獣と乙女を求めて数マイル!ガウェイン、ラモラック、ペリノア王の冒険【しゃれこうべが語る元ネタの世界 第47回】

2020-09-09 12:00 投稿

CD派? DL派?

アタシャやっぱりCD派ッ!!

って話はどうでもいいんですが、最近アニソンCDを買う率が高くなってきていましてね!

本日9月9日発売の『遊☆戯☆王SEVENS』オープニング主題歌の『ナナナナナナナ』も注文済みですよ! Amazonさんからはまだ届かないようですが!!

どうでもいい話を重ねたところで、今週も始まりますよ“元ネタの世界”!

今回はアーサー王伝説に登場する騎士たちが奇妙な冒険に巻き込まれたお話をご紹介です。

おもな登場人物は、ガウェインラモラック、そしてペリノア王の3名。んでは、いざ冒険のお話へ!

【目次】
・結婚祝いにカオスを添えて
・ガウェイン、白い鹿を追う
・ラモラック、白い猟犬を追う
・ペリノア王、黒騎士と乙女を追う
・次回は円卓ドロドロ物語!

結婚祝いにカオスを添えて

それは、アーサー王が王となり、グィネヴィアとの婚礼の儀を済ませたころ。

王とその騎士たちは華やかな祝宴を開いていましたが、そこに突如として、獣の鳴き声が響きます。

20200908_ニムエ (1)

そして、どこからか白い鹿が、ついで鹿を追い立てる白い猟犬60匹の黒い猟犬が宮廷に押しかけてきました。

鹿に転ばされた騎士・アベレウスは、腹いせに白い猟犬を捕まえ、そのまま馬に乗って去ってしまいます。

白い鹿も宮廷から逃げ、黒い猟犬もその後を追って出て行ってしまいました。

あまりに意味不明な出来事に王たちが唖然としていると、今度は白馬に乗ったひとりの乙女、のちに湖の乙女と呼ばれることになる、ニムエが現れます。

20200908_ニムエ (2)

彼女は王に向かって口を開きます。

「王様、あのような蛮行をお見逃しになるのですか?

私の白い猟犬がここで奪われてしまったというのに!」

どうやら、先ほどの騒ぎを起こした白い猟犬は彼女のものだったようです。そもそも騒ぎの種が猟犬にあったこともあり、アーサー王はどう答えたものか悩んでいました。

すると、王が答えを返す前に、黒い鎧に身を包んだ騎士が現れ、ニムエをさらって行ってしまったのです。

20200908_ニムエ (3)

何が何だかさっぱり、といった状態のアーサー王でしたが、そこに王を補佐する魔術師・マーリンが助言を与えます。

「王よ、あの乙女を助けることはあなたに利益をもたらしましょう」

マーリンの言葉にうなずいたアーサー王は、その日騎士になったばかりのガウェイン、同じく騎士になったばかりのラモラック、そしてペリノア王にそれぞれ白い鹿、白い猟犬、そしてニムエの奪還を命じます。

ニムエの救出を命じる際、アーサー王はペリノア王に伝えました。

「乙女をさらった黒騎士については、必要ならば斬り捨てて構わん」

かくして、ガウェイン、ラモラック、ペリノア王の3名は各々の冒険に出たのでした。

ガウェイン、白い鹿を追う

のちに円卓のなかでも指折りの騎士として名を馳せることとなるガウェインは、まだ騎士になっていない弟のガヘリスを伴って出立します。

20200908_ニムエ (4)
20200908_ニムエ (5)

ふたりはとある城で白い鹿を発見しましたが、鹿はすでに黒い猟犬によって殺されてしまっていました。

そして黒い猟犬はと言えば、鹿の飼い主であると思われる城主によって打ち殺されていました。

猟犬を手にかけた城主に対し、ガウェインは怒りをあらわにします。

「本能と訓練に従っただけの猟犬をなぜ殺すのか。

城主よ、あなたの怒りがまだ収まらないというのであれば、この私が相手になろう」

20200908_ニムエ (6)

斬り結ぶ城主とガウェイン、やがてガウェインの剣は城主の身体を捉えますが、その返り血を目に浴び、ガウェインの視界は奪われてしまいます。

目は見えずとも相手の位置を把握していたガウェインは、追い打ちをかけてトドメを刺そうと、大きく振りかぶった剣を振り下ろします。

しかしそのとき、戦いを見守っていた城主の奥方が飛び出し、城主をかばいます。目が見えないままに剣を振り下ろしたガウェインは、あろうことか奥方の首を切り落としてしまったのです。

20200908_ニムエ (7)

城主にトドメを刺そうとしなければこんなことにはならなかった、と悔やむガウェインは、弟のガヘリスともども城の騎士たちから袋叩きにされてしまいます。

やがて、ガウェインがアーサー王の騎士であることが判明すると、城の騎士たちは奥方への罪滅ぼしを条件にガウェインたちを解放します。

その罪滅ぼしとは、奥方の遺体を馬に乗る自分の前に乗せ、切り落とされた奥方の首の髪の毛を結び、首飾りのようにみずからの首にかけて宮廷まで運ぶというものでした。

宮廷に戻ったガウェインはみずからの罪を深く悔い、その後はすべての女性のために戦う、誉れ高い騎士となることを誓います。

と、ガウェインの白い鹿追跡はこのような結果に!

ここでの誓いが、のちに彼の嫁となる女性と出会った際の対応に影響している、のかも……?

ラモラック、白い猟犬を追う

一方、白い猟犬の奪還を任されたラモラックは、捜索のなかでひとりの小人と出会います。

20200908_ニムエ (8)

小人いわく、その道を通るには、近くのテントにいる騎士と一騎打ちをしないといけないと言うのです。

「そんな暇はない」とラモラックが無視して通ろうとすると、テントから騎士が飛び出し、唐突に襲いかかってきました。

が、ラモラックはその攻撃をかわし、逆に一撃で相手を打ち倒してしまいます。

さらにもうひとりの騎士がテントから現れて攻撃を仕掛けてきましたが、やはりこちらも一撃で倒してしまいました。

20200908_ニムエ (9)

その様子を見ていた小人は、ラモラックにすり寄って言います。

「いやぁ、騎士様はお強い! 私もあんな男たちとはおさらばしたかったところです。

これからは、あなたのお供としていっしょに旅をいたしましょう」

こうして、小人を連れて探索を続けたラモラックは、やがて白い猟犬を連れた婦人を見つけ、すぐさま猟犬を捕獲しました。

するとそこに、宮廷で白い猟犬を捕らえた騎士・アベレウスが現れ、ラモラックに勝負を挑んできました。

が、この戦いにもラモラックは敗れることなく、輝かしい戦績とともに、白い猟犬を宮廷に送り届けたのです。

20200908_ニムエ (10)

と、こちらはガウェインのような事故もなく無事に任務を完遂!

騎士になったばかりなのにこの無双ぶり、というのは円卓最強候補の一角と言われても納得でしょう!

ペリノア王、黒騎士と乙女を追う

乙女・ニムエの救出を任されたペリノア王は、馬を急がせ、道を駆けます。

20200908_ニムエ (11)

※元ネタは男です。

道中、何かが聞こえた気もしましたが、彼は気にも留めずに先を急ぎました。

しかし、彼が通り過ぎた道には重傷を負った騎士ひとりの乙女がおり、彼に助けを求めていたのです。

見捨てられた乙女はペリノア王を恨み、自分のように助けを必要とするときに助けを得られないように、と呪いをかけます。

この呪いにより、のちにペリノア王は悲惨な最期を遂げることになるのですが、それはまた別のお話!

馬を急がせたペリノア王は、ニムエをさらった黒騎士に追いつきます。

しかしそのとき、黒騎士はエメラルドグリーンの鎧に身を包んだ騎士と決闘を行うところでした。

20200908_ニムエ (12)

様子を見ていると、どうやらエメラルドグリーンの騎士もまた、ニムエを助けようとしているようです。

しかし、黒騎士はさも自慢げに言ってみせます。

「あの娘はワシが武勇によって勝ち得た娘だ! 解放せよなど片腹痛い!」

この言葉に腹を立てたペリノア王は、ふたりの騎士のあいだに割って入り、黒騎士に怒号を浴びせます。

「祝宴の場に鎧姿で乗り込み、無抵抗な乙女をさらうことの何が武勇か!

いますぐ乙女を解放するか、ここで死ぬか、選ぶがいい」

20200908_ニムエ (13)

が、ペリノア王の言葉が終わるのも待たず、黒騎士は剣を抜いてペリノア王の馬を刺し殺し、馬鹿にしたような口ぶりで言います。

「さて、それでは勝負いたそうか?」

怒りが振り切れたペリノア王は、黒騎士がそう言った途端に剣を振り下ろし、一撃でその兜ごと黒騎士の頭蓋骨を粉砕してしまいます。

あっという間の決着に、エメラルドグリーンの騎士もペリノア王に感心します。

こうして、無事にニムエを助けだしたペリノア王は、彼女を宮廷に連れて帰りました。

20200908_ニムエ (14)

宮廷に向かう道中、来た道を戻っていたペリノア王は、途中でひとりの騎士とひとりの乙女の遺体を発見します。

彼が気づかずに見捨ててしまった騎士は命を落とし、その死を嘆いた乙女は自死していたのです。

このときに、王は自分が助けを求められていたことに気づき、深い後悔を抱えながら、ふたりの遺体を丁重に弔ったのでした。

かくして、ガウェインとペリノア王に深い傷を、ラモラックには輝かしい戦績を残し、混沌たる祝宴から始まった3つの冒険は幕を下ろしたのです。

~ 終 ~

次回は円卓ドロドロ物語!

ってことで、カオスに始まりいろいろと事故ってしまう冒険譚でございました!

ちょいちょい理解不能な展開があるのは昔の物語ならではってところでしょうか!

さて次回、おつぎは今回登場したガウェインやガヘリス、ラモラック、ペリノア王らが登場するお話をご紹介!

ガウェインとガヘリスは兄弟、ペリノア王とラモラックは親子、とそれぞれつながりがあるのですが、じつはガウェイン兄弟とペリノア親子のあいだにもややこしい関係があったりします。

昼ドラも真っ青な展開、乞うご期待!

【“元ネタの世界”まとめはこちら】

文/しゃれこうべ村田(@SRSWiterM

参考文献

サトクリフ,ローズマリ(2001)『サトクリフ・オリジナル アーサー王と円卓の騎士』(山本史郎訳) 原書房.

Amazon人気商品ランキング 一覧を見る

最新記事

この記事と同じカテゴリの最新記事一覧