『ヴイアライヴ』定点観測-75:公式番組2ndシーズンの3回目はアイマスとも関りが深いベテラン構成作家・伊福部崇氏が登場!【アイマス日記第343回】

by東響希

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『ヴイアライヴ』定点観測-75:公式番組2ndシーズンの3回目はアイマスとも関りが深いベテラン構成作家・伊福部崇氏が登場!【アイマス日記第343回】
バンダイナムコエンターテインメントが展開する『アイドルマスター』シリーズ関連の話題を取り上げる“アイマス日記”。

『ヴイアライヴ』定点観測では、バーチャルな姿で活動する灯里愛夏さん(以下、愛夏さん)、上水流宇宙さん(以下、宇宙さん)、サラ・レトラ・オリヴェイラ・ウタガワさん(以下、レトラさん)のライバーアイドルプロジェクト、『ヴイアライヴ』について記録していく。
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言葉のプロが教えるコミュ力

ヴイアライヴ』では、所属メンバー3人がまだアイドル候補生として活動していた際に、公式チャンネルでレッスン番組を毎月配信していた。月の前半に座学と課題が提示され、月の後半に課題の成果発表をする2部構成で行われていた生配信番組である。その公式レッスンが2ndシーズンとして復活し、今回はその3回目。なお、2ndシーズンは、課題設定がない1回で完結する座学番組となる。

番組のレギュラーMCであるお笑い芸人コンビ・土佐兄弟に紹介され、3回目の講師として登場したのは、1990年代からおもにアニメやゲーム関連のラジオ番組の構成作家として活躍している伊福部崇氏だ。過去に放送されていたラジオ番組『
THE IDOLM@STER STATION!!!』や、現在放送中の『THE IDOLM@STER MillionRADIO』を担当し、それぞれのラジオのテーマソングの作詞だけでなく、“横山奈緒”のソロ曲“Home is a coming now!”の作詞も行う作詞家としての一面もある。自らもパーソナリティーとしてラジオ番組を持つほか、アニメや舞台の脚本を担当するなど一流の言葉のプロフェッショナルによるコミュ力講義が行われる。


伊福部氏は、この公式番組における“コミュ力”とは、MCやワードチョイス、リアクションなど“一般的なコミュ力よりも言葉を使ったあらゆる能力”という広い意味があると語り、いつもの座学とは違う実戦形式での講義を開始。同氏が用意した台本を元に
『ヴイアラジオ!』と題して架空のラジオ番組に挑戦し、その中でそれぞれの足りない部分や長所を洗い出すという講義となった。

さっそく架空のラジオ番組がスタートし、オープニングトークの流れはいい感じだ。メインコーナーはボックスの中からキーワードが書かれてる紙を引いて、その内容に沿ったテーマトークを行うという定番企画。こちらも比較的安定感があったが、最後の宇宙さんは少々時間が押していたようで、自分のエピソードはあまり膨らませずにまとめたことを、後で語ってくれた。3人でいるときには“まとめ役”に回ることが多い宇宙さんらしいファインプレーだ。

伊福部氏は全体的には良かったと総評しつつ、個別のアドバイスとしてまずは愛夏さんの評価を行う。自分だけのこだわりを語るテーマトークで、ラーメンについて語った点はよかったと高評価。しかし、話の内容からファンであればある程度知っている情報だったので、前提は省いてこだわりの理由などの部分でもう少し深掘りするとより良くなると補足する。一方で、宇宙さんとの会話の中でさりげなく入れたツッコミなどは、3人の関係性がわかるシーンなのでよかったと評価した。

愛夏さんからの質問として、自分はどちらかというと深夜ラジオのようにゆったりとした雰囲気のラジオが好きなだけに、バラエティ寄りの番組でテンションを上げるとやりすぎ感が出ているようで不安になると吐露。それに対し、自分が周りからどう見られてるかを考えるより、自分がその空間を楽しんでいることを前面に押し出したほうが聞いている側も楽しいとアドバイスする。

宇宙さんについては、オープニングトークの時点で少し時間が押している中で、愛夏さんのテーマトークの際にツッコミを入れたりして足りない時間をさらに使ってしまっていた部分を言及。これについては、トーク開始時にゴングが鳴ることが台本に書かれていたため、終了のゴングもあるものと宇宙さんが勘違いしていた部分があったようだ。

また、クリスマスの思い出を語るテーマトークの中でサンタクロース=父親と言及している部分があり、この時期の話題として子どもや親子でも聞いている可能性を考慮するとあまり良くないと指摘。これについては、語り口を少し変えるだけで誤魔化せるので、上手く逃げられるようになって欲しいと語りつつ、時間調整のために自分のトークを抑えるところは周りが見えていて素晴らしいと絶賛した。

宇宙さんからはエピソードトークが苦手で、最後にオチをつける場合はどうすればいいかとアドバイスを求める。これに対し、伊福部氏はエピソードに対して感じた自分の感想を話の構成に合わせて変えればいいと説明。具体例として、神社で大吉を引いて嬉しかったエピソードがあったとして、そのときにじつは凶を引きたかったという話の流れを作れば、大吉を引いたこと自体がオチにできると語った。

レトラさんについては、オープニングトークで自発的にテーマを挙げた部分を高評しつつも、ひとりずつに話を振ってしまったために結果的に番組の時間が足りなくなってしまった部分を指摘。テーマトークコーナーで個別に喋るところがあるので、レトラさんだけで完結するフリートークでも良かったとした。また、トーク中に相槌が聞こえない時間が多く、画面上ではリアクションしていることはわかるが、音声だけのラジオになった場合は適度に入れたほうがいいと語る。

続いては、伊福部氏がコミュ力の中で大切にしていることを言及。それはズバリ“勘”だと語り、どんな話題を誰が求めているかというその場の雰囲気を察することができなければ、コミュニケーションが取りづらい人間だと思われてしまうと指摘する。これについては“勘”とは言いつつも、相手の顔やその場の状況を意識することで養われていくので、しっかりと注意力を働かせて“勘”を磨いてほしいと語る。また、長く業界に携わってきた伊福部氏が出演者に求めることとして、“客観性”についても言及。空気を読まずに前に出すぎていないか、一方で引きすぎてしまって自分の存在が消えていないか、観客からの反応やスタッフの状況など、すべては客観性を持っているかどうかが重要だと語る。これについては、ちょうどいい塩梅を見極めるにはすぐには難しいので、経験を積んで勉強していくしかないと語る。また、伊福部氏が構成作家として出演者に望むこととして「台本を読まないこと」だと言及する。これはまったく読むなという意味ではなく、台本はあくまで番組の流れを書いているだけなので、一言一句文字を読むことは意識せず、大体の番組の進めかたを把握したらあとは忘れて番組に臨んでもらうのが望ましいと語る。

これらの話を聞いたうえで、土佐兄弟からは芸能界で生き残れる人について質問すると、伊福部氏は「楽しんでいる人」だと返答。自分としてはラジオの現場になるが、楽しんでいる人と仕事がしたいと語りつつ、“ヴイアライヴ”の3人からは楽しさも伝わってくるし、勉強熱心な部分も見えるので十分この先も生き残っていけるだろうと太鼓判を押す。

最後のまとめとして、伊福部氏はコミュ力とは「楽しミュ力」だとし、作家らしいユニークな造語に出演者が感嘆する中、前述のように現場を楽しむことの重要性を再度語っていた。

いつものことながら、公式レッスン番組は日常的な生活の中でも生かせる内容だ。今回の講義の中で語られた空気を読む“勘”の良さと、現場においてどう振る舞うかを冷静に見極める“客観性”は、あらゆる場面で重要なスキルである。そのうえで仕事もプライベートも楽しめる「楽しミュ力」は、円満な関係性を作るために必要であり、まだまだその辺りに自信がない筆者としては、改めてしっかりと意識しなければと感じた講義だった。
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