
母親と愛人の密会現場で息子が取った行動は!ガヘリスとラモラック【しゃれこうべが語る元ネタの世界 第48回】
2020-09-16 12:00 投稿
この痛みこそ、私の生きた証なのだ……
ひっさしぶりの筋肉痛!
しばらくぶりに『リングフィット アドベンチャー』をやったら速攻でキましたね。今度は続けていきたいところ!!
ってな訳で今週も始まりました、“元ネタの世界”!
今回もご紹介するのはアーサー王物語のエピソード、主要人物となるのはガヘリス、ラモラックの騎士ふたりです。
まずはこのふたりの簡単なプロフィールと、周囲の人間関係から見ていきましょう。
【目次】
・アットホームな円卓です
・好きなものは好きだからしょうがない!!
・不義滅すべし、慈悲はない
・騎士道とは
・次回は騎士と乙女の恋バナ!
アットホームな円卓です
さて、今回紹介するガヘリスとラモラック。
前回のカオス回でも登場したふたりの騎士です。
まずはガヘリスから見ていくと、こちらは円卓の騎士のなかでもメジャーなガウェインの弟にして、アーサー王の異父姉・モルゴースとロット王の息子になります。
モルゴースとロット王のあいだにはガウェイン、ガヘリスのほかにアグラヴェイン、ガレスが生まれており、今回のエピソードでも4兄弟が揃って登場します。
※元ネタはモルゴース以外男です。
一方のラモラックはペリノア王の息子として生まれますが、こちらもアグロヴァル、パーシヴァル、トール(トー)といった騎士とは兄弟の関係にあたります。
ラモラックのエピソードが説によってはトールのエピソードになっていることもあり、このふたりは同一視されることもあったりなかったりします。
※元ネタは全員男です。
さて、ガウェイン兄弟とラモラックとの関係ですが、因縁は彼らの親からスタートします。
ガウェインたちの父親であるロット王は、アーサー王が王となった直後に敵対した連合軍のひとりであり、アーサー王物語初期の敵として登場しました。
そして戦いのなかロット王は倒れるのですが、彼を殺したのがラモラックの父であるペリノア王なのです。
ガウェインたちはのちに騎士としてアーサー王に仕えることになりますが、父を手にかけたペリノア王に対しては強い恨みを持ち続け、ついには彼を暗殺してしまいます。
父を殺されたラモラックは、当然ながらガウェインたちに対して好意的とは言えない感情を抱くようになります。
さらにややこしいことに、ガウェインたちの母・モルゴースは夫が亡くなった後に複数の愛人を作るのですが、そのひとりに、夫を殺したペリノア王の息子・ラモラックが含まれていたのです。
ガウェインたちは父の仇の息子が母親の愛人となっていることに嫌悪感を示し、ますます関係は泥沼化していくのでした。
と、このようにガウェイン兄弟とラモラックには一触即発どころではない因縁が積み上げられていったのです!
これがどのような事件に発展していったのか、というのが今回のお話ですが、ここでラモラックとモルゴースの愛人関係の深さを示すエピソードもご紹介!
好きなものは好きだからしょうがない!!
モルゴースと愛人関係にあったラモラックは彼女を深く愛しており、モルゴースより美しい婦人はこの世にいないとまで言っていました。
あるときには、アーサー王の王妃・グィネヴィアを愛するあまり彼女を誘拐する事件まで起こした騎士・メレアガンスと、どちらがいちばん美しいかで喧嘩をしたほどです。
※元ネタは男です。
ラモラックとメレアガンスが口論をしていると、これまたグィネヴィアが大好きなランスロットも登場し、「いちばん美しいのはグィネヴィア様に決まっている!」とさらに口論が激化してしまいます。
あわや決闘、となりかけたところで、ランスロットに同行していた騎士のブレオベレスが割って入ります。
「お三方、どうか落ち着いてください。意中の相手がもっとも美しいと思うのは当然のこと。
なにもそれ以外の女性が美しくないと侮辱しているわけではないのです」
この言葉で冷静になった騎士たちは落ち着きを取り戻し、その場はことなきを得たのでした。
と!
決闘直前まで行くほどの愛情を持っていたラモラックでしたが、どれだけモルゴースを愛していようがガウェインたちの嫌悪感に変化はなく、いよいよ事件は起こってしまうのです!
不義滅すべし、慈悲はない
ある日のこと、アーサー王の領地で槍試合が開催されました。
そこでガウェインやガヘリスが活躍し、ふたりが優勝を争うかと思われたそのとき、そこにラモラックが飛び入りで参加し、並みいる騎士たちを打ち倒してしまいます。
ガウェイン、ガヘリスのふたりはあえなくラモラックに敗れ、ラモラックが優勝の栄光を勝ち取ります。
これに腹を立てたのが、ガウェインとガヘリス、そしてふたりの弟であるアグラヴェインです。
温厚な性格の末っ子・ガレスはことを荒立てようとはしませんでしたが、ガウェインら3人はラモラックを罠にかけるべく、彼がモルゴースのいる城に向かうよう仕向けます。
ガウェインたちの思惑通り城へとやってきたラモラックはモルゴースとふたりきりになり、ベッドに入ります。
ふたりがヨロシクやっていると、突然に扉が開け放たれ、ガヘリスが入ってきました。
無言でベッドに歩み寄ったガヘリスは、母であるモルゴースの髪を掴んだかと思うと、引き抜いた剣で母親の首をはねてしまったのです。
愕然とするラモラックに、ガヘリスはわずかに笑みをたたえながら語り掛けます。
「母上は解放されたのだ。貴様のような男と関係を続け、私たち兄弟に屈辱を与えるという不名誉からな」
ベッドの上で下着姿だったラモラックは、このまま自分も討たれてしまうに違いないと覚悟を決めましたが、ガヘリスが続いて放った言葉は意外なものでした。
「剣も鎧も持たぬ相手を手にかけるのは、騎士道に背くことだ。貴様を殺しはしないさ。いまはな」
こうして、ラモラックはひとまずその場を逃れ、しばらく身を隠すことにするのでした。
ちなみに、ガヘリスが母親を手にかけたのはガウェインにも予想外のできごとだったと言われています。
ガウェインとしてはあくまでも憎いのはラモラックでしたが、ガヘリスはたとえ母といえど父の仇の息子と関係を持つという不義を許せなかった、というのがこの事件の原因のようですね……!
騎士道とは
ガヘリスがモルゴースを手にかけたのち、愛人を亡くした悲しみに暮れたラモラックは身を潜めていましたが、やがては騎士としての熱意が燃え上がり、栄光を求めるようになります。
そして、とある槍試合に出場したラモラックは、その戦いぶりに衰えも見せず、大いに活躍してみせます。
しかし、この活躍がガウェインたちの耳に入り、居場所を突き止められてしまうのでした。
試合を終え、ラモラックが森のなかで家路をたどるなか、ガウェイン、ガヘリス、アグラヴェインの3人が突如現れ、一斉にラモラックを襲います。
さすがのラモラックも、実力者を含む3人に囲まれては切り抜けることができず、円卓最強の一角として挙げられた騎士は、ここで凶刃に倒れたのでした。
それからしばらく経ったある日、ガヘリスとアグラヴェインのふたりは、とある町でランスロットと出会います。
ラモラックが彼らの手にかかったことを知っていたランスロットは、嫌悪と怒りを込めて言葉をもらしました。
「あのような優れた騎士が卑怯者の手にかかるとは、惜しいことだ。
その場に私がいれば、結果は変わっていただろうに」
しかしこの言葉に、ガヘリスとアグラヴェインは嘲笑交じりにこう答えます。
その後は言葉を交わさずに別れた3人ですが、これよりしばらくののち、ガヘリスとアグラヴェインはランスロットの剣によって倒れることとなるのです。
~ 完 ~
次回は騎士と乙女の恋バナ!
ってことで、今回はアーサー王物語らしい(?)ドロドロ人間関係物語でございました!
いやよくこの人間関係でまとまってたな、とも思いますが、後半にはそのあたりも原因のひとつとなって王国がひっくり返っちゃってるあたり何とも人間臭い伝説と言いますか……!
王国崩壊のくだりに関しては以前にご紹介してますので、ぜひぜひこちらもご覧あれ!
さて次回ですが、今度はアーサー王物語には珍しいクリーンな男女関係のお話をご紹介しましょう!
登場するのは騎士・エレックと乙女・エニード!
アーサー王やガウェインも登場するこのエピソードではどんな冒険が見られるのか、お楽しみに!
文/しゃれこうべ村田(@SRSWiterM)
参考文献
ブルフィンチ(1942)『中世騎士物語』(野上弥生子 訳) 岩波書店.
マロリー,トマス(2004)『アーサー王物語』(井村君江訳) 筑摩書房.
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