『ヴイアライヴ』定点観測-67:公式レッスン2ndシーズンの2回目はアイマスブランド全体のセンターとも言える“天海春香”役・中村繪里子さんが登場!【アイマス日記第331回】

by東響希

『ヴイアライヴ』定点観測-67:公式レッスン2ndシーズンの2回目はアイマスブランド全体のセンターとも言える“天海春香”役・中村繪里子さんが登場!【アイマス日記第331回】
バンダイナムコエンターテインメントが展開する『アイドルマスター』シリーズ関連の話題を取り上げる“アイマス日記”。

『ヴイアライヴ』定点観測では、バーチャルな姿で活動する灯里愛夏さん(以下、愛夏さん)、上水流宇宙さん(以下、宇宙さん)、サラ・レトラ・オリヴェイラ・ウタガワさん(以下、レトラさん)のライバーアイドルプロジェクト、『ヴイアライヴ』について記録していく。
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10ヵ月越しの伏線回収

ヴイアライヴ』では、所属メンバー3人がまだアイドル候補生として活動していた際に、公式チャンネルにて毎月レッスン番組を配信していた。月の前半に座学と課題が提示され、月の後半に課題の成果発表をする2部構成で行われていた生配信番組である。その公式レッスンが2ndシーズンとして復活し、今回はその2回目。なお、2ndシーズンは、課題設定がない1回で完結する座学番組となる。

2回目の講師として登場したのは、
『アイドルマスター』シリーズ全体の中心に立つ“天海春香”役の中村繪里子さんだ。公式レッスン1stシーズンで“天海春香”が登場したことはあるものの、中村さん本人としての出演は初となる。また、中村さんと共演経験も多く、昨年の9月に公式レッスンのゲストとして登場したアナウンサーの吉田尚記さんが「中村さんが(ゲストで)呼ばれないことに疑問を持っていた」という趣旨の発言もしており、10ヵ月越しに伏線回収されることとなった。

そんな中村さんは“声優業から学んだコミュ力!”というテーマで講義をスタート。ここでは、まず自分がどのようにして声優になったのかについて言及しており、そもそも自分自身のことを掴めていなかった中村さんは、他の存在になりきる役者であれば、自分のことを考えなくても評価されると思って声優になったのだという。しかし、ラジオやイベントなどでトークをする機会もあり、演じるだけで良いと思っていた仕事の中で、自己表現が求められるトークという仕事も並行したために、自分の中でバランスが取れなくなったと語る。

そんな中で中村さんが学んだのは“自分に嘘をつかない!”ということ。大げさに言えばと前置きして「芝居をするということは演じる、つまり嘘をつくとも言える」と語り、そのうえで“自分に嘘をつかない!”とはどういうことなのかを語ってくれる。ここではある先輩から、「役を演じるというのは自分自身を理解して、自分じゃない役=フィルターを乗せることで初めて他者になれる」と教えられたことを紹介。それゆえに、自分自身が理解できていなかった中村さんの演技は、中身のないものに見えると指摘されたという。例えば、台詞の中で「綺麗」という表現が出てきたときに、自分が本当に綺麗だと感動していなければ演技は成立しない。だから、自分自身を理解して自分の感覚を表現をしないと、ずっと中身がないままになると指摘されたとのこと。つまり、最初に「役者は自我を出さずに演じれば評価される」と思っていた前提が間違っていたことに気づかされたと語った。

さらに先輩からは自分自身の理解を深めるために、静止しているものに対して正面から向き合って、自分自身がどう思うかという練習方法も伝授されたとのこと。これは、動物などの動くものは「動くこと」で余計な情報が入るし、テレビや映画も情報量が多すぎるため、静止しているものが向いているのだという。中村さんはこの「静止している」ものを探して、仏像展に通うという自分なりの方法を見つけ出した。その中で、長年寺社に安置されていた仏像には線香の匂いや手垢も付いていることに気づき、当時の人の願いにも思いを馳せるなど、自分自身の解釈であったり想像力を磨いていったという。そこから、この思いをどのように言語化するかを突き詰めて、自分自身の考えかたをアウトプットすることを学び、“嘘をつかない”表現できるようになったと語った。

これに対し、愛夏さんは自分自身の理解を深める中で、見たくない内面と向き合わなければいけないのではと尋ねると、そこは辛いので見ないと回答。そして、ありがたいことにありのままの自分を支持してくれるファンがいるので、それでいいと納得して自己肯定感を上げていると付け加える。さらに、愛夏さんが通常の配信では自己肯定感があるものの、メンバー限定の配信でネガティブな面も出てきてしまう、と悩みを打ち明ける。これに対しては、人間は場所や相手によって違う面を見せるのは当然で、むしろいろいろな愛夏さんが見られるのはファンにとってラッキーなことだとポジティブな解釈を伝授した。

続いて、ライブでのMCやトークにおいて“ドラマチックえりこ”とも呼ばれる印象的なシーンを演出方法についても解説。“爪痕を残すな!爪先を見せろ!”というテーマを掲げ、爪痕を残そうと努力することはケガに繋がるので意識しないほうがいいと語る。爪痕が残ったというのはたまたま上手くいった結果論であり、一歩間違えば自分も相手も傷つく状況になりかねない。それをエンタメとして人前で見せるのは、果たして正しいことなのかと問いかける。中村さん自身は、爪痕ではなく爪先を見せる=自分ができることをアピールするだけで、観ている人に委ねることを意識しており、それが好意的に捉えられている結果だと語った。

土佐兄弟からは、爪痕を残そうというわけではないが、頑張って印象に残るようなことを失敗せずにアピールする方法はないかと尋ねられると、中村さんは「頭を狙う」と返答。同じ立場の人間同士でイジるとケガに繋がりやすいので、現場でいちばん権力が強い=防御力が高い人をイジると、あまり失敗せずに印象的なシーンを演出できると語る。ただし、事前にしっかりと挨拶をして、現場で何かしらアクションを起こすと伝えることが大事だと付け加えた。現に、土佐兄弟と3人のメンバーは中村さんから差し入れを送られていたとのことで、これは信頼関係を築くための挨拶であったことも語られた。

ここまでで、メンバーから質問が投げかけられ、宇宙さんは自分がライバーアイドルとして配信での数字が伸びなかったときに落ち込むことがあり、同じように中村さんがMCやトークでウケなかったと思ったときにどう自分を納得させるか質問。これに対し、中村さんは自分だけのせいではなくタイミングが大切なので、失敗してもいつかウケるときは来ると切り換えていると返答した。

最後は、現場での機転が利く、ハプニングに強いと言われる中村さんが、それを踏まえた講義を展開。中村さん曰く“そもそも予定通りなんてものはない!”ということで、現場で起きることはすべてハプニングだと語る。例えば台本があって、その通りにやろうと思っても実際にはまだ経験していない時間なので、すべてが想像通りに進むとは限らない。つねに経験していないことに向き合っているわけで、極論からすればつねにハプニングに対応している状態であると語った。一方で、アクシデントが起きないように準備することは大切で、予期せぬ事態に対処できる対応力を身に着けるための練習や打ち合わせは必要だと言及した。ただ、中村さん自身は現場ごとに自分のポジションやどう動けばアクシデントが起きないか俯瞰して見えているとのことで、長年の経験から培われた一流のMCとしての実力も垣間見せた。

最後のまとめとして中村さんにとってのコミュ力とはを問いかけられ、これに対し“たからさがし”と回答。どこに埋まっているかわからない自分だけが感じられる大切な思いや自分らしさ=“たから”を探すためのツールがコミュ力であり、その成果は人生が終わるまでわからないので、ずっと探し続けて欲しいと語った。



改めて、中村さんがライブのMC、イベントなどで見せる感動的なスピーチやファンを唸らせるコメントがどのようにして生まれているのかを実感。また、時折おちゃらけてみたり、ユニークな言い回しを使うなど、硬い講義にならないよう配慮した語り口も聞き心地が良く、なるべくしてセンターになったと十分すぎるほどに納得できる講義でもあった。
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