明治公園を舞台にNianticが仕掛ける新たなAR体験"Niantic Park"。広域スキャンデバイスで没入感を高める3Dマッピングシステムの魅力を聞いてきた

by深津庵

更新
明治公園を舞台にNianticが仕掛ける新たなAR体験"Niantic Park"。広域スキャンデバイスで没入感を高める3Dマッピングシステムの魅力を聞いてきた
位置情報ゲーム『Ingress』を基盤に『ポケモンGO』や『ピクミン ブルーム』、昨年からは『モンスターハンターNow』をリリースしてきたNianticがこの度、Tokyo Legacy Parks株式会社(代表構成団体:東京建物株式会社)と都立明治公園にAR体験をもたらすことを目的としたパートナーシップを締結。

NianticのAR技術を活用して都立明治公園の来園者に没入感のある魅力的なAR体験“Niantic Park”を提供すると発表した。

本記事ではそれに先駆けて行われたメディア向け説明会の中で判明した“広域スキャンデバイス”の存在や、今後どんな体験が期待できるのかを位置情報ゲームユーザーの目線でフリーライターの深津庵がまとめていく。

“もうひとつの都立明治公園”

ふたつの空間を同時に体験できる未来が始まるぞ。

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3DマッピングがもたらすAR体験


AR技術をリードするNianticとTokyo Legacy Parks株式会社が
都立明治公園にAR体験をもたらすことを目的としたパートナーシップを締結。

都立明治公園の来園者に没入感のある魅力的なAR体験を提供する
“Niantic Park”なるものが発表されたというのが先日実施されたアナウンスの全体像だ。

Nianticからの公式アナウンス
都立明治公園公式サイト

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▲左からTokyo Legacy Parks株式会社 取締役 兼 東京建物株式会社 新規事業開発部 課長代理の黒田敏氏と代表取締役 兼 東京建物株式会社 新規事業開発部長の川治利夫氏。株式会社Niantic 代表取締役社長の村井説人氏。


では、実際に何が行われているのか。

当プロジェクトの基盤となっている要素はふたつ。

ひとつ目がNianticのスキャニング技術
“Scaniverse(スキャニバース)”を活用して都立明治公園の詳細な3Dマップを構築

さらに、
『Ingress』ユーザーにはなじみの深い“Visual Positioning System(以下、VPS)”、画像を利用し位置情報を生成する技術を合わせてることで、公園内に存在するさまざまなスポットを正確に捉えたAR体験やサービスを提供するという点だ。

【Scaniverse
iOS / Android
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▲“Scaniverse”とは2021年からNianticが提供している誰もが体験できる3Dスキャンアプリ。
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▲『Ingress』では2022年からポータル情報をスキャニングする機能を実装。対象の機能を活用するイベントなどを通じて触れた経験のあるユーザーも多い。

そしてふたつ目はNianticが独自に開発した新デバイス
“Photon(フォトン)”という技術の導入だ。

このPhotonとは
広域エリアをスキャンすることに特化したデバイスであり、短時間で精度の高い3Dデータを構築するもの。

今回でいえば都立明治公園の詳細な3Dマップを構築し、そこに“Scaniverse”が作成した
より詳細な個々のデータを合わせてもうひとつの都立明治公園をARを介して体験しようというわけだ。

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▲Nianticが独自に開発した新デバイス“Photon(フォトン)”。
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▲Photonを使えば広域エリアをいっきに点群データを取ることが可能になったと村井氏。
今回のプロジェクトに伴い、たとえば『Ingress』だと専用のポータル、『ポケモンGO』ではポケストップが出現。

さらに、11月1日からは
『ピクミン ブルーム』内でスペシャルスポットが現れ、そこから“金のシール”を身につけたデコピクミンが入手できるようになった。

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▲『Ingress』と『ポケモンGO』それぞれの世界からみたNiantic PARK(MEIJI PARK)のスポット。
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▲『ピクミン ブルーム』ではスポットスポットが出現。現地で触れると特別なデコピクミンが入手できる。当日の様子は下記のリポートをぜひ。
■明治公園スポットスポットリポート


さぁ、技術的な話はここまで。

位置情報ゲームユーザーとして気になるのが
各タイトルでどんな体験ができるかだ。

『Ingress』ではスタンプラリー感覚で街歩きができる“ミッション”『ポケモンGO』なら目的地に向かって指定された道を歩く“ルート”といった既存のコンテンツを公式でライブする可能性があるかと村井氏に聞いたところ、どちらもそういった話は出ているが、おそらく行動力の高い『Ingress』エージェント(プレイヤー)が先に作成しそうだと回答。

現段階で具体的な話はできないが、それに先駆けて実施したのが先述した
『ピクミン ブルーム』のスポットであり、直接エリア(今回でいえば都立明治公園)に手を加えずともAR技術を使えば各タイトルで異なる体験を実現できるのが当プロジェクトの魅力だと語ってくれた。

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▲『Ingress』で体験できるミッションとは、指定されたスポット(ポータル)をめぐり、街を散策した証としてスタンプ(ゲーム内メダル)をコレクションできるコンテンツだ。


また、Nianticが開発提供している
『Peridot(ペリドット)』というAR技術を使ったペット育成シミュレーションゲームでは、実際にペットをARで呼び出して散歩をする機能があり相性もよさそう。

こちらに関しても
“検討中である”という回答に留まったが、村井氏の反応と表情から何かしらの体験が期待できそうだと感じとることができた。

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▲今回の説明会後、さっそく[:NOLINK:]『Peridot』[/:NOLINK:]で園内を散歩。プレイヤーの少し先を歩いたと思ったら立ち止まって振り返ったり、ボールを投げて取ってきてもらいといった体験はすでにできる。もしかすると園内の指定されたスポットに連れて行くと特別な個体、遊ぶためのアイテムなどがもらえたりするのかも……?


なお、都立明治公園の3Dデータ作業は
年内に完了予定で進行中。

つまりAR技術を活かした体験ができるのはそれ以降の話で、先日園内を含む渋谷エリアで開催された
『モンハンNow』のリアルイベントもそれに先駆けたものだったということだろう。

個人的にはこの“Photon”を使ってたとえば
『Ingress』の大規模イベント“アノマリー”会場や『ポケモンGO』“GO Fest”『ピクミン ブルーム』“Tour”など特定のエリアを3D化。

現地でしか体験できない新しいチャレンジにも期待したい。

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▲ちなみに今回、都立明治公園の3Dスキャン対象は屋外のみ。技術的に屋内のデータ化も可能だがいろいろな事情で見送っているようだ。
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▲今回はあくまでもパートナーシップを締結したという発表会。どんな体験ができるのようになるのかは今後のお楽しみということで、まずは都立明治公園の動きに注目していこう。

P.N.深津庵
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