本作は韓国で配信されているゲームを原作として、日本向けにリメイクしたタイトルとお聞きしました。本作がリリースされるまでの経緯について教えてください。
ジニョン
仰る通り、本作は韓国ではすでに大ヒットしたタイトルを原作とした作品です。なので、これは日本でも愛される、ヒットするという自信がありました。リリースするにあたり、本作の魅力をどのように日本ユーザーにアピールするかを考えて、日本でなじみ深いコンテンツなども追加しています。そうしたカルチャライズを行い、正式に原作会社から権利を受けてサービスを開始しました。
――具体的に、どのような点が韓国版とは異なるのでしょうか?
ジニョン
まず、日本に親しみのある文化を参考に、キャラクターをリニューアルしました。ビジュアルやイラストも、韓国版とは異なっています。
柴田
原作は剣と魔法のファンタジー、という印象を受けるビジュアル面でしたが、日本版ではカジュアルなテイストに変えています。私は日本版、韓国版どちらのバージョンもプレイしましたが、日本版は世界観がカジュアルになって、遊びやすくなりました。
左が原作、右が『運任せの召喚士』。
――ビジュアルから変更しているのですね。たしかに本作はカジュアルな雰囲気で、こちらのほうが日本ユーザーは好きそうです。
ジニョン
そのほか、ユーザーが難しく感じそうなポイント、ハードルをわかりやすく説明して、プレイに慣れていただけるように工夫しています。
――ユーザーが難しく感じる点は、どのようなところでしょうか?
ジニョン
UIなどですね。韓国版はどこに何の情報があるのかわかりにくかったので、そういった部分は直感的に分かるように改善しました。
また、つぎのアップデートではチュートリアルコンテンツである“召喚士修練”というものも実装予定です。こちらは初めて本作に触れる人でも、チュートリアルを通じて楽しみかたがわかるような内容にしました。
――チュートリアルコンテンツというのは、既存のチュートリアルとは異なる内容になるのでしょうか?
ジニョン
べつの内容です。新規のユーザーがもっとゲームを理解できて、報酬ももらえてモチベーションが上がるようなもので、よりコアな遊びも体験できるように調整しました。
サラリーパンは神話級になりかけた? キャラ・世界観の制作秘話を訊く
――リリースから約1ヵ月が経過しましたが、ユーザーからの反響はいかがでしょうか?
柴田
個性的な召喚獣の見た目や世界観に好感をいただけていて、うれしく思っています。サラリーパン(フランスパンで戦うサラリーマン)も、「なんでパン持って戦っているんだ」といった反応もいただけまして。
――サラリーパンは性能的にも便利ですし、見た目もおもしろいですよね。彼は何でパンを持って戦っているんでしょう?
ジニョン
あれは、サラリーマンの辛さを表現しました。
――サラリーマンの辛さ???
ジニョン
生計を立てるために、辛いのを我慢しながら働いている。パンを食べながらも必死に働いている、というような……。
――日本で言うと、朝出かけるときに食パンをくわえて出ていく、みたいな……?
ジニョン
きっとそんな感じです(笑)。
――個性的すぎる……。こういったキャラは、開発会社さんのほうで制作しているのでしょうか?
柴田
開発にビジュアルを提案していただいて、日本側で名前や設定を決めていく、という流れですね。サラリーパンという名前は私が付けました。世界観などもベースを作っていただきつつ、運営側で全体的な流れを決めています。
――世界観も運営側で調整しているのですね。
柴田
世界観もこだわって製作しています。妖怪や忍者、サラリーマンまでいるジャンルの異なるキャラクターたちが登場する理由や、どんな世界観かを含めて思い入れを持って打ち込んでいます。
――プレイ中はストーリーなどがないためフレーバーテキストなどから推察していますが、本作はどんな世界なのでしょうか?
柴田
本作の世界は、さまざまな世界から召喚されたキャラクターたちが集まっているという設定です。サラリーパンもきっと、仕事帰りに疲れたサラリーマンがパンを買ったら、そのタイミングで召喚されて、武器がフランスパンしかない……という流れがあるかもしれません。ちなみに、プレイヤー自身も異世界に召喚されたひとりなんです。
――僕たちプレイヤーも召喚されたひとりなのですね。
柴田
ローディング画面で異世界のデータを読み込んだり、「プレイヤー召喚中」と表示が出るのはそういうことだったりします。
――そういう演出だったとは、気づきませんでした。キャラ設定やビジュアルも日本向けに変わったということですが、日本にまつわるキャラクターが多いですよね。
柴田
当初は、妖怪関連で進めようと考えていましたが、妖怪だけにするのはどうなのかと協議をした結果、現在の方向性になりました。
――妖怪を選んだ理由は何かありますか? 日本でもなじみ深い存在だとは思いますが。
ジニョン
日本には豊富な妖怪がいたので、それをベースに考えました。そこから妖怪を倒すためにさまざまな世界からキャラが集まってきている、という設定に変えたのがいまの状態です。
――その結果、妖怪とは関係ないサラリーパンや弓道部員も呼ばれたと。ちなみにサラリーパンは稼ぐ能力が高いですが、ここには何か思い入れがあるのでしょうか?
柴田
殴ったらお給料がもらえる、月給制みたいですよね。レベルが上がると出るだけで賞与がもらえたりもするので、そういった意味でもサラリーマンっぽいかなと。サラリーパンはユーザーの皆さんからも反響の大きいキャラクターで、私が好きなあまり社内でも神話級にするべきかと議論したくらいです。
――いちばん等級の低いサラリーパンが、神話級!?
柴田
サラリーパンを神話級にできないか結構悩みまして、アプリのアイコンにするかも検討したキャラクターですね。結局は現在の等級になりましたが、そういった経緯があるくらいに愛されているキャラクターです。
リリース後1時間で80WAVEに到達する猛者たち
――リリース後すぐに80WAVEまで到達するプレイヤーが出てきましたが、この攻略スピードは想定していましたか?
柴田
驚きはありましたね。データで言うと、リリース後1時間以内には80WAVEまで到達したプレイヤーがいました。
――1時間……! それは関係者とかではなく、ふつうのユーザーですよね?
柴田
一般のプレイヤーの方です。原作もプレイ済みの方が、すぐにゲームを理解して攻略していました。開発にはすぐに連絡しましたね(笑)。
――つぎのコンテンツを準備しないとですものね。
ジニョン
クリアーされるまでは早かったですが、本作は毎回違う結果になるのがおもしろいところで、1回攻略しても終わりではありません。同じようにやろうとしても、つぎはクリアーできないこともある、変化のあるローグライクテイストな部分が魅力なので、まだまだ噛めば味は出ると思います。もちろんつぎのコンテンツも用意していますよ!
――攻略においては、現状ショウタとガマ親分が人気だと感じています。注目はされていないけど、じつは強力な召喚獣はいますか?
ジニョン
現行のバージョンだと、ムサシとゴクウの2キャラは火力があります。ムサシであれば投資したコストに応じて、スキルを強化してダメージを稼げます。ゴクウは一定確率で斉天大聖ゴクウに限界突破する、ランダム要素はあるけど強いキャラクターです。どのキャラを使うかもユーザーのプレイスタイル、好み次第なので、運で召喚したキャラクターで戦略を練って楽しんでください。
柴田
ゴクウは25%(レベル12で35%)の確率で限界突破して強くなる代わりに、失敗すると消滅するキャラです。攻撃が魔法ダメージなので、限界突破すれば安定して強いのが特徴ですね。いまはショウタが流行っていますが、今後ゴクウが流行ることもあると思います。韓国版では、斉天大聖ゴクウと同様の性能を持ったキャラを並べて戦うのが一時期に流行っていたそうですよ。
25%の確率で限界突破して強くなるゴクウ。限界突破に失敗すると消滅してしまう。
――ゴクウは失敗して消滅したとき、気まずくなりませんか?(笑)
柴田
でも強いですよ! 安定して戦えるキャラを選ぶか、ランダム要素に挑むか、プレイスタイルを選べるのもいいところです。
――ランダム要素を恐れず、今度ゴクウを使ってみます。そのほか開発陣から見て、おすすめのキャラはいますか?
ソンウック
私もショウタが強いと思いますが、今後もっと難しいステージが登場した際は、多くのキャラを使う機会が増えていきます。運要素を乗り越えないと、勝てない段階もくるかもしれません。
柴田
ちなみに、先日タイガー仮面だけでクリアーしている人もいましたね。
――それは猛者すぎますね。運要素はありつつも工夫次第で攻略の幅が広がる、難易度調整にもこだわりを感じます。
柴田
自分の好きなキャラを使って、楽しめるようにはなっていますね。実は最初にもらえるくのいちエイカだけでも、50WAVEまでいけます。
ジニョン
キャラ愛を通せる要素として、今後は特別なプロフィールアイコンなども入手できるよう調整中です。アイコン獲得を目指して、さまざまなプレイスタイルを試してみてください。
――追加されるアイコンは、現在あるプロフィール用のアイコンとはべつの要素ですか?
柴田
こちらは特定の条件を満たしたら手に入る特別なアイコンです。アイコンは多く追加される予定で、新規アイコンを通じてキャラの新たな魅力にも気づけるような内容になっています。実装されたら、ぜひ獲得を目指してみてください。
――キャラ愛を深められる要素は楽しみですね。続いてユーザーとして気になる点になりますが、神の涙や神話玉の入手経路、入手量について調整の予定はありますか?
柴田
神の涙で入手する宝物は攻略に大きく関わる部分なので、初心者の方が快適に遊ぶためにも入手支援をすることが最優先で必要だと考えています。今後開催されるゲーム内イベントの報酬など、さまざまな形で入手機会を作っていきたいと思います。神話玉についても同様に、実装されるイベントなどで入手経路を増やしていきます。
ジニョン
アイテムは、つぎのアップデートでも配布予定です。ログイン報酬でも獲得可能なので、今後そういった形で手に入れる機会を増やしていければと。
――ランキングのスコアがほぼ横並びなのが気になっています。100位まで掲載してくれると、ランキングに載るユーザーも増えると思うのですが、現状の仕様にしている理由は何かありますか?
ジニョン
ランキングについては、現状100位まで増やしてもほぼ横並びになると思います。それよりも、ランキングシステムとは違った、ユーザー同士で競い合える要素を検討中ですので、そちらをお待ちください。
――神話級の育成リセット機能があるととてもありがたいのですが、実装予定はありますか?
柴田
現状リセット機能を追加する予定はありません。先ほども話したように、意外と強いキャラクターは沢山いますので、攻略に詰まったらほかのキャラクターも試してみてください。
ジニョン
本作はキャラごとに役割が違うため、育成に使った神話玉がムダになる事はありません。今後は、すべてのキャラを使わないとクリアーできないような環境になっていくと思いますので、それを楽しみに育成をしてみてください。
――強化をしたけど使う機会が少ない神話級もいるので、報われる日を待っています。今後の予定についてですが、1月22日には大規模アップデートを予定しているとお聞きしています。その具体的な内容についてお聞かせください。
ジニョン
新しい難易度として、ハードモードが実装予定です。また、新規キャラクターとして“ブロッコ”も登場しますので、楽しみにお待ちください。また、先ほどもお話した通り、初心者向けにチュートリアル性のあるコンテンツも実装されて、ミッションを達成すると報酬が入手できます。新規ユーザーも遊びやすくなりますよ。
――ハードモードの実装はうれしいですね! ブロッコって、ブロッコリーですか?
ジニョン
その通り、現代人に足りていない栄養です。
――……筋トレしている人?
ジニョン
しています。ブロッコを使うと、地面からブロッコリーが出てきますよ。
――メチャクチャ自分事だった。ちなみに、1月以降のアップデート内容として、お話できる内容はありますか?
ジニョン
原作経験者も、新規ユーザーもいますので、皆さんが楽しめるように新キャラや新モードは原作よりも早い周期でアップデートしていきます。韓国版を体験済みの人でも、新しい要素が体験できるようにします。また、ユニットの効果的な配置場所の解説など、初心者の人がクリアーするための情報を伝えるコンテンツも今後準備していきますので、お楽しみに。
柴田
本作はまだ助走期間で、飛行機で言うならまだ離陸もしていません。まだ乗り込めますので、気になっている方もぜひプレイしてみてほしいですね。ちなみに、各種SNSでも活動をしていますので、ぜひそちらもチェックしてください!
公式X:https://x.com/Unmaka_JP
公式YouTube:https://www.youtube.com/@Unmaka_JP
――本日はありがとうございました。最後に、日本のユーザーに向けてメッセージをお願いします。
ジニョン
原作があるタイトルですが、どうすれば日本のユーザーが楽しめるのか、日本向けの調整を常に検討していますので、今後の展開も楽しみにお待ちください。
柴田
最近ハマれるゲームがないなと思っている人には、ぜひ遊んでみてほしいです。一見カジュアルですが、どのキャラを育成するか、どんな風に戦っていくか、友達とやったらどうなるのか……。さまざまな部分で楽しめる要素があるタイトルなので、一度触ってみてください。
ソンウック
今後はもっと、コア向けな深い遊び方を伝えていこうと考えています。日本向けの調整はもちろんですが、コラボなども検討していきたいので、今後もぜひ楽しんでください。