【新作】人気YouTuberが作ったスマホゲーム『異世界ミニマムクラッシュ』をさっそくプレイしたら想像以上に骨太でした
2020-10-21 16:00
2020-10-19 11:00 投稿
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異世界ミニマムクラッシュ
YouTuberのゆゆうたさん、もこうさん、マンガ家のやしろあずきさんという異色の3人が贈る新作ゲームアプリ『異世界ミニマムクラッシュ』が発表された。しかも、パブリッシャーは“おたくのやどかり”というオタク専門の不動産を生業とする会社。なぜこんな異色のチームがアプリゲームを出すことになったのか。
じつはその真相を7月に取材していたので、今回はその模様をお届けしたい。間を取り持ってくれたのは以前お世話になった、本作の開発・ディレクションを行っているエスパーダ代表取締役の中尾圭吾さん。アプリゲーム市場のレッドオーシャン化が進む中、彼らがどんな気持ちでこのタイトルを企画し発表に至ったのか、開発に携わった3人のキーマンに話を聞いてきた。
ゆゆうたさん 本プロジェクトの発起人。ピアノを中心とした動画投稿で登録者数140万人を誇るYouTuber。ひとりで10役をこなす10分割シリーズなどが人気。生放送ではゲーム実況も行っており、いちばん好きなゲームは『ファイナルファンタジーIV』。 |
平田社長 ペンネームではなくガチの社長。オタク専門の不動産“おたくのやどかり”やwebエンジニア会社“おたくのえんじにあ“など複数の会社を経営。自身もガチゲーマーにしてガチオタクな人。 |
中尾圭吾さん エスパーダ代表取締役。元ハンビットユビキタスエンターテインメントの事業部長でPCオンラインゲーム『グラナド・エスパダ』や『HELLGATE』の開発に参加。その開発ノウハウを持って2017年に独立してエスパーダを設立。本作ではディレクターを担当。 |
なお、もこうさん、マンガ家のやしろあずきさんについてスケジュールの都合が合わなかったため取材には参加できなかったが、コメントをもらっているので併せて紹介する。
――今回のタイトルはゆゆうたさん発案と聞きましたが、なぜアプリゲームを作ろうと?
ゆゆうた:ふだんはYouTubeで動画投稿をしているのですが、もっとおもしろいこと、みんながやっていないことをしてみたいと思ったときにひらめいたんです。YouTubeのクリエイター自身がゲームを作るというのが今までになかった試みだなと。
――でもゲームの開発経験はないんですよね?
ゆゆうた:はい。それで平田社長に連絡しました。
平田社長:相談を受けたものの、僕もゲーム開発者への伝手が何もなくて。ただ、僕自身がゴリゴリのゲーマーで、もともと格ゲーで全国大会に出ていたり、音ゲーもバリバリやっていたりとゲームが好きだったので、僕もゲームを作ってみたかった。そこで、社員全員がオタクという弊社の強みを生かしてゲーム会社とのパイプを探したところ、社員の中にゲームの開発やプロモーションの経験者がいて、中尾さんを紹介してもらいました。
――なるほど。それでこの3人がつながるわけですね。
中尾:最初聞いたときは「YouTuberがゲームを作る? え、なにそれ?意味わからない(笑)」と思いました。ただすごくおもしろそうでしたし、エスパーダが大型案件ばかりになっていて開発に数年掛かるものが多いので、こうしたインディーズ的なノリのスピードの速いゲームを作れるのか、チャレンジする意味や、2020年にひとつはユーザーにゲームを提供したいという意志でプロジェクトへの参加を決めました。
――それでYouTuber、不動産屋、ゲーム開発会社とぜんぜん違う業界のメンバーが集まったわけですが、役割分担はどのようになっているんですか?
ゆゆうた:プロデューサーです。
――いきなりプロデューサーデビューというのもすごいですね。
ゆゆうた:YouTubeも同じ理由なんですが、いままでやってこなかったことに挑戦するのが好きなんです。発案、企画、キャラクター原案、BGMなどを担当させていただきました。
――いままでどんなゲームを遊んできたのですか?
ゆゆうた:幼少期は親からゲームを禁止されていて、高橋名人がゲームは1日1時間と言っている最中に4日で1回30分でした。親が外出するときはアダプターを隠されるほどの徹底ぶりで。
――それは厳しい。
ゆゆうた:学校で友達の話題にもついていけなくて。その反動で高校から大学に進学するタイミングでゲーム熱が一気に爆発して、ゲーセンに通い詰めて音ゲーを極めたり、『パワプロ』などもやり込みましたね。あとはRPG、とくに『ファイナルファンタジーIV』がセリフをソラで言えるほど好きです。
――それが今回のゲームにも影響しています?
ゆゆうた:音ゲー+RPGという形をとっているのでそうかもしれませんね。
――平田社長と中尾さんはいかがですか?
中尾:エスパーダではディレクターと開発全般を担当しています。
平田社長:プロダクトマネージャーです。『異世界ミニマムクラッシュ』は、“おたくのやどかり”からパブリッシュします。
――開発資金はどこから?
平田社長:僕が全額出資しています。
――全額!? 遠い目をしていますが大丈夫ですか?
ゆゆうた:僕はノーリスクで自分がやりたいことをできるという土壌が用意されてしまいました(笑)。もちろん、ゲームは本気で作りますが、失敗しても一切リスクがないので本当にやりたいことだけを詰め込みました。
平田社長:もともとあるゲームにYouTuberの顔だけを使ったり、YouTuberが宣伝だけしたり、そういうので失敗しているケースもあります。ですからファンだけに頼る形には絶対したくなかったですし、ゲーマーもカジュアルユーザーも楽しめる、中身で勝負できるゲームを作ってきたつもりです。
中尾:そこは全員が共通していますね。僕も皮替えだったら参加していなかったです。ただ、エスパーダでは10億円以上の規模の経験に偏っているので、開発予算の規模を聞いたときは正直怖かったですね(笑)。
平田社長:開発費だけで2500万ぐらいかかっていて、それを僕が出資しているので、儲けたいという気はないのですが、せめて開発費ぐらいは回収したい(笑)。
ゆゆうた:これで利益を得ようとは考えてないので、ガチャもタダでいいと思っていました。
中尾:でました、募金箱。
――募金箱?
平田社長:マネタイズ要素が募金箱だけで、あとは何もないって言うんですよ。
ゆゆうた:この取り組みは利益ではない。
平田社長:ビジネスとしてやるなら開発費ぐらいの売上は欲しい(笑)。
中尾:でも開発費を回収しただけでは2本目は作れませんよ?
ゆゆうた:2本目が決まったら平田さんがまた2500万を出せばいいじゃん。
中尾:開発費2500万はきついんだって! ゲーム作るだけじゃなくてサーバーやデータベースや各種ツールも全部込み……。
平田社長:(苦笑)営利目的ではないので、ガチャの確率はガバガバで課金専用の要素がないし、無課金でも時間かければ全部のキャラを集められます。ゲーム内広告もなし、スタミナ制限もなし、ガチャチケットもがんがん配ります。
――もこうさん、やしろさんはどういう経緯で参加することになったのでしょうか。
平田社長:ふたりには僕の会社の宣伝をお願いしており、そのつながりです。もこうさんは、このゲームがつまらなかったら「なんやこのクソゲー!」と言ってくれる人に参加してほしくてお願いしました。トコトンやり込むタイプのゲーマーで、つまらないものはつまらないと正直に言ってくれる人です。やしろさんはゲーム会社に勤めていた経験があるのでおもしろいなと思って。
――ゲームを少しだけプレイさせてもらいましたけど、3人とも実写で登場していますよね。やしろさんはご自身のイラストですが、世の中的にその姿が実写ですし。
中尾:基本は2Dのアニメーションなんですが、バトルの必殺技やシナリオは実写ですね。
ゆゆうた:やっぱり僕らは顔で売っているので。
平田社長:顔?
ゆゆうた:やしろさんはマンガですが、僕ともこうさんは生身の体で勝負しているので。
中尾:それを活かすためにストーリーのシナリオはほぼ顔芸で進行していきます。
――顔芸で進むストーリー、斬新です。
ゆゆうた:ストーリーは異世界勇者モノで、僕ともこうさん、やしろさんが死んだところから始まります。曲者3人が揃ったゲームなので、ゲーム性はしっかり担保しつつ、とにかくネタを散りばめてぶっ飛んだ内容にしたかったんです。王道ではなく、曲者なら曲者らしく曲者らしいゲームにしようと。
――ネタ部分は非常に大切にしているポイントなんですね。
ゆゆうた:もうひとつ意識したこととして、このタイトルは僕が作りたくて作っているので、遊んでくれた人たちに“僕たちが主体的に作っている”ということを伝える工夫はしています。卵の生産者みたいに「私が作りました!」という作り手の意思みたいなものを感じてもらいたいです。
中尾:個々の話しかたも「俺はこんな話しかたをしない」とか本人の確認を受けながら調整しています。2Dイラストも3人の喜怒哀楽の表情それぞれに大中小の差分を用意していますし、ネタ要素も丁寧に作ってきました。
ゆゆうた:ゲームには僕らの動画ネタもたくさん仕込んでいるんですが、確認するたびに僕の動画をちゃんと観て作ってくれていることがわかりますね。
平田社長:それが仕事だから。ファンとかじゃなく。仕事で見させられているだけだから(笑)。
ゆゆうた:真っ暗な部屋にひとり缶詰にされて?
――ブラック企業ですね(笑)。
平田社長:それは冗談ですが、ブラック企業軍団とかマジ卍軍団とか、社会風刺的な要素も入れてるんですよ。
中尾:マウントくんやメンヘラちゃん、ネタばれちゃんとか、インターネットに蔓延る問題児をボスにして、3人がそいつらと戦いながら元の世界に戻るというのがシナリオのベースです。
――キャラクターのデザインもゆゆうたさんが担当しているのですか?
ゆゆうた:僕は原案を考えて、それを中尾さんのところでイラストに起こしてもらっています。
中尾:最初のイラストがまったくおもしろくなくて。
|
平田社長:一ミリもおもしろくないw
中尾:王道でいこうとして失敗した(笑)。やはり、やしろさんの絵のテイストに合わせるのがベストだと。
ゆゆうた:僕はいいと思ったんですけどね。
――最終決定はゆゆうたさんがするんですか?
ゆゆうた:最終的にはみんなで話し合いながら決めています。みんなで大きなかまくらを作っている感覚ですかね。
中尾:みんなでがんがん喧嘩しながら話すうちに落ち着くところに落ち着くんですよね。できる、できないでぶつかることも多いんですが、ゆゆうたさんの発想はおもしろくて、スマホゲーム業界に新しい風を起こせると思っています。
――業界に新風を巻き起こせると?
中尾: 神風が吹くかも? 吹かないかも? ただ、昔、PCゲームの市場は10億かけない当たらないと言われていましたが、『艦隊これくしょん -艦これ-』が新しい風穴を開けました。これを自分の頭ではできませんが、ゆゆうたさんの頭ならできると思っています。
平田社長:ゆゆうたさんはアイデアマンなんですよ。先日もゆゆうたさんが電話で「レイドボスを自分で操作したいです。おもしろくないですか」とアイデアを伝えてきて、すぐに中尾さんに連絡したら「やりますよ」って。
中尾:発想がおもしろいですよね。
ゆゆうた:意思を持っているボスと戦うのは楽しいと思ったんです。5人でレイドバトルを挑まれたときに「こいつ、俺のアンチっぽいいな」とか私情も挟める(笑)。
中尾:リリースタイミングには間に合いませんが、リリース後2ヵ月くらいでの実装を目標に開発を進めています。
――リリース楽しみにしています。最後に本作についてひと言をお願いします。
中尾:良バカゲーです。
平田社長:3人のファン以外の人にもやってほしい。
ゆゆうた:エンディングまで泣くんじゃないぞ。
これは本格スマホアプリゲーム。
多彩なキャラクターを自在に組み合わせ、
お前だけのパーティを作れ。
そして君は知ることになるだろう。
真の世界というものを。
元々ゲームアプリを作る側の人間だったので、自分が登場するアプリが出るというのはなんとも不思議な感じがします(笑)
イラストは全て描きおろしですので是非楽しんでもらえたらと思います!
対応機種 | iOS/Android |
---|---|
価格 | 無料(アプリ内課金あり) |
ジャンル | RPG |
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メーカー | おたくのやどかり |
公式Twitter | https://twitter.com/hirata_minicla |
配信日 | 配信中 |
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